【不動産投資】木造アパートとは?メリット・デメリットや建築費用を解説

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木造アパートとは、木を材料として建てられたアパートのことです。建築するアパートにおける構造の選択肢の1つとして木造を検討しているなら、木造のメリット・デメリットをよく把握しておく必要があります。他の構造と比較したうえで、木造の特徴を理解しましょう。この記事では、木造アパートを建築するメリット・デメリットについてくわしく解説します。木造アパートを建てる際にかかる費用の相場も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

そもそも木造アパートとは

集合住宅はアパートやマンションと呼ばれていますが、それぞれを明確に定義する法律はありません。一般的には、木造や軽量鉄骨造の集合住宅をアパート、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの集合住宅をマンションと呼ぶケースが多いです。 

「木造アパート」とは、木材で建てられたアパートを指しています。木造に対しては、他の構造よりも耐久性が低く、安全性や美観を維持するにはメンテナンス費用が多くかかるイメージをもっている方もいるかもしれません。また、木造アパートは生活音や足音などが他の部屋に伝わりやすいと思っている方もいるのではないでしょうか。これらは昔の木造アパートの特徴であり、現在は大幅に改善されています。木造アパートには一般的なイメージとは異なる特徴もあるため、以下でくわしく解説していきます。 

鉄骨造との違いを解説

木造と鉄骨造は、使用されている材料がそれぞれ異なります。木造の材料は木材であるのに対し、鉄骨造の材料は鉄骨です。 

鉄骨造の材料である鉄骨の種類は、重量鉄骨と軽量鉄骨に大別できます。使用する骨格材の厚さが6mm以上の場合は、重量鉄骨と呼ばれます。厚みのある重量鉄骨は耐久性が高く、高層マンションをはじめとする大きな建物を建てる際に利用されるケースが多いです。一定以上の防音性、耐震性、耐火性なども期待できます。一方、使用する骨格材の厚さが6mm未満の場合は軽量鉄骨と呼ばれます。軽量鉄骨は骨格材の厚さが薄いため、重量鉄骨と比較すると耐久性、防音性、耐震性、耐火性などが低いです。鉄骨造でアパートを建てる際は、軽量鉄骨が使用されるケースがよく見られます。 

木造は材料費が安く、工期も短めです。一方、鉄骨造は木造と比べると材料費が高く、工事にも時間がかかります。 

木造アパートを建築するメリットとは

木造アパートには、さまざまなメリットがあります。ここでは、木造アパートを建築するメリットを見てみましょう。 

コストを抑えられる

木造アパートは、他の材料を使う場合に比べて建築にかかるコストを低く抑えられます。3階建てまでのアパートなら骨組みにかかる負荷がそれほど大きくならないため、問題なく建築が可能です。 

ただし、木造でも、構造以外の部分にこだわり過ぎると全体のコストが高くなるケースもあります。設備や仕上げなどによっては他の構造で建築する場合よりも総額が高くなる可能性もあるため、注意しましょう。 

なお、コストを抑えて建築すれば、利回りや収益性も高められます。

工期が短くすむ

木造は、他の構造と比較すると工期が短い場合が多いです。工期が短ければその分だけ早くアパート経営を始められます。

ただし、実際の工期は、同じ木造でも工法によって異なることを理解しておきましょう。

節税効果が期待できる

木造の建物の法定耐用年数は、他の構造の建物と比較すると耐用年数が短めです。それぞれの構造の耐用年数は、以下のとおりになっています。 

構造  法定耐用年数 
鉄筋コンクリート(RC)造・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造 47年 
鉄骨造(S)造 肉厚4mm超(重量鉄骨) 34年 
肉厚3mm超 4mm以下(軽量鉄骨) 27年 
肉厚3mm以下(軽量鉄骨) 19年 
木造 22年 

建物の取得価額が同額だと仮定すると、1年ごとに減価償却費として計上できる金額は他の構造よりも木造のほうが高いです。よって、木造はアパート経営の初期の課税所得を減らしやすく、節税効果を期待できます。 

木造アパートを建築するデメリットも確認

木造アパートにはデメリットもあるため、建築する際はよく確認しておきましょう。ここでは、具体的にどのようなデメリットがあるか説明します。 

入居者からのイメージが悪くなりやすい

木造アパートに対しては、悪いイメージを持つ入居者も一定数いるようです。理由としては、遮音性や耐震性の低さがあげられます。 

しかし実際のところ、木造と鉄骨造で遮音性に差はありません。遮音性は壁や床に使う材料によって決まるため、木造は鉄骨造よりも遮音性が低いという認識は誤りだと言えます。 

また、木材と鉄骨を比較すれば、たしかに木材は強度が低いです。そのため、鉄骨造より木造のほうが耐震性は低いというイメージがあります。しかし、木造の建物の耐震基準は随時見直されており、木造であっても建物が十分な耐震性を備えられるようになっています。 

入居者が持つ悪いイメージを払拭するには、入居者を募集する際に木造アパートの遮音性や耐震性に問題がないことをしっかり伝える必要があるでしょう。 

火災が発生すると燃えてしまう

木材は有機物であり、火災が発生すると燃えてしまいます。ただし、耐火基準を満たした材料を使用すれば、準耐火構造や耐火構造などにできます。実際は、木造でも火災により甚大な被害が出る可能性はそれほど高くありません。また、鉄骨は熱により軟化する性質があり、木材よりも火災に弱いとも言われています。 

以上を踏まえれば、木造アパートは鉄骨造や鉄筋コンクリート造などのマンションと比較して、決して劣るわけではありません。木造のメリットを活かせば、快適で安全なアパートを建築できます。 

木造アパートの建築にはどれくらいの費用がかかる?相場を確認 

木造アパートを建築するためには、設計料、建築工事費、諸費用が必要です。設計料としては、全体の5%程度の費用がかかります。また、建築工事費は全体の85%程度、諸費用は全体の10%程度です。建築工事費の内訳は、80%が本体工事費、20%が付帯工事費となっています。なお、土地も新しく購入する場合は、これらの費用に加えて土地代がかかります。 

以下では、木造アパートを建築するためにかかる設計料、建築工事費、諸費用の相場を紹介します。それぞれの費用の特徴も含めて解説するので、ぜひ参考にしてください。

設計料

設計料は、木造アパートの図面を描いてもらうための費用です。打ち合わせにより間取りや設備などの詳細を決め、それを図面に反映します。実際には、条件を整理したり代理で確認申請の手続きをしたりするための費用も、設計料に含まれている場合が多いです。 

設計料は、建設工事費に応じて料率を設定している企業もあります。ただし、設計費が料率で決まっていないケースも多いです。当社の場合、建築工事費が5,000万円の木造アパートの設計料率は150万円程度です。工事費が1億円以上の木造アパートの設計料率は、170万円以上程度になります。

建築工事費

すでに触れたとおり、建築工事費は本体工事費と付帯工事費に分けられます。本体工事費に含まれているのは、木工事、内装・外装の仕上げ工事、設備工事などです。付帯工事は、解体工事、地盤改良工事、電気・ガス・水道の引き込み工事など、本体工事に付随して必要となる工事が該当します。 

特に近年は、ウッドショックや資材高騰により建築工事費が上昇しています。 

建築工事費にはさまざまな費用が含まれているため、実際の状況によってもかかる費用は大きく変化する可能性があります。 

諸費用

諸費用には、設計料や建設工事費以外のさまざまな費用が含まれています。具体的には、不動産の登記費用や契約書に対して課税される印紙税も用意しなければなりません。敷地の境界が定まっていない場合は土地家屋調査士に支払う報酬も必要です。 

また、金融機関から借り入れをするなら手数料や保証料などもかかります。地鎮祭を実施する場合、式典にかかる費用も別途発生します。 

それぞれいくらの費用が発生するかについては、状況によってさまざまです。諸費用の具体的な金額は、それぞれ大きく異なる可能性があります。 

木造アパートの建築費用を抑えるコツとは

木造アパートの建築費用を抑えるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的なコツを紹介します。 

シンプルな形状の建物にする

建築費用を抑えるには、シンプルな形状を意識することが大切です。形状が複雑な建物を建てようとすると、その分だけ建築費用が高くなります。 

建築費用を抑えるにはシンプルな形状を意識することが大切です。一般的に、形状が複雑な建物を建てようとすると、その分だけ建築費用が高くなります。 

当社では建築体制を内製化し、自社設計・施工を実現しています。そのため、無駄な中間マージンをカットでき、シンプルな形状はもちろん、デザイン性の高い建物でも建築費用を最大限抑えられます。 

コストをかけるべき箇所を考える

コストをかける部分と抑える部分のバランスをとることも重要です。見た目がよくて機能的であるほど入居者を集めやすいものの、すべてを充実させようとすればコストがかさみます。費用対効果を考慮し、優先順位を決めてコスト配分をしましょう。 

コストをかけるべき箇所を考える

コストをかける部分と抑える部分のバランスをとることも重要です。見た目がよくて機能的であるほど入居者を集めやすいものの、すべてを充実させようとすればコストがかさみます。費用対効果を考慮し、優先順位を決めてコスト配分をしましょう。 

複数の不動産会社に相談する

アパート経営を始めるときは、複数の不動産会社に相談するのがおすすめです。それぞれの見積もりの内容を比較し、納得できるところを選ぶべきです。複数に相談していれば、他社の提案をもとにした建築費用の交渉もできます。 

木造アパートを経営するポイントとは?

木造アパートの経営を成功させるには、さまざまなポイントがあります。ここでは、押さえておきたいポイントを紹介します。

アパート経営においては、さまざまな条件を考慮したうえで慎重に計画することが大切です。その土地の周辺環境や需要を踏まえ、適切にターゲットを絞り込む必要があります。 

また、着実に入居者を集めるためには管理会社との連携も重要です。周知活動に力を入れて満室経営を目指してください。 

まとめ

木造の住宅は日本で古くから一般的であり、多くの人にとって親しみがあります。アパート経営において木造を選択すれば、低コストかつ短い工期での建築が可能です。木造にはさまざまなメリットがあり、性能も昔よりも快適に過ごしやすく改善されています。木造アパートを建築する場合は、木造のメリットとデメリットの両方を理解したうえで慎重な計画を立てましょう。今回紹介したポイントを押さえ、より魅力的な木造アパートを建築してください。 

監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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