社長ブログ〜積小為大〜
不動産小口化商品の乱立と危険性
大和財託の藤原です。
お盆が過ぎ8月も月末に差し掛かりました。
少し前の夏季休暇にはマレーシアに1週間以上滞在しておりました。
これは私の子供がマレーシアに留学しているので久しぶりに会いに行くのと、海外不動産の視察、そして創業家の家族会議をする目的でした。
非常に有意義な時間を過ごせました。
一方で日本のガラパゴス化と経済力の下落を感じました。
ガラパゴス化というのは、コロナ対応においてで、未だに騒いでいるのは日本と中国くらいでマレーシアをはじめほかの国は日常に戻っていますし、全く理解不能な入国制限のルールを敷いていません。
経済力の下落については、円安局面というのもありますが、マレーシアの経済成長と賃金・物価の上昇をひしひしと感じることができました。
日本は人口が1億2000万人以上いるので経済力第3位の国でありますが、一人当たりの経済的豊かさは実感としてマレーシア国民に負けています。
私にできることは限られますが、少しでも社会に貢献し日本の国力増加に寄与していきたいと思いました。
本題です。
不動産小口化商品の乱立とその危険性
についてです。
当社は&FUNDというブランドでサービス提供していますが、この数年で不動産小口化商品・不動産投資クラウドファンディングと呼ばれる投資商品が乱立してきました。
これは多くの人が資産運用の重要性を感じていることが背景にあります。
従来の少額から不動産投資ができるものには、Jリートがありました。
資産の裏付けが現物不動産であること、一般株式と比べれば比較的高配当であることが特徴です。
しかし上場しているため、毎日値動きがあり、仮に年利3%の配当がもらえたとしてもリート価格が3%下落したら、投資パフォーマンスとしては行って来いの状態となり投資になりません。
もちろん反対に値上がり期待もあるので、一定のリスクをとれる人には選択肢となり得ると思います。
一方で、そういったリスクは取りたくないけど、定期預金などでは大した運用は出来ない、といった層の方々にとって不動産小口化商品はニーズとしてマッチしています。
Jリートと異なり上場していないため年一回の対象物件の評価によって決まるので価格の変動が穏やかなこと、一定以上の利回りが期待できること、などが特徴です。
商品組成のスキームや関連法規にはいくつか種類があるのですが、現在一番多いのは、不動産特定共同事業法の匿名組合型の商品です。
(当社の&FUNDもこのタイプです)
これは出資金により対象不動産を購入するのですが、所有権はあくまで事業者にあり、投資する人は対象不動産から発生する賃貸収益や商品によっては売却収益を得る権利を買っている、ということを意味します。
※厳密に言えば、事業者と投資家間で匿名組合契約型の不動産特定共同事業契約を締結し、投資家は事業者が保有する収益不動産に出資し出資額に応じて配当金を受け取ります。
不動産クラウドファンディングなどのテックブーム?みたいなのが不動産業界の中であり、たくさんの業者がこの領域に参入してきています。
多くの事業者が参入することで競争原理が働き、投資家の方にとって良い商品が出てくるようになれば良いことなのですが、実態を見ると結構な割合で微妙なものも散見されます。
以下に微妙な商品の特徴をまとめておきましょう。
・対象物件が地方のもの
・対象物件が住居系や事務所などではなく運営系アセット(ホテル、民泊、工場など)のもの
・利回り計算において対象不動産の売却想定利益を入れて高く見せている
・利回りが高い(6%以上)
これに当てはまるものはよく注意して検討することを強くお勧めします。
あくまで藤原個人の見立てですが、上記のような商品を提供する目的は大きく二つあります。
①マーケティング
不動産小口化商品の良さは敷居の低さですので、まずは少額で不動産投資に触れてもらい、そこで顧客情報を得てリスト化するためのマーケティング目的の事業者は多い気がしています。
顧客リストが出来れば、例えば新築or中古のワンルームマンションの営業が展開できます。
②ポンジスキーム、タコ配
対象不動産では投資家に約束した想定リターンを返せないために、新たに投資を募り集まったお金を以前に組成した商品の配当に充てているパターンで、事業者側の狙いは…ここでは書けません。
以上のように、この数年で不動産小口化商品、特に不動産特定共同事業法を活用した商品サービスがたくさん出てきました。
しかし、すべての商品が安全であるかといえば、藤原視点ではそうとは言えないように思います。
ぜひよく商品を吟味して投資していただけたらと切に願います。
数年後に大きな社会問題になる可能性があることを予告しておきます。
本日は以上です。
大和財託株式会社
藤原 正明