社長ブログ〜積小為大〜
新築ワンルームマンションを現金で購入すると儲かるか?
秋の風を感じるようになってきました。
先日、創業初期から取引先であり顧客でもある方のご家族と、いくつかの社員家族の皆様と一泊二日のキャンプに行ってきました。
奈良県の奥地でありスマホ電波が届かない状況でしたので、日々スマホを手放さない私からすれば強制デジタルデトックス状態でした。
その時間は仕事のことを一切考えず、参加したメンバー・ご家族の方々と交流したり自然を感じることができました。
このキャンプは数年前からの恒例行事になっておりますのでまた来年実施したいと思いますし、別途キャンプに行くのも良いなと考えました。
(どんな時もスマホを離さず仕事の承認したりSNSやったりしているので脳を休める時間が必要だと感じました)
エネルギーチャージできましたのでガンガン仕事頑張っていきます。
本題です。
少し前にX(旧Twitter)で次のような投稿がありました。
「新築ワンルームマンションをここ数年で買って損してる人はいなさそうなのに、こんなに批判されているのなんでなんだ?」
良く批判される新築ワンルームマンション投資ですが、なぜなのでしょうか?
私としても積極的にお勧めできる投資ではない、という考えです。
今回はXでのやりとりから実際の数字を用いたシミュレーションをしてみたいと思います。
以下はX上で知り合った方が実際に5年前に購入された物件の条件となります。
物件種別 :区分ワンルームマンション
築年数 :新築
物件金額 :2,240万円
購入諸費用 :80万円
総投資額 :2,320万円
年間満室想定賃料 :93.6万円(表面利回り4.18%)
運営費用 :14.6万円
NOI :79万円 (総収益率FCR3.4%)
保有中税率 :20%(課税所得195万円超330万円以下)
売却時税率 :20%(5年超保有時の長期譲渡税率)
保有期間 :5年間
売却物件金額 :2,200万円(購入時から1.7%下落)
売却諸費用 :22万円(業者買取想定)
この方は銀行にお金を預けておくよりはマシだろうという理由で上記物件を現金一括購入されています。
つまり返済がないのでNOI分(79万円)をまるまる税引前キャッシュフローとして受け取れる形となっていました。
なにもせずに年間79万円が入ってくる状態なのでよい投資をしている感覚になっています。
では具体にシミュレーションしてみましょう。
なお、とりあえず今回は保有期間中一度も退去がなかったというかなり緩めの条件となります。
結果は以下の通りとなりました。
保有期間中は税引後で357.7万円の手残りを得ることが出来ています。
売却時には税引後で2,148.7万円の手残りを得ることが出来ています。
本投資をするときに、現金2,320万円を投資しているので、その分を含めて投資の評価をしてみます。
投資期間全体の投資パフォーマンスを表す内部収益率IRRは税引後で1.66%、
2,320万円を現金投資して5年運用したところ2,506.4万円になり186.4万円現金が増えた結果なります。
この投資結果を見て皆さんはどのような感想をお持ちになられるでしょうか。
私ならこの投資は絶対しません。
確かに損はせず5年間でお金が186.4万円増えた結果となりましたが、そのリターンを得るために2,320万円もの現金を投資し5年間拘束された状態でした。
また上記シミュレーションは5年間ずっと満室であった想定ですし、売却は購入金額2,240万円から1.7%しか下がらず2,200万円でスムーズに売却できたという想定で、投資のボラティリティ・不確実性要素が多分に含んでいます。
年間リターン換算で1.66%であれば流動性が高く事業ボラティリティを含まない投資信託やインデックスファンドで運用した方がよほど良いです。
次回、一定の空室が発生したパターンや借入をしたパターンで投資リターンの下方リスクが大きすぎる点を検証してみます。
大和財託株式会社
藤原 正明