「不動産投資が気になっているが、失敗したらどうしよう」と考えてしまうのも無理はありません。不動産投資は一般に株やFXよりリスクが少ないとされるものの、投資金額が大きく、それなりのリスク対策が必要になるからです。
この記事では不動産投資における失敗を、失敗事例やその原因に分けて解説していきます。失敗の原因がわかり対策法もわかるので、読み終わった頃には不動産投資のリスクマネージメントについて、アウトラインを把握できているはずです。
なお、この記事では収益不動産の中でも居住用物件を中心に解説しています。
目次
不動産投資における「失敗」とは
不動産投資における「失敗」とは、何を指すのでしょうか。
たとえば融資の支払いができなくなり破綻してしまった状態は、間違いなく失敗です。
しかし、それ以前に事業計画通りに経営できない時点で失敗だといえるでしょう。
不動産投資を計画する場合、月々の家賃収入だけでなく、最終的に売却した時の販売利益も含めて考えるのが一般的です。
月々の収入をインカムゲイン、不動産の売却益をキャピタルゲインといいますが、その両方をトータルで見た場合に「利益が出たかどうか」という判断をする必要があります。
一見すると月々の家賃収入が順調に入ってきていても、売却したら赤字になる場合、その不動産投資は失敗といえます。
不動産投資において最終的にめざすのは、不測の事態が起きても安定的に収入が得られる状態です。物件の購入価格よりも借入金が少なくなるように、順調に返済できる状態と考えることもできます。
そう考えると、ただ家賃がたくさん入ってくることや高額な不動産を所有していることが成功ではなく、自分自身の目標に応じた資産が形成でき、安定して経営できている状態こそが成功といえます。
物件売却までを視野に入れ、トータルで考えて利益を出す運用を目指してください。
不動産投資を始める前に!失敗事例をチェック
まず、不動産投資における失敗を具体的にイメージするために、失敗事例を見ていきます。この記事では典型的な失敗事例を8つあげました。
事例1:区分マンションの購入で失敗
区分マンション、とくにワンルームマンション投資の失敗はよくあるケースです。
ごく普通のサラリーマンAさんは、不動産営業マンから以下のような説明を聞いて新築ワンルームマンションに投資しました。
「毎月1万円の手出しが出るが、45年間で完済し、最終的には無借金で都内に不動産を所有できる。また当社で賃料保証するので空室リスクもない」
そういわれると、一見魅力的な投資のように思えます。
ところが実際には、数年後には修繕積立金が値上げされたり、保証賃料の減額が行われるなど想定とは異なる事態になりました。
結果、月々1万円のはずが数万円の手出しになってしまい、家計に大きな負担が生じることになり「失敗だった」と気付くことになりました。
これは区分マンションの投資話ではよくあることです。不動産投資物件のなかでは比較的低価格な区分マンションを、投資初心者の顧客に「とにかく買ってもらうこと」を目標として営業している不動産会社も存在します。
こういった点には注意が必要です。
事例2:物件選定を誤った
投資用不動産を選定する場合、価格、エリア、利回り、築年数、部屋タイプなどさまざまな要素を掛け合わせて考えていきます。
物件選定には価格だけでなく、その他のすべての要因がからんでくるということです。エリアや築年数や部屋タイプによって融資の条件が変わる可能性がありますし、そうなると収支計算そのものに影響するからです。
1つの条件、とくに価格や利回りのみにこだわってしまい、物件選定を誤るということはよくある事例です。
物件選定においては、何かひとつ魅力があったとしてもそれだけで判断せず、事業計画全体の中で判断するようにしてください。
事例3:不動産会社のアドバイスを鵜呑みにした
すでに2棟のアパートを経営しており、3棟目として土地購入から新築アパートを計画したBさんの事例です。
当初、不動産会社の営業マンから「このエリアはワンルームよりファミリー向け物件のほうが適している」という説明を受けていましたが、融資申込の段階で営業マンの説明が変わっていきます。
「銀行と相談したのですが、やはりワンルームでいきましょう」
という説明を鵜呑みにしてしまったBさんでしたが、いざ建物が完成してみると思うような入居率になりませんでした。
そして後日、営業マンの説明が途中から変わった理由は「ファミリータイプだと利回りがつかず融資がつかなかった。そこで、計算上利回りがつきそうなワンルームに変更したかったのだ」と気付きます。
とりあえず融資を成立させたい銀行と不動産営業マンの思惑により、賃貸不動産経営がゆがめられてしまった事例です。
こういったことも起こりうるため、不動産会社のアドバイスを鵜呑みにすることなく、できるだけ自分で調査を行う必要があります。
事例4:利回りばかりに注目してしまった
自宅近くでなく、遠方に築古アパートを購入したCさんの事例です。ご主人の遺産の投資先を検討していたCさんに、古くからの友人Dさんがアドバイスをしてくれました。この方は不動産営業マンなのですが、普段は住宅の営業をしており、あまり投資用物件の経験はありませんでした。
Dさんが見立ててくれた物件は表面利回りが10%を大きく超える優良物件に見えたのですが、購入後、さまざまなトラブルに見舞われました。
入居者が次々に退去し、その際の原状回復費が大幅にかさんだ上、大規模修繕が必要だということも判明します。
信頼できる知人であっても、不動産業者の知識次第では問題が生じます。このケースでは不動産業者の知識不足から、利回りのみで物件を判断してしまい、その後の修繕費用を計算に入れていなかったことが失敗の原因です。
事例5:入居者退去により想定外の費用がかかった
築古区分マンションを購入したEさんの事例です。区分マンションに限らず、一棟ものも同様ですが、入居者がいる物件は内覧することができません。
そこで、購入後、入居者が退去してからはじめて現況を確認できるのが一般的です。
Eさんの場合、想定していたよりもはるかに大きな損傷があり、また入居者の責任でなく経年劣化にあたるものが大半だったため、大家負担での修繕が必要になりました。
具体的には上水道のかすかな水漏れによる床下の損傷・朽廃や、設備類の損傷が目立ち、大がかりなリフォームが必要となりました。
その結果当初の資金計画が大きく狂ってしまい、黒字化までに相当な時間がかかる結果となりました。
事例6:節税のために投資したものの失敗
数ある投資の中でもタックスマネジメントができ、合法的に節税ができることは、不動産投資のメリットのひとつです。
所得税の節税を目的とする不動産投資の場合、不動産経営で赤字を出すことで本業の収入と損益通算するという手法をとることがあります。黒字を出さなくていいことから、どうしても投資判断が甘くなり、物件選定も雑になるケースが散見されます。
たとえば首都圏の医師Fさんは地方の収益不動産に投資したのですが、仲介業者が報告してきた利回りを疑うことなく物件を購入してしまいました。しかし、実際に運用を始めてみると、空室を埋め切れずに想定をはるかに下回る利回りとなります。
本業の収益から大幅な手出しが出ることとなり、節税効果を上回る赤字となった時点でFさんは売却を検討する事態になりました。
節税目的であっても投資には綿密な調査が必要ですし、信頼できる不動産業者とのパートナーシップも不可欠だといえます。
事例7:繰り上げ返済で資金不足になった
中古の一棟アパートに投資していたGさんは、手持ち資金で繰上返済してしまったために、資金不足に陥る結果となりました。
繰上返済には、「返済期間を短くする」または「返済額を引き下げる」という効果が期待できます。しかし、手持ち資金から逆算して、繰上返済にあてられる金額をきちんと計算しておく必要があります。
Gさんの場合、繰上返済直後に複数の空室が発生し、想定外の原状回復費用がかかってしまいました。結果手持ち資金が不足し、アパート用のリフォームローンを借り入れるという結果になりました。リフォームローンは担保不要ですが利率は悪く、本末転倒だったといえるでしょう。
そこでアパートローンの繰上返済を行う場合は、修繕費用などを含めた資金計画を立てておくことが必要です。
また、アパートではなく自宅の住宅ローンを繰上返済する場合でも「ここに資金を使ってしまっていいのか。」という検討は必要です。もし魅力的な投資物件が出た場合、自己資金を確保しておけば、スムーズに購入することできます。
投資物件であれ自宅であれ、繰上返済による手持ち資金の不足には注意が必要です。
事例8:空室が埋まらず収入が入らなくなった
空室がなかなか埋まらない、というのは、不動産投資の失敗談として非常によく聞きます。そもそも、賃貸不動産の募集期間(空室期間)は東京都内でも平均2.71か月、千葉県では5.44か月というデータがあります(株式会社タス「賃貸住宅市場レポート(2020年11月)」)。
そこで、あらかじめ一定の空室率になることを想定した事業計画を立てておくことが必要です。
とくに区分マンションや一戸建て賃貸の場合は、空室期間には家賃収入がゼロになってしまいます。
(参考)賃貸住宅市場レポート(首都圏版 関西圏・中京圏・福岡県版)
信頼できる不動産業者であればエリア毎の特性を考えた上で、あらかじめ空室期間を考えた資金計画を提案してくれます。できるだけ信頼できる相談相手を見つけておくことも必要といえるでしょう。
不動産投資に失敗する人の共通点とは
ここまで具体的な失敗事例を見てきましたが、不動産投資に失敗する人の共通点とは何でしょうか。それがわかれば、失敗事例に学び、成功につなげることができます。
自分で学ぼうとしない
これまでに挙げた失敗事例に共通する特徴は「自分で学ぼうとしていない」こと。
不動産営業マンの話を鵜呑みにしてしまったり、利回りだけを見て他の指標を見ようとしていなかったり……。
しかし「同僚や上司に勧められたから」「周囲に投資をしている人がいてよさそうだから」といった漠然とした理由で、不動産に数千万円も投資するというのは普通に考えて危険な話です。
実際、不動産投資で大きく損をしてしまった人の話を聞くと、不動産営業マンの話だけを信じて投資したという人が多くを占めています。
かぼちゃの馬車事件もそうですし、ワンルームマンション投資で被害にあった人の多くも「あの時自分でちゃんと調べていれば」「不動産の知識を身につけようとしていれば」と述べています。
中には「ワンルームマンション投資で失敗した後、一から勉強して宅建士の資格を取った」という人もいます。それくらい、自ら学ばなかったことに対する反省が大きいということでしょう。
かぼちゃの馬車事件について、詳しくまとめています。
かぼちゃの馬車事件の全容!【不動産投資家が学ぶべき過去事例】
2018年頃、世間を賑わせた「かぼちゃの馬車」事件。当時マスコミでも盛んに報道され、社会問題にまでなったため、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。このころ、「かぼちゃの馬車」事件以外にも不動産投資にまつわる複数の不正融資事件が発生したため、金融機関の投資用不動産への融資姿勢が厳格になりました。今回は「かぼちゃの馬車」事件を検証することを通して、「不動産投資の落とし穴」を慎重に避けていく方法を解説します。
十分に計画を立てない
自ら学ぶ姿勢だけでなく、しっかり計画を立てることも必要です。
たとえば空室率は立地条件や建物の築年数によっても変わってきます。不動産投資に関するさまざまな指標を勉強したとしても、どの物件にも同じ法則が当てはまるわけではありません。
できれば自分の足で対象エリアを歩いてみて、類似物件の空室を数えるなど、具体的な調査を行うことが必要です。そうしないと、勉強した内容も机上の空論になってしまうからです。
家賃設定についても同じく、エリア毎の相場をしっかり調査し、計画に落とし込む必要があります。
不動産投資に失敗しやすい人は、この計画部分をおろそかにしている傾向があります。
不動産投資を始める前にデメリットを確認しておこう
不動産投資にもデメリットやリスクが存在します。投資を考えるにあたって、そういったデメリットの存在を知っておくことが重要ですが、ほとんどのデメリットには一定の回避策があります。
デメリットを過度に気にするよりも、しっかりした回避策を提案してくれる不動産業者を探すことを心がけた方がいいでしょう。
いろいろなリスクがある
不動産投資におけるリスクには、いくつかの類型があります。
重大なものは空室リスクと滞納リスク。入居者が入れ替わる時に、どうしても空室期間が発生しますし、エリアや物件によってはその空室期間が長くなってしまうことがあります。
また、賃貸物件の滞納率は2~3%といわれており、戸数100戸のマンションには常に2~3人の滞納者がいる計算です。
その他にも、火災や震災のリスク、金利上昇リスク、孤独死など事故が発生するリスク、損害賠償リスク、価格下落リスクなど、不動産投資には対処しておくべき複数のリスクが存在しています。
不動産投資に詳しい会社であれば、こういったリスクへの対処方法を理解しています。そこで、計画の初期段階からアドバイスをもらい、効果的なリスク対策を行うことが望ましいといえます。
不動産投資におけるリスクについてはこちらで詳しくまとめています。
不動産投資のリスク10選と対策を解説!失敗しないために必要な知識とは
不動産投資は株式投資などの他の投資に比べて比較的安定的に収益を上げられますが、当然にリスクがあります。不動産投資、マンション・アパート経営で成功するためには、正しい知識を身につけることが必要で、特にどのようなリスクがあるかを把握しておくことが大切です。この記事では、不動産投資にはどういったリスクがあるのかについて解説します。
物件選びが難しい
物件選びが難しいことも、不動産投資のデメリットのひとつといえるかもしれません。
ざっくりいえば条件がいい物件ほど成功しやすいのですが、では、どういった条件が考えられるでしょうか。
たとえば「高利回りであること」も成功しやすい条件です。しかし、一般に築古物件は表面利回りが高くなりやすい反面、修繕費用などがかさみ、実質利回りが低くなることもあります。
ひとつひとつの物件について厳密な試算が必要となり、物件選びの難しさを感じる点といえます。
また、利便性のいい立地にあることも物件の条件のよさです。しかし、主要駅に近く、商業施設や学校、病院などが多い、いわゆる都市機能が充実した立地ほど物件価格は高く、そのわりに家賃を大幅に上げられるとも限らず、利回りの面では不利になることもよくあります。
このように、予算の制限内で条件のいい物件を選ぶことは、考えるべきことが多く難しい問題です。
希望するタイミングで物件を売却できるとは限らない
不動産投資には不測の事態も起こりえますが、そういったとき、物件を売却することも選択肢のひとつになり得ます。ただし、収益物件の売却にはある程度時間がかかり、いつでも売れるわけではありません。
不動産の中でも投資用不動産には、実需向けの物件にない難しさがあります。買い手は投資家に限られるため、あまり多くはありません。買い手が現れるまでどうしても時間がかかる傾向があり、売りたい時に即売ることができません。
加えて、利回りを厳しく見られますし、その他の条件についても時間をかけて検討される可能性があります。
場合によっては売却に一定の時間がかかることも想定しておいた方がいいでしょう。また、その間は固定資産税や修繕費などの諸費用がかかってきます。
場合によっては、価格を下げて早めに売り切るなどの対処が必要になるかもしれません。
物件の維持管理には費用がかかる
不動産投資には費用がかかるというのも、デメリットのひとつでしょう。家賃がそのまま収入になるわけではなく、維持管理にかかる費用を差し引いた部分が手元に残ります。
管理会社に支払う管理料は毎月わかりやすく計算されますが、修繕にかかる費用などははっきり予測することが困難です。そこで、長期的に計画をたてておき、ある程度突発的な修繕費用がかかったとしても、対応できるように用意しておく必要があります。
株やFXではそういった費用の計算はあまり重要ではなく、不動産投資ならではの難しさと考えることができます。
固定資産税を支払う必要がある
固定資産税は、土地や家屋を保有している時にかかる税金で、保有期間中は毎年課税されます。納税義務がある者は、毎年1月1日時点で各市町村の固定資産課税台帳に、その不動産の所有者として登録されている人です。税額は以下の計算式によります。
土地または家屋の価格 × 税率 = 税額
「土地または家屋の価格」というのは、固定資産税評価額のことです。
固定資産税評価額は、一般に地価が高いエリアほど高いため、立地のよい収益不動産ほど固定資産税が高くなる傾向があります。たとえば地方の過疎地であれば固定資産税評価額がゼロに近いケースもありますし、東京都区内では、住居系の用途地域であっても坪単価数百万円になることもあります。
また、都市計画で指定されている市街化区域内の土地建物には、都市計画税も課税されます。都市計画税は税率が低め(1000分の3)ではありますが、不動産投資にかかる費用のひとつとして、把握しておく必要があります。
不動産投資に失敗しないために!成功のポイントを解説
不動産投資も投資である以上、しっかりした事業計画が必要です。では、不動産投資をどのように企画し、実行すればいいのでしょうか。非常に重要な5つのポイントを解説します。
不動産投資の目的を明確にする
「なぜ不動産投資を行うのか。」「なぜこの物件に投資するのか。」という目的があいまいなまま、不動産を購入する方がいます。
しかし目的が明確になっていないと、その先の計画もあいまいなままです。
また、万が一不測の事態が生じた場合、どう対策していいのかもわかりません。
そこで、一般に不動産投資を計画する場合は「なぜこの事業を行うのか。」「不動産投資によって何を得たいのか。」という目的を明確にする必要があります。
不動産投資の目的は「月々の副収入を得たい」「将来的に売却して利益を出したい」「節税したい」などさまざまです。また、目的によって買うべき物件も異なってきます。
長期間の運用でリターンを得ることを考える
バブルの時代であれば、不動産投資でも比較的短期間に大きなリターンが期待できる局面がありました。しかし、現在の不動産投資はある程度長期運用をすることが前提となっています。
短期間に不動産が値上がりし、売却益(キャピタルゲイン)を得ることが難しいからです。
そこで事業の目的に応じた資金計画を綿密にたてておき、家賃収入からローンの返済や諸費用を控除しても収入が得られるようにしておく必要があります。
逆に、不動産の価格が短期間で大幅に下落することは考えづらく、不動産投資はある程度長期間安定して運用できる点が魅力だとも考えられます。いずれにしても、長期でリターンを得る運用がポイントとなります。
相場や物件の価値などはしっかり調査する
不動産投資の失敗例としてよく目にするのは「不動産営業マンの話を自ら精査しないで購入してしまう」というパターン。ワンルームマンション投資などでは、とくにこういった失敗例が多く、結果として割高で、不利な物件を購入してしまう人が後を絶ちません。
そこで、不動産の価格相場や個別具体的な物件の価値を、自分自身でしっかりと調査することが必要です。
最低限以下のような点を調べておくと、不動産営業マンが提案している物件が相場の範囲か、あるいは高すぎるかといった判断ができるでしょう。
- 不動産ポータルサイトで類似物件の価格を調べる
- 不動産ポータルサイトで近隣の家賃を調べる
こういった調査は簡単にできる割に効果的で、不動産営業マンの話に嘘や誇張がないかを確認することができます。
また、具体的に購入を検討する段階になったら、自分自身でより詳細な調査を行うことも必要です。
サポート体制は万全に整える
自分自身でしっかり調査する、という姿勢と同時に、信頼できる不動産会社を見つけることも大切です。
不動産投資で成功している人の多くは信頼できる不動産会社をパートナーとしており、お互いに相談しながら投資規模を拡大しています。
不動産投資には予想外のトラブルも考えられるため、こうしたパートナーシップが大切です。
たとえば「家賃滞納が発生した」というケースはよくありますが、大家さん自らが対処できる余地は少なく、サポート力がある不動産会社に対応してもらうほうが効率的です。
不動産投資に際して不動産会社を選ぶ際は、以下のような点に注目するといいでしょう。
- 収益物件の売買取引をひんぱんに行っているか。
- 物件の詳細(売却理由やレントロールの詳細)を把握しているか
- 物件周辺の土地鑑があり、賃料相場を把握しているか
- 融資や金融機関についての知識が豊富か
- 購入後の賃貸管理についてサポートできるか
- 不動産会社自身に賃貸経営の実績があるか
- 税務知識が豊富か
- 出口戦略まで含めた提案ができるか
一棟ものの不動産投資を検討する
不動産投資においては原理的に区分マンションへの投資よりも、一棟ものへの投資の方が経営を安定させやすいというメリットがあります。
区分マンションは確かに投資額が少ないのですが、反面、戸数が少ない間は経営が安定しないというデメリットがあります。金融機関からみた担保価値が低く、融資を利用して戸数を増やすにも限界があります。
加えて、区分マンションは経費率が高い点もデメリットです。
その点、新築・中古いずれの場合も、一棟もの収益物件の場合は一度の取引で複数戸所有することができるため、経営の安定スピードが速く有利です。
また、投資金額に対して土地価格が占める割合が多く、資産性を保ちやすいというメリットもあります。
区分マンションに比べて一棟ものは最初の投資額が大きく、やや敷居が高く見えるものの、経営をはじめてみれば有利な点が多数あるということです。
不動産投資に失敗した場合の対処法とは
最後に、不動産投資に失敗してしまったという人のために、どのように対処すればいいのかを解説していきます。
不動産投資のプロに相談する
不動産投資は、株式投資などに比べれば、失敗した後もある程度リカバリーの余地があります。ただし、専門的な知識が求められるため、不動産投資のプロに相談することが望ましいといえるでしょう。
不動産業者なら誰でも、不動産投資についてアドバイスできるわけではありません。一般の不動産仲介業者は、どちらかといえば住宅の売買が専門で、投資物件について詳しいとは限りません。
一方で、賃貸管理を専門に行う不動産業者であれば、投資用不動産の運用について一定の知識を持っているはずです。
加えて、その管理会社自身が不動産投資を行っていたり、営業マン個人が不動産投資を行っている場合、さらに知識や経験に期待できます。
会社として不動産投資を専門に扱っているとしたら、さらに幅広い知識を有している可能性があります。
相談先を選ぶ場合も、できれば慎重に検討し、不動産投資や運用について知識がある業者を探してください。
支出や利回りの改善をはかる
パートナーとして信頼できる相談先が見つかったとして、どのような対策が考えられるでしょうか。具体的には2つの点を改善することになります。
- 支出を抑える
- 利回りを改善する
支出を抑えることも利回り改善の一環です。たとえば管理会社を見なおすことで管理費が削減できる可能性がありますし、保険やローンの借り換えも、可能であれば検討してみたい項目です。
その上で、空室を減らし、利回りの改善をめざします。
そのためには、物件がエリアのニーズに適合していることと、効果的に広告宣伝が行えることが必要になります。
実はこうしてみるとわかるとおり、支出を抑えつつ入居率を改善することは、管理会社に頼る部分が大きいことがわかります。
物件を売却する
上記のような対策を立てたうえで、早いうちに一度「売却したらどうなるか」というシミュレーションをしておくほうがいいでしょう。
すでに述べたように、投資物件の売却には一定の時間がかかりますし、売却を決断するタイミングも重要だからです。一般に不動産の売却においては、価格が安ければはやく買い手が付き、価格が高いと成約に時間がかかります。
そう考えると、余裕がなくなってから焦って売却すると安い値段で売却せざるを得ないことが多く、決して有利とはいえません。
投資の失敗をリカバリーするという観点で考えると、売却のタイミングはしっかりと考えておいたほうがいいでしょう。
まとめ
ここまで見てきたように、不動産投資にはさまざまなリスクがあります。しかし、失敗には類型があり、その原因を押さえればある程度リスクを回避することもできます。
また不動産投資は決して短期間に資産を大きく増やせるような、ハイリターンなものではありません。しかしその分、決してハイリスクな投資でもありません。
不動産投資の失敗例に学び、また信頼できるパートナー企業を見つけ、安定した収益不動産経営を実現してください。
監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。