社長ブログ〜積小為大〜
2020年 金融機関の動き①
毎度お世話になります。
大和財託の藤原です。
寒さ本番となり、周りでは風邪をひいたり体調を崩したりする人がちらほら出ています。
〇〇は風邪をひかない、とは言ったものですが、私自身は基本的に風邪をひくことはないです。
体調が少し悪くなるのが数年に1回あるか無いかという状態です。
丈夫に生んでくれた両親に感謝なのですが、実は日々の習慣によるところも大きいと考えています。
風邪対策の基本である、うがい・手洗いに関しては徹底して行っているのと、歯磨き・舌磨きの徹底もどうやら風邪対策には有効の様子。
(食後の歯磨きは出先であっても基本欠かしません)
そのほか、目・鼻・口に手を触れないこととか(特に外出し電車乗った時)、睡眠時間を一定以上確保するとか、世に知れ渡っている対策を一通り習慣化しておこなっています。
体調管理まで含めて仕事であると考えており、プロフェッショナルとしては当然のことです。
(体調をよく崩すビジネスパーソンを私は信用できません)
常に一定以上の体調を維持し、頭をクリアにして経営しなければ、お客様に良い仕事を提供出来ないし、ひいては会社も成長できません。
とはいえ、これから風邪やインフルエンザの流行ピークになるので管理を徹底し好体調を維持し良い仕事を行ってまいります。
さて本題です。
「2020年金融機関の動き」についてです。
年末年始の2か月程度で数十の金融機関担当者・支店長と情報交換しました。
※金融機関の方々は年末のあいさつ回りが12月上旬から始まり、そして年明け早々から今度は新年のあいさつ回りが商習慣として残っていますので、金融機関によっては2回会います。
個人的にはどちらか1回でよいなとは思っていますが。
一昨年から不動産・建築および金融機関での諸問題により、収益不動産向け融資がそれまでのイケイケドンドンから一転、一斉に厳格化の流れとなったのはご周知のとおりです。
正確に言えば、厳格化というより金融機関本来の融資姿勢に戻ったというのが実態です。
今では、市中金融機関においては自己資金を一定以上を求められますし、1棟物件向けアパートローン全盛の時のような融資を会社員の方は受けられません。
では令和2年はどういう傾向になるのでしょうか。
年末年始での情報交換と私見を交えて展望を見ていきます。
いくつかのトピックスに絡めて書いていきます。
■金融検査マニュアル廃止
昨年12月に金融検査マニュアルが廃止となりました。
これは、監督官庁が金融機関の経営状況を検査する際のルールであり、バブル崩壊後の不良債権処理のために監督官庁がルールを作り、金融機関に守らせることで金融機関の経営を健全化することを目的に作られたものでしたが、不良債権処理は完了していること、このマニュアルが時代に合わなくなってきたことを踏まえ、廃止となりました。
この検査マニュアルは、融資先企業の債務者区分により貸倒引当金を計上することを求めており、債務者評価で債務者区分が悪い企業・個人に対しては融資を積極的にはしない、ということになります。
ここで問題だったのは、財務内容がよくはないが将来性のある会社・個人であっても、定量的で杓子定規な債務者区分のルールでは債務者評価が悪くなり、結果、融資が出ないということが往々にして発生したという点です。
金融機関の経営環境がどんどん悪化する中で、従来の検査マニュアルに基づく融資方法では守りの融資に徹することになります。
ということで、このマニュアルを廃止し、今後は事業性を評価して融資を出してくださいということになったということです。
もっといえば、検査マニュアル自体が各金融機関の独自性を失わせた側面もあったため、廃止することで、独自性を持ち資金ニーズを創造して融資を出していくよう促しているとも言えます。
さて、この金融検査マニュアルが廃止されたことにより、収益不動産向け融資はどのようになっていくのでしょうか。
各金融機関へのヒアリングベースの話では、まず1-3月に関しては年度途中でもありますので、特別の動きはなさそうです。
新年度の4月以降に向けて仕組みを整えていくようだ、という声が多かったように思います。
今より融資姿勢が悪くなるということはなさそうな雰囲気はありました。(こればかりは確実な話としていいきれませんが)
いずれにしましても、4月以降の動向には注視していく必要がありそうです。
一昨年からの融資厳格化の流れがずっと続くとは思えなく、どこかが独自性を持った融資を出してくることを期待しています。
※歴史は繰り返します。現に、現在は1棟向けではなくサラリーマン向けの区分マンション物件への融資が活況です。
これは、給与により保全が取れているという建付ですが、収支トントンかマイナスの貸出先がほとんどであり、現場ベースではそういう物件を購入した方は儲からないと感じてますし、そのうち返済もままならなくなるケースが数年後には起こってくることを予想しておきます。
融資先は変われど、結局は不動産に頼らざるを得ない面が金融機関にはあると思います。
■築古物件への融資姿勢
年末年始に多数の金融機関関係者と面会した中で、いくつか出てきたのが、「築古物件への融資消極化」の話です。
メガバンク・地方銀行では以前から法定耐用年数内での融資が原則でしたが、信用金庫・信用組合などでは比較的自由な期間で融資を出していました。
昨年、関東の某信用金庫で不祥事がありました。
一番大きいのは反社関連取引でしたが、その不祥事に合わせる形で法定耐用年数を超えて融資することが「悪」のような報道がされました。
こういった流れを受けて、他の信用金庫・信用組合においても、築古物件へ法定耐用年数を超えて融資を出すことが止まってしまいました。
これは、金融機関あるあるの横並び意識の話ではなく、監督官庁から法定耐用年数を超えての融資あるいは旧耐震基準物件への融資は辞めるようにとのお達しがあったということを複数聞いています。
よって、以前は築古物件へ融資を出していたがこの1,2年の間で融資を出さなくなった金融機関においては、今後においても融資を出してくる可能性はかなり低いと言わざるを得ません。
とはいえ、まだ築古物件・旧耐震物件に融資を出す金融機関は数は少ないけれどありますので、利回りが良かったり、土地値が付く物件などでは投資対象としては成り立ちます。
本件に関しては、ちょっと私見を述べます。
現在国全体の方針として、従来の新築信仰ではなく、中古物件を流通させ、社会インフラを有効に活用していこうというのがコンセンサスです。
中古物件が流通するためには、必ず融資がセットとなります。融資が出なければ不動産は動きません。
自宅用として中古物件を購入する場合は、住宅ローンを使いますが、住宅ローンの場合は法定耐用年数を超えて35年融資が普通に行われています。
一方、上記の通り中古の1棟賃貸物件の場合は融資が出にくい状況です。
よく考えていただきたいのですが、都市部においては約半分近くの方が、賃貸住宅に住んでいる状況下で、自宅用中古不動産の流通を促すような融資だけではほんらいの目的を達成できません。
築年数が経過した1棟賃貸物件が流通することで、新たな所有者によって再投資され優良な中古の賃貸住宅が増えていくと思います。
今の1棟賃貸物件(つまり収益物件)への融資期間が法定耐用年数内でというのは、流通が促進されるはずがありません。
金融行政と不動産行政は所轄官庁が異なるのですが、国としてどうするかを明確にして、その内容に基づいた方法を民間におろして欲しいものです。
旧耐震基準の建物への融資については、耐震性が担保されているか・安全面は大丈夫か、という点で、融資を出し流通させるのはどうかという議論もあるようですが、これについてもあいまいな方針になっていると感じます。
仮に融資が出ず流通しなくても不動産としては存在しているわけですので、安全面で問題であれば、容易に立ち退きが出来るようにして再建築・再開発が出来るようにするべきです。
街は立地の良いところから開発され建物が建っていきましたので、立地の良いところには築古の物件が多数存在しているわけで、その築古物件が有効活用されず、あるいは再開発・再建築されないのはもったいないと感じます。
流通もしにくく、かといって立ち退き・再開発にも長い年月がかかったりと、どっちやねん!というのが、日々不動産・建築の実務をやっている身としては思うところであります。
以上が私見でした。
次回に続きます。
大和財託株式会社
藤原 正明
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