マンションの修繕積立金とは?相場や気を付けるポイントを徹底解説!

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マンションを購入すると、物件そのものの代金に加えて修繕積立金を支払う必要があります。修繕積立金は、マンションを安全に維持するための重要な費用です。とはいえ、修繕積立金とはどのような費用なのか、具体的にはよく分かっていないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、マンションの修繕積立金の相場を解説します。修繕積立金に関して理解しておいた方がいい情報やマンションを購入する際に確認したいポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

修繕積立金とは

修繕積立金とは、マンションのメンテナンスを行うための費用です。マンションの長期修繕計画に基づいて積み立てられた修繕積立金を使用し、修繕工事が実施されます。ここでは、修繕積立金の概要について詳しく説明します。

長期修繕計画とは

長期修繕計画とは、マンションの修繕に関する具体的な計画です。年月が経てば少しずつマンションが劣化し、性能も低下していきます。住人が長く快適に住み続けられるようにするため、管理組合は長期修繕計画に沿ってマンションを修繕していきます。修繕積立金は、計画通りに修繕を進めるために必要なお金です。

建物の修繕の必要性については、さまざまなところで示されています。具体的には、建築基準法や「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」などです。建築基準法の第8条には、

”建築物の所有者、管理者または占有者は、その建物の敷地、構造および建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならない”

と記載されています。

引用:建築基準法

また、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は国土交通省が定めており、計画期間の目安は30年とされています。大規模修繕は計画期間中に2回以上必要です。

参考:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

具体的な修繕箇所

長期修繕計画では、マンションの建物そのものや設備に関するさまざまな修繕箇所を定めています。場所によって劣化が進むスピードは異なるため、修繕が必要になるタイミングもさまざまです。長期修繕計画で示される具体的な修繕箇所と修繕が必要なタイミングの一例をまとめると、以下のようになります。

【建物】

外壁塗装15年
防水工事15年
屋上防水補修12年
バルコニー床防水修繕12年
鉄部塗装の塗替4年

【設備】

給排水ポンプ補修8年
電灯設備の交換15年
インターホン設備の交換15年
自動火災報知設備の交換20年
ガス設備の交換30年
エレベーター設備の交換30年
立体駐車場設備の交換30年

なお、長期修繕計画の対象となるのは、基本的に共用部分のみです。専有部分の修繕は、長期修繕計画に含まれていません。

修繕積立金と管理費の違い

マンションを所有している場合、修繕積立金の他に管理費がかかります。すでに解説したとおり、修繕積立金は建物や設備の修繕のために使用されます。

一方、管理費は、マンションで暮らすうえで日常的に必要となる費用です。修繕積立金と管理費の使い道の違いをまとめると、以下のとおりです。

修繕積立金管理費
一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕にかかる費用、不足の事故の発生による修繕費用など管理委託費、火災保険料、共用部分の光熱費、管理組合運営費など

このように、修繕積立金と管理費の使い道はそれぞれ異なっています。ただし、マンションで快適に生活するためには、どちらも必要不可欠な費用です。

修繕積立金はなぜ必要?

マンションはコンクリートでできており、一般的な住宅と比較すると頑丈です。しかし、何年も直射日光や雨風にさらされ続ければ、少しずつ劣化が進んでいきます。マンションは規模が大きいため、短期間で修繕するのは困難です。よって、事前に長期修繕計画を立て、それに沿って修繕を進めていく必要があります。

また、建物の老朽化に伴う修繕工事は、基本的に所有者が自ら費用を出して対応しなければなりません。マンションのように大きな建物の修繕工事を実施するには、一部のみでも数百万円から数千万円の費用がかかるケースもあります。所有者全員で費用を出し合うとしても、一括で徴収するのは難しい場合が多いです。

そこで、修繕積立金として費用を積み立てておき、修繕が必要になるタイミングに備えています。修繕積立金により、マンションの所有者にとっての負担感を抑えられます。

修繕積立金の相場はどれくらい?

修繕積立金は、いくらが相場なのでしょうか。ここでは、一般的な修繕積立金の相場を紹介します。あわせて、適正額の目安や状況別の相場についても説明します。

修繕積立金の相場

平成30年度に国土交通省が実施した調査によると、修繕積立金の1ヶ月当たりの平均は12,268円となっています。ただしこの平均額には、駐車場使用料として徴収された費用からの充当分も含んでいます。マンションの共用部分の使用料はその場所の管理費に充てるだけでなく、修繕積立金として積み立てることもできるからです。

駐車場使用料などからの充当額を含まない修繕積立金の1ヶ月当たりの平均は、11,243円となっています。こちらの方が、修繕積立金として毎月徴収されている金額の平均により近いと言えるでしょう。

参考:Ⅱ.平成30年度マンション総合調査結果〔概要編〕

「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」から見る修繕積立金の目安

国土交通省は、マンションの修繕積立金の適切な運用を目的として「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を定めています。

このガイドラインには修繕積立金の基本的な考え方や長期修繕計画の作成方法などが示されており、修繕積立金の金額についても言及されています。示されている修繕積立金の金額は、実際に作成されたマンションの長期修繕計画の情報をもとにしたものです。

なお、ガイドラインは2021年9月に改定され、新築のマンションだけでなく既存のマンションにも適用できる内容に修正されました。

以下では、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」から分かる修繕積立金の目安を紹介します。

参考:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

修繕積立金の適正額の目安

「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、マンションの長期修繕計画の事例をもとに修繕積立金の適正額の目安をまとめています。示されているのは、1ヶ月当たりの1平方メートルにおける修繕積立金の金額です。事例の平均値を算出するだけでなく、事例の大部分が収まる幅も示されています。

修繕積立金の金額はそれぞれのマンションの状況によって大きく異なる場合も多いですが、この表示方法によって全体像を把握できるようになっています。実際に示されている専有床面積当たりの修繕積立金については、次項でまとめました。

ただし、機械式駐車場がある場合は修繕積立金が加算されるため、加算額については別途算出しなければなりません。具体的な専有床面積当たりの修繕積立金と機械式駐車場がある場合の加算額についても、追って詳しく解説します。

専有床面積当たりの修繕積立金

「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、20階未満のマンションを建築延床面積で区分した4つと20階以上のマンションの合計5つの区分に分けて修繕積立金の目安をまとめています。具体的な金額は以下のとおりです。

地上階数/建築延床面積事例の3分の2が包含される幅平均値
20階未満5,000平方メートル未満235~430円/平方メートル・月335円/平方メートル・月
5,000平方メートル以上~10,000平方メートル未満170~320円/平方メートル・月252円/平方メートル・月
10,000平方メートル以上~20,000平方メートル未満200~330円/平方メートル・月271円/平方メートル・月
20,000平方メートル以上190~325円/平方メートル・月255円/平方メートル・月
20階以上240~410円/平方メートル・月338円/平方メートル・月

参考:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

機械式駐車場がある場合の加算額

マンションの共用部分の使用料は修繕積立金として積み立てることになっているため、機械式駐車場がある場合は加算額が発生します。加算額の算出方法は以下の通りです。

「機械式駐車場の1台当たり月額の修繕工事費×台数÷マンションの総専有床面積(平方メートル)」

機械式駐車場の1台当たり月額の修繕工事費は、以下のとおりとなっています。

2段(ビット1段)昇降式6,450円/台・月
3段(ビット2段)昇降式5,840円/台・月
3段(ビット1段)昇降横行式7,210円/台・月
4段(ビット2段)昇降横行式6,235円/台・月
エレベーター方式(垂直循環方式)4,645円/台・月
その他5,235円/台・月

ただし、機械式駐車場の修繕工事を駐車場使用料で賄うなどの特別な取り決めがある場合は、必ずしもこの計算方法で加算額を算出する必要はないとされています。

駐車場使用料の修繕積立金への加算についてはマンションによって異なるルールが設けられている可能性があるため、実際の長期修繕計画をよく確認しましょう。

参考:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

築年数から見た修繕積立金の相場

国土交通省が実施した「平成30年度マンション総合調査」では、以下のとおりマンションの完成年次ごとに修繕積立金の平均が公開されています。

完成年次月/戸当たり修繕積立金の額
平成27年以降6,654円
~平成26年9,244円
~平成21年11,865円
~平成16年11,227円
~平成11年12,024円
~平成6年11,413円
~平成元年11,400円
~昭和59年11,077円
~昭和54年12,052円
~昭和49年9,903円
昭和44年以前26,356円
不明10,904円
全体平均11,243円

修繕積立金の額の平均はマンション全体で11,243円となっていますが、平成26年以降に建てられたマンションおよび昭和49年以前に建てられたマンションは平均以下となっています。

参考:平成30年度マンション総合調査

戸数から見た修繕積立金の相場

「平成30年度マンション総合調査」では、マンションにおける戸数ごとの修繕積立金の額についても以下のとおり言及されています。ただし、示されているのは毎月の1平方メートル当たりの修繕積立金です。

戸数月/1平方メートル当たり修繕積立金の額
20戸以下205円
21~30戸158円
31~50戸166円
51~75戸134円
76~100戸147円
101~150戸130円
151~200戸135円
201~300戸154円
301~500戸461円
500戸以上167円
不明118円
全体平均164円

戸数別に見ると、301~500戸の修繕積立金の平均が突出して高くなっています。大規模なマンションには特別な設備が設けられている場合も多いことが、他の戸数のマンションよりも修繕積立金の平均が高くなっている要因だと考えられます。

参考:平成30年度マンション総合調査

修繕積立金は値上がりするの?

修繕積立金は、後から値上がりする可能性もあります。ここでは、修繕積立金が値上がりする理由について詳しく解説します。

金額の初期設定が低い

新築マンションの修繕積立金の金額が低ければ、将来的に値上がりする可能性があります。すでに紹介したとおり、最近建てられたマンションの修繕積立金の金額は、平均よりも低い傾向があります。なぜなら、意図的に修繕積立金を低く設定し、毎月の負担額を抑えてマンションの販売を促進しようとするケースも多いからです。

しかし、修繕積立金が低いままでは大規模修繕に備えられないため、ある程度の年数が経つと修繕積立金の金額を値上げして対策しなければなりません。

新しいマンションの修繕積立金の金額が平均よりも低い場合は、将来的に値上がりする可能性があると考えた方がいいでしょう。

段階増額積立方式を採用している場合

多くのマンションでは、段階増額積立方式により修繕積立金を徴収しています。段階増額積立方式とは、一定の年数が経つごとに修繕積立金の金額を上げていく方式です。修繕積立金の金額が上がるタイミングはマンションによって異なり、5年や10年などの期間があらかじめ設定されています。

段階増額積立方式は、その時々で必要な修繕費用を負担するという考え方がもとになっています。そのため、マンションが建ってからそれほど年月が経っておらず、ほとんど修繕が必要ないうちは修繕積立金の金額も低めです。一方、年数が経つと修繕の必要性が増すため、それに合わせて修繕積立金の金額も高く設定される仕組みになっています。

段階増額積立方式の場合、マンションを購入した直後は修繕積立金の負担が少なくて済みます。ただし、マンションを長く所有すればするほど、修繕積立金の負担も大きくなるため要注意です。

なお、修繕積立金の積立方法は、段階増額積立方式の他に均等積立方式もあります。

均等積立方式とは

均等積立方式とは、将来的に必要になる修繕積立金の合計額を算出し、それを均等に割って毎月同じ金額を徴収する方式です。時期に関係なく常に同じ金額を徴収するため、自分たちが修繕積立金としていくら支払っているのか分かりやすいという特徴があります。

段階増額積立方式のように、マンションの所有期間が長くなるほど修繕積立金の負担額が増える心配もありません。ただし、マンションが新しいうちは、段階増額積立方式を採用している場合よりも修繕積立金として支払う金額が高くなる可能性があります。

国土交通省のガイドラインでは均等積立方式が推奨されているものの、現状では段階増額積立方式を採用しているマンションの方が多くなっています。

長期修繕計画になかった修繕の実施

修繕積立金は、基本的に長期修繕計画を実行するために徴収されます。管理組合は将来的なマンションの老朽化を想定して長期修繕計画を策定するため、基本的にはマンション全体の劣化や設備の故障などにも備えることが可能です。

しかし、長期修繕計画に含まれていない工事が必要になる可能性もゼロではありません。その場合、費用は積み立てられていないため、別途徴収が行われます。

たとえば、それまでなかった新しい設備を導入したり、共用部分をバリアフリー化したりするケースなどです。もともとの修繕積立金に上乗せして費用が徴収されるため、実質的には修繕積立金の値上がりとなります。

修繕費の相場が上昇

長期修繕計画は長い年月をかけて実行していくため、当初の想定よりも修繕費の相場が上昇する可能性もあります。その結果、もともと設定していた修繕積立金の金額では対応できなくなり、後から値上げが実行されるケースもあります。

マンションの修繕工事にかかる費用の内訳には、さまざまな費用が含まれています。たとえば、マンションの修繕を行うには人手が必要ですが、少子高齢化により労働人口も減少している状況です。人手が不足すると人件費も高くなるため、マンションの修繕工事にかかる費用を高騰させる原因になります。

また、修繕工事に使用する材料費や機械のリース代なども値上がりしています。当初の想定以上にこれらの費用が高騰すれば、修繕積立金の金額もさらに上がってしまう恐れがあるでしょう。

マンション購入を考える際のポイント

マンションを購入する際は、さまざまなことを確認する必要があります。ここでは、マンション購入を考える際に意識したいポイントを解説します。

修繕積立金・管理費は、中古より新築の方が安い

マンションを購入すると、修繕積立金や管理費などのランニングコストがかかります。これらの費用は、中古マンションより新築マンションの方が安い傾向です。すでに触れたとおり、新築マンションは売れ行きをよくするために、修繕積立金や管理費などをあえて低く設定するケースが多いからです。

ただし、マンションで快適に暮らせる状態を維持するには、当然ながらある程度以上の修繕積立金や管理費が必要になります。よって、新築マンションの場合、購入後しばらく経ってから修繕積立金や管理費が高くなる可能性もあります。物件を購入する際は、修繕積立金や管理費が相場と比べてどの程度の金額になっているかについても確認しておいた方が安心です。

相場が値上がりすることもある

すでに説明したとおり、マンションの修繕積立金は平均11,243円となっています。しかし、この金額はあくまでも現在の平均であり、修繕積立金の相場は今後値上がりする恐れもあります。相場が値上がりすれば、自分が所有しているマンションの修繕積立金も値上がりする可能性が高いです。

相場が値上がりする原因としては、すでに紹介したとおり人件費、材料費、工事費などの高騰が挙げられます。その背景には少子高齢化や物資の不足などさまざまな問題があるため、値上がりを抑えるのは簡単ではありません。マンションを購入するうえでは、修繕積立金の相場が値上がりする可能性も考慮しておく必要があります。毎月の負担が多少増加したとしても、無理なく支払えそうか検討しましょう。

返済計画を立てる

マンションを購入すると、ローンの返済額、修繕積立金、管理費などさまざまな費用を支払う必要があります。ローンの返済額は購入したマンションの価格やローンの組み方などによって決まるため、人によっても大きく異なる可能性があります。

ただし、毎月の支出の大部分をマンションのローンの返済が占めるケースが多いです。30年程度かけて完済を目指すパターンも多いので、将来の家計の状況まで考慮して返済計画を立てなければなりません。

ローンの返済額と修繕積立金や管理費を合わせ、毎月どの程度の金額を支払う必要があるか確認しましょう。今後かかる生活費や教育費なども考慮し、無理なく家計を維持できるかどうかしっかりシミュレーションしてみることが大切です。

修繕積立金の滞納がないか確認する

中古マンションを購入する場合は、前の持ち主が修繕積立金を滞納していないかどうかもチェックする必要があります。きちんとしている仲介会社なら、修繕積立金の滞納がある物件については事前に説明してくれます。

万が一説明がなかったとしても、修繕積立金の滞納については重要事項説明書に必ず記載されているため、よく確認しましょう。

契約前に多額の修繕積立金の滞納があると分かったときは、契約を見送るのも選択肢のひとつです。また、滞納になっている修繕積立金の全額を前の持ち主に支払ってもらうよう交渉し、契約を進めるケースもあります。さらに、マンションの購入価格から滞納分の修繕積立金の金額を差し引いてもらえる可能性もゼロではありません。

なお、マンションの購入後は自分たちも修繕積立金を滞納しないよう、毎月きちんと支払うことが大切です。滞納が発生すると督促が行われ、それでも支払われないときは差し押さえや競売などの法的措置がとられる可能性もあります。

平均相場と比較する

マンションを購入する際は、修繕積立金が平均相場と比較して安すぎないか確認しましょう。新築マンションの修繕積立金は安めに設定されている場合もありますが、それでも1戸当たりの毎月の平均額は6,600円程度となっています。修繕積立金があまりにも安すぎると必要なときに工事を実施できなくなる恐れもあるため、注意が必要です。

また、修繕積立金が平均相場よりも高い場合は、マンションにどのような設備が付いているのか改めて確認してください。マンションにさまざまな設備が付いているとその分だけメンテナンスが必要な箇所も増えるため、修繕積立金の金額も高くなります。自分たちがほとんど使用しない余計な設備が多ければ、無駄な修繕積立金を負担しなければならなくなります。修繕積立金の負担を抑えるためには、自分たちにとって必要な設備のみを備えるマンションを選ぶことが重要です。

売却時に修繕積立金は返金されない

マンションを売却する場合、過去に支払った修繕積立金は返金されません。マンションを売却するタイミングでまだ修繕工事が行われていなかったとしても、修繕積立金は返金されないことになっています。

なぜなら、一度徴収された修繕積立金は、管理組合の財産になるという考え方が一般的だからです。このことは管理規約で定められているケースが多く、裁判で要求しても返金を受けられない可能性が高いです。

マンションを所有している間は、修繕積立金を支払わなければいけません。滞納すると督促や法的措置の対象になる恐れもあります。将来的にマンションの売却を考えている場合でも、修繕積立金は滞りなくきちんと支払えるよう資金を準備しておきましょう。

修繕積立金の重要性

修繕積立金は、マンションの建物の劣化や設備の故障などに備えるための重要な資金です。マンションに安心して住み続けるには、修繕積立金をきちんと支払う必要があります。ここでは、修繕積立金について重要なポイントを改めて確認しておきましょう。

修繕積立金はいつまで払う?

修繕積立金は、マンションを所有している限りずっと支払う必要があります。一度大規模な修繕を終えたとしても、そこから時間が経てば再び建物や設備が劣化して修繕が必要になる可能性があるためです。

よって、マンションのローンの返済を終えた後も、修繕積立金の支払いは続きます。修繕積立金はマンションで安心して暮らし続けるために重要な費用であるため、毎月滞りなく支払えるよう資金の計画を立てておく必要があります。

修繕積立金は毎年同じ金額ではない

すでに解説しているとおり、修繕積立金の金額はずっと同じとは限りません。新築マンションは修繕積立金の金額が低く設定されている場合もあり、後から必要に応じて金額が上乗せされる可能性もあります。

多くのマンションでは、一定の年数ごとに修繕積立金の金額が上がっていく段階増額積立方式を採用しています。よって、マンションを購入してから時間が経つと、修繕積立金の金額が増えるパターンは多いです。

また、大規模修繕のために見積りをとったところ、想定よりも金額が高いために修繕積立金の見直しが実施されるケースもあります。また、修繕工事の人件費、材料費、工事費などが高騰し、当初の計画以上に費用がかかる場合もあるでしょう。

修繕積立金の不足が判明した場合

毎月きちんと修繕積立金を徴収しているマンションでも、修繕積立金の不足が判明する場合はあります。修繕積立金が不足していれば、当然ながらマンションに必要な修繕ができません。修繕積立金の不足が発覚した場合はまず長期修繕計画を見直し、本当にそれらの修繕工事がそのタイミングで必要なのか検討することが大切です。すぐに工事をしなくてもいい内容については、あらためて最適な時期を設定しましょう。

また、修繕積立金の不足が判明した際は、管理会社についても改めて見直すことをおすすめします。管理会社へ依頼した後は業務を任せきりにしてしまうケースも多いですが、マンションの管理が適切に行われているか定期的にチェックした方がよいでしょう。より適切な長期修繕計画を立てて修繕工事を行える管理会社に切り替えれば、さらに安心して暮らせるようになります。

当社マンション管理士のひと言

マンションの管理の適正化に関する指針でも示されているとおり、マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要です。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要となります。

修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知することで透明性に配慮しつつ、各区分所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進めていくことが必要です。

まとめ

毎月の1戸当たりの修繕積立金の平均は11,243円となっていますが、築年数や設備の充実度によっても実際の金額は異なります。また、修繕積立金はマンションを所有している限りずっと支払う必要があり、年月の経過とともに金額が変化する可能性もあります。

マンションの修繕積立金は、マンションの建物や設備を適切な状態に保つための重要な資金です。修繕積立金を適切に使用するには、マンションの実際の状況に即した長期修繕計画を立てておかなければなりません。修繕積立金の不足や修繕に関して何らかの問題が発覚した場合は、管理組合で話し合いながら管理会社の変更も検討しましょう。

監修者

黒木 淳/大和財託株式会社 マンション管理士・マンション管理シニアコンサルタント

【保有資格】
管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

【プロフィール】
損害保険調査業、鉄道系大手分譲マンション管理会社を経て、大和財託株式会社に入社。
所有者にとって最適な物件管理を提案することを重視し、「大切な資産」であるマンションを守るため、各オーナー様の物件管理をサポート。

【メッセージ】
分譲マンションの問題が多様化する昨今、当社は大規模修繕工事は当然、税務や管理運営まですべての分野に対応できることが強みです。
長年、マンション管理に携わってきた経験を活かし、管理組合様、理事長様のニーズに寄り添ったサービスを提供し、皆様の快適な暮らしをサポートいたします。
お気軽にご相談ください。

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