土地活用とは、所有している土地を有効利用することです。土地活用を成功させるには、本格的に始める前に成功例を確認しておく必要があります。この記事では、土地活用の成功例を7つ紹介します。失敗例や成功のポイントについても触れるので、ぜひ役立ててください。
目次
土地活用の成功例7選
土地活用の成功例としては、さまざまなものがあります。ここでは、具体的にどのような成功例があるか見てみましょう。
成功例1:賃貸経営(一棟アパート・マンション)
賃貸経営(一棟アパート・マンション)は、土地に建てた一棟アパートなどの入居者を募り、家賃収入を得る方法です。入居者が決まれば、長期にわたって安定的に家賃収入を得られます。
賃貸経営(一棟アパート・マンション)の成功例では、事前に徹底的な試算が行われている場合がほとんどです。まず、市場調査を実施し、周辺で競合となる一棟アパートなどの入居状況や家賃を把握する必要があります。その結果をもとにして、収益について具体的なシミュレーションを行いましょう。ここでは単に家賃収入を計算するだけでなく、将来の大規模修繕のための費用や減価償却費なども考慮してください。
賃貸経営(一棟アパート・マンション)は中長期的に取り組む必要があり、最初に行った試算が今後の指針になります。
なお、賃貸経営(一棟アパート・マンション)の成功率を高めるには、空室対策も重要です。まずは最寄り駅の物件に対する需要を考慮し、それに適した間取りにする必要があります。
また、そのうえで入居付けが得意な管理会社を見極めなければなりません。時代に合わせた柔軟な方法で入居者を募集している管理会社は意外と少ないため、具体的な募集方法を確認したうえで契約するのがポイントです。
成功例2:駐車場経営
駐車場経営は、土地を駐車場として貸す方法です。駐車場は、月極駐車場とコインパーキングの2つに大別できます。月極駐車場は、特定の契約者に1ヶ月単位で駐車場を貸す方法です。一度契約を結べば、毎月安定的に収入を得られます。それに対してコインパーキングは、不特定多数の利用者に時間単位で駐車場を貸す方法です。料金設定によっては、効率的に収入を増やせる可能性があります。
駐車場経営を成功させるポイントは、月極駐車場とコインパーキングのどちらにするか正しく見極めることです。立地によって適切な事業形態は異なります。
月極駐車場が向いているのは、駐車場のニーズが継続的に見込める場所です。具体的には、飲食店が近い場所、住宅街、オフィス街などが当てはまります。一方、コインパーキングが向いているのは、突発的に駐車場が必要になる場所です。たとえば、駅前、商業施設の周辺、観光地などが該当します。
ただし、建物を取り壊して駐車場経営を始める場合は注意しなければなりません。住宅が建っている土地は、住宅用地の軽減措置の適用により固定資産税が通常よりも安くなっています。駐車場にするために住宅を取り壊すと住宅用地の軽減措置は受けられなくなり、土地の固定資産税がそれまでより高くなります。その点も考慮したうえで、収益のシミュレーションを行いましょう。
成功例3:戸建賃貸経営
戸建賃貸経営は、戸建住宅を丸ごと貸し出す方法です。戸建住宅は、1つの建物から得られる家賃収入がアパートやマンションなどの集合住宅と比較すると少なくなります。しかし、戸建住宅は入居期間が集合住宅よりも長期にわたるケースが多く、一度入居者が決まると安定的な収入を期待できます。
戸建賃貸経営を成功させるには、一戸建ての住宅に対するニーズを正確に理解することが重要です。一般的に、戸建住宅は、集合住宅よりも家賃が高めに設定されています。戸建住宅を選ぶ人は戸建住宅でなければならない理由があるため、家賃が高くても戸建住宅を選びます。たとえば、ペットや子どものために広いスペースを確保したい人もいるでしょう。また、騒音による周辺への影響を考えて戸建住宅を希望する人もいます。
戸建住宅の入居者を募集する際は、そのようなニーズを考慮したうえで物件の魅力をアピールすることが大切です。なるべく家賃を抑えたいと思っている人や一人暮らしの人は戸建住宅を求めていない可能性が高いため、ターゲットにしないように注意しましょう。
成功例4:太陽光発電
太陽光発電は、土地に太陽光発電の設備を設置して電気を作り、電力会社に売却して利益を得る方法です。ある程度以上の広さがある土地なら、立地に関係なく収入を得られます。他の土地活用の方法とは異なり、空室リスクは発生しません。
太陽光発電による土地活用を成功させるには、あらかじめ利回りのシミュレーションをしっかり行う必要があります。太陽光発電によって生産された電気の買取価格は、年を追うごとに下がっているためです。ただし、太陽光発電の設備の価格は以前より安くなり、発電効率が向上しました。そのような状況を踏まえ、しっかり利益が出るか確認しましょう。
また、太陽光発電に取り組むうえでは、定期的なメンテナンスも欠かせません。点検を怠って設備が故障した場合、突発的に高額な故障修繕費がかかる恐れがあります。定期的なメンテナンスにより早い段階で不具合に対応できれば、高額な故障修繕費を発生させずに済むでしょう。その結果、太陽光発電にかかる支出を低く抑えやすくなります。
成功例5:高齢者向け施設経営
高齢者向け施設経営は、老人ホームをはじめとする高齢者向けの施設を建てて運営する方法です。高齢化社会となっている日本では、今後ますます高齢者向け施設に対するニーズを期待できます。専用の設備の導入には費用がかかりますが、補助金も活用できるため挑戦しやすくなっています。
高齢者向け施設経営において重要なのは、最適なパートナー会社を選ぶことです。高齢者向け施設経営を成功させるためには、さまざまな知識やスキルが必要になります。単に物件を貸し出すだけでなく、高齢者向けの事業を実際に営む必要があるからです。高齢者向けの事業について専門的なノウハウをもつパートナー会社と協力すれば、経営を成功させやすくなります。過去の実績だけでなく、信用できるかどうかを詳しくチェックしたうえで契約を結ばなければなりません。
状況によっては、介護報酬の引き下げを理由としてパートナー会社から賃料の減額を要求されるパターンもあります。事前にその可能性も考慮したうえで、高齢者向け施設経営に着手する必要があります。
成功例6:トランクルーム経営
トランクルーム経営は、契約者に倉庫を貸し出して利用料を得る方法です。トランクルームの契約者は長期間継続して利用し続ける傾向があり、安定的に収入を得られます。
トランクルーム経営を成功させる方法は、大きく分けて2つあります。1つ目は、自分でトランクルームを設置して業者に管理を任せる方法です。利用者が増えるほど、収入がアップします。2つ目は、業者に土地を貸し出してトランクルームの設置や管理を依頼する方法です。この場合、トランクルームを設置する費用はかかりません。また、毎月一定の収入を確保できます。
ただし、トランクルーム経営の成功例としては、規制が強化される前の取り組みがあげられる場合もあります。以前は、輸送用コンテナを設置するだけでトランクルーム経営ができました。現在では国土交通省による仮設建築物の監視が強化されており、しっかり基準に則ってトランクルーム経営を行う必要があります。土地によってはトランクルームを建築するための条件をクリアできない可能性もあるため、注意しましょう。
成功例7:借地契約
借地契約は、土地を貸し出して収入を得る方法です。土地を貸し出す相手は、事業を行っている企業である場合が多いです。具体的には、ビジネスホテル、ジム、コンビニなどを経営するために借地契約が行われます。
土地の価格が高い時期に更地価格の6%程度の金額を受領できれば、土地活用が成功していると言えるでしょう。定期借地契約なら一定の契約期間が約束され、満了後は原状回復したうえで土地が返還されることになっています。
ただし、定期借地契約は契約期間が長いため、土地を貸し出した企業が倒産するリスクもあります。企業が倒産すれば地代を回収できないだけでなく、原状回復もしてもらえない恐れがあるでしょう。最悪の場合、自分で費用を負担して建物を解体しなければなりません。そのような事態を防ぐには、契約前に相手の企業の信用度合をくわしく調べる必要があります。信用度合を考慮し、契約期間を慎重に吟味してください。
土地活用の失敗例も確認しよう
土地活用の結果、失敗してしまうケースもあります。ここでは、土地活用の失敗例を紹介します。
失敗例1:収支シミュレーションがあまかった
事前に収支のシミュレーションをきちんと行わなかったせいで、土地活用を始めてから行き詰まるケースがあります。
土地活用をするには初期費用や修繕費用などがかかるため、具体的に何にいくらかかるか細かく把握しておかなければなりません。また、土地活用における賃料や利用料も適切に設定する必要があります。収支シミュレーションを徹底的に行えば、土地活用を始めた後も利益を出しやすくなるでしょう。
失敗例2:目的が節税だけだった
なかには、節税のために土地活用を始める人もいます。土地活用にはたしかに節税の効果も期待できますが、それ以外にさまざまなリスクも存在することを理解しておかなければなりません。節税だけを意識して土地活用に取り組んだ結果、赤字が続くパターンも少なくないです。
節税を目的として土地活用に取り組むとしても、その土地の収益性をよく検討する必要があります。きちんと収支シミュレーションを行ったうえで、戦略的に土地活用に取り組みましょう。
失敗例3:立地と活用方法が合っていなかった
土地活用を成功させるには、その土地にとって最適な方法を選ぶ必要があります。土地活用の方法が立地に合っていないと、利益を出しにくくなります。
土地活用を始める際は、周辺の環境を考慮したうえでどの方法が適しているか検討しましょう。土地活用の方法はさまざまあり、その土地でどれを行うかによって収益性が大きく変化します。また、競合となる建物やサービスの有無も確認し、スムーズに利益を得られるかについても考えなければなりません。
成功例に学ぶ!土地活用方法の選び方とは
土地活用の方法は、どのように選べばよいのでしょうか。ここでは、成功例をもとに選び方を説明します。
選び方1:初期投資額
初期投資額を低く抑えれば、たとえ土地活用がうまくいかなくても軌道修正しやすいです。
初期投資額が低い土地活用の方法としては、月極駐車場があげられます。月極駐車場は、契約者と個別に契約したうえで料金を請求します。コインパーキングのように特別な機械を導入する必要はありません。塗料やロープを使用して駐車スペースを区切るだけで土地活用の準備ができるため、初期投資額を低く抑えられます。
また、活用したい土地に空き家が建っている場合、その建物をそのまま活用して戸建賃貸経営に取り組むのもおすすめです。改めて住宅を建てる必要がなく、修繕や模様替えなどをするだけで貸し出せます。
さらに、トランクルーム経営も、他の土地活用の方法と比較すると初期投資額が低めです。条件を満たしたトランクルームを設置するだけで収益を得られます。
ただし、なかには、無理に初期投資額を抑えたせいで土地活用が失敗したパターンもあります。必要な部分にはきちんと費用をかけ、スムーズに入居者や利用者が集まるようにしましょう。
選び方2:収益
土地活用に取り組む人は、収益性を重視している場合が多いです。特に収益を重視したい場合に向いているのは、太陽光発電、戸建賃貸経営、アパート経営などです。
太陽光発電は、入居者や利用者のニーズとは関係なく利益を出せます。日当たりがよくてある程度以上の広さがあれば、安定的に収入を得られる可能性が高いです。ただし、戸建賃貸経営やアパート経営などと比較すると、得られる収入は少なめになります。
戸建賃貸経営は一度入居すると長く契約を続けてもらえるパターンが多く、安定的な収入源になります。
また、アパート経営では一棟で複数の入居者がいるため、戸建賃貸経営以上にまとまった収入を得やすいです。たとえ退去者が出ても収入がゼロにはなりません。常に一定以上の収入を得られる可能性が高いため、収益性の観点から選ぶ場合はアパート経営が最も有力な土地活用の方法だと言えます。
選び方3:節税対策
節税対策のために土地活用に取り組むなら、建物を利用する方法を選ぶ必要があります。土地に建物が建っている場合、固定資産税を最大1/6に減らせるためです。また、その建物で賃貸経営を行っていれば、税金の優遇措置も受けられます。
節税対策に向いている土地活用の方法としては、アパート経営、戸建賃貸経営、高齢者向け施設経営などがあげられます。それぞれの特徴を考慮したうえで、その土地にとって最適な方法を選択しましょう。
ただし、もともとある空き家を活用して戸建賃貸経営に取り組む場合以外は、新しく建物を建てなければなりません。初期投資額が高額になる点には注意が必要です。
土地活用を成功させるポイント
土地活用を成功させるには、さまざまなポイントがあります。ここでは、そのポイントを具体的に解説します。
立地に合った最適な方法を選ぶ
すでに触れているとおり、立地によって選ぶべき土地活用の方法は異なります。周辺の環境について必ず確認したうえで、どのようなニーズがあるか把握しましょう。たとえば、アパート賃貸経営が成功しにくい土地だとしても、駐車場経営ならうまくいく可能性もあります。
また、土地活用の方法を検討する際は、用途地域も必ず確認しておく必要があります。用途地域は、都市計画法により、用途に応じて分けられたエリアのことです。市街地を計画的に形成する目的で定められています。指定されている用途地域によっては希望する土地活用の方法を選べない場合もあるため、要注意です。
大和財託では、「土地診断」のサービスを提供しています。それぞれの土地の状態を個別にチェックし、最適な土地活用の方法を提案しています。賃貸経営が向いているかどうかをプロの目線で確認できるため、土地活用の失敗を防ぐことが可能です。
リスクを理解しておく
土地活用にはさまざまなリスクがあります。土地活用を成功させるには、リスクを理解して対策を考えておかなければなりません。たとえば、賃貸経営においては、空室リスクがあります。入居者がなかなか決まらない場合、賃料を得られず赤字になる恐れがあります。
また、土地活用は長期的に取り組むケースも多いです。市場の状況が変化すると、当初の計画通りに収益を得られなくなるリスクもあります。
さらに、災害のリスクにも備えが必要です。土地活用において建物や設備を利用すれば、災害の発生時に被害を受ける可能性があります。たとえば、太陽光発電に必要な太陽光パネルには、基本的に雨や風を防ぐための設備はついていません。災害のリスクに対し、事前に対策を講じておきましょう。
過度な借り入れに気を付ける
土地活用では高額な初期投資が必要なパターンが多く、借り入れをする人も少なくありません。借り入れそのものには問題がないものの、過度な借り入れにならないよう注意しましょう。借り入れ金額が多すぎると、最悪の場合、毎月の返済ができなくなる恐れがあります。
土地活用で得られた収入で返済を行うとしても、必ずしもシミュレーションどおりに収入を得られるとはかぎりません。不利な状況になってもなるべく無理なく返済できるよう、余裕のある資金計画を立てることが大切です。返済は長期的に行う必要があるため、将来の自分の状況についてもなるべく明確にイメージしておきましょう。
まとめ
土地活用の方法としてはさまざまなものがあり、成功例も豊富です。土地によって最適な活用方法は異なるため、条件を考慮したうえで見極める必要があります。適切な土地活用の方法を実践できれば、新しい収入源を得たり節税したりすることが可能です。特にアパート経営なら、1棟だけでまとまった収入を得られます。
土地活用に取り組むうえでは、収支シミュレーションをしっかり行いましょう。実際の状況に即した試算をすれば、失敗を防ぎやすくなります。土地活用にはさまざまなリスクも存在するため、それぞれについて理解して事前に対策を講じておくことも大切です。今回紹介した成功例やポイントを押さえ、土地活用をスムーズに進めましょう。
監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
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