土地の取得・保有・売却時にかかる税金とは?計算方法や節税のコツを解説

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土地を取得したり、売却したりすれば、税金が発生します。土地に対して発生する税金の種類は多いため、事前にきちんと把握しておくと安心です。具体的には、土地に対してどのような税金がかかるのでしょうか。本記事では、土地の保有、相続、購入、売却において発生する税金について解説します。各税金の特徴や計算方法とともに税金を低く抑えるコツも紹介するので、ぜひ役立ててください。 

土地に関係する税金の種類とは

土地に関係する税金には、さまざまな種類があります。まずは、どのような種類があるか紹介します。 

土地を保有するとかかる税金:固定資産税、都市計画税

土地を保有していると、固定資産税と都市計画税がかかります。固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して課される税金です。不動産の所有権登記をもとに対象者が割り出されるため、自ら申告する必要はありません。 

また、都市計画税は固定資産税とともに支払う必要があります。ただし、都市計画税の対象となるのは、用途地域内にある不動産のみです。 

土地を相続するとかかる税金:相続税、登録免許税

土地を相続する際は、相続税と登録免許税がかかります。相続税とは、相続によって亡くなった人から受け継いだ財産に対してかかる税金です。基本的に、相続した財産が高価であるほど相続税も高くなります。 

登録免許税は、不動産を新しく取得した際にかかります。登録免許税を納めるタイミングは、法務局で不動産の登記をするときです。登録免許税の金額に相当する収入印紙を書類に貼り付けて支払います。 

土地を購入するとかかる税金:印紙税、登録免許税、不動産取得税

土地を購入した場合、印紙税、登録免許税、不動産取得税がかかります。印紙税は、土地の購入にかかわる書類を作成する際に発生します。登録免許税は、すでに触れたとおり、不動産の登記申請をする際に支払う税金です。 

また、購入により土地を手に入れたケースでは、不動産取得税もかかります。不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税金です。 

土地を売却するとかかる税金:印紙税、住民税、譲渡所得税 

売却により土地を手放したときは、印紙税、住民税、譲渡所得税がかかります。印紙税は、売却時に作成する書類に対して発生します。住民税は、所得に対してかかる税金です。土地を売却して利益が出た場合、所得に対して住民税が発生します。譲渡所得税は、不動産の売却による利益に対して課される税金です。 

土地の保有にかかる税金と計算方法

土地を保有している場合、さまざまな税金がかかります。税金の種類や計算方法を確認しましょう。 

土地を保有するとかかる税金の種類

土地を保有していると、固定資産税や都市計画税がかかります。それぞれについて説明します。 

固定資産税

固定資産税は、土地の評価額をもとに計算されます。土地の評価額は、総務大臣によって定められた固定資産評価基準をもとにし、各自治体の長が個別に決定しています。評価額は不動産の時価に応じて変動するため、定期的な見直しが必要です。見直しの頻度は、3年に1回となっています。最新の評価額は課税証明書に記載されているので、確認しておきましょう。課税証明書が手元にない場合は、各市区町村で保管されている固定資産課税台帳でも評価額を把握できます。 

固定資産税を計算するには、評価額から課税標準額を算出する必要があります。課税標準額とは、固定資産税を計算するための基準です。山林や農地などは評価額と課税標準額が同じであるものの、宅地については基本的に課税標準額が評価額よりも低くなります。宅地の課税標準額に対しては、特例が設けられているからです。特例では小規模住宅用地と一般住宅用地の分類があり、宅地の面積の200平方メートルまでは小規模住宅用地、200平方メートルを超える部分は一般住宅用地として計算します。宅地の課税標準額は、小規模住宅用地は評価額の1/6、一般住宅用地は評価額の1/3です。 

固定資産税の計算式は「課税標準額×1.4%」です。評価額と土地の面積から課税標準額を算出すれば、この計算式により固定資産税を求められます。ただし、課税標準額が30万円未満の場合、固定資産税は発生しません。

都市計画税

都市計画税とは、都市の整備のために使われる税金です。所有している土地が用途地域内にある場合、固定資産税とともに都市計画税を納める必要があります。固定資産税と同じく、都市計画税は土地の評価額をもとに計算します。実際の評価額については、課税証明書や各市区町村で保管されている固定資産課税台帳などで確認しましょう。 

都市計画税の計算においても、評価額から課税標準額を割り出す必要があります。都市計画税の課税標準額についても特例による定めがあり、小規模住宅用地は評価額の1/3、一般住宅用地は評価額の2/3とされています。固定資産税の課税標準額と同様、小規模住宅用地とは宅地の面積の200平方メートルまでの部分をさしており、200平方メートルを超える部分は一般住宅用地です。 

基本的な都市計画税の計算式は「課税標準額×0.3%」です。評価額と土地の面積から税標準額を算出し、この計算式に当てはめて都市計画税を求めましょう。ただし、都市計画税は制限税率であり、0.3%は都市計画税の税率として設定できる上限です。都市計画税は各自治体が徴収しているため、税率は自治体によって異なります。都市計画税を計算する際は、保有している土地を管轄する自治体が設定している税率を事前に確認しておきましょう。 

土地を相続するとかかる税金

土地を相続すれば、相続税や登録免許税がかかります。それぞれについて説明します。 

相続税

相続により土地を受け継いだ場合、相続税が発生します。ただし、相続税の支払いが必要になるのは、課税対象となる金額が基礎控除額を超える場合のみです。相続税の基礎控除額は「3,000万+(600万×法定相続人の数)」で計算できます。課税対象となる金額が基礎控除額より低ければ、相続税はかかりません。 

相続税が発生する場合、税率は課税対象額に応じて決まります。また、相続税には控除があり、控除額も課税対象額によって変動します。相続の課税対象額に応じた税率と控除額をまとめると、以下のとおりです。 

課税対象額 税率 控除額 
1,000円以下 10% – 
3,000円以下 15% 50万円 
5,000円以下 20% 200万円 
1億円以下 30% 700万円 
2億円以下 40% 1,700万円 
3億円以下 45% 2,700万円 
6億円以下 50% 4,200万円 
6億円超 55% 7,200万円 

相続税の計算式は「課税対象額×税率‐控除額」です。それぞれの金額を当てはめると、実際に相続税がいくらかかるか分かります。 

登録免許税

登録免許税は、登記申請の際に支払う税金です。不動産の所有権が移転すれば登記の書き換えが必要であり、登記申請を行わなければなりません。土地を相続した場合も所有権が移転するため、法務局に登録免許税を納めて登記申請を行いましょう。 

登録免許税の計算式は「固定資産税評価額×登録免許税率」です。すでに触れているとおり、固定資産税評価額は、課税証明書や固定資産課税台帳などで確認できます。土地の所有権が移転した際にかかる登録免許税の税率は、所有権の移転理由ごとに定められています。相続により土地を取得した場合の登録免許税率は0.4%です。 

土地を購入・売却(譲渡)するとかかる税金

土地を購入または売却した場合、印紙税、登録免許税、不動産取得税、住民税、譲渡所得税がかかります。それぞれについて解説します。 

印紙税は、契約書などの書類に対してかかる税金です。印紙を購入して書類に貼り付けると、納税したとみなされます。 

印紙税の税率は、書類に記載されている金額ごとに決まっています。契約金額に応じた印紙税額をまとめると、以下のとおりです。 

契約金額 印紙税額 
1万円未満 非課税 
10万円以下 200円 
50万円以下 200円 
100万円以下 500円 
500万円以下 1,000円 
1,000万円以下 5,000円 
5,000万円以下 1万円 
1億円以下 3万円 
5億円以下 6万円 
10億円以下 16万円 
50億円以下 32万円 
50億円超 48万円 
  

なお、金額が記載されていない書類については、一律で200円の印紙税がかかります。

登録免許税

土地の購入や売却においても所有権が移転するため、登記申請の際に登録免許税がかかります。すでに解説したとおり、登録免許税は「固定資産税評価額×登録免許税率」で計算できます。土地の売買に対してかかる登録免許税率は2%です。ただし、令和8年3月31日までの登記申請については軽減税率が適用されるため、登録免許税率は1.5%となっています。 

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を手に入れた際に発生する税金です。不動産取得税を納税するのは一度きりで良く、固定資産税のように毎年支払う必要はありません。不動産取得税の計算式は「固定資産税評価額×不動産取得税率」です。 

不動産取得税率は4%です。ただし、土地を令和6年3月31日までに取得した場合、不動産取得税率は3%となります。 

住民税

住民税は、不動産を売却して所得を得た場合にかかる税金です。不動産を売却して得た所得に対する住民税の税率は、不動産の所有期間に応じて決められています。具体的な税率は、不動産の所有期間が5年以下なら9%、所有期間が5年を超えていれば5%です。 

なお、住民税は、前年度の所得に対しても課されています。前年度の所得に対する住民税の税率は一律で10%です。不動産を売却して所得を得た場合にかかる住民税とは税率が異なるため、注意しましょう。 

譲渡所得税

譲渡所得税も、不動産を売却して得た所得に対して発生する税金です。譲渡所得税は、課税譲渡所得金額をもとに計算します。土地の売却における課税譲渡所得金額とは、土地の売却価格から基礎控除額と各種費用を差し引いた金額です。 

課税譲渡所得税の計算式は「課税譲渡所得金額×譲渡所得税率」です。譲渡所得税率は、不動産の所有期間によって異なります。不動産の所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年を超えていれば長期譲渡所得とみなされ、それぞれ別の税率が定められています。具体的な税率は、短期譲渡所得なら30%、長期譲渡所得なら15%です。譲渡所得税は税率が比較的高く、所有期間によって税額が大きく異なるため、注意して計算しましょう。 

また、令和19年までは、譲渡所得税とともに復興特別所得税も課されます。復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のための財源となっている税金です。復興特別所得税の税率は「所得税率×0.021」となっています。短期譲渡所得の復興特別所得税率は「30%×0.021=0.63%」、長期譲渡所得の復興特別所得税率は「15%×0.021=0.315%」です。

土地の税金は地目によって異なる

土地にかかる税金は、地目によっても異なる可能性があります。地目とは、土地の用途に応じた分類のことです。たとえば、住宅を建てるための土地である「宅地(住宅用地)」や、耕作のための土地である「田・畑(農地)」などの分類があります。地目は22種類があり、いずれにも該当しない土地は雑種地とされます。地目は登記に記されているため、地目が分からない場合は登記簿を閲覧しましょう。 

地目によって税金が異なるのは、地目に応じた特例が定められている場合があるからです。特例により軽減税率が定められており、通常よりも税金が安くなるケースがあります。税額を計算する際は、特例の内容をよく確認しましょう。 

土地の税金を抑える方法とは

土地にかかる税金を抑えるには、どうすればよいのでしょうか。具体的な方法を紹介します。 

住宅用地の特例を活用する 

住宅用地の特例を活用すれば、固定資産税や都市計画税を抑えられます。住宅用地の特例により税金を抑えられるのは、土地に住宅が建っている場合です。 

すでに触れていますが、固定資産税の特例では小規模住宅用地と一般住宅用地の分類があります。課税標準額は、200平方メートルまでの小規模住宅用地については評価額の1/6、200平方メートルを超える一般住宅用地については評価額の1/3です。また、都市計画税の課税標準額は、小規模住宅用地については評価額の1/3、一般住宅用地については評価額の2/3となっています。 

更地の土地を保有している場合、建物を建てれば固定資産税や都市計画税を減らせます。すでに更地を保有していたり、これから取得する予定があったりするなら、建物を立てて土地を活用するのがおすすめです。 

固定資産税などの税金が上がってしまうケースとは 

状況によっては、固定資産税などの税金が上がる場合もあります。具体的にどのようなケースが当てはまるのか解説します。 

ケース1:住宅を取り壊した

土地に建っている住宅を取り壊すタイミングによっては、予想外に固定資産税などの税金が上がる可能性があります。固定資産税は、毎年1月1日時点の状況に応じて課税されるためです。たとえば、12月末に住宅を解体した場合、1月1日時点では更地として扱われます。更地には住宅用地の特例が適用されないため、建物が建っている場合よりも固定資産税が高くなります。固定資産税の負担を軽くするには、1月2日以降に建物を取り壊したほうがよいでしょう。 

建て替えにより一時的に建物をなくす場合も、1月1日時点で更地になっていると住宅用地の特例を適用できません。ただし、一定の条件を満たして申請すれば継続的に特例が適用される可能性もあるため、自治体に相談しましょう。 

ケース2:空き家を放置している

土地に建物が建っていると税金を抑えられますが、空き家の場合は注意が必要です。平成27年に「空き家対策特別措置法(空き家法)」が施行されており、「特定空き家」と判断されると住宅用地の特例は受けられなくなっています。「特定空き家」とは、放置し続けると危険な空き家や、衛生上有害である空き家のことです。住宅用地の特例を受け続けるために老朽化した空き家を放置する事例が増えたため、空き家法が定められました。 

実際のところ、空き家を放置しているとさまざまなトラブルが発生する恐れがあります。税金を抑えるために空き家を放置するよりも、新しく建物を建てて土地活用を行うといった解決策を検討したほうがよいでしょう。 

まとめ

土地に関しては、さまざまな税金がかかります。保有していると必ず発生する税金をはじめとし、相続や売買などのタイミングでかかる税金もあります。工夫次第で税金を下げられる可能性があるため、それぞれの税金の特徴や計算方法をよく理解したうえで対策を立てましょう。たとえば、土地を保有していると固定資産税が毎年かかりますが、建物が建っていれば住宅用地の特例により税金が安くなります。保有している土地を有効活用し、税金を抑える工夫をするのがおすすめです。 

監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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