社長ブログ〜積小為大〜
ウッドショックの影響
こんにちは、大和財託の藤原です。
朝晩は涼しくなり秋の気配を感じられるようになってきました。
気づけば9月も下旬となり、時間経過の早さは過ぎればあっという間です。
もう少し時間が経過すれば、賃貸物件の動きが活性化する秋の繁忙期に突入します。
コロナ2年目の秋であり、去年とはまた様相が異なる感じになっていますので、環境の変化に適応し空室を一件でも埋めてまいりたいと意気込んでおります。
さて、本題です。
ウッドショックのその後
についてです。
ニュースでも取り上げられているので多くの方がご存知のウッドショック、今はどのような状況なのでしょうか。
ウッドショックが起こった原因については、5月のブログ「ウッドショック 木材価格の高騰」に書いていますのでご覧ください。
あれから5ヶ月近くが経ち、状況はどのようになったのか、最新の情報を共有します。
ウッドショックが起こった主要因の一つに、米国における住宅ブームを背景とした木材先物価格の暴騰、というのがありました。
住宅ブームを睨んで、商品先物市場に投資マネーが流入し買いが買いを呼びバブルのような相場になっていたのが春先の話です。
▲引用元「Bloomberg」
この通り、現在は底を打ちバブルは終焉を迎えています。(まだウッドショック前の水準までは戻っていませんが)
これは木材が高額になり過ぎて米国の住宅会社が着工を一部控えたという実需がついてこれなかった点と、下落基調の相場から投資マネーが引いた点の2つがあります。
とはいえ、これは先物相場の話です。
現物の木材価格は未だに高値を維持するばかりか、今後更に上がっていくことが予想されます。
日経新聞の記事にも出ていましたが、対日向けの木材価格は今でも値上げを続けているからです。
▼参考記事(有料記事になります)
米国の木材先物、最高値の3分の1に 下落が加速: 日本経済新聞 (nikkei.com)
さらに、ウッドショックが騒がれだした今年の2月以降、プレカット事業者、木材卸業者が出荷制限を行い平時の50~70%となっていましたので、毎月需要量とのギャップが生じその分が保留となっています。
当社は今期80棟近くアパート・マンションの完工予定をしており、日々大量の木材を購入していますのでリアルな情報が入ってきます。
9月下旬現在の当社の状況を共有します。
まず価格ですが、毎月上がっています。
ウッドショック前と比べると価格は約3倍となっています。
おおよそになりますが、木造建物の建築原価に占める木材の割合は平時で10%程度ですので、木材価格がこれだけ暴騰すると建設会社の収益を大きく圧迫します。
建設会社の利益構造・利益率によっては赤字になりますので、そういった会社は着工を見合わせたり、仕入れた土地を売却したりして対応しています。
次に納期についてです。
平時であれば着工予定を予め伝えておけば一週間程度で現場納品がされていましたが、現在は発注した時点では納期を確定することは出来ずにおり、おおよそ1ヶ月後に納品されるような状況です。
輸入量は回復しつつありますが、上記の通り今年に入ってからの出荷制限によって積み上がっている受注分をこなすことが優先されるので、新規発注分がタイムリーに納品されないのが現状となっています。
こういった状況から、建設会社各社は値上げをするところも増えてきました。
実需向けの戸建てであればまだ価格転嫁しやすいかもしれませんが、当社のように収益物件を開発している業者にとっては、利回りにダイレクトに影響するため値上げは容易では有りません。
しかし、大手ハウスメーカー等は賃貸アパート・マンションの建築価格を値上げする方向に向かっています。(現に上げています)
当社においては、このウッドショックは一過性のものであり、時間が解決してくれるという見立てのもと、値上げは行っていませんし今後も行う予定はありません。
購入・建築時期の数ヶ月の違いで利回り差が出ることが明らかであれば、今購入する・建築する方はいないという考えからです。
それよりは常に現場を動かしていくことで、施工力・価格競争力を高めていくことに重きをおいています。
※当社の仕事しかしていない職人さんをたくさん抱えており、当社が建築をストップすると彼らの生活が成り立たないというのも大きな理由です。
では、今後の見通しについてはどうなっていくのでしょう。
先物価格と現物価格には遅効性があり、かつ対日向け価格となるとその影響はより大きくなること、プレカット業者の供給逼迫状況が続くことから、これから年末に向けて木材価格はもう少し上がってくるとみています。
納期も今より早くなることはないでしょう。
しかし、年を明けてくると対日向け価格の下落、およびプレカット業者の受注分出荷が進んでくることから、価格は下がり納期も短縮されていくことと思います。
来年春には平時に近い状態まで収束し、ウッドショックは終わる予想をしています。
とはいえ、木材をはじめ建築資材全般で値上げ基調が続いているため、今回のウッドショックほどではないにせよ、モノの値上げには今後も対応を迫られそうです。
(これは日本がデフレの中、世界各国ではインフレおよび経済成長がつづいているので、日本が相対的に購買力を失いつつあるというグローバル的な流れです)
現に今後はアイアンショック(鉄骨材などの鉄関連資材の高騰)の傾向が顕著になってきています。
以上がウッドショックにおける当社の現在の認識です。
当社は価格転嫁しませんが、建設会社によっては値上げしているため、戸建てや収益物件の購入タイミングの参考にして頂けたらと思います。
大和財託株式会社
藤原 正明
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