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社長ブログ〜積小為大〜

金利上昇局面では不動産投資は待った方が良いのか

2026.07.31

2026年6月、日銀は政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げることを決定しました。

金利上昇を受けて、「もう少し市況を見極めたい」「金利が上がれば物件価格も下がるのではないか」と考えている不動産投資家の方もいるかもしれません。

確かに、金利が上がれば借入返済額は増えます。

また、金利上昇に伴い投資家が求める利回り(キャップレート)が仮に上昇すれば、不動産価格には下落圧力がかかります。

しかし、金利が上がるまで待てば、本当に良い物件を今より安く取得できるのでしょうか。

私は、必ずしもそうではないと考えています。

前回のブログでは、金利が上昇しても、賃料が上昇しNOI(純営業収益)が成長すれば、キャッシュフローへの影響は大きく吸収できるという話を書きました。

今回は、その一歩先の話です。

賃料が上昇する中で、投資家が求める利回りも上昇した場合、物件価格はどうなるのか。

実際に数字で検証してみます。
以下のようなモデル物件を用いてシミュレーションしてみます。

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【物件概要】
  物件価格    :1億円
  購入諸費用   :500万円
  総投資額    :1億500万円
  年間満室想定賃料:670万円
  表面利回り   :6.7%
  空室率     :2%
  運営費用    :年間満室想定賃料の20%

【資金計画】
  自己資金    :1,000万円
  借入金額    :9,500万円
  借入金利    :2.0%
  借入期間    :35年
  返済方法    :元利均等返済
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この条件では、

 ・NOI          :523万円
 ・年間元利返済額    :378万円
 ・税引前キャッシュフロー :145万円

となります。

次に、今後、政策金利が1.5%まで上昇し、
それに伴って借入金利も2.0%から2.5%へ上昇したと仮定します。

借入金額9,500万円、借入期間35年という条件は変えず、
借入金利だけを2.5%に変更すると、

 ・年間元利返済額    :408万円
 ・税引前キャッシュフロー :115万円

となります。

賃料が変わらなければ、税引前キャッシュフローは年間約30万円減少します。
これは事実です。

では、その間に賃料が上昇したらどうでしょうか。
まず、年間満室想定賃料が5%上昇した場合です。 

 ・年間満室想定賃料   :704万円
 ・NOI         :549万円
 ・年間元利返済額    :408万円
 ・税引前キャッシュフロー :141万円

金利が上がる前の税引前キャッシュフロー145万円と、ほぼ同水準まで回復します。 

さらに、年間満室想定賃料が10%上昇した場合は、

 ・年間満室想定賃料   :737万円
 ・NOI         :575万円
 ・年間元利返済額    :408万円
 ・税引前キャッシュフロー :167万円

となり、金利が上昇しているにもかかわらず、
現在より約22万円キャッシュフローが増える計算になります。

ここまでは前回の記事でもお伝えした内容です。
今回、本当にお伝えしたいのはここからです。

『物件価格』はどうなるのでしょうか。

現在、この物件は年間満室想定賃料670万円、物件価格1億円ですので、表面利回りは6.7%です。

仮に、政策金利が1.5%に上昇し、金利上昇の影響によって市場が求める表面利回りが6.7%から7.0%へ上昇したとします。

まず、賃料が変わらなければ、

 670万円 ÷ 7.0% 
  =約9,571万円 となります。

現在の1億円から約429万円下落します。
ここだけを見ると、「金利が上がるまで待った方が安く買える」と考えるのも理解できます。

では、賃料が5%上昇していたらどうでしょうか。
年間満室想定賃料704万円を表面利回り7.0%で割ると、

 704万円 ÷ 7.0%
  =約1億50万円 となります。

市場が求める利回りは上昇しているにもかかわらず、
物件価格はほぼ現在と同水準です。

さらに、賃料が10%上昇した場合は、

 737万円 ÷ 7.0%
  =約1億529万円 となります。

利回り相場が上昇していても、
物件価格は現在より約529万円高くなる計算です。


整理すると、

【賃料上昇なし】
想定物件価格:9,571万円

【賃料5%上昇】
想定物件価格:1億50万円

【賃料10%上昇】
想定物件価格:1億529万円

となります。

※政策金利が上がっても、物件の利回り相場が変わらず、一方で賃料はインフレによって上がっていく場合は以下のようになります。

【賃料5%上昇】
想定物件価格:1億507万円

【賃料10%上昇】
想定物件価格:1億1,000万円

つまり、利回り相場が万が一多少上昇したとしても、
賃料が上昇すれば、物件価格は下がりません。

むしろ、上昇する可能性があります。

もちろん、全ての物件で賃料が上がるわけではありません。

入居需要が弱いエリア、競合物件が多いエリア、商品力が低い物件では、
賃料を上げることは難しいでしょう。

一方、当社では現在約10,500戸の賃貸住宅を管理しています。

この1~2年の管理実績では、退去後の募集時に平均4,000円超
更新時にも約60%の住戸で平均4,000円の賃料アップを実現しています。

当社管理物件の平均賃料約6万円に対し、一度の改定で約6~7%上昇している計算です。

そして、2年前に賃料アップした物件もさらに値上げが出来ているのが実績です。
物件によっては、それ以上の賃料アップを実現しているケースも少なくありません。

現在は、物価、賃金、建築費が上昇するインフレ局面です。

こうした環境では、金利だけを見て物件価格の下落を待つことが、必ずしも合理的とは言えません。

良い物件であれば、待っている間に賃料が上昇し、結果として物件価格も上昇してしまう可能性があります。

さらに、その間に取得した投資家は、毎年キャッシュフローを積み上げながら、
借入元本も返済していきます。

つまり、「待つ」という判断にもコストがあるということです。

また、今後建築費が下がる局面はなかなか考えにくい状況です。

もちろん、「どのような物件でも今すぐ買うべきだ」という話ではありません。

重要なのは、金利がどうなるかを予測することではなく、

将来、賃料を上げられる物件なのか。
将来、NOIを成長させられる物件なのか。

この視点で投資判断を行うことです。


私の結論は明確です。

賃料を上げられる良い物件が現在の価格で取得できるのであれば、
金利上昇後の値下がりを期待して待つ合理性は高くありません。

これからの不動産投資で見るべきなのは、
現在の金利ではなく、将来のNOI成長力です。

当社も、そのような視点で商品開発、建築、賃貸管理を行い、
お客様の長期的な経済的メリットを最大化してまいります。

大和財託株式会社
藤原 正明

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