社長ブログ〜積小為大〜
投資シミュレーション① 新築区分マンション
毎度お世話になります。
大和財託の藤原です。
先週土曜日に、日本経済新聞社主催の不動産 投資・活用フォーラムで講師として45分間のセミナーを行いました。
70名の定員に250名以上のお申込みがあり、100名程度受講できるよう主催者側でご対応いただきました。
話の内容は、45分と短い時間でしたので、今盛り上がっている不動産投資ではあるけれど、やり方を間違うと資産形成どころか人生が狂ってしまいますよ!ということを話させていただきました。
もっと具体に言えば、初期設定(どの種類の物件にするか?、エリアは?、融資は?)でほぼすべての成果が決まるという話です。
先日、業界新聞である全国賃貸住宅新聞に以下の記事が載っていました。
内容は、比較的高年収のサラリーマンを対象に、不動産業者が自ら売主となって(中間省略)、アパートローンで有名な某金融機関とセットで、地方の築古物件を販売しているケースです。
首都圏では金利3.5%、関西圏などでは4.5%となります。
そして、物件表面利回りは9%以下というのが実態です。(ひどいと、築30年S造で表面利回り8%以下もあるようですが。。)
どう考えてもキャッシュフローが回るわけがないです。
私がこのブログで何度か紹介しているこういった取引による不動産投資が行き詰まり、自己破産・任意売却になっているケースが急増していることが、新聞でも取り上げられるようになったということです。
これも、まさに初期設定の誤りということです。
自ら不動産投資の勉強をしたうえで、信頼のできるパートナーを見つけ、正しい条件で物件を購入する。
これだけを忠実に守れば、不動産投資で失敗する可能性はかなり低減できるものです。
当社としては、今回のセミナーをはじめブログや書籍などの各種媒体を通じて有益な情報を発信してまいります。
さて、本題です。
前回からの続きで、「種類別投資シミュレーションの実例」についてです。
上記のセミナー時にお話した内容をブログでも紹介しようと思います。
一般投資家の方が取り組みやすい住居系不動産投資における各ジャンル別の投資シミュレーションを明らかにし、何に投資すればよいかを示したいと思います。
※最近はブームに乗り、無知な投資家の方が資産形成とは真逆の投資をするケースが増えているようですので。
住居系不動産投資を種類で分けると以下の通りになります。
1.新築区分マンション投資
2.中古区分マンション投資
3.新築1棟投資
4.中古1棟投資
今回は1についてです。
1.新築区分マンション投資
まずは、試算条件とその結果を示します。
これは、当社に投資相談に来られ、過去実際に新築区分マンションを購入された方から、物件情報を入手し当社の投資視点でシミュレーションをかけています。(3年前に購入されたようです)
投資の結論から申し上げれば、絶対やってはいけない投資となります。
【試算条件】
■構造:RC造
■築年数:新築(減価償却期間:47年、設備部分15年)
■購入金額:1,600万円(土地:80万円、建物:1520万円、うち設備20%)
■諸費用:64万円
■満室想定家賃:82万円(表面利回り:5.13%)*4年後7%下落、8年後7%下落(2ヶ月空室)
■運営費用:21.5万円
■借入金額:1,600万円 (自己資金:64万円…A)
■借入金利:1.975%
■借入期間:35年
■所得税・住民税率:43%
■保有期間:10年
■売却金額:1,000万円(利回:7.2%)
簡単に言えば自己資金64万円を投入し、10年間運用した結果、最終手残りがマイナス348万円となったということです。
投資として成り立っていません。
これは、そもそもの利回りが低すぎるのと、購入した瞬間に物件価格が2割以上下がり、それを取り戻すことができないからです。
新築区分マンション投資について少し解説します。
この投資はある意味古典的な投資です。
売り子であるフルコミッション不動産営業担当者が、リストをもとに電話をかけまくって販売する形態です。
購入見込み顧客リストは、リスト屋と呼ばれる業者から購入します。(リスト屋と検索すればいろいろ出てきます)
リストには医者リストや、上場企業勤務サラリーマンリストなど、様々なラインナップがあるようです。
このリストを頼りに、一日何百件と営業電話をして、少しでも興味を持った方に直接会いに行き、販売してきます。
私も一時上場企業グループ会社(三井不動産レジデンシャル)に勤務したこともあるためか、数ヶ月に一回は私にもこの類の電話がかかってきます。
営業トークは、「年収500万円以上だと節税が必要です」「節税に興味ありますか?」「将来の私的年金をいまから作りましょう」「マンションオーナーになりたくないですか」などとなります。
たしかに、購入初年度は購入諸経費などでお金が出るので、節税はできますし、保有期間中も固定資産を建物本体と建物付属設備に仕分けすることで減価償却を多く計上し、節税することはできます。
しかし、賃料下落及び、物件そもそもの資産価値の下落が大きく、以下に節税したとしても投資としてみた場合、投資の体をなしません。
そして、これが大きいのですが、この投資をする際には、個人信用力を利用した融資を利用します。
住宅ローンの考えに近く、本業の年収が融資金額を決定づけます。
住宅ローンの場合は、審査金利で借りたとしての返済比率が年収の35~40%という範囲内で融資金額が決まります。
対しこうした融資(アパートローン)の場合は、多くは年収の10倍が限度となります。
つまり、既存借入がない年収1000万円のサラリーマンの方で、融資の上限が1億円ということになり、新築区分マンションであれば5戸程度となります。
5戸新築区分を買い進めれば、それ以上の借り入れはほぼ不可能になります。
買い進めることができなくなるということで、リカバリーのしようがありません。
そして売るにも手出しを出さなければ、残債を抹消できなく、手持ち現預金がなければどうすることもできなくなります。
※貴重な融資の枠を、キャッシュフローがマイナスとなるような投資に使ってはだめだということです。自己資金が限られる方は、アパートローンでキャッシュフローを積み上げ、その自己資金で個人信用のみではなく、事業として総合的に審査し融資をしてくれるプロパー融資に切り替えることが重要となります。
これが新築区分マンション投資の実態です。
絶対にしてはいけない投資ということがご理解頂けたら幸いです。
(とはいえ、今だに上記の古典的な営業手法で 物件が売れている現状を考えると、日本人のファイナンシャルリテラシーの低さがそもそもの問題かもしれませんが)
次回は、中古区分マンション投資についてです。
本日は以上となります。
大和財託株式会社
藤原 正明
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