社長ブログ〜積小為大〜
新たな利回り表記の罠に注意 その1
毎度お世話になります。
大和財託の藤原です。
夏季休業も終わり、残暑厳しい日々が続いています。
コロナ感染拡大防止という事で、マスク着用や指先消毒、三密防止、不急不要の外出自粛などが日常生活に溶け込み、暑さも相まってとても息苦しいと感じます。
私自身は、専門家の方々の意見およびこれまでの統計の実績を見れば、現状の世の対応は正直過剰すぎると考えています。
(インフルエンザと同等の扱いで良いと考えます)
夏季休業中は普通に旅行などもしましたが、旅行先での各事業者の世間に向けた対策アピールが大変そうだなと感じました。
また普段はテレビはほぼ見ないのですが、休暇という事で報道番組なども見ましたが、感染者数のみを報道し恐怖心を煽る手法の情報が大量に発信され、テレビが発信していることは全て正しい、と思う人が多い現状においては、今の世の空気感の理由をよく理解できました。
私としては、こういう時期だからこそ当社が手がける事業が社会に必要とされると考え、ピンチはチャンスととらえ、攻めの事業展開をしてまいります。
ちょうど秋口に新たな資産運用サービスをローンチしていきますので、ご期待ください。
さて、本題です。
本日は
新手の利回りの罠に注意
です。
当社では、関東・関西の賃貸物件の管理受託も随時行っております。
管理受託の一環で物件購入前からのご相談も承っており、色んな物件情報に日々触れております。
そんな中、新たな利回りの罠が最近出てきたなと気づいたので、読者の皆さんに共有します。
新たな手法とは、
土地金額を異様に高くする
という方法です。
もっと具体に言うならば、
収益不動産は土地と建物の二物を購入し投資するが、総額に占める土地の割合が異様に高い物件には注意が必要
ということです。
これを聞いてピンとくる方は、不動産投資や税務会計をよくご理解されている方だと思います。
この罠が仕込まれている物件は、売主が不動産業者や建設会社、あるいは一般法人などとなります。
新築物件に多い傾向がありますが、中古物件にも紛れています。
罠の解説には2つをご理解頂く必要があります。
①売主側の懐事情
②投資パフォーマンスの違い
まずは、①の売主側の懐事情の解説です。
売主の立場で見れば、土地割合を高く、建物割合を低くしたほうが良いという事実があります。
次の二つの物件があったとします。どちらも物件価格1億円、家賃収入750万円です。
A: 土地4000万円 建物6000万円
B: 土地8000万円 建物2000万円
当然に表面利回りはどちらも7.5%になります。
売主側の立場で見れば、AとBで売却した時どちらが有利になるのでしょうか?
カギは消費税です。
ご周知のとおり我が国は消費税を導入しており、建物に関しては10%の税率となっています。
事業者の立場で見れば、消費税というのは、仕入の時には支払い、販売の時には受け取り、最終その差し引きを決算で締めて、売上時の受取消費と仕入時の支払消費税を仕入税額控除し、納税する流れとなります。
※消費税課税事業者の説明はこちら
よって、事業者(消費税課税事業者)側とすれば、極力受取消費税を少なくしたいと考えるわけです。
本物件の例で言えば、どちらも1億円お金が入ってきますが、そのうち消費税については最終的には納税しなければならないモノとなりますので、消費税課税事業者としては税抜価格で売価がどうであったかが重要となるのです。
消費税を分けてA,Bを見てみましょう。
A: 土地4000万円 建物5454.5万円 消費税545.5万円 → 税抜物件価格:9454.5万円
B: 土地8000万円 建物1818.2万円 消費税181.8万円 → 税抜物件価格:9818.2万円
このとおり、同じ1億円の物件であっても消費税抜でみれば、360万円以上売価が変わってくるのです。
そしてこれは、事業者の売上総利益(粗利)にそのまま直結するものです。
建物割合を低くし土地割合を高くすればするほど事業者側が儲かるという事です。
買主側の視点でみれば、買主が消費税非課税事業者であれば、消費税をそもそも計算しませんので、お金の出入りという点ではAでもBでも差はありません。
(投資パフォーマンスについては②で説明します)
反対に、買主が消費税課税事業者であれば、物件購入時の支払消費税とその他事業での売上に紐づく受取消費税の差額を最終的には消費税として納税する形となりますので、支払消費税が多いA(建物割合が大きい)の方が良いという事になります。
建物割合の大きいAの方が投資額でみると360万円安く購入出来ているということでもあります。
税抜価格を分母とすれば表面利回りは次の通りです。
A: 家賃収入750万円/物件価格9454.5万円 = 7.93%
B: 家賃収入750万円/物件価格9818.2万円 = 7.63%
このように、税込物件価格と家賃収入のみ着目すると、実は損していることがあるという事をご理解頂けると思います。
ぜひ物件を購入する時は、建物割合をチェックポイントとして見て頂けたらと思います。
次回は②の投資パフォーマンスの影響について解説します。
本日は以上です。
大和財託株式会社
藤原 正明
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