社長ブログ〜積小為大〜
政策金利1.75%になったら、不動産投資はどうなるのか
日銀の利上げがどこまで続くのか。
不動産投資をされている方、不動産投資を検討されている方にとって、非常に関心の高いテーマだと思います。
先日の日経新聞に、日銀の利上げペースとターミナルレート(利上げの最終到達点)に関する記事が掲載されていました。日銀ウォッチャー30人への調査では、ターミナルレートを「1.75%」と予想した回答が最も多かったとのことです。
現在の政策金利は1.00%です。
仮に1.75%まで上昇するとすれば、あと0.75%。
では、本当に政策金利が1.75%まで上がった場合、不動産投資のキャッシュフローにはどの程度の影響があるのでしょうか。
そして、その影響を賃料上昇によって吸収するには、どれだけ賃料を上げる必要があるのでしょうか。
今回は、当社が実際に取り扱っている物件の収支をベースに計算してみます。
【物件概要】
物件価格 :1億5,660万円
年間満室想定賃料:1,049.76万円
表面利回り :6.70%
借入金額 :1億4,100万円(LTV約90%)
借入期間 :35年
返済方法 :元利均等返済
この物件の年間満室想定賃料は1,049.76万円。
ここから空室・滞納損失、管理委託費、修繕費、固定資産税、保険料、その他維持管理費などを差し引いたNOI(純営業収益)は814.04万円です。
物件価格に対するNOI利回りは、
814.04万円 ÷ 1億5,660万円 = 5.20% となります。
ここで、現在2.00%の借入金利が、政策金利の上昇と同じ0.75%上昇し、
2.75%になったと仮定します。
年間元利返済額は、
借入金利2.00%:560.50万円
借入金利2.75%:627.79万円
となります。差額は年間67.29万円。
つまり、その他の条件が全く変わらなければ、
年間の税引前キャッシュフローは67.29万円減少することになります。
では、この67.29万円を賃料上昇によって吸収するためには、
どれだけ賃料を上げればよいのでしょうか。
固定資産税や保険料などの固定的な費用は変わらず、
空室・滞納損失、管理委託費、修繕費など賃料に連動する費用のみ
増加する前提で計算すると、必要な賃料上昇率は、
約6.95%
となります。
つまり、政策金利が1.00%から1.75%へ上昇し、
その0.75%が借入金利にもそのまま転嫁されたとしても、
賃料が約6.95%上昇すれば、現在の税引前キャッシュフローを維持できる計算になります。
では、賃料を約7%上げるというのは現実的なのでしょうか。
ここは机上の計算ではなく、実際の管理データを見てみます。
当社では現在、約11,000戸の賃貸住宅を管理しています。
先月(26/8)の賃料改定実績は以下のとおりです。
【退去後の賃料改定】
契約件数 :139件
賃上げ成約件数 :126件
賃上げ率 :90.60%
平均賃上げ額 :5,119円
平均賃料上昇率 :7.30%
【更新時の賃料改定】
更新総数 :267件
賃上げ承諾数 :180件
賃上げ承諾率 :72.60%
平均賃上げ額 :3,445円
平均賃料上昇率 :5.19%
退去後の賃料改定については、平均7.30%。
今回のシミュレーションで必要となった6.95%を、実績として上回っています。
そして、退去後の賃料が上げられなかった物件には以下のような理由があります。
・オーナー様から早期成約を優先して賃料を据え置いて募集してほしいと依頼された場合
・中古物件で、従前の契約では駐車場代が賃料に含まれていた場合
・新築当初から長期間入居されている方などで、従前賃料がすでに現在の相場と比較して高い場合
足元では建築資材高騰や金利上昇を受けて、賃料相場は上がり続けています。
もう一つ、今回のシミュレーションで重要なのは、金利の置き方です。
今回は、政策金利が1.00%から1.75%へ0.75%上昇した場合に、
借入金利も2.00%から2.75%へ同じ0.75%上昇するという前提にしています。
政策金利の上昇分が、そのまま借入金利に100%転嫁される前提です。
金利については、かなり保守的に置いています。
それでも、必要な賃料上昇率は約6.95%でした。
私は以前から、「金利が上がる=不動産投資がダメになる」という単純な話ではないと考えています。
もちろん、金利上昇はキャッシュフローにマイナスです。
これは間違いありません。
しかし、現在の日本は金利だけが上がっているわけではありません。
物価が上がり、賃金が上がり、建築費が上がり、そして賃料も上がっています。
金利のある世界で不動産投資を考えるのであれば、
金利だけを切り取って判断するのではなく、
賃料を含めた全体を見る必要があります。
そして、これからの不動産投資で重要になるのは、
購入時点の表面利回りだけではありません。
その物件が、
「将来、賃料を上げられる物件なのか」
ということです。
賃貸需要が強いエリアにあること。
入居者から選ばれる商品力があること。
築年数が経過しても競争力を維持できること。
そして、賃貸管理の現場で適切な賃料改定を実行できること。
これらが今まで以上に重要になります。
政策金利が
最終的に1.50%になるのか、1.75%になるのか、
あるいはそれ以上になるのか。
正確に予測することはできません。
だからこそ、どのような金利環境になっても長期にわたって賃貸需要があり、
賃料を維持・向上できる物件を持つことが重要です。
当社も、目先の利回りだけを追うのではなく、
長期にわたって賃料競争力を維持できる物件を開発・提供し続けてまいります。
大和財託株式会社
藤原 正明