かぼちゃの馬車事件の全容!【不動産投資家が学ぶべき過去事例】

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2018年頃、世間を賑わせた「かぼちゃの馬車」事件。当時マスコミでも盛んに報道され、社会問題にまでなったため、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

このころ、「かぼちゃの馬車」事件以外にも不動産投資にまつわる複数の不正融資事件が発生したため、金融機関の投資用不動産への融資姿勢が厳格になりました。また、世間一般には、「不動産投資は怪しいもの・怖いもの」というマイナスなイメージが広がってしまいました。

今回は「かぼちゃの馬車」事件を検証することを通して、「不動産投資の落とし穴」を慎重に避けていく方法を解説します。不動産投資の成功確率を向上させていく一助となりますので、ぜひ最後までお読みください。

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「かぼちゃの馬車」事件とは

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」にまつわる不動産投資トラブルは、融資をしていた金融機関をも巻き込んで社会問題にまで発展し、大きな話題となりました。

まずは、「かぼちゃの馬車」事件の概要を見ていきましょう。

「かぼちゃの馬車」とは

「かぼちゃの馬車」とは、株式会社スマートデイズが運営していた女性専用シェアハウスのブランド名です。知名度のあるタレントを起用したおしゃれで華やかなテレビCMも話題となりました。

入居者のターゲットは主に地方から上京してきた若い女性で、「トランクひとつで即入居」が謳い文句となっていました。家賃は4万円~6万円程度、敷金・礼金・仲介手数料が無料、インターネット通信費や光熱費も家賃に含まれているなど、入居者に魅力的な条件で一時は人気を博しました。ただ、個室は5畳程度とかなり手狭で、壁はとても薄かったようです。住民同士がコミュニケーションを図れるような食堂などの共用施設もなく、使い勝手の悪い物件との評判でした。

「かぼちゃの馬車」は1棟シェアハウス投資のスキームで、都内を中心に約800棟建築され、約700名の投資家が購入しました。

スマートデイズとは

「かぼちゃの馬車」を運営していた株式会社スマートデイズは、東京都中央区銀座に本社を置いていた不動産会社です。「かぼちゃの馬車」以外にも男性向けシェアハウス「ステップクラウド」のサブリース(不動産転貸)事業や人材紹介業、ブランド事業、旅館業などを展開していました。

「かぼちゃの馬車」運営以前には、中古マンションの1室を区切って賃貸する「脱法シェアハウス」も運営していました。

2018年5月には破産手続きが開始され、2021年には法人格が消滅しています。

サブリース契約とは

「かぼちゃの馬車」事件にはいくつかのポイントがありますが、スマートデイズと投資家との間で取り交わされたサブリース契約も一つの重要ポイントとなりました。

サブリース契約とは賃貸管理方式の一つで、サブリース事業者が物件オーナーから1棟まるごと一括借上げを行い、それを入居者に転貸する形態です。

オーナーにとっては空室リスクや家賃滞納リスクを避けられるメリットがありますが、収益性が低下してしまうことや一定期間後に家賃減額を求められるなど、さまざまなデメリットもあり、「かぼちゃの馬車」事件でもそのことが顕在化しました。

サブリース契約の問題点については、後ほど詳述します。

「かぼちゃの馬車」事件を振り返る

「かぼちゃの馬車」事件の概要を見てきましたが、この章では事件の中身にもう少し踏み込んで振り返っていきましょう。

「かぼちゃの馬車」サブリース契約の内容

「かぼちゃの馬車」の運営会社であるスマートデイズは投資家に対し、物件を売却するとともにサブリース契約を結んでいました。

「かぼちゃの馬車」の物件価格は、1棟1億円を超えていました。物件の内容からすると法外な価格なのですが、某地方銀行が融資をすることで投資家はほぼ頭金なしで取得できたといいます。

販売したスマートデイズは、オーナーとサブリース契約を結びます。オーナーにとっては、空室リスク、家賃滞納リスクなどを回避できるとともに、煩雑な管理業務・入居者募集業務も一括して任せられると期待されました。

そのうえで、スマートデイズはオーナーに対して「利回り8%」「30年間の家賃保証」を謳っていました。

投資家たちは、自己資金ほぼ0円の状態から1億円超の物件オーナーとなることができ、サブリース契約によって確実に利回り8%を30年間得られると信じこんでしまったのです。そのため、3.5~4.5%と通常の不動産投資ローンよりもかなり高い金利で、某地方銀行から借り入れをすることになったのでした。

スマートデイズから投資家へ賃料支払いの滞り

当初は順調と思われた「かぼちゃの馬車」の運営ですが、初期の段階で入居者からスマートデイに入るの家賃収入よりオーナーに支払う家賃分のほうが多い「逆ザヤ」状態に陥っていたことがわかっています。

2017年には、スマートデイズがオーナーに家賃の減額を請求します。翌2018年1月には、スマートデイズからオーナーへの支払いが滞り始め、5月には破産手続きが開始されました。

サブリース事業者の倒産によって家賃収入が途絶えたオーナーは、ただちに月々のローン返済に困窮するようになります。投資家の多くは高属性の会社員や士業、医師ではあったものの、家賃収入なくしてローン返済を行う余力はなく、自己破産した人も続出しました。

「かぼちゃの馬車」の破綻の背景

さて、スマートデイズによる「かぼちゃの馬車」はなぜ破綻に追い込まれたのでしょうか。そのビジネスモデルから説き起こして考えてみましょう。

資金繰りの悪化

先ほどもすでに述べましたが、スマートデイズの「かぼちゃの馬車」でのサブリース契約では、当初の段階から逆ザヤ状態が生じていました。本来、サブリース事業が継続できるのは、オーナーに支払う家賃よりも入居者からの家賃収入のほうが高いからで、その差額が収益となるはずです。

なぜ逆ザヤ状態になっても事業を継続していたのかといえば、高利回りを謳うことでオーナーを募り、相場より法外に高い物件を購入させることで資金繰りを行っていたからです。高利回りを約束しないと新規のオーナーを募ることができず、物件を新築することができないので、逆ザヤ状態が生じても次々と新規物件を建築し続けたのです。

しかし、そもそもシェアハウスは普通のアパート・マンションに比べ入退去が激しいこともあり、「かぼちゃの馬車」の入居率は低迷し続け、おおよそ40%に留まっていました。その結果、徐々に逆ザヤに耐えきれなくなり、最終的に2018年5月には破産を迎えたのでした。

建築会社によるキックバック

サブリース事業で逆ザヤ状態になっても、スマートデイズが経営をしばらく続けられた理由は、彼らのビジネスモデルがサブリース事業ではなかったことにあります。

「かぼちゃの馬車」のコンセプトは女性専用シェアハウスで、入居者のターゲットは主に地方から上京してきた若い女性です。スマートデイズは「地方から上京してきた若い女性」という属性に着目し、「入居者」だけではなく「就職希望者」「試供品・アンケートモニター」「婚活パーティー参加者」とカテゴライズして収益をあげようとしたのです。

具体的には人材紹介業として、企業に女性を紹介してマッチングすると年収の25%を得る収支設計をしていました。

また、化粧品メーカーなどと契約して試供品を提供してもらい、入居者の女性にアンケートモニターになってもらうというビジネスモデルも構想していました。

さらに、男女の出会いの場を企画するマッチングサービス企業と提携することで、入居者を婚活パーティーの参加者として紹介するというビジネスモデルも予定していたといいます。

ところが、これらの3つのビジネスモデルはうまくいかず、唯一収益源となったのは、建築請負会社からのキックバックでした。

キックバックとは取引先に対する謝礼のことなので、それ自体は違法ではありません。ただスマートデイズが異常だったのは、通常建築請負のキックバックが3%程度なのに対し、50%ものキックバックを要求していたことでした。

法外なキックバックのせいで建築費が高騰し、「かぼちゃの馬車」の物件価格は相場の倍にまで跳ね上がりました。「かぼちゃの馬車」のオーナーは相場の倍で高値づかみをさせられたのです。

スマートデイズによる審査書類の改ざん

不動産投資において、投資家が販売会社から高値づかみをしてしまったケースで、金融機関の融資審査の段階が歯止めになるときがあります。金融機関が物件の担保価値や事業計画、投資家の属性を審査し、事業計画が成り立たないと判断すれば融資が却下されるからです。

ところが、「かぼちゃの馬車」事件では、この融資審査の段階でも不正がありました。1棟1億円以上の融資ともなれば、通常はかなり厳格な審査が行われます。物件の収支シミュレーションとともに、投資家の職業、収入状況、保有する資産などが厳しくチェックされます。ですが、スマートデイズでは審査書類を改ざんして審査を通していたのです。

ある投資家の銀行口座には211万円がありました。当然、通帳には「211万円」という残高が記載されていましたが、スマートデイズはこの通帳の画像データの残高を「2,935万円」に改ざんしたうえで、そこから「1,060万円」の頭金を支払っていることにしたとのことです。

物件価格が高くなれば、融資額も高額になります。ということは、融資する金融機関にも利益をもたらすということになります。そうした悪いインセンティブが働いたこともあって、「かぼちゃの馬車」事件では某地方銀行が不正融資に積極的に加担することになり、被害者を増やすことになりました。

さらに、ほとんどのオーナーが「かぼちゃの馬車」物件と関係のない年7.5%前後のフリースタイルローンを組むこと、毎月一定額の定期積立をすることを融資条件とされて、さらに被害額を大きくしているのです。

自転車操業

「かぼちゃの馬車」の運営状況を見れば、スマートデイズの経営は持続不可能であることは一目瞭然です。構造的な赤字状況であるサブリース事業を建築請負のキックバックで補填するという「壮大な自転車操業」になっていたからです。

そして、案の定破綻は数年で訪れました。それまで積極的だった某地方銀行の融資姿勢が一転硬化しことによって「かぼちゃの馬車」の販売は大幅に落ち込み、自転車操業がパンクすることになったのです。

2018年3月段階の負債総額は約60億円でしたが、2019年の第1回債権者集会で破産管財人が明らかにした届出債権は1,053億円にものぼりました。

「かぼちゃの馬車」の物件は今どうなっている?

「かぼちゃの馬車」運営会社であるスマートデイズが破産しても、物件は残り続けます。その後の「かぼちゃの馬車」の建物はどうなったでしょうか。

事件後しばらく賃貸経営を継続したオーナーのなかには、高齢者向けグループホームの運営会社に委託して、物件をグループホームとして運営している人もいます。そこでは、手狭だった各個室を広くしたり、共用施設を設けたりするリノベーションを施して物件価値を向上させています。

また、警備会社や引越し会社が派遣会社と提携して、派遣社員向けの宿舎として運営するケースもあります。

詳しくは次章で述べますが、その後被害者と被害弁護団は某地方銀行と和解、旧「かぼちゃの馬車」物件は外資系ファンドが一括で買取り、再生事業を始めています。

「かぼちゃの馬車」事件後の不動産投資家は?

「かぼちゃの馬車」事件によって被害を受けた投資家たちは、スマートデイズ破産後に被害者同盟を結成、弁護士の被害弁護団とともに融資をしていた某地方銀行との交渉を行います。

被害弁護団が調停申し立て

2019年9月、被害弁護団は東京地方裁判所に調停申し立てを行います。その後、東京地方裁判所から解決のための調停勧告が数次にわたってなされました。

不動産の購入に使った融資(ローン)と不動産を相殺

被害弁護団と某地方銀行との調停は合計3回にわたり、最終的には2022年4月に決着となりました。

解決スキームは以下のようになりました。

  1. 某地方銀行と被害者オーナーとの間で借入債務と解決金を対当額で相殺する
  2. 某地方銀行は相殺後の債権を外資系ファンドである譲渡先へ譲渡
  3. 被害者オーナーは、譲渡先に物件を譲渡された債権の支払いに代えて代物弁済

つまり、「かぼちゃの馬車」物件オーナーが土地・建物を手放す代わりに、銀行側が解決金を支払って借入金を相殺するというものでした。オーナーの借金は帳消しとなったのです。某地方銀行は、解決金として440億円を支払いました。

これは「令和の徳政令」とまで言われるほど画期的なものでしたが、何はともあれ「かぼちゃの馬車」事件は全面解決となったのでした。

「かぼちゃの馬車」事件が不動産投資家へ与えた影響

「かぼちゃの馬車」事件の被害者同盟と被害弁護団にとっては一件落着となったわけですが、この事件は不動産投資家全体へ大きな影響を与えることとなりました。

それはどのような影響だったのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

融資の審査基準が厳しくなった

「かぼちゃの馬車」事件の表面化を受け、金融庁は2018年10・11月、121の銀行と261の信用金庫、148の信用組合に「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」を行いました。この調査は、投資用不動産向け融資の実態把握が目的ですが、何か問題があれば立ち入り調査を行うと言明していて、金融機関への注意喚起となりました。

同時に、「かぼちゃの馬車」事件に深く関与した某地方銀行へは行政処分を行いました。この処分には一罰百戒の思惑があったことは間違いなく、他の金融機関も投資用不動産への融資についてより一層厳格な審査基準でのぞむようになりました。

とくに、以下の点がこれまで以上に厳しく審査されることとなりました。

  • 投資家の属性(財産・収入状況)を示すエビデンスの確認
  • 投資家に物件を紹介する不動産会社の検証
  • 収支シミュレーションの実施
  • 物件価格の妥当性の検証
  • 投資家へ返済不能となるリスクや金利上昇リスクの説明

不動産相場の下落

金融機関の融資姿勢が厳しくなることによって、現実に融資実行額は減少に向かいました。

金融機関の融資によるレバレッジがつく不動産投資では、融資実行額と物件価格は相関関係にあります。融資実行額が下がれば、物件の成約数が下がり、物件価格は下落することになります。事件後の融資姿勢硬化によって、物件価格は一時的に下落することになりました。

ただし、住居系不動産自体は一貫して価格が上昇していて、一棟アパート・マンションなど投資用不動産の価格もやがて持ち直し、現在では再び上昇基調となっています。

そして、世間一般には「不動産投資は怖いもの」というマイナスイメージを強力に与えることとなりました。何といっても「かぼちゃの馬車」事件では、高収入のエリートサラリーマンが一夜にして自己破産に追い込まれたわけですから、そのような負の印象が広がることは無理のないことでした。

「かぼちゃの馬車」事件から学ぶべき不動産投資の教訓とは

「かぼちゃの馬車」オーナーとそれ以外の物件オーナーも含めて、スマートデイズ関連の被害者は946名(連帯債務者を含む)にものぼりました。不動産投資家の立場に立って考えると、この事件の教訓は何なのでしょうか。

不動産投資とは賃貸経営である

この事件は、不動産投資は「賃貸経営」であることをあらためて示しました。

不動産投資は、その字のごとく「投資」ではありますが、不動産賃貸業という「事業」なのだということを肝に銘じることが必要です。その点で、不動産投資は株式投資などの金融資産運用とは一線を画します。

たとえば、ある投資家が株式投資でA社の株式を取得したとします。この株主は莫大な財産を使って大株主にでもならない限り、A社の事業に参画することはできません。せいぜい株主総会に参加して意見を述べるくらいです。

ところが、不動産投資は違います。物件を取得してからが賃貸経営の始まりです。経営である限り、投資家はあらゆる経営責任を負います。そして、その運営には経営の視点が求められます。

「かぼちゃの馬車」事件は詐欺的な要素が強く、オーナーたちは被害者なのですが、高属性の会社員、士業の人、医師などが多くいました。社会的にはエリートとされる人たちがなぜ騙されてしまったのかというと、事業者・経営者の視点に乏しかったとことが一要因といえるのかもしれません。

不動産投資家には「不動産投資は事業であり、経営なのだ」という意識があらためて問われたといえるでしょう。

サブリース契約について

「かぼちゃの馬車」事件があらためて世に問うたのは、サブリース契約の問題点です。スマートデイズ以外の大手サブリース事業者によって、この問題は社会的にも大きく取り上げられました。2020年施行された賃貸住宅管理業法によって、サブリース事業者はサブリース契約のさまざまなリスクを説明することが義務付けられたのです。

それでもなお、サブリース契約をめぐるトラブルはなくなっていません。

サブリース契約は空室リスクや家賃滞納リスクなどを避けることができ、オーナーにとっては大きなメリットを感じられる仕組みではあります。

ところが、サブリース契約には大きな落とし穴があります。それはサブリース契約によって、サブリース事業者が賃貸借契約における借家人の立場になり、借地借家法によって保護される存在になることです。

借地借家法は、その法律の成り立ちから借家人保護の性格の強い法律です。そのことで、サブリース契約では以下のことが起こることがありえます。

(1)契約期間中や契約更新の際に家賃が減額される可能性がある

サブリース契約を結ぶときに、サブリース事業者から「この物件なら需要が下がらないので、家賃も下がることはありません」「〇年間にわたって家賃は確実に保証されます」などと説明を受けたり、サブリース契約書に家賃保証の文言があったとしても、契約期間中や契約更新の際に家賃が減額される可能性があります。

それは借地借家法第32条により、借家人には賃料減額請求権があるからです。仮にサブリース契約書に家賃保証が謳われたとしても、借地借家法第32条は強行規定なので、サブリース事業者の家賃の減額請求が認められてしまうのです。

減額請求された場合でも、オーナーは必ず受け入れる必要はありませんが、「家賃減額を拒否するならば契約自体を解約する」と脅されて泣く泣く受け入れるオーナーもいます。

(2)契約期間中でも契約が解約される可能性がある

サブリース契約書でサブリース事業者から解約することができる旨の規定がある場合は、契約期間中であっても解約される可能性があります。

その一方で、オーナー側からの更新拒絶には、借地借家法第28条の「正当事由」が必要となります。

正当事由とは賃貸借契約更新を拒絶するための正当な理由ということですが、これは判例でオーナー・借家人が土地・建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経緯、土地・建物の利用状況、立退料の提供などを考慮して総合的に判断するとされています。

借地借家法は借家人保護の性格が強いと述べましたが、この正当事由も借家人を保護するものとなっていて、オーナー側の主張がなかなか通らない傾向にあるのです。

以上のようなこともあり、消費者庁、金融庁、国土交通省の3つの省庁から注意喚起が発されているのです。

家賃相場について

不動産投資・賃貸経営において極めて重要なのが、家賃相場の把握です。「かぼちゃの馬車」事件でもそのことが明らかになりました。

「かぼちゃの馬車」はシェアハウスだったので、通常のアパート・マンションと比較するためには少し補正が必要になりますが、周辺物件と比較すると、平米あたりの家賃は競争力の強いものではありませんでした。

家賃は4万円~9万円程度、敷金・礼金・仲介手数料が無料、インターネット通信費・光熱費無料だけを聞くと魅力的にも聞こえます。ですが、個室の平米数、共用施設が劣悪、最寄り駅からの距離が徒歩10分以上とマイナス要素も大きかったのでした。

賃貸経営では、家賃設定は入居率に直結するとても重要なものになります。家賃相場を調べるには、3大ポータルサイトである「SUUMO」「HOME’S」「アットホーム」が有効です。

また家賃相場とともに、物件価格そのものの相場も把握しておく必要があります。購入しようと思っている物件と似た立地、似た条件の物件をいくつかピックアップしてつかんでおくのです。

物件価格の調査には、収益物件のポータルサイト「楽待」「健美家」が役立ちます。また、購入しようとしている不動産投資会社以外の会社に、セカンドオピニオンとして尋ねてみるという方法も有効です。

入居見込みについて

不動産投資・賃貸経営において、最大のリスクは空室リスクです。収益物件の運用にあたっては、入居者からの家賃が最大の収益源となるので、それが絶たれる空室という状況をなるべく減らしていく必要があります。

空室リスクを減らす最大のポイントは、立地にあるといっても過言ではないでしょう。入居見込みの立つ、賃貸需要の旺盛な立地にある物件を取得することが大切になります。

立地を選ぶ際に重要なこと

立地を選ぶ際に重要になるのが、「入居者目線で物事を考える力」です。一般的には最寄り駅に近く、日常生活を送るのに便利なスーパーマーケットなどの商業施設や病院・役所などの公共施設が近隣にある立地が好まれます。ただし、より良い立地は想定される入居者像によって異なるという点には注意が必要です。

たとえば、単身者向けの物件の場合、比較的若い世代の人が入居するケースが多いので、近隣に便利なコンビニエンスストアなど商業施設のある地域が好まれる傾向にあります。逆に、病院や役所には優位性は感じないということがあります。

それに対して、子育て世帯が主な対象になる物件では、繁華街や商業施設よりも落ち着いた環境であったり、学校や病院などが近隣にあったりを気にする傾向にあります。理想的な立地はターゲットにする入居者によって変わりますので、念入りなリサーチを行うことが大切です。

建物と設備の質も重要

物件の建物・設備の質も重要な要素です。賃貸不動産には、時代の流れやニーズに合った設備・仕様が求められます。たとえば、コロナ禍によってインターネット通販が拡大しましたが、それにともない宅配ボックスのニーズが急拡大しました。宅配ボックスの有無が入居の決め手になるケースも散見されます。

さらに、入居者募集業務に強い管理会社と仲介会社を味方につけているかも重要なポイントです。どんなに良い物件であったとしても、広告・宣伝の力が弱ければ入居付けはできません。

オーナーの賃貸経営に寄りそってくれる力強いパートナーの存在は、不動産投資の成功には欠かせないといえるでしょう。

まとめ

「年金収入だけでは老後が不安」

「本業の給料がこのまま続くかわからない」

「リストラされるかもしれない」

「退職金が大幅カットされる」

こんな不安を抱えている人が多くいます。詐欺を働く人、怪しい投資話を持ち込む人は、こうした不安につけこんで人々の心に入ってきます。投資トラブルはあらゆる世界に存在していて、つい最近でも芸能界で大きな騒ぎがありました。

残念ながら、不動産投資の世界にもこうした人がいることは事実です。だから、私たちは怪しい案件と正当な案件とを見極める力を磨く必要があるのです。

投資の世界には「No pain, no gain」という言葉があります。「労力なくして得るものなし」という意味です。リターンがあるところの裏側には、必ずリスクがあることを知らなくてはいけません。

「高い表面利回り」や「フルローン」などの甘い話は鵜呑みにせず、必ず自分の目で確認するようにしましょう。

不動産投資は信頼できる不動産投資会社をパートナーとし、適切なリスクコントロールを行えば成功することが可能です。それはそれほど困難なものではありません。

しかし、それは決して「楽」ではないかもしれません。「かぼちゃの馬車」事件だけでなく、あらゆる投資、あらゆる事業において「楽して儲けたい」という気持ちが失敗の根本原因といえるのではないでしょうか。

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監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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