社長ブログ〜積小為大〜
家賃保証物件には注意する パート2
毎度お世話になります。
大和財託の藤原です。
新年度ムードも徐々に落ち着いてきました。
賃貸繁忙期は一般的には3月までといわれますが、最近の傾向として、五月の連休前までは賃貸は良く動きます。
実際当社の賃貸問い合わせ数も2-3月と何ら変わりなく電話がある状況です。
今年の関西・京阪神間の状況でいえば4月に入ってからは低価格帯(共込家賃4.5万円以下)の単身物件の問い合わせが急増しています。
(これは、1契約単価が高いファミリー物件ニーズが一巡したことが大きい)
賃貸仲介営業マンとしては、繁忙期はファミリーも良く動くため1契約単価も高く取れるのですが、4月以降は単身者物件かつ広告料が一定以上出て決めやすい、1契約単価10万円以上の物件を好んで付けます。
いくらネット化が進んでも、リアル仲介店舗は無くなることは当面はないと考えております。
とすれば、新居検討者との商談の際に、テーブルにマイソクが乗るかどうかが重要というわけです。
最近は管理と仲介店舗の分離も進みつつありますが、遠隔地の管理会社が地場仲介店舗にどこまで管理物件を訴求できるかは、私自身は正直疑問です。
レインズ、FAXDM、電話フォローくらいでは、訴求力は足りなく、やはり頻繁に会って人間関係を構築していくのが最終的には強いと思っております。
(ほんと、この業界は賃貸・売買ともに人間関係がものを言います。)
当社では相変わらず泥臭い営業もしつつ、様々なマーケティングを駆使し空室情報をくまなく流通させることが出来ていると思います。
しかし、まだまだ改善点はたくさんありますので、さらにバージョンアップさせてお客様に安心して賃貸経営を頂けるよう努めてまいります。
さて、本題です。
前回の続きとなります。
「家賃保証物件には気を付ける パート2」です。
前回の記事はこちら
土地活用として地主へアパート建築を提案する際に地主への背中押しとして良く活用される「一括借上げ・家賃保証」ですが、不動産投資時に取引される一般物件でもこの条件が付いているケースがあり、よく注意して購入する必要があるという話でした。
最近ある方からお聞きした事例を皆さんに共有します。(かなりぼかして書きます)
Aさんは年収1000万円の上場企業のサラリーマンです。
まだ幼いお子様の将来のために、今のうちから資産形成・不労所得を得よう、不動産投資を検討されていました。
インターネットや書籍、セミナーなどで勉強され、どういった投資が良いのか悩まれていました。
「新築は修繕リスクはないが、利回りが低いなぁ」
「中古は利回りは高いが、修繕・将来入居者募集にリスクを感じるなぁ」
といった具合に、それぞれの投資対象にメリットデメリットを感じられていました。
また、Aさんはお子様の教育費などにお金がかかり、投資に回せる自己資金が300万円程度と、不動産投資を始める上では決して自己資金は多い状況ではなかったのも悩みとなっていました。
そういった中、ある不動産会社主催のセミナーに参加されました。
そのセミナーは不動産会社とアパートローンで有名な金融機関の共同セミナーということで、融資について色々聞きたいという目的で参加されました。
セミナーの後には個別相談会があり、そこで金融機関の方と不動産会社の方同席のもと今のAさんの状態で融資が付くかどうか、新築が良いのか中古が良いのかなどの相談をされました。
そしてその相談会で、自己資金ゼロ、オーバーローン、引渡後大規模修繕済みという条件で、関西圏某所の昭和60年築、S造、単身1R(3点ユニット)の物件を提案されました。
現況は入居率60%程度で、引渡し後2年間は空室部分を家賃保証するという条件も付いていました。満室想定利回りは9%でした。(実質利回り7%)
Aさんは、大規模修繕を行ってくれるということ、自己資金ゼロで購入可能ということ、満室家賃が初めから入ってくるという安心感から、物件購入を決めました。
物件引渡し後、2年もあれば空室も決まるだろうと考えていましたが、毎月の送金明細を見てもずっと「家賃保証」と記載があり、空室が決まらない状況が続きました。
引渡し後1年10か月を過ぎた段階でも入居状況は70%の状態でさすがに不安に思い、購入した不動産会社に問い合わせるも、あやふやな答えが返ってくるだけで、空室を埋める施策やアドバイスは特別ありませんでした。
結果、引渡し後2年を過ぎて家賃保証が切れ、一気にキャッシュフローが厳しくなりました。厳しくなっというよりは、毎月が逆ザヤです。
入居率70%とすれば、現況ネット利回りが4.9%となりますが、本物件購入時の融資条件(金利4.5%、期間30年)ではローン定数が6.08%となります。
全額借入ですので、キャッシュフローは率で表すと、4.9-6.08=-1.18%となり、毎月マイナスです。
物件金額が1億円程度でしたので、何とかサラリー部分から支払いが出来ていますが、持ちこたえ続けるのはかなり厳しい状況となってしまい、売却することになりました。
しかし、そもそも入居付けが厳しい物件ですので、なかなか買い手も見つかるはずもなく、今でも売却活動を続けている状態です。
(特にこの金融機関は自行の抵当権が入っている物件には融資をつけないため、次の買主はこの金融機関をつかえないため、より状況を厳しくしています)
以上が最近見聞きした話です。
そして、こういった予備軍はかなり多いと思います。
「自己資金ゼロ」「オーバーローン」そして「家賃保証」というワードには少し身構える必要があると思います。
もちろん、物件によっては上記ワードが踊ったとしても良い物件はあると思います。
その見極め方法とは?
前回の記事の通り、客付けがちゃんとできるか、今後少なくても10年の需給バランスがどうか、を確認するしかないです。
しっかりと物件と賃貸マーケット感を見極める力が投資家には必要だと思います。
本日は以上となります。
大和財託株式会社
藤原 正明
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