社長ブログ〜積小為大〜
【注意!】新築物件の表面利回りの嘘に注意すること
毎度お世話になります。
大和財託の藤原です。
春の兆しが日に日に感じられるようになってきました。
この時期は東北出身者として、平成23年3月11日に発生した東日本大震災を思い出します。
私はちょうどその日は、勤めていた大企業を辞め独立に向けて動き出そうとして、一度実家の岩手に帰る前日でした。
そして地震が発生しました。
公共交通も高速道路もすべて止まったため、車で一般道を一日かけ実家についたことを今でも憶えています。
私の親族で亡くなった方はいませんでしたが、この震災で18000人以上の方が亡くなられ、また今も行方が分かっていません。
生かされた者としてできることは、精一杯生きることだと思い、第二の故郷である大阪でこうして事業活動をして今に至っています。
今でも地元は応援していて、先日は高校時代の友人が東北を盛り上げるために、地元で総合格闘技団体をやっており、小さいながらも協賛いたしました。
※高校生時代、私は極真カラテの世界チャンピオンを夢見て空手漬けの生活を、その親友はボクシングをやっており、二人で熱く格闘技談義をしていました
その他、寄付なども行っています。(これは個人的にです)
私が事業をやるのは、自分のお金のためではなく、一言でいえば社会に貢献するためです。
今後も、事業活動を通じて、社会のために少しでもお役に立てるよう、頑張ってまいります。
さて、本題です。
前々回にご紹介していた、新築物件で謳われている利回りには嘘が潜んでいる可能性があるという話でした。
前回の記事はこちら
新築物件のなかには、物件概要書に大きく書かれている表面利回りが本来利回り計算でいれるべき数字を除いた全く意味のない数字がかかれており、それに騙されている方がかなり多いと思います。
本日は、融資条件を含めて、投資として成り立っているかの検証をしてみたいと思います。
以下は、表面利回り7.46%と謳われている物件の概要です。(これは実例です)
■総事業費
土地価格:3500万円
建築費:3600万円(税抜)
建築費消費税額:267万円
事業費合計:7367万円
外構・地盤工事:200万円
諸経費:950万円
総事業費用:8517万円
■満室想定家賃:530万円
■ランニングコスト:90万円
この物件概要書に書かれている表面利回り7.46%というのは、「消費税および諸経費を控除した金額」で満室想定家賃を除した時に算出される利回りのことで、全く意味のない子供だましの数字というのが実態でした。
530万円/(3500+3600)=7.46%
これは全く投資の実態を表していません。
世に出回っている新築1棟アパート・マンションには、上記のような顧客をだまして売り出そうとしているのが見え見えの物件が散見されます。
※これは地方の地場業者の話ではなく、大手も含めてそういう会社が散見されます。
実際の利回りというのは、満室想定家賃から想定されるあらゆるコスト・損失を引いた純収益NOIを総投資金額で除した時に算出される純利回りFCRで表さなければなりません。
もちろん、この時の総投資金額には、建物消費税や外構・地盤工事費用、諸経費もすべて入れます。
とするとFCRは
NOI=530-90=440万円
FCR=NOI/総投資額
=440/(8517)
=5.17% ※ただし空室損失を考慮せず
では、実際の融資条件を当てはめて、投資としてどうか検証しています。
融資条件は以下の通りとなっていました。
自己資金:1,217万円
借入金額:7,300万円
借入金利:3%
借入期間:35年
年間返済額:337万円
(ローン定数K=337万円/7300万円=4.62%)
この時の税引き前キャッシュフローは以下の通りとなります。
税引前キャッシュフロー
=NOI-ローン返済
=440-337
=103万円
思ったより出てると感じる方もいると思います。
しかし上記のキャッシュフローの半分以上は、あくまでの自己資金投下部分から生み出されているキャッシュフローです。
このパフォーマンスであれば、キャッシュフロー目的で投資をするならば、あえて不動産投資をする必要はなく、他の投資(外貨建て投信・保険)で自己資金分を運用したほうが良いということです。
不動産投資におけるキャッシュフローを分解すると、自己資金(エクイティ)部分から出るキャッシュフローと、借入金部分から出るキャッシュフローに分けられます。
自己資金からのキャッシュフロー
=自己資金×純利回りFCR
=1217万円×5.17%
=63万円
借入金からのキャッシュフロー
=借入金×イールドギャップ
=7300万円×(5.17% - 4.62%)
=7300万円×0.56%
=40万円
※純利回りFCR - ローン定数K
合計は63+40=103万円となります。
レバレッジをあまり効かせない、あるいは逆レバレッジの投資も相続税対策とか、本業の多額の収益を挙げられている方にとっては、全くダメではありませんが、安定収入源の確保、特別の資産を持たない方が資産を形成するには、やはり一定水準以上のレバレッジを効かせて、自己資金に対する投資利回りを上げることが必須です。
(私的には、イールドギャップ1.5%はないと話になりません)
上記新築物件は、新築プレミアムの賃料が高い状態でイールドギャップがわずか0.56%ですから、今後の賃料下落に耐えられません。
やはり言えるのは、初期設定の段階、つまり物件購入時に表面利回りがよいとかというイメージではなく、きちんとNOIとFCRを出して、そのうえで適切なファイナンスを選び、適切なイールドギャップを取れるようにしたうえで投資をする、これ以外、失敗を避ける方法はないということです。
(相続税対策とか、本業で多額の収益を上げられている方の場合はこの限りではありません。)
ちょっと辛口の内容になりましたが、今回ご紹介したような、嘘の表面利回りをそのまま信じて投資をされている方が、最近非常に多いので、警鐘を鳴らす意味で書かせていただきました。
※これは上場企業の物件でも起こりえますので、良く物件概要書を見てください。私がこういう情報を発信することで、少しでも被害に遭う人が少なくなったらと、切に願っています。
本日は以上となります。
大和財託株式会社
藤原 正明
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