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社長ブログ〜積小為大〜

【更新料】関西圏独特の不動産商習慣・事情6

2014.03.29

毎度お世話になります。
大和財託の藤原です。

春ですね、大阪にも桜が咲きました。

当社が入っている大阪駅前第一ビルの道路沿いには桜があるのですが、三分咲程度でしたので、来週には満開になりそうです。

何とか時間を作り、花見が出来たらと思っていますが、年度末決済や賃貸繁忙期も重なっていますので、せめて中之島界隈の夜桜が見れれば良しとします。

さて、前回は休みましたがシリーズものの続きです。

前々回の記事はこちら

関西圏独特の不動産商習慣・事情

⑥更新料

更新料とは、賃貸借契約の期間が満了した後、更新契約を締結する際に借主から貸主に支払われる金員の事です。

更新料の商習慣は関東圏では一般的で、通常更新料1か月程度が多いと思います。
(一部の人気エリアや築浅物件はその限りではないです)

私が埼玉で修行していた時には、埼玉県内は1か月、栃木県宇都宮市では15,000円の更新料が一般的な相場となっていました。

一方、関西圏では京都府を除き、更新料徴収の習慣はありません。

また、最近の傾向としては、京都府についても更新料なしとして賃貸募集をかけるケースも多く見られるようになりました。

平成23年に最高裁にて更新料特約は条件付で有効との判決がでたものの、無用なトラブルを避けるため、また入居者獲得競争において、敷金礼金ゼロ、いわゆるゼロゼロ物件よりもさらに条件譲歩として更新料をゼロとする傾向は京都でも増えています

以上から、関西圏での不動産投資は更新料の点でいえば魅力がないものになるのでしょうか。

実務的な観点で見ると、私はそうとも言い切れないと考えています。

理由は2つあります。

1つ目は、そもそも不動産投資をする際に更新料を収入として収支計算する投資家がどれほどいるかということです。

通常の賃貸借契約期間は2年間が多く、更新契約時期が到来しなければ得ることができない収入をあてにするのは、正しい収支判断が出来ません。

当社がお客様にCFシミュレーションを提示する際も、当然に更新料は収入に入れませんし、売主(売主側仲介)が更新料を含めて年間収入を算出していても、別途レントロールを作り直し、正味賃料のみで利回り計算しています。

2つ目の理由は、更新料があると賃料交渉および退去理由につながりやすいということがあります。

関東圏で2年間プロパティマネージャーをしていた際には、更新時期が近づくと退去連絡が入る可能性が高い印象でした。

退去理由を聞くと、更新を機に新しい住まいに移りたいとか、更新料を払いたくないとの声が挙がります。

また、更新契約の案内を出した途端、賃料交渉をしてくる入居者がかなりの割合で出ていました。

最近はネットで自分の住まいの物件の募集賃料を調べ、同じ家賃にしてほしいと要求してきます。

最終はオーナー様の判断となりますが、退去後のコスト(原状回復費用、募集費用)を考えると、ある程度は減賃交渉に応じるケースが多数です。

一方関西ではどうでしょうか。

当社もそうですが、多くの賃貸借契約書には契約は自動更新としています。

さらに当社では更新契約書も特別取り交わさない旨の内容にしています。

入居条件として保証会社加入を必須にはしていますので、保証会社への更新料については保証会社が入居者へ案内をだしますが、賃貸借契約に関しては管理会社が更新の案内を出すことはありません。

(更新契約を取り交わす場合のあります)

とすると、契約条件について入居者には管理会社と交渉する機会がないことになります。

これは、契約が自動更新のために更新しているという意識が希薄ということが理由と考えています。
当社の管理物件でも、一応の更新日を到来している住戸が月に何戸もでてきますが、当社および入居者双方、特別何もアクションを起こしません。

よって、長く入居していただいている方は新規募集する相場賃料より高い家賃を払い続けていただくことが出来ています。

私の保有物件も、8年前から住んでいただいている方が一回の賃料交渉なく済み続けていただいています。

収益物件において賃料を維持することは、資産価値を維持することと同じ意味を成します。

計算を単純化するために表面利回りを用いますが、表面利回り相場が10%のエリアで、賃料を1000円下げる行為は、年間12,000円の賃料ダウン、つまり12,000円÷表面利回り10%=120,000円の資産価値下落ということと同じです。

更新料を取れるのが得なのか、賃料を維持しやすいほうが得なのか、その良し悪しは投資家の判断となりますが、どちらが得かとは言い切れないということをご理解いただければ幸いです。

本日は以上となります。

大和財託株式会社
藤原 正明

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