マンション管理適正評価制度とは?登録するメリット・デメリットや申請方法を解説 

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マンション管理適正評価制度は、マンションが適切に運営されているかを一目で分かるようにした新しい制度です。管理組合の体制や建物・設備の維持管理の状態などを第三者が評価します。制度に登録することで、マンションの市場価値向上や管理組合の円滑な運営といった効果が期待できるのが利点です。本記事では、制度の概要や登録するメリットとデメリット、申請の流れなどを解説します。国による管理計画認定制度との違いや高得点を取るコツも説明しますので、ぜひ参考にしてください。 

マンション管理適正評価制度とは何か

マンション管理適正評価制度は、マンションそのものの管理状態や管理組合の体制・収支状況などをチェックして公開する制度で、一般社団法人マンション管理業協会が運営しています。 

評価項目は管理体制や建物・設備の状態など5つのカテゴリーに分類され、項目数は30項目です。評価の結果はゼロから5個までの星の数を使って6段階で示され、マンション管理業協会の「マンション管理適正評価サイト」上で公開されます。 

国土交通省「マンションに関する統計・データ等」によると、2021年末時点の全国の分譲マンション戸数は685万戸あり、このうち築40年超は115万戸に上ります。2031年末には249万戸、2041年末には425万戸となる見込みです。 

老朽化すれば修繕費が増え、管理組合の財政悪化の可能性が高まります。長く良好な居住環境を確保するためには、維持管理を適正に行い、経年劣化の抑制を図ることが欠かせません。制度はこうした目的を果たすため、2022年4月にスタートしました。評価結果は毎年更新されるため、最新の状態が閲覧できます。 

評価・申請の時期は決まっていない 

マンション管理適正評価制度で、評価や申請を行う時期は決められていません。マンション管理組合や管理会社の都合が良い時期に実施できます。評価はマンション管理業協会が指定する講習を修了した管理業務主任者によって行われます。 

マンション管理計画認定制度との違いを解説 

マンション管理適正評価制度が始まった2022年4月には、改正マンション管理適正化法が施行され、法に基づくマンション管理計画認定制度もスタートしました。 

マンション管理計画認定制度は、マンション管理組合が作成した管理計画を地方公共団体に申請し、基準を満たしていれば認定を受けられる制度です。 

マンション管理適正化法の目的は、マンションの資産価値を守るとともに快適な住環境を確保することです。マンションの管理状態は従来、それぞれの管理組合に委ねられていました。しかし、築年数の経過とともに老朽化したマンションが増え、今後も老朽マンションの増加が見込まれています。所有者の高齢化、賃貸あるいは空室の増加、管理組合の担い手不足などさまざまな課題も想定されることから、維持管理の適正化を進める必要性が高まっています。こうした状況を受け、国はマンション管理計画認定制度を創設し、行政がマンションの維持管理に関与できるようにしたのです。 

マンション管理適正評価制度とマンション管理計画認定制度の違いは次のとおりです。 

マンション管理適正評価制度とマンション管理計画認定制度の違い 

制度名 マンション管理適正評価制度 マンション管理計画認定制度 
運営主体 マンション管理業協会 地方公共団体 
目的 マンションの維持管理状態の明確化 マンションの維持管理計画の策定と遵守 
概要 専門家がマンションの管理状態などをチェックして評価結果を公開 マンション管理組合が作成した管理計画が一定の基準を満たす場合に認定 
対象 全国のマンション 地方公共団体が管理適正化推進計画を作成した地域にあるマンション 
評価項目 管理体制や管理組合の収支など30項目 管理組合の運営、管理規約、長期修繕計画の作成など16項目と地域の独自基準 
判定 6段階評価 認定か否か 
法令の有無 なし マンション管理適正化法 
期間 1年ごとに更新 5年ごとに更新 
申請方法 管理組合が管理会社などの評価者を通じてマンション管理業協会に申請 管理組合が地方公共団体か公益財団法人マンション管理センターを通じて申請 

マンション管理適正評価制度もマンション管理計画認定制度も、マンション管理組合が申請して評価を受ける制度です。法に基づくマンション管理計画認定制度は、地方公共団体が定める管理適正化推進計画の対象地域にあるマンションが対象になりますが、マンション管理業協会が運営主体となるマンション管理適正評価制度は、全国のマンションが対象です。 

2022年12月末時点の国土交通省「マンション管理適正化推進計画の作成動向」によると、政令指定都市と特別区ではすべての市区において管理適正化推進計画を作成する意向があります。また、県庁所在地の市区と中核市では、9割超で作成意向がありました。2022年度末時点では6割超、2023年度末時点では8割超のマンションが認定制度の対象となる見込みです。 

評価項目は、管理組合の体制や長期修繕計画に関するものなど類似する部分が多いですが、管理計画認定制度は16項目程度なのに対し、管理適正評価制度は30項目に上ります。判定は、管理計画認定制度では5年ごとに認定するか否かが判断されるのに対し、管理適正評価制度は星ゼロから5つまでの6段階で毎年更新されます。これらのことから、民間団体が行うマンション管理適正評価制度は、国が定めたマンション管理計画認定制度を補完する役割があるといえるでしょう。 

なお、地方公共団体は、マンション管理適正化法に基づき、管理適正化のために必要に応じて助言や指導等を行うことができます。 

マンション管理適正評価制度における評価項目を確認 

マンション管理適正評価制度では、様々な評価項目を通じてマンションの管理状況がチェックされます。主な評価項目について解説します。 

評価項目の一覧表 

マンション管理適正評価制度の評価項目は、次の表のように大きく5つのカテゴリーに分類されます。カテゴリーはさらに合計30の評価項目に細分され、それぞれ達成しているかどうか、あるいは達成の程度によって配点が決められています。 

マンション管理適正評価制度の評価項目 

カテゴリー 評価項目・内容 配点 
管理体制 合計20点 管理者等が設置されているか -5か1 
集会(総会)が年1回以上開かれているか -5か4 
直近5年分の総会議事録があるか -5か4 
管理規約の原本または有効な規約があるか 0か3 
管理計画認定基準項目に掲げられている内容が規約に規定されているか 0か4 
標準管理規約に準拠して主要改正項目が規定されているか 0~4 
建物・設備 合計20点 特定建築物定期調査の実施状況 -5か0 
建築設備定期調査の実施状況 -5か0 
昇降機定期調査の実施状況 -5か0 
専用水道定期水質検査の実施状況 -5か0 
簡易専用水道管理状況検査の実施状況 -5か0 
貯水槽の清掃の実施状況 -5か0 
浄化槽の保守点検、清掃、定期検査の実施状況 -5か0 
消防用設備等点検の実施状況 -5か0 
自家用電気工作物定期点検の実施状況 -5か0 
長期修繕計画が作成されているか -5~10 
共用部分の修繕等の履歴情報保管状況(直近5年間分) 0~10 
管理組合収支 合計40点 管理費会計と修繕積立金会計が区分経理されているか -2か2 
修繕積立金会計から管理費会計等への充当がないか -5か5 
修繕積立金の資金計画は適切か 0~12 
管理費の滞納戸数 -4~4 
管理費滞納住戸における滞納期間と対応状況 -4~4 
管理費の3ヶ月以上の滞納状況 -4~4 
修繕積立金の3ヶ月以上の滞納状況 -4~4 
修繕積立金の額が低すぎないか -5か5 
耐震診断関係 合計10点 新耐震基準の建物または耐震診断および耐震改修を実施している建物か 0~10 
生活関連 合計10点 警報発報時の緊急対応体制があるか 0~3 
消防訓練の実施状況 -5~3 
所有者・居住者名簿を備えているか 0か1 
災害への対策が講じられているか 0~3 

出典:マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度管理状態等級評価項目一覧表」 

評価項目の点数配分 

マンション管理適正評価制度における評価結果は、それぞれの評価項目の点数を加減した合計により、6段階で表示されます。 

評価と点数 管理状態 
星5つ=90~100点 特に優れている 
星4つ=70~89点 優れている 
星3つ=50~69点 良好 
星2つ=20~49点 改善が必要 
星1つ=1~19点 管理に問題があるが、情報開示あり 
星ゼロ=0点以下 管理不全の疑いあり 

出典:マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度」 

マンション管理適正評価制度を利用するメリットとは 

マンション管理適正評価制度を利用する主なメリットは、マンションの市場価値アップが期待できることと、管理組合を運営しやすくなることです。それぞれ詳しく解説します。 

マンションの市場価値アップが期待できる 

マンション管理適正評価制度の登録により、市場価値アップが期待できます。マンションは「管理を買え」と言われるほど管理状態が重要です。同じ築年数でも管理状態によって価値が大きく異なることもあるからです。評価制度の利用で高い得点を得ることで、評価が低いあるいは情報開示がない物件に比べて売却時の価格上昇が期待できます。 

管理組合を運営しやすい 

マンション管理適正評価制度に登録することで、管理組合の運営が円滑になる効果も期待できます。制度の評価項目は30にも上り、登録して高い評価を目指すことで、管理組合の目標が明確になるからです。管理体制を改善するために意識すべき点、建物や設備の状態を保つために実行すべきポイントなどを常に意識できるようになるでしょう。 

マンション管理適正評価制度を利用するデメリットも確認 

マンション管理適正評価制度を利用するデメリットは、登録料として5,500円がかかる点です。登録料はマンション管理業協会のシステムに情報を登録し、サイト上で公開してもらうための費用になります。表示期間は公開から1年ですが、期中に評価結果を更新する場合は3300円の更新料がかかります。 

このほか、管理状態の評価を行う管理会社等に対する手数料も必要です。手数料は評価者ごとに自由に設定されています。また、制度登録には一定の事務手続きも必要なため、仕事や生活で忙しい人が管理組合の役員を務めている場合には負担となる可能性もあるでしょう。 

マンション管理適正評価制度の申請の流れを解説 

マンション管理適正評価制度で評価結果が公開されるまでの流れは、以下のようになります。 

  1. 管理会社に登録申請を依頼する 
  2. 管理状態をチェックしてもらう 
  3. 評価結果をマンション管理業協会に登録する 
  4. マンション管理適正評価サイトで評価結果が公開される 

マンション管理組合が制度に登録する場合、まずは総会決議を経て管理会社に登録申請を依頼します。この際、総会前に管理状態を点検しておくとよいでしょう。マンションを管理組合が自主管理している場合は、マンション管理業協会に相談してください。 

管理状態のチェックを行うのは、マンション管理業協会が指定する講習を修了した管理業務主任者です。評価項目として設定されている各種要素に対して、どの程度準備が整っているか、また適切な運用が行われているかなどを点検します。 

管理会社がチェックを終えたら、評価結果がマンション管理業協会のシステムに登録され、協会のマンション管理適正評価サイトで公開される流れになります。 

高得点をとるためのコツを確認 

マンション管理適正評価制度で高得点を獲得するのは、マンションの価値を高めるために重要です。ここでは、高得点をとるためのコツを解説します。 

議事録や管理規約を整備する 

マンション管理適正評価制度で高得点を獲得するコツの1つ目は、議事録や管理規約を整備することです。評価制度では、得点を重ねることに加え、マイナスを防ぐことも重要です。例えば、総会は年1回以上開催することで4点加算されますが、未開催だとマイナス5点となってしまいます。議事録は直近5年間が保管されていれば4点獲得できるのに対し、1年分でも欠ければマイナス5点の評価です。 

マンション管理規約については、原本か有効な規約があれば3点加点されます。さらに、国土交通省が公開している「標準管理規約」に準拠していることも重要です。暴力団の排除規定や修繕積立金に関する定め、管理費の滞納に対する定めなどの項目が規定されているかも評点に影響するので注意してください。 

長期修繕計画を見直す 

長期修繕計画を見直すことも、マンション管理適正評価制度で高得点を獲得するポイントになります。国土交通省は2021年9月、マンションの長期修繕計画作成ガイドラインなどの見直しを行い、従来「25年以上」としていた既存マンションの長期修繕計画期間を、2回の大規模修繕工事を含む「30年以上」に変更しました。 

このため、工事計画と資金計画が30年時点で黒字となる計画であるかが重要となります。国交省ガイドラインに沿ったバランス良い計画が高得点につながります。 

修繕積立金は一般的に新築分譲時には低めに設定され、年数の経過とともに段階的に引き上げられるケースが多いです。不足分を補うため一時金が設定されるケースも少なくありません。このような段階増額方式では、資金の確保が不安定となる恐れがあるため、マンション管理適正評価制度では配点が3~10点にとどまります。一方、計画期間の推定工事費よりも積立金累計額の方が多くなりやすい均等積立方式は、配点が7~12点と高めに設定されています。 

耐震性をチェックする 

マンション管理適正評価制度で高得点を得るコツの3つ目は、耐震性をチェックすることです。マンションは、1981年5月31日までの建築確認で建てられた場合は「旧耐震基準」、1981年6月1日以降の建築確認で建てられた場合は、震度6~7程度の地震でも倒壊しないとされる「新耐震基準」となっています。 

評価制度では、新耐震基準であれば10点加点されますが、旧耐震基準では、耐震診断や耐震改修などの実施状況に応じて0~10点と幅があります。具体的には、耐震診断を実施し、耐震性に問題がない場合は10点です。また、耐震性に問題はあるものの耐震改修済みなら10点獲得できる一方、改修予定があるだけでは5点、予定がない場合は2点となり、そもそも耐震診断を実施していない場合は0点となってしまいます。 

耐震診断を実施していなかったり、耐震改修を見送ったりしているなら、マンション管理適正評価制度への申請を機に取り組むことをおすすめします。 

当社コンサルタントのひと言 

マンション管理的施評価制度も、マンション管理計画認定制度も、いずれもマンションの管理状況を客観的に評価する項目が定められていることに変わりはありません。つまり、それぞれのチェック項目を満たせば適正な管理に近い状況であると言えるでしょうか。 

ただし、チェック項目を満たすだけではなく、なぜチェック項目となっているかを理解し、自身のマンションに合った管理計画を立てていくことが適正なマンション管理につながるでしょう。 

まとめ 

マンション管理適正評価制度は、マンションの管理状況を客観的に評価し、結果を公開する制度であり、マンションの価値向上に寄与します。議事録や管理規約の整備、長期修繕計画の適正化、耐震性確保などの目標が明確になることで、管理組合の運営が円滑になる効果もあるでしょう。マンションの暮らしの質を高めるためにも、マンション管理適正評価制度を積極的に活用することをおすすめします。 

監修者

黒木 淳/大和財託株式会社 マンション管理士・マンション管理シニアコンサルタント

【保有資格】
管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

【プロフィール】
損害保険調査業、鉄道系大手分譲マンション管理会社を経て、大和財託株式会社に入社。
所有者にとって最適な物件管理を提案することを重視し、「大切な資産」であるマンションを守るため、各オーナー様の物件管理をサポート。

【メッセージ】
分譲マンションの問題が多様化する昨今、当社は大規模修繕工事は当然、税務や管理運営まですべての分野に対応できることが強みです。
長年、マンション管理に携わってきた経験を活かし、管理組合様、理事長様のニーズに寄り添ったサービスを提供し、皆様の快適な暮らしをサポートいたします。
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