家賃滞納が起きたらどうすべきか? 具体的な対処法と未然に防止するポイントを解説

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賃貸不動産のオーナーにとって、頭の痛い問題の一つが家賃滞納です。滞納が長期化して想定していた家賃が見込めなくなると、オーナーにとってはさまざまな支障がでてくるでしょう。円滑に賃貸経営を行うためには家賃滞納が発生したとき、どのように対処すればいいのか知っておく必要があります。この記事では、実際に家賃滞納が発生した際の対処法はもちろん、絶対にやってはいけないことも詳しく解説します。また、家賃滞納を未然に防止するポイントも紹介しますので参考にしてください。

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家賃滞納とは

家賃滞納とは期限までにオーナーに支払うべき家賃が支払われず、滞ってしまうことを指します。経済的に困窮していたり、浪費癖があるために家賃分を使い込んでしまったりなど、人によって滞納する理由はさまざまです。ここからは家賃滞納について、具体的に掘り下げていきます。

家賃滞納は一定確率で発生する

賃貸経営をしていると、どうしても一定の家賃滞納が発生するのは避けられません。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が行った調査によると、2021年度の「月末時点での1ヶ月滞納率」は全国で0.9%でした。首都圏だけに絞ってみると0.5%、関西圏では1.7%、その他のエリアでは2.3%など、多少の数値に違いはあるものの、家賃滞納が一定確率で発生しているのが分かります。(2023年4月15日時点)

同じく2021年度の「月末での2ヶ月滞納率」をみてみると、全国では0.4%で1ヶ月滞納率よりは下がっています。地域別でも首都圏で0.3%、関西圏で0.8%、その他エリアで0.8%と下がってはいるものの、どのエリアでも滞納が発生していることには違いありません。(2023年4月15日時点)

ただし、1ヶ月滞納率より2ヶ月滞納率のほうが下がっていることから、滞納を2ヶ月まで長引かせず、1ヶ月だけにとどめているケースもあることが推測できます。もちろん、悪質な滞納者がいることは考えられますが、ついうっかり支払いを忘れてしまっていただけの入居者もいる可能性があるでしょう。

出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 第26回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』
https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan26.pdf

家賃滞納と「信頼関係の破壊」

賃貸不動産のオーナーと入居者の関係は、「この金額でこの部屋を貸す・借りる」という契約で成り立っています。家賃が支払われないということは、この契約が守られていないということです。通常の契約関係の場合は、債務不履行があれば契約を解除できます。賃貸借契約においても家賃滞納は債務不履行に該当し、契約解除の理由にはなります。

ただし、賃貸借契約を規定する借地借家法は入居者を保護する性格が強い法律なので、オーナーからの契約解除のためには「正当事由」が必要となれます。正当事由が成立するためには、オーナーと入居者による当事者間の信頼関係が破壊されなければならないとされています。一度きりの売買契約などとは異なり、賃貸借契約では1~2ヶ月程度家賃を滞納したからといって、すぐさま契約解除をすることができません。

つまり、契約に対する違反はあったとしても「うっかり家賃の支払いが遅れただけ」など、信頼関係の破壊とまではいえないケースでは契約解除はできないということです。

未回収分も課税される

家賃滞納が発生すると、当然ながらその分の家賃はオーナーのもとに入ってきません。しかし、滞納された家賃の未回収分は会計上、そのままでは不動産所得として算入され、課税の対象になります。

会計処理の方法には売上が発生した時点で収入も計上される発生主義会計と、実際に現金が入ってきたときに計上する現金主義があります。現金主義会計を採用するためには青色申告であることのほか、前々年の不動産所得及び事業所得の金額の合計額が300万円以下など、いくつかの条件をクリアしなければなりません。現金主義会計を採用している場合は未回収分を収入に計上しなくてもかまいませんが、発生主義会計では未回収であっても家賃収入があったものとして計上する必要があります。

もし、滞納されている家賃の回収が不可能になった場合、事業的規模で貸倒損失として認められれば、経費としての計上が可能です。事業的規模でない場合は、収入として計上した年にさかのぼって確定申告を修正することで還付が受けられます。

家賃滞納が発生したときの対処法

では、実際に家賃滞納が発生した際、どのような手順で対処すればいいのでしょうか。家賃滞納が発生したからといって、いきなり法的手段に訴えるのはおすすめできません。まずは滞納が発生してから時間が経たないうちに対処できる方法について、順を追って解説します。

①管理会社と相談

賃貸経営を行っているオーナーの多くは家賃の入金チェックも含め、物件の管理を管理会社に委託しているのではないでしょうか。そのため実務上は、管理会社からの連絡で問題の発生を把握することが多いはずです。管理会社は毎月オーナーに代わって家賃が入金されているかどうかチェックし、状況をオーナーに報告します。

入居者に遠慮して、1ヶ月くらいの滞納なら騒ぎ立てなくてもいいのではないかと考えるかもしれませんが、家賃滞納への対処は最初が肝心です。もし、滞納が発生していることが分かったら、管理会社としっかり打ち合わせをしましょう。それ以降の具体的な対応は管理会社が行ってくれますが、今後の対策についてはここで相談しておいてください。

②電話で連絡する

家賃を滞納している入居者に対し、1回目は電話で督促を行うのが一般的です。家賃を滞納したといっても、単に忙しくて支払期日を忘れていた、口座振替に使っている口座の残高が足りていなかったなど、悪意がないケースも珍しくありません。単にうっかりしていただけならば、すぐに支払いに応じてくれる可能性も高いでしょう。

直接話ができれば支払いが遅れた理由や、いつごろ入金してくれるかの目安も聞けます。支払う意思があるのかどうかも、ある程度見極めることが可能です。特に悪意がなく、単にうっかりしていただけの場合、いきなり突然本格的な督促状を送付すると、良好な関係が崩れる懸念もあります。まずは支払いが遅れていることの「連絡」という意味合いで、電話連絡を入れるのがポイントです。

③督促状を送る

電話で連絡しても一向に出てくれないなど、連絡がつかないこともあり得ます。振り込め詐欺などの電話が横行している状況下では、なかなか知らない番号からの電話には出てくれない可能性があるかもしれません。ただ、何度電話でコンタクトを取ろうとしても取れない場合は注意が必要です。

もし、直接連絡がつかないようなら、次は書面での督促状送付です。督促状では家賃の支払い期日が過ぎても入金が確認できないことや、早急に入金をお願いする旨を伝えます。督促状が届くまでにタイムラグがあることも考慮して「行き違いに入金を済ませてくれている場合はご容赦ください」などと締めくくり、1回目はやんわり督促を行いましょう。それでも返事がなければ、次は支払いの期日を指定し、連帯保証人に連絡することも記載するなど、強めの文章で2回目の督促状を送ります。

④催告を行う

督促状を送っても音沙汰がなく、家賃滞納が継続するようなら、次は契約解除も視野に入れた催告を行うことになります。オーナー側としては督促状を送付したことで督促を行ったことを主張できると思うかもしれませんが、督促状では家賃滞納者側が受け取ったことまでは証明できません。そこで、次の段階では、配達証明付きの催告書の書面を内容証明郵便で送ります。

内容証明郵便は郵便局が「いつ・誰が・誰に・どのような内容の文章を送ったか」ということを、公的に証明してくれる仕組みです。そのため、受け取った人は、督促されたことを知らないという言い訳が通らなくなります。書面は「期日までに支払いがなければ賃貸借契約を解除する」という一文も含むような、強い調子の内容です。

⑤家賃滞納者を訪問する

催告を行うのと同時に、家賃滞納者のもとを直接訪問することも検討しましょう。電話や督促状の送付では反応がなかった場合でも、訪問を受けることで家賃滞納者にとっては、支払わなければならないというプレッシャーがかかります。

なかには連絡が取れなかった家賃滞納者が実は部屋の中で倒れていたり、失踪してしまっていたりする場合もあり得ます。そこまで深刻な状況でなくても、滞納が発生している理由があるのかどうか把握する有効な手段です。訪問するのには時間も手間もかかりますが、現地の状況を確認しておくことはその後の対策を検討するうえでも大事になります。家賃滞納が継続するようなら次は法的手段に訴えることになるため、できれば催告・訪問の段階で承認してもらえるようにしたいところです。

督促に応じない場合の法的手段

電話での連絡や督促状の送付、内容証明郵便による催告まで行っても応じてくれないようならば、次は法的手段へと進みます。家賃滞納に対して利用が可能な手続きには以下で詳しく解説する「建物明渡し訴訟」と「支払督促」、「少額訴訟」の3種類があります。

①建物明渡し訴訟

督促に応じてくれない家賃滞納者に対し、法的な手続きで退去させる方法が建物明渡し訴訟です。建物明け渡し訴訟では、まず訴状や賃貸借契約書、契約解除の通知書、物件に関する不動産登記簿謄本や固定資産評価額証明書などの書類をそろえて申し立てを行います。なお、明け渡し訴訟では明け渡しを求めるだけではなく、滞納家賃の請求も可能です。

通常、申し立てを行ってから裁判が開始されるまでに、2~3ヶ月程度かかります。申し立てを行っても家賃滞納者が争ってこない場合は、オーナー側の請求に沿った判決が下される可能性が高いでしょう。しかし、争う姿勢を見せた場合は両者の言い分を聞いたうえで最終的な判決が下されるため、さらに1~2ヶ月の期間がかかります。

建物明渡し訴訟で判決が出されても、実際に家賃滞納者を立ち退かせたり滞納家賃を支払わせたりする執行力がありません。そこで判決の効力を持たせるために、判決後は執行文付与の申し立てを行う必要があります。加えて判決の送達が完了していることを示す送達証明書を取得し、強制執行へと手続きを進めます。

②支払督促

建物の明け渡しまでは求めないものの、滞納家賃は回収したいというケースでは支払督促を利用できます。支払督促は金銭の支払または有価証券もしくは代替物の引渡しを求める場合に限り、裁判所が申立人に代わって支払いの督促状を送ってくれる、れっきとした法的手段です。

申し立てに意義が出されると、通常の訴訟手続きへと進みます。意義が出ないまま2週間経過すれば申立人は30日以内に仮執行宣言の申し立てができるようになり、仮執行宣言が出れば強制執行手続きが可能です。仮執行宣言が出された支払督促に対しても2週間以内は家賃滞納者から異議申し立てが出る場合があり、もし意義が出されれば通常の訴訟手続きで審理されることになります。

オーナーや管理会社から届く督促状では反応がなくても、裁判所から送付されてくる法的な根拠のある支払督促に対しては、家賃滞納者も滞納家賃を支払う意向を見せる可能性があります。支払督促は訴訟を行うのに比べて手続きが簡素かつ、手数料も半額程度で済む法的手段の一つです。

③少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求めるケースに限って利用できる訴訟手続きです。少額訴訟は簡易裁判所で取り扱われる民事訴訟の一つで、紛争の解決を迅速に行えるように設けられました。相手方が少額訴訟の手続きに反対しない限り、通常の訴訟とは違って原則1回で審理を終え、判決が言い渡されます。

訴訟の段階でも話し合いで解決できる余地があれば和解となるケースもありますが、どちらにしても法的な効果のある方法です。判決に対して家賃滞納者が不服のある場合、2週間以内ならば異議申し立てができます。申し立てが出されれば通常の訴訟手続きで審理が続けられることになりますが、地方裁判所への控訴はできません。

家賃滞納者が期日に出頭しなかったり、主張を争う書類の提出をしなかったりすれば、オーナー側の言い分を認めたものとみなされるため、オーナー側の言い分通りの判決が下されます。1ヶ月半程度で訴訟手続きを終えることができるため、それほど複雑な内容でなければおすすめの方法です。

オーナーがやってはいけないこと

家賃滞納は債務不履行だからといって、オーナー側が何をしてもいいとは限りません。最悪の場合、刑事罰を受けることがあるため対応には注意が必要です。ここからは家賃滞納が発生したとき、オーナーが絶対にしてはいけないことを解説します。

玄関やポストに督促の張り紙

オーナーにとって、家賃滞納は放置しておけない問題に違いありません。しかし、家賃滞納はあくまでも貸主であるオーナーと、借主である家賃滞納者との間の問題です。第三者に家賃を滞納している事実を知らせることは、名誉毀損にあたる可能性があります。

実際に1ヶ月分の賃料督促で貼り紙をドアに貼り付けた2014年の事案では、督促方法として社会通念上相当性を欠く違法なものであったと判断されました。「支払わなければ鍵を替える」など、高圧的な文章を使うのもいけません。ただ、「○月分の家賃が未払いになっているため、お支払いください」のような単なる連絡の意味合いであっても、第三者の目に触れるような状況にしてしまうと名誉毀損に該当すると判断されることがあり得ます。

連帯保証人以外に督促や連絡

玄関やポストへの督促の貼り紙と同様に、第三者への督促も名誉毀損にあたる可能性があります。入居者が支払いできず、連帯保証人に督促がいけば連帯保証人は支払う責任を負っています。一方で、たとえ親兄弟などの身内であっても、連帯保証人になっていなければ債務者ではありません。

貸金業法では債務者以外の人に対して、代わりに返済を要求することは禁止されています。債務を負っていない人に対する請求は違法になるため、家賃を滞納している入居者本人または連帯保証人以外の人への督促や連絡はやってはいけないことの一つです。家族や親族以外の学校や勤務先に対しても、督促や連絡をすれば第三者に家賃滞納の事実を明かすことになるためやめておきましょう。

非常識な督促行為

たとえ督促の内容がオーナーの主張として正当なものであったとしても、督促行為の方法によっては違法行為として訴えられる可能性があります。例えば電話や自宅への訪問も、早朝や夜間に行うと違法行為です。基本的には早朝や夜間の督促は入居者の生活を妨げる行為になってしまうため、夜は21時以降、朝は8時までの督促行為は行わないようにしましょう。

3人以上で家まで押しかけたり、居座ったりするなど、威迫行為と受け取られる行動も取るべきではありません。乱暴な言葉や暴力的な態度で督促を行うのも非常識であり、度が過ぎると恐喝罪に問われる可能性があります。脅迫とまではいかなくても、同じ日に何度も督促を行えば相手に不安や威圧感を与えてしまうことが考えられます。

電話以外にもメールやSNSなどコミュニケーションが取れるツールが増えていますが、メールやSNSであってもポイントは同じです。オーナーには家賃を回収する権利はあるといっても、非常識な督促行為を行わないことが求められます。

自力救済

自力救済とは法的な手続きを経ず、実力行使でなんとかしようとすることです。家賃滞納はオーナーにとって、本来受け取れるはずの家賃を得られていない、つまり、権利を侵害された状態に違いありません。しかし、たとえ権利を侵害されているとしても、自力救済で紛争を解決することは禁止されています。

家賃を滞納している状況でも、オーナーが無断で入室するのは厳禁です。督促状などの書類を置いてくるだけという安易な行動であっても、無断で入れば住居侵入罪に問われる可能性があります。勝手に家賃滞納者の物を持ち出したり、処分したり、部屋の鍵を替えたりするなどの行為も自力救済に該当します。

「家賃を支払っていないのだから、そのくらい当然だろう」と思ってしまうかもしれませんが、承諾を得ていなければオーナー側の行為が違法だとみなされかねません。窃盗罪や器物損壊罪に問われる可能性があるため、「自力救済禁止の原則」に違反しないよう対応には注意が必要です。

第三者に取り立てを依頼

滞納家賃の取り立てを第三者に依頼することは、非弁行為にあたります。非弁行為とは弁護士だけに認められている行為を、弁護士以外の人が行うことです。弁護士法72条では弁護士または弁護士法人でない者は、訴訟事件や法律事務にあたる内容の代理や仲裁、和解などについて、報酬を得る目的で取り扱ってはならないと規定されています。

現実的な実務としては、管理の委託を受けている管理会社が管理業務の一環として家賃回収業務を請け負い、督促状を出し支払いを促すことは行われています。家賃滞納者が電話連絡や督促状の送付で支払いに応じてくれれば、法的な手段に訴えなくても家賃の回収が可能です。しかし、支払いに応じてくれなければ、明け渡し訴訟や支払督促、少額訴訟などの法的手段を取らなければならない状況に進む可能性が高くなります。

法務事務に該当する手続きが必要な段階になれば、管理会社では対応できません。違反すれば2年以下の懲役または300万円以下の罰金という罰則が設けられているため、家賃滞納者が支払う姿勢を見せないときは弁護士などの専門家に依頼する必要がでてきます。

家賃滞納トラブルを未然に防止するポイント

賃貸経営では一定の家賃滞納が発生するのは避けられませんが、トラブルにまで発展しないよう、ある程度は対策を施しておくことが可能です。家賃滞納トラブルを未然に防止するためにも、以下で解説する6つのポイントを踏まえておきましょう。

入居者審査をしっかり行う

家賃滞納を防ぐ対策として有効な方法の一つは、入居者審査を適正に行うことです。ついうっかり数日入金が遅れることは誰にでも起こり得ますが、数ヶ月のように長期間家賃の滞納を継続させるリスクのある人は、できれば避けたいものです。家賃滞納トラブルを未然に防ぐためには、まず入居者を決める際の審査をしっかり行う必要があります。

賃貸経営では空室が出ることで収益が減少するリスクがあるものの、空室リスクを恐れて審査を甘くしないことが大事です。空室が出た場合は、新しい入居者を探すことができます。しかし、家賃滞納者がいる場合は空室と同じように家賃が入ってこないにもかかわらず、すぐに新しい入居者を探すこともできません。

審査が甘いと家賃を滞納する入居者が入ってくる可能性も高まるため、家賃を滞納する経済状況にならないかどうか、勤務先や年収をもとに支払い能力を確認しましょう。仲介の対応をした不動産会社が家賃を滞納するような人柄ではないと感じたかどうか、人物像も入居審査では重視されます。

家賃保証会社との契約をしてもらう

賃貸借契約では連帯保証人を立てることがありますが、家賃保証会社を利用するケースも増えています。契約時の審査で入居者本人や連帯保証人の経済状況、人物像に問題がなかったとしても、リストラや勤務先の倒産などで状況は変わるかもしれません。長期間住み続けてくれていると、契約時に立てた連帯保証人に連絡が取れなくなる可能性もあります。

家賃滞納リスクを避ける方法として、入居者に家賃保証会社と契約をしてもらうのも選択肢の一つです。家賃保証会社を利用する場合でも家賃保証会社による審査がありますが、審査に通れば万一のときは滞納家賃が保証されます。オーナーにとっては家賃滞納リスクに関してかなりの部分ヘッジできるうえ、連帯保証人がいなくても申し込みができるのは入居者にとってもメリットです。

ただし、家賃保証会社自体も経営破綻するリスクはあります。入居者に一定の保証料を負担してもらう必要もあるため、利用する家賃保証会社は保証料が負担になりすぎない、かつ経営基盤がしっかりしたところを選ぶようにしましょう。

敷金を十分に確保する

現在では「敷金0円・礼金0円」の、いわゆるゼロゼロ物件が多く供給されるようになってきました。確かにゼロゼロ物件は初期費用を抑えたい人が視野に入れやすいため、空室対策としては一定の効果があるでしょう。ただし、オーナー側にとっては、万一のときのリスクに対して備えが確保できない可能性もあります。

家賃保証会社と契約しているケースでは、滞納家賃を保証でカバーすることが可能です。しかし、保証がない状態、かつ敷金も確保されていない状況で家賃滞納が発生すれば、なんの担保もありません。家賃滞納者側から滞納家賃を敷金で相殺する旨の申し出はできませんが、オーナー側からは敷金を家賃に充当する判断を下せます。

家賃滞納を理由とした契約解除には、一般的に3ヶ月以上家賃を滞納した期間が必要です。ゼロゼロ物件が増えたことで敷金が取りにくい傾向が続いていますが、家賃滞納のリスクを考えると、可能であれば家賃3ヶ月分相当の敷金を取っておきたいところです。

オーナーチェンジ物件の場合は毅然とした態度で臨む

オーナーチェンジ物件は、前オーナーが所有していたときからの入居者がいる状態で物件を引き継ぐことになります。購入時に空室がほとんどない状態のオーナーチェンジ物件は、すぐに賃料収入を得られるのが大きなメリットです。新築物件に比べても購入しやすく、過去の経営状況をもとにして運用計画を立てやすいでしょう。

ただ、新築物件を購入する場合は入居者募集時にしっかり審査をすることができますが、オーナーチェンジ物件では入居者を選ぶことができません。なかには家賃滞納者や遅延者が含まれている可能性もあり、悪質な家賃滞納者が賃貸経営に大きな影響をおよぼすことも考えられます。

前オーナーが空室を埋めるために、入居者審査を甘くしていたというケースもないとはいえません。すでに入居している人の情報を十分把握するのは難しいですが、新オーナーとして「家賃滞納・遅延は許さない」という毅然とした態度を示すことが大事です。家賃滞納は許さないという姿勢を見せることで、滞納の未然防止につながります。

「オーナーチェンジ物件」について詳しくはこちら

不動産投資ではオーナーチェンジ物件を取得することがあります。中古物件の多くはオーナーチェンジ物件であり、その性格は新築の収益物件とは異なる点があります。
オーナーチェンジ物件のメリット・デメリット、取得時に注意すべきポイントを解説します。これから不動産投資を始めたいと考えている方はぜひ、参考にしてください。

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定期借家契約にする

アパートやマンションなどの賃貸不動産では、賃貸借契約を普通借家契約で行うのが一般的です。普通借家契約は、入居者が手厚く保護される仕組みになっています。契約期間満了後は入居者が希望すれば更新され、正当な事由がない限り、オーナー側から契約更新を拒むことができない契約形態です。

また、家賃を滞納したからといって、すぐに退去を求めることもできません。電話連絡や督促状の送付など、段階を踏んで滞納家賃の回収に尽力しなければならないうえ、支払いに応じてくれなければ最終的に法的手段を取る必要も出てきます。

1999年の「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」成立によって定期借家制度が導入され、定期借家契約で賃貸借契約を結べるようになりました。定期借家契約は普通借家契約とは違い、定められた期間が満了すれば契約も終了し、更新はされません。もちろん、一定の確率で家賃滞納は発生していることを考えれば、定期借家契約でも家賃滞納リスクがあるのは同じです。ただし、定期借家契約では少なくとも契約期間が終了すれば建物の明け渡しが可能になるため、長期間の家賃滞納を防ぐ手立てにはなります。

信頼できる管理会社に委託する

賃貸不動産を所有しているオーナーのなかには、物件の管理を自身で行う人もいるでしょう。自身で管理を行えば、管理会社に委託する手数料を節約できるのはメリットです。しかし、入居者の審査や家賃滞納が発生したときの対応なども、すべて自分で行わなければなりません。特に滞納家賃を自分で回収するには、かなりの労力を必要とするでしょう。

費用はかかりますが、健全な賃貸経営をするためにも、管理は信頼できる管理会社に任せるのがおすすめです。入居者審査や入居者管理がしっかりしている管理会社に委託することで、家賃滞納に関するトラブルも未然に防止できます。

仮にトラブルに発展しそうになったときも、ノウハウを蓄積している管理会社ならば、迅速な行動で被害を最小限に抑えることが可能です。すでに管理会社に委託している場合でも、入居者審査や入居者管理が甘いところならば家賃滞納リスクは高くなります。もし、対応に不安があるのならば、管理会社の見直しも視野に入れてみましょう。

まとめ

家賃滞納トラブルは賃貸不動産を所有するオーナーにとって、頭の痛い問題です。家賃滞納が発生すれば収入が減るだけではなく、トラブルにまで発展すると負担も大きくなります。トラブルの発生時に正しく対応するためには、ある程度の法律的な知識も必要になるでしょう。ただし、家賃滞納への対応も含め、賃貸不動産の管理をオーナー自ら行うのは何かと大変です。オーナーとして最低限の法的知識を得たうえで、実際の対処には実務に長けている賃貸管理会社におまかせするのがおすすめです。

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監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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