目次
はじめに
不動産投資は相続税対策に非常に有効な手段です。
相続税対策として一般的に有効なのは、地主の方の土地に賃貸物件を建築することで、保有資産の相続税評価額を下げ、相続税を節税するという手法です。
最近では平成27年の相続税増税を受け、全国で節税目的の賃貸物件が建てられました。
皆さんの中でも、ご自宅の周辺で放置されていた家屋や土地が解体・整地され、いつの間にか新しく賃貸アパートが建てられていたという方は多いと思います。
なぜ相続税対策に有効なのか
日本の相続税制では、土地・建物を実売価格より安く評価する仕組みになっているため、土地のまま相続するのではなく、賃貸物件を建て相続税評価額を圧縮する人が多いです。
相続税評価における収益物件の評価計算式は下記の通りです。
■相続税評価における収益物件の評価計算式
1.土地は貸家建付地での評価減
相続税路線価×面積×(1-借地権割合※×借家権割合30%)
※一般的には60~70%
2.建物は賃貸に出していることによる評価減
固定資産税評価額×(1-借家権割合30%)
具体的な例で見てみましょう。
市場価格3億円の1棟収益物件があったとします。
しかし、相続税評価額としてみた場合は3億円とはならず、多くは市場価格以下となります。
例) 土地面積 504㎡
相続税路線価 24万円/㎡
借地権割合 60%
建物固定資産税評価額 1億5,700万円
上記の式に当てはめると以下の通りとなります。
土地相続税評価額=24万円×504㎡(1-0.6×0.3)=約1億円
建物相続税評価額=1億5,700万円×(1-0.3)=約1.1億円
このように不動産において、市場価格と相続税評価額は大きくことなるのです。
相続対策のための収益物件の建築ラッシュで見えた大きな問題点
相続税対策としての賃貸物件の建築は確かに有効ですが、当社が問題視しているのは賃貸需要を全く無視した相続税圧縮だけを目的に建築ラッシュが起こっていることです。
建設会社などは、家賃保証という名目で、一括借上(サブリース)を提案していますが、借入期間である30年間ずっと同じ賃料を保証することは現実的に不可能で、多くは保証家賃の減額交渉や場合によっては契約解除となり、賃貸経営が破綻します。
当社が相続税対策を考える場合、まず建築予定の土地が賃貸需要に向くエリアかどうか調査します。
そのうえで賃貸需要が今度も見込めそうであれば、他の会社と同様に新築物件建築を提案しています。
もし賃貸需要が見込めず、賃貸経営が成り立たないと判断した場合は、無理に建築を勧めるのではなく、次の2つの提案をします。
①土地を売却し、得た現金を手元に立地の良い収益物件を購入する
②土地はそのまま保有し、その土地を共同担保にしたうえで立地の良い収益物件を購入する
次回はこの①、②について詳しく解説し、アパートビルダーに騙されない相続税対策について見ていきたいと思います。
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監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。