土地の固定資産税とは?知らないと損する基礎知識を徹底解説!

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土地や住宅などの不動産を所有している人は、毎年、固定資産税が発生します。不動産を所有している限り支払いが続く固定資産税に、頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか?

しかし、固定資産税にはさまざまな優遇措置があるため、うまく活用すれば今より節税できる可能性があります。節税の基本は情報を得ることです。損をしないために、しっかりと固定資産税に関する知識を把握しましょう。

この記事では、知らないと損をする土地の固定資産税の基礎知識を中心に、税金の計算方法や節税効果を高める方法をご紹介します。

固定資産税とは

固定資産税とは、土地や建物などの不動産に対して課税される税金のことです。毎年1月1日時点で不動産を所有している人が納税義務者となり、不動産所在地の市区町村に支払います。

固定資産税と合わせて把握しておくべきなのは、都市計画税です。都市計画税とは、土地や建物などの不動産の所在地が市街化区域内である場合に課税される税金のことです。

市街化区域とは都市計画法で指定された、すでに市街化を形成している区域、および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を指します。

具体的には、街の整備が進んでいる地域や交通の便がいい地域をイメージするとわかりやすいでしょう。所有している土地が市街化区域か否かは、市区町村や不動産会社に問い合わせることでわかります。

土地の取得時や売却時に発生する税金は?

土地に関する税金は固定資産税だけではありません。土地を新たに取得した場合や売却した場合にも、次のような税金がかかることがあります。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 譲渡所得税(住民税・所得税)
  • 相続税

印紙税

印紙税は文書に対して発生する税金のことで、土地の取得時・売却時において契約を締結する際に使用する契約書などに収入印紙を貼り付けて納税します。課税文書によって課税基準と印紙税額が定められています。

なお、契約書などは通常売り主分と買い主分の2通準備するため、印紙税も双方で負担するのが一般的です。

国税庁|No.7140 印紙税額の一覧表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

登録免許税

土地や建物を購入した場合は法務局で所有権の登記する必要があり、登記手続き時にかかる税金を登録免許税といいます。

登録免許税がかかるケースは主に「買うとき」「売るとき」「住宅ローンを組むとき」の3パターンです。基本的には「評価額×税率」で算出されます。

国税庁|No.7191 登録免許税の税額表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

土地を買うとき

土地を買った場合は、所有権を法務局に登記する必要があります。このときに課税されるのが、登録免許税です。土地は既に所有している人がいるため、、実際には土地の所有権移転登記を行います。

税率は2023年3月31日までに登記を受ける場合は1.5%、2023年4月1日以降に登記を受ける場合は2%。計算方法は「評価額×税率」です。

土地を売るとき

抵当権が入っている土地を売る場合は、抵当権を抹消しなければなりません。抵当権とは、ローンの返済ができなくなったときに土地の差し押さえができるよう、金融機関が設定する権利のことです。

抵当権が設定されたままでは土地を売れないため、ローン残金を返済して抵当権を抹消する必要があります。抵当権を抹消する際にかかるのが、登録免許税です。抵当権を抹消する際にかかる登録免許税は、不動産1個につき1,000円になります。

不動産取得税

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したときにかかる税金のことです。ただし、相続人が相続した不動産には課税されません。

税率は原則4%ですが、2024年3月31日までに取得した土地の場合は標準税率が3%に軽減されます。課税標準額は購入した金額の1/2になり、「課税標準額×3%」が不動産取得税になります。

不動産取得税を固定資産税と似た意味でとらえる人も多いですが、課税される回数が異なります。不動産取得税がかかるのは不動産を取得したときの1回きりです。一方、固定資産税は不動産を所有している限り、毎年課税されます。

譲渡所得税

譲渡所得税は土地を売却し、利益が生じた場合に課税される税金のことで、復興特別所得税を含む所得税と住民税を指します。

課税譲渡所得の計算方法は「譲渡価額-(取得費用+譲渡にかかった費用)-特別控除」です。

以下の条件で確認してみましょう。

取得費用:3,000万円

譲渡価額:6,500万円

譲渡にかかった費用:120万円

特別控除(特例など):3,000万円

課税譲渡所得は「6,500万円−(3,000万円+120万円)-3,000万円=380万円」。380万円が所得税と住民税の課税対象になります。

特別控除とは、土地や建物を売却した場合、譲渡所得から控除を受けられる特例が6種類あります。特別控除額はそれぞれに設定されており、特例ごとの譲渡益が限度となります。上記事例はマイホームを売却した際の3,000万円控除です。

所得税

譲渡所得の所得税は「課税譲渡所得×税率」で計算され、税率は土地を所有していた期間により異なります。

所有年数5年以下の短期譲渡所得の場合は30%、所有年数5年超の長期譲渡所得の場合は15%です。いずれも2003年から2037年までは、各年分の基準所得税額×2.1%の復興特別所得税がかかります。

住民税

譲渡所得があった場合の住民税も「課税譲渡所得×税率」で計算され、税率は土地を所有していた期間により異なります。

所有年数5年以下の短期譲渡所得の場合は9%、所有年数5年超の長期譲渡所得の場合は5%です。

相続税

相続とは、亡くなった人の財産を引き継ぐことです。相続税とは引き継いだ財産に対してかかる税金のことで、財産を引き継いだ人が相続税を納めなければなりません。

相続される財産に土地が含まれていた場合は、土地の評価額が他の相続財産と合算されます。相続財産の合計金額から各種控除を差し引いた金額がプラスの場合は、相続税がかかります。

国税庁|No.4155 相続税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

土地の固定資産税の納付について

土地の固定資産税は、確定申告のように自分から申告する必要はありません。1月1日時点で土地の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人に、自動的に納税通知書が送られてきます。

市区町村により多少の違いはありますが、だいたい4~6月頃に郵送されます。1年間を4分割した1期~4期までで区切られ、それぞれの期ごとに定められた期限内に納税しなければなりません。支払いは、期ごと払いも一括払いも可能です。

支払い方法は、口座振替の自動引落・市区町村窓口・金融機関・コンビニなどが一般的です。近年は、クレジットカードでの支払いに対応している自治体が増えてきました。

固定資産税は1月1日時点での所有者に納税義務があるため、年度の途中で土地の売買があった場合でも、その年の固定資産税は売り主に納税義務が発生します。しかし実際は、当事者間で話し合い、負担割合を決めるケースが多いです。

h2固定資産税を計算する際に必要な固定資産税評価額と課税標準額

次に、固定資産税を計算する際に必要な固定資産税評価額と課税標準額について確認しましょう。

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額(以降、評価額と表記)とは、土地の価値を自治体の基準に基づいて計算した金額のことです。評価額は以下の方法で確認できます。

  1. 納税通知書に添付されている課税明細書の価格を確認する
  2. 各自治体窓口で、固定資産税評価証明書を取得する

土地の評価額の目安は、毎年1月1日に定められる公示価格の約70%です。自分で計算する場合、まずは土地の公示価格を調べます。

公示価格とは、国土交通省が発表している土地1平方メートルあたりの価格のことです。国土交通省のホームページ内「標準地・基準地検索システム」で確認できます。「公示価格×土地の面積×70%」が評価額の目安です。

なお、評価額が以下の場合は課税対象外になります。

  • 土地:30万円未満
  • 建物:20万円未満

また、評価額は、3年に1度見直しが行われています。

課税標準額とは

課税標準額とは、実際に固定資産税の対象になる金額のことです。後ほどご紹介しますが、固定資産税にはさまざまな控除や特例が存在するため、評価額全額が課税対象にならないケースも多いです。評価額から各種控除を差し引いた金額が課税標準額になります。

土地の固定資産税の計算方法

固定資産税は申告の必要がないため自分で計算する必要はありません。しかし、概算を知っておきたい人も多いでしょう。ここでは、土地の固定資産税の計算方法をご紹介します。

まずは、基本的な計算方法を確認しておきましょう。固定資産税は「課税標準額×税率」で算出されます。税率は各自治体が設定しますが、多くの自治体で標準税率の1.4%が採用されています。

  • 固定資産税:「課税標準額×1.4%」
  • 都市計画税:「課税標準額×0.3%」

まずは、上記2点を念頭に置いておきましょう。

宅地の場合

宅地とは建物が建っているもしくは、建物の敷地となる土地のことです。店舗や旅館、事務所や倉庫の他、駐車場や資材置場、更地も含まれ「非住宅用地」とも呼ばれます。

非住宅用地の課税標準額を求めるには、以下の手順で確認していきます。

  1. 負担水準(前年度課税標準額が今年度評価額の何%か)を求める
  2. 負担水準が60%以上70%未満の場合は、前年度課税標準額で据え置き
  3. 「前年度課税標準額+(今年度評価額×5%)」を求める
  4. 「負担水準が60%未満」かつ「3の数値が今年度評価額×60%を超えている」場合は、今年度評価額×60%
  5. 上記に当てはまらない場合は、「3の数値」と「今年度評価額×70%」のいずれか低い方

なお、「3の数値」が20%を下回る場合は20%相当額になります。

総務省|土地に係る負担調整措置の概要
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html

上記で算出された課税標準額×1.4%が固定資産税になります。

住宅用地の場合

住宅用地とは、一軒家やマンションなどの住宅用家屋の敷地のことです。敷地と一体化している駐車場や庭部分も含まれます。また、居住部分が総床面積の1/4以上ある併用住宅も該当します。

住宅用地には課税標準の特例措置があるので、以下で内容を確認してみましょう。

  • 固定資産税の課税標準額:評価額×1/6
  • 都市計画税の課税標準額:評価額×1/3

つまり、住宅用地の固定資産税の計算式は「評価額×1/6×1.4%」です。

例えば、「戸建て住宅の敷地面積が100平方メートル・評価額1,800万円」の場合、固定資産税の課税標準額は「1,800万円×1/6=300万円」300万円です。土地の固定資産税は「300万円×1.4%=4.2万円」42,000円が固定資産税になります。

農地の場合

農地の固定資産税を計算する場合は、まず以下の4つのうちどれに該当するのか確認しなければなりません。

  1. 一般農地
  2. 一般市街化区域農地
  3. 特定市街化区域農地
  4. 生産緑地

農地の区分は、収益性の違いや立地などにより判断されます。自治体に問い合わせをすれば、確認できます。農地の固定資産税の評価をする方法は、主に以下の2つです。

  • 農地評価:今後も農地として使われると予想できる土地に対して利用され、負担の調整などが行われる
  • 宅地並評価:今後、宅地として転用される可能性がある土地に対して利用される

以降ではそれぞれの固定資産税の計算方法をご紹介します。なお、計算に使われる負担水準は「前年度課税標準額÷今年度の評価額」で算出され、以下の表に照らし合わせて、負担調整率が決まります。

負担水準の区分負担調整率
0.9以上1.025
0.8以上0.9未満1.05
0.7以上0.8未満1.075
0.7未満1.1

農林水産省|固定資産税の負担調整措置
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/nouchi_seido/attach/pdf/zeisei-59.pdf

農林水産省|農地に関する税制特例について
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/nouchi_seido/zeisei.html

一般農地・生産緑地の固定資産税の計算方法

一般農地・生産緑地では、以下のいずれか低い金額が固定資産税になります。

  • 本則税額:評価額×1.4%
  • 調整税額:前年度の課税標準額×負担調整率×1.4%

一般市街化区域農地の固定資産税の計算方法

一般市街化区域農地では、以下のいずれか低い金額が固定資産税になります。

  • 本則税額:評価額×1/3×1.4%
  • 調整税額:前年度の課税標準額×負担調整率×1.4%

「負担水準が0.8未満の特定市街化区域農地」固定資産税の計算方法

負担水準が0.8未満の特定市街化区域農地では、以下のいずれか低い金額が固定資産税になります。

なお、この場合の負担水準の計算方法は「前年度課税標準額÷(今年度の評価額×1/3)」。軽減率は以下の通りです。

初年度0.2
2年度目0.4
3年度目0.6
4年度目0.8
  • 本則税額:評価額×1/3×軽減率×1.4%
  • 調整税額:(前年度課税標準額+今年度評価額×1/3×5%)×1.4%

「負担水準が0.8以上の特定市街化区域農地」固定資産税の計算方法

負担水準が0.8以上の特定市街化区域農地では、以下のいずれか低い金額が固定資産税になります。

  • 本則税額:評価額×1/3×軽減率×税率
  • 調整税額=前年度課税標準額×税率

固定資産税の5つの特例措置

固定資産税には税金が軽減される特例措置があります。ここでは、固定資産税に関する5つの特例措置をご紹介します。

住宅用地に対する課税標準の特例措置

1つ目は、住宅用地に対する課税標準の特例措置です。人が住むための住宅の敷地として利用される住宅用地には、土地の課税標準額が軽減される特例があります。

東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|住宅用地の特例措置
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/tozei/index_o.html#o20

小規模住宅用地の場合

住宅用地の中で、敷地面積が200平方メートル以下の部分を小規模住宅用地といいます。小規模住宅用地には、以下の特例が適用されます。

  • 固定資産税の課税標準額:評価額×1/6
  • 都市計画税の課税標準額:評価額×1/3

例えば、「一戸建て住宅の敷地面積が100平方メートル・評価額1,800万円」の場合、固定資産税の課税標準額は「1,800万円×1/6=300万円」になります。

一般住宅用地

住宅用地の中で、敷地面積が200平方メートル超の部分を一般住宅用地といいます。一般住宅用地には、以下の特例が適用されます。

  • 固定資産税の課税標準額:評価額×1/3
  • 都市計画税の課税標準額:評価額×2/3

以下の例で、課税標準額を確認してみましょう。

一戸建て住宅敷地面積250平方メートル

評価額3,000万円(1平方メートル当たり12万円)

200平方メートル分の固定資産税の課税標準額は、以下の計算により400万円です。

  • 12万円×200平方メートル=2,400万円
  • 2,400万円×1/6=400万円

200平方メートル超の固定資産税の課税標準額は、以下の計算により200万円です。

  • 12万円×50平方メートル=600万円
  • 600万円×1/3=200万円

敷地面積全体の固定資産税の課税標準額は、400万円+200万円で600万円になります。

新築住宅に係る税額の減額措置

2つ目は、新築住宅に係わる税額の減額措置です。所有している土地に新築の住宅を建てた場合、定められた期間において住宅の固定資産税が1/2減額されます。適用期間は以下の通りです。

  • 一般戸建て住宅:3年間
  • 一般集合住宅(マンションなど):5年間
  • 認定長期優良戸建て住宅:5年間
  • 認定長期優良集合住宅(マンションなど):7年間

対象となるのは、床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下の住宅です。特例が適用される場合の住宅の固定資産税の計算式は「課税標準額×1.4%×1/2」になります。

ただし、減額されるのは土地の固定資産税ではなく、住宅(建物)の固定資産税です。間違えやすいので注意しましょう。新築住宅に係わる税額の減額措置は、2024年3月31までに新築された住宅に適用されます。(2022年9月現在)

国土交通省|新築住宅に係る税額の減額措置
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html

耐震改修に関する特例措置

3つ目は、耐震改修に関する特例措置です。現行の建築基準法を満たした住宅とするために、改修工事を行うと当該住宅分の翌年度における固定資産税が減額されます。適用要件は以下のとおりです。

耐震改修に関する特例措置の適用を受けるための主な要件

  1. 耐震改修工事費が税込50万円を超えること
  2. 家屋が昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
  3. 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  4. 現行の耐震基準に適合する耐震改修工事を行っている

引用:国土交通省|耐震改修に係かる固定資産税の減額措置
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001487860.pdf

耐震改修に関する特例措置を利用するためには、工事が完了してから3カ月以内に必要書類を当該家屋の所在地である市区町村の窓口へ提出しなければいけません。

手続きに必要な書類は下記のとおりです。

  • 固定資産税減額申告書
  • 工事請負契約書の写し
  • 増改築等工事証明書もしくは住宅耐震改修証明書

自治体によって必要書類に違いがあるため、申請の際はあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

なお、耐震改修に関する特例措置の適用期限は2024年3月31日です(2022年11月現在)。

バリアフリー改修に関する特例措置

4つ目は、バリアフリー改修に関する特例措置です。新築で住宅を建ててから10年以上経過した場合に、バリアフリー改修工事を行い、その費用が50万円を超えると翌年分における床面積100平方メートル相当までの固定資産税が3分の1ほど減額されます。

ただし、すべてのバリアフリー改修工事が特例措置の対象となるわけではありません。下記のいずれかに該当し、かつ補助金などの金額を差し引いた後の工事費用が50万円(税込)を超えるものが対象となります。

(イ) 介助用の車いすで容易に移動するために通路又は出入口の幅を拡張する工事

(ロ) 階段の設置(既存の階段の撤去を伴うものに限る。)又は改良によりその勾配を緩和する工事

(ハ) 浴室を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの

A 入浴又はその介助を容易に行うために浴室の床面積を増加させる工事
B 浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事
C 固定式の移乗台、踏み台その他の高齢者等の浴室の出入りを容易にする設備を設置する工事
D 高齢者等の身体の洗浄を容易にする水栓器具を設置し又は同器具に取り替える工事

(ニ) 便所を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの

A 排泄又はその介助を容易に行うために便所の床面積を増加させる工事
B 便器を座便式のものに取り替える工事
C 座便式の便器の座高を高くする工事

(ホ) 便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路に手すりを取り付ける工事

(へ) 便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路の床の段差を解消する工事

(ト) 出入口の戸を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの

A 開戸を引戸、折戸等に取り替える工事
B 開戸のドアノブをレバーハンドル等に取り替える工事
C 戸に戸車その他の戸の開閉を容易にする器具を設置する工事

(チ) 便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路の床の材料を滑りにくいものに取り替える工事

引用:国土交通省|バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001489574.pdf

他にも細かな要件が設定されているため、特例を利用する際は国土交通省のホームぺージなどで情報を確認しましょう。

こちらの特例も工事が完了してから3カ月以内に下記書類を自治体の窓口に提出する必要があります。

・固定資産税減額申告書

・適用対象者の証明書

・補助金などの金額が分かる書類

・バリアフリー改修工事の内容を確認できる書類

なお、適用期限は2024年3月31日までです(2022年11月現在)。

省エネ改修に関する特例措置

5つ目は、省エネ改修に関する特例措置です。2014年4月1日以前からある家屋で、省エネ改修工事を実施した場合に、当該住宅の一戸あたり120平方メートルの床面積相当分までの固定資産税額が3分の1減額されます。基本的には窓の断熱改修工事が対象ですが、あわせて以下の工事を行う場合も特例が適用される仕組みです。

  • 床の断熱工事、天井の断熱工事、壁の断熱工事
  • 太陽光発電装置の設置工事
  • 高効率空調機の設置工事、高効率給湯器の設置工事、太陽熱利用システムの設置工事

引用:国土交通省|省エネ改修に係る固定資産税の減額措置
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001487619.pdf

この他にも要件が設定されているため、国土交通省のホームページから最新の情報を確認したうえで特例を利用できるか判断しましょう。

適用を受けるためには工事が完了してから、3カ月以内に書類もしくはその写しを自治体に提出しなければいけません。必要書類は自治体によって異なりますが、一般的的には以下2つの書類が必要になります。

  • 固定資産税減額申告書
  • 増改築等工事証明書

なお、省エネ改修に関する特例措置の適用期間は2024年3月31日までです(2022年11月現在)。

土地のみと建物ありの固定資産税を比較しよう!

住宅が建っている土地には優遇措置があるため、土地のみの場合と比べて固定資産税が低くなるケースがほとんどです。両者にどのくらいの差が生じるのか確認してみましょう。

土地のみの場合

まずは、土地のみの固定資産税を計算してみましょう。条件は以下の通りです。

敷地面積: 120平方メートル

土地の評価額: 1,500万円

前年度課税標準額1,125万円

土地の分類:非住宅用地

負担水準:70%

上記の設定の場合、非住宅用地の課税評価額は負担水準の均衡化により「今年度評価額×70%」になります。

計算式は「1,500万×70%×1.4%=14.7万」。固定資産税は、147,000円になりです。

建物ありの場合

次に、土地のみと同じ条件の土地に新築住宅を建てた場合の固定資産税を計算してみましょう。

敷地面積:120平方メートル

土地の評価額:1,500万円

住宅購入価格:2,000万円

住宅床面積:100平方メートル

新築住宅の課税評価額を計算した結果、購入費用の60%だったと仮定します。

まずは土地の固定資産税を求めます。住宅用地に対する課税標準の特例措置が適用されるため、計算式は「1,500万円×1/6×1.4%=3.5万円」で、土地の固定資産税は35,000円になります。

次に、住宅の固定資産税を求めます。課税標準額は「2,000万円×60%」で1,200万円。ここから新築住宅に係る税額の減額措置が適用されるため、「1,200万円×1.4%×1/2=8.4万円」で、84,000円です。

土地の固定資産税35,000円と住宅の固定資産税84,000円を合計した結果、119,000円が固定資産税になります。

147,000円と119,000円、両者の差額は28,000円です。差額はそれほど大きくありませんが、住宅を建てた方が固定資産税が低くなることがわかります。

土地別の固定資産税

土地は13種類に分類されており、それぞれ固定資産税が課税されるか否かが異なります。ここでは、代表的な土地別の固定資産税の概要をご紹介します。

私道

私道とは、個人が所有する敷地内に設置された道路のことです。住宅を建てる上で敷地内に道路が必要な場合や、広い土地を分筆して建てた住宅に設置されるケースが多いです。

私道といえども本来は所有する土地のため、固定資産税の対象ですが、以下のような公共の用に供する道路とみなされる場合は、固定資産税の対象になりません。

  • 不特定多数の人が利用している
  • 所有者による使用制限が定められていない

ただし、固定資産税が非課税になるか否かは自治体の基準により決まります。心配な人は、私道の所在地の自治体に問い合わせをする方が確実でしょう。

山林

山林を所有していても固定資産税を支払ったことがない人もいるのではないでしょうか?理由は山林の評価額の低さです。

山林の評価額は宅地などに比べて非常に低い傾向にあります。評価額が30万円以下の場合は非課税となるルールがあるため、山林を所有していても固定資産税がかからない人が多いのです。

ただし後から相続などでもめることがないよう、非課税だとしても家族に所有していることを知らせておく方が安心でしょう。

無道路地

無道路地とは道路に接していない土地、もしくは、道路に接しているものの間口が2メートル未満と狭く接道義務を満たしていない土地のことです。

無道路地には建物を建てることができないため、評価額は相場より大幅に下がる傾向にあります。具体的には、相場の3割~4割程度をイメージしましょう。

駐車場

駐車場には固定資産税がかかります。ただし、自分が使用する目的で設置された、住宅と一体化している駐車場は住宅用地の特例が適用されるため、固定資産税が低くなります。

上記以外の駐車場には、特例措置は適用されません。さらに、以下のような設備にかかった費用が150万円以上の場合は、設備にも固定資産税がかかります。

  • 舗装費用
  • 精算機
  • 照明器具
  • フェンス
  • ロック板 など

上記のような、経年による劣化が見込まれるものを償却資産といいます。償却資産の評価額は以下の計算式で算出します。

  • 1年目:費用×(1−減価率×1/2)
  • 2年目以降:費用×(1−減価率)

減価率は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により定められた割合を適用します。

大きな住宅地

特例措置でご紹介した通り、200平方メートル超の大きな住宅地は、200平方メートル以下の住宅地より課税評価額に含まれる割合が高くなります。

 200平方メートル以下200平方メートル超
固定資産税の課税標準額評価額×1/6評価額×1/3
都市計画税の課税標準額評価額×1/3評価額×2/3

空き家

日本には空き家が多いというニュースを聞いたことはありませんか?空き家が多い理由は、住宅用地に対する課税標準の特例措置が適用されるためです。更地にすると、特例が適用されず固定資産税が上がってしまうため、使わなくても空き家のまま放置しておく人が多いのでしょう。

しかし、空き家が増え続けることを懸念した政府は、2015年に空家等対策の推進に関する特別措置法を施行しました。

国土交通省|空家等対策特別措置法について
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001385948.pdf

特定空き家とは

空家等対策の推進に関する特別措置法では、放置したままだと倒壊や保安上の危険がある家を「特定空き家」と指定します。そして、特定空き家に指定された後、改善が見込めないと判断された場合は勧告が出されます。

勧告が出されると該当の土地は住宅用地に対する課税標準の特例措置が適用されません。その結果、固定資産税が上がってしまうのです。特定空き家に指定された場合は、速やかに対策を練る必要があります。

土地の固定資産税を節税する方法

土地は有効活用することで収益を生み出すだけでなく、固定資産税の節税にも役立ちます。ここでは、土地の固定資産税を節税する方法を4つご紹介します。

土地に建物を建てる

1つ目は、土地に建物を建てることです。すでにご紹介してきた通り、土地に建物を建てると「住宅用地に対する課税標準の特例措置」が適用され、固定資産税が大幅に軽減されます。対象となる住宅は以下の通りです。

  • 専用住宅:対象者が住むための住宅
  • 併用住宅:対象者が住むための居住スペースと店舗や賃貸部分を併用している住宅

併用住宅の場合は、対象者が住むための居住スペースが総床面積の4分の1以上あることが必須条件になります。

土地を分筆する

2つ目は、土地を分筆することです。分筆とは、登記簿上で一つされている土地をいくつかに分割することです。

土地を売却する

3つ目は、土地を売却することです。固定資産税は不動産を所有している限り、納税義務が発生します。また、固定資産税の他にも維持費や管理費がかかります。しかし、手放してしまえば固定資産税を支払う義務はなくなり、管理コストを気にする必要がなくなるのです。

土地を活用する

4つ目は、土地を活用することです。土地は活用することで収益を生み出します。活用例としては次のようなものがあります。

  • アパート・マンション経営
  • 駐車場経営
  • トランクルーム経営
  • 太陽光発電 など

上記は、土地活用方法の一例です。土地活用をしても固定資産税の納税義務は続きますが、収益を得ることで固定資産税の負担が軽減される効果があります。

まとめ

土地の固定資産税は、土地のみの場合より建物が建っている土地の方が低くなるケースが多いです。理由は、住宅用地に対する課税標準の特例措置が適用されるため。他にも固定資産税にはさまざまな特例措置があるため、うまく活用すれば今よりも固定資産税を抑えられます。

大和財託では、アパート・マンション建築や、所有の土地を担保にして収益不動産を購入する土地活用方法で、固定資産税の負担を軽減するための提案をしております。

これまでの土地活用といえば、収益物件を建てるという建築ありきでした。しかし、当社では、長期的な土地活用という観点で、お客様に合った土地活用方法を提案させていただきます。

固定資産税の節税方法や土地の活用方法に悩んでいる人は、ぜひ、お気軽にご相談ください。

監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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