社長ブログ〜積小為大〜
やっぱり新築はやめたほうが良いです①
毎度お世話になります。
大和財託の藤原です。
3連休も終わり、当社では月内契約・決済案件の詰め作業をしております。
土日祝日は、金融機関はもちろん不動産業者も土日は休みのところが多いので、平日にいかに動けるかが大切となっています。
特に最近は物件価格が上がってきているのもあり、お客様の投資基準に合う物件情報を収集するのが私の業務の大部分を占めています。
そんな中、木造築浅物件の売却資料を見ていて、改めて思うことがありましたので、ご紹介いたします。
以前も同じようなことを書きましたが、「新築物件を買うことの危険性」についてです。
当社では、新築物件は一切取扱いしません。
なぜなら、ほぼお客様が損するからです。
※アパート建売業者さんからクレームが来そうですが。。
新築物件は2つのリスクを購入時から含んでいます。
1.家賃下落リスク
2.期待利回り(キャップレート)下落リスク
リスクと書きましたが、リスクではなく必ず起きます。
家賃下落リスクについては、新築時は高値で募集できても、5年も経てば家賃は必ず大幅に下がります。
期待利回り下落リスクについても、新築時の利回りと5年後の投資家が期待する利回りは同じではないので、当然に下がります。
(不動産バブルなどの特殊状況の場合は別です)
すると上記2つのことが同時におこり、物件市場価格は大幅に下がることになります。
一例を挙げてみます。
■新築時物件スペック
木造 総戸数10戸
年間家賃収入720万(@60,000円/戸・月)
物件価格:9000万円(土地、建物)、
購入諸費用400万、(仲手なし)
投資総額:9400万円
新築時表面利回り8%
最近は大阪市近郊であれば新築物件の利回りは7%台も多くなっています。
新築物件を購入するとき、融資付けは比較的容易です。
例えば○○○○○銀行であれば、木造でも金利1%台後半・期間30年で調達可能です。
新築を購入される方の多くは、中古物件にはないメリットを見出して、購入されているようです。
・融資が長期で組めてCFが回りやすい
・きれい (新築なので当然ですが)
・メンテナンス費用がかからない
では、5年後どのようになっているでしょうか。恐らく以下のようになっています。
年間家賃収入:600万円
売却想定利回り:8.5%
家賃については、多くの住戸で入居者が1度は出て、部屋によっては2回転目に入っていると思います。
新築時に60,000円取れていた家賃は、5年後には20%近くは下がりますので、一部屋50,000円でないと決まらなくなります。
「20%も下がる?」との声も聞こえてきそうですが、多くは新築時の成約家賃はプレミアムがついていますので、それがなくなると一気に家賃は下がります。
具体的には、不動産業者・建設会社が家賃を無理やり上げることをしているからです。(フリーレント、広告料)
家賃が上がれば、物件価格が上がり、業者がもうかります。
売却想定利回りについては、よほどの不動産バブルや立地が良いところでなければ、投資家が購入しようとする利回りは下がります。
新築時に8%であれば8.5%位でしょうか。
この状態では、満室想定ではCFは回るので、売却は考えないと思いますが、売却すると想定した場合の価格はどうなるでしょうか。
600万円 ÷ 8.5% =7050万円
9000万円で買った物件が、5年後には2000万円近く下落してしまいました。
とても大切なことですが、不動産投資をするときには、常に今売ったらいくらになるのか、残債を返済して手元にいくら残るかを考えることが重要になってきます。
含み益があるのか含み損なのかということです。
この考えがないと、売るに売れない塩漬け状態が続くことになります。
含み益がある状態であれば、例えば金利上昇をある程度察知できれば、物件を売却・残債を返済し、他の金融商品・あるいは全額キャッシュで不動産に再投資という選択が取れます。
しかし含み損の状態であれば、身動きが一切取れなくなるばかりか、最悪の場合デフォルトします。
このケースの場合、借入8,000万、金利2%、期間30年の融資で購入したとすると、5年後の残債は6960万円ですので、売却コストを考えると、手元に何も残りません。残るどころかマイナスです。
詳細の計算は割愛しますが、シミュレートしたところ、5年間の保有期間のCFは税引き後で450万程度となりますので、購入諸費用400万・売却諸費用250万を考慮すると、手残りは290万となります。
売却金額:7050万
保有期間CF: 450万
譲渡費用:▲250万
借入残高:▲ 6960万
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290万 ※当然ながら譲渡益税はかかりません
5年前に1400万円投じにもかかわらず、手元には290万円しか残らないのです。
上記のモデルは5年間で見ましたが、これは10年、20年で見ても同じ結果となります。
むしろ、長く持てば今度は大規模修繕などのコストが発生しますので、引くに引けない状況になります。
このように、一部例外はありますが、多くの場合、新築は損します。
前振りが長くなってしまいましたので次回に続きます。
次回は実際に売りに出されている物件概要書・レントロールから読み取れる新築物件の危うさを具体に見てみます。
本日は以上となります。
大和財託株式会社
藤原 正明