長期修繕計画とは?見直しが必要ってホント?押さえておくべき内容や新たに作成する場合のポイントを具体的に解説します。

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どんな不動産も時間と共に劣化して、設備機能が低下していきます。もちろんマンションも例外ではなく、経年劣化したマンションに住み続けるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。しかし、劣化が目立った時点で修繕を決めても、修繕業者との打ち合わせや劣化状況の確認作業などが必要になるため、すぐに修繕作業を開始できるとは限りません。

そのため劣化が深刻になる前に、効果的にメンテナンスが実施できるように、あらかじめ修繕計画を立てておく必要があります。そのためには長期修繕計画の作成が、非常に重要です。こちらの記事では長期修繕計画の内容や作成のポイントについて、具体的に解説します。

長期修繕計画とは

長期修繕計画とは、マンションの経年劣化に対して適切なメンテナンスを行うために、長期的な修理・補修を想定した修繕計画です。長期修繕計画では、修繕工事のタイミングや想定される費用など、マンションを将来にわたって維持していく展望を具体的に記載しています。

長期修繕計画を立てることで、マンションの資産価値を下げる要因を定期的に排除できるようになります。また想定外の事態が起きても、計画内容を軌道修正すれば、修繕積立金の金額や修繕工事の内容、タイミングなどの変更も可能です。分譲マンションは、マンション住民全員にとって大切な資産になります。マンションの資産価値を守っていくためにも、長期修繕計画は重要な将来設計になるでしょう。

長期修繕計画はマンションごとに必要

マンションは、建設された時期や、地理的環境、建物面積などがマンションごとに大きく違います。そのためマンションの修繕が必要になる時期や修繕内容も、マンションごとに異なります。そのような事情から長期修繕計画も、マンションの抱える問題に応じて、個別に作成する必要があるのです。

もちろん、他のマンションの長期修繕計画を参考にすることはできますが、マンションごとに置かれている状況が違うため、同じ計画では意味がありません。マンション固有の修繕箇所や耐用年数など点検して把握することで、そのマンションにふさわしい長期修繕計画の作成が可能になります。

長期修繕計画作成ガイドラインとは

マンションへの永住希望は年々高まっており、マンションを終の棲家とするためにも、マンションの効率的なメンテナンスは重要です。マンションへの永住希望の需要の大きさに応じる形で、国土交通省では平成20年6月に「長期修繕計画作成ガイドライン」が公表されました。

管理組合内における意思決定の指針として使えるよう、国が公式に方針を示したことになります。記載すべき計画内容などを具体的なコメント形式で言及しており、長期修繕計画を作成するうえで非常に参考になる内容です。

また「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」は、令和3年9月に見直しが行われており、大幅な改訂がされました。具体的な改訂ポイントは、3つあります。

長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン 改訂ポイント①

改定ポイント1つめは、計画期間の変更です。従来の長期修繕計画における計画期間は、新築マンションは30年以上で、既存のマンションは25年以上とされていました。この点が改訂後は、計画期間は30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上と定義されています。

長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン 改訂ポイント②

改訂ポイント2つ目は、大規模修繕工事の期間の目安について、一定の幅を持たせた記載に変更された点です。従来では、外壁塗装の塗り替え時期について12年とされていましたが、改訂後は12~15年とされており、施行期間に猶予を設定しています。

長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン 改訂ポイント③

改訂ポイント3つ目は、実施する修繕工事の有効性などを追記するように義務付けられた点です。修繕工事の重要性や有効性などを計画に記載することで、効果的な修繕計画を実現することを目的としています。

マンションの修繕積立金の関するガイドライン 見直しについて

さらに「マンションの修繕積立金の関するガイドライン」も、令和3年9月に見直しが行われました。こちらのガイドラインの主な変更点は、目安となる修繕積立金の1平米単価の更新と修繕積立金の目安にかかる計算式の見直しです。

専有面積あたりの修繕積立金の具体的な目安は、見直しにより以下の表で示す金額になりました。ちなみに㎡とは、1平米の意味です。また建築延床面積とは、建物各階の床面積を合計した値になります。

計画全体のおける修繕積立金の平均額の目安(機械式駐車場を除く)
地上階/建築延床面積月額の専有面積当たりの修繕積立金額
事例の3分の2が包含される幅平均値
20階未満5,000㎡未満235円~430円/㎡・月335円/㎡・月
5,000㎡以上~ 10,000㎡未満170円~320円/ ㎡・月252円/㎡・月  
10,000㎡以上~ 20,000㎡未満200円~330円/ ㎡・月271円/㎡・月
20,000㎡以上190円~325円/ ㎡・月  255円/㎡・月
20階以上240円~410円/ ㎡・月338円/㎡・月

修繕積立金にかかる計算式の変更点は、従来は購入予定マンションの修繕積立金の総額を算出することで、修繕積立金の金額が適切な水準に適合しているかを判断していました。これに対して改訂後では、計画期間全体における修繕積立金の平均額を算出することで、適切な水準に適合しているかを判断するやり方に変更されています。

具体的に説明すると従来の計算式では、「専有面積当たりの修繕積立金額の目安」に「購入予定のマンションの専有面積」を掛け合わせることで、購入予定の修繕積立金の目安となる値を計算していました。

これに対し改訂後の計算式では、まず「計画期間当初における修繕積立金の残高」に「計画期間全体で集める修繕積立金の総額」を足します。そしてその値を「マンションの総専有床面積(㎡)」と「長期修繕計画の計画期間(ヶ月)」を掛け合わせて得た数値で割ります。その割り算で「計画期間全体における修繕積立金の平均額」が算出でき、その算出された金額で、修繕積立金が適切な水準に適合しているかを判断できるようになりました。

参考:国土交通省 長期修繕計画標準様式

長期修繕計画を立てる目的

マンションの長期修繕計画は、主に3つの目的を実現するために作成されています。

将来の工事費用や修繕内容を把握するため

鉄筋コンクリートで建設されたマンションは、頑丈であり耐用年数も長いです。そのため一見するとメンテナンスしなくても、問題ないように思われるかもしれません。しかし経年劣化による損傷などは避けられず、鉄筋コンクリートといえども放置すればひび割れなどの欠陥が表れ始めます。

壁一か所に小さなひび割れが起きただけでは、マンション全体への影響は小さいです。しかしそのままにしておけば、欠陥が拡大してマンション全体へ重大な影響を及ぼしかねません。また外壁などに傷が目立ってしまえば、外観の美しさも損なわれてしまい、マンションの価値も低下します。

マンションの資産価値を維持して、長期間快適に生活するためにも、マンションの状況に応じて適切な時期に修繕していくことが必要です。そのために重要なのは、修繕のための費用です。国土交通省によると、新築から12~15年目で行う1回目の大規模修繕工事の費用は、4,000~6,000万円の価格帯が最も多いとされています(令和3年度調査時点)。

大規模修繕工事は1回で終わらず、マンションが存続する以上その後も続いていきます。そのためあらかじめ資金計画を立てて、大規模修繕工事の周期を見据えて積み立てていかなければなりません。

長期修繕計画での資金面の積み立てが不十分であった場合、大規模修繕工事の費用が足りず、必要なメンテナンスができない事態が生じてしまいます。突発的な工事が起きても積み立てに影響が出ないように、余裕を持った資金計画が重要です。

参考:国土交通省 令和3年度マンション大規模修繕工事 に関する実態調査

修繕積立金を設定した根拠を明示するため

マンションの修繕積立金は、マンションの住民(区分所有者)が各自で負担して積み立てていくことになります。ただ修繕積立金の金額設定に、異論がある住民が出てきてもおかしくありません。

マンション全体の資金として平等に徴収するためには、金額設定に正確な根拠が必要です。修繕積立金における金額設定の妥当性を示すために、長期修繕計画における客観的な資金面のデータが重要になるでしょう。

またマンションの予期せぬ損害が生じた場合などは、想定よりも多くの修繕費が必要になるケースもあります。そのような場合は、月々の修繕費用の値上げも検討せざるを得ません。

修繕資金の根拠が納得できるものであれば、値上げの意志決定を行うマンションの総会でも円滑な運営が期待できます。

修繕工事をスムーズに行うため

マンションの工事は、小規模であっても足場の設置などの準備期間を入れると、月単位から年単位の作業期間に及ぶケースも珍しくありません。また大規模修繕工事のような大がかりな工事では、2~3年前から準備していくのが一般的です。

長期にわたる作業工程をスムーズに進めていくためにも、マンションの住民同士で修繕計画の全体像を把握して、工事の概要を事前に共有しておかなければなりません。長期修繕計画は、修繕工事の期間や資金面での工面を理解するために、重要な役割を果たすでしょう。

また多くのマンション管理組合では、1~2年の周期で役員を輪番制で選任するのが一般的です。長期修繕計画で修繕における長期的な展望を決めておくことで、理事会役員の役割が明確になり業務効率の向上が見込めます。

長期修繕計画に記載する内容

長期修繕計画に記載する事項は共通しており、大きく分けて3つの項目で構成されています。

建築に関する項目

まず建築に関する項目の解説です。

・仮設工事
・屋根・床の防水
・外壁・鉄部の塗装
・建具・金物の補修
・共用内部の補修

などが記載されることになります。

仮設工事とは、足場の設置で実施される工事です。大規模修繕工事などでは、足場のない場所で外壁塗装などを行うため、臨時の足がかりを組み立てる必要があります。足場作成の費用も関連設備の建築費用として、長期修繕計画に計上しなければなりません。経年劣化による水漏れ被害のリスクも、年々高まります。水害リスクは環境の変化により増加傾向にあるため、屋根・床の防水工事の計画も重要です。

また鉄部塗装工事の鉄部とは、文字通り鉄でできた建築部位を意味します。鉄はさびによる腐食で劣化していくため、築造から5~6年で修復作業が必要になるマンションも出始めます。鉄はさびで耐久性が著しく劣化するため、さびからの保護は鉄部を長く使うために欠かせない作業です。

サッシなど建具金物部分は、付属部品であれば20~30年前後で取り替えられて、サッシ自体は建設から30~40年程度で交換されるのが一般的です。サッシの取り換えは、3回目の大規模修繕工事の時期と重なることが多いため、長期修繕計画ではサッシの交換も計画に組み込んでおく必要があります。

マンションの共用部分とは、管理組合が修繕義務を負うスペースです。エントランスや廊下、屋根・外壁・鉄部などがマンション共用部分にあたります。専有部分と違って個人が自由に扱うことはできないため、長期修繕計画で補修を計画しなければなりません。

参考:国土交通省 サッシ改修工事

設備に関する項目

続いて設備に関する項目についての解説です。

・給水設備
・排水設備
・電灯設備
・ガス設備
・空調・換気設備
・消防用設備
・情報通信設備

といった項目を、長期修繕計画に記載することになります。

給水、電気、ガスといった設備は、ライフラインに直結するため優先度が非常に高い設備です。定期的なメンテナンスを欠かさず実施していくためにも、長期修繕計画に組み込んでトラブルを未然に防ぐことが重要になります。

消防用設備とは、消火器や火災報知器、非常ベルといった設備です。非常用設備は一度設置したらメンテナンスが疎かになりがちなので、長期修繕計画に取り入れて不備がないか定期的にチェックしていく必要があります。

情報通信設備とは、テレビや電話、ネット回線、インターホン回線を含む配線設備です。現代社会は情報化社会でもあるため、日常生活を送るうえで情報のやり取りは欠かせない手段となっています。情報通信回線などは落雷の影響を受けやすいため、避雷設備のメンテナンスも長期修繕計画に組み込む必要があるでしょう。

資金面に関する項目

3つ目の項目として、資金面に関する項目を説明します。

・戸当たりの修繕費の積立額
・修繕積立金の残高
・借入金の残高
・推定修繕工事費

などが記載されることになります。

マンションの住民が支払う修繕積立金が収入であり、修繕費用などで支払われる金額が支出です。収支のバランスがとれていれば、大規模修繕工事などでも余裕を持って資金繰りができます。しかし収入より支出が大きいなどバランスが崩れれば、修繕積立金の値上げや金融機関からの借り入れも検討しなければなりません。

そういった事態を避けるためにも、修繕積立金の残高、借入金の残高、推定修繕工事費などを長期修繕計画に記載して、計画的にバランスをとっていく必要があります。

修繕のタイミングとは

では長期修繕計画を立てる場合、どの位のスパンで修繕すべきでしょうか。修繕のタイミングについて解説します。

大規模な修繕周期の時期

大規模な修繕周期は、一般的に12年~15年です。12年目で行うのは、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインで12年を修繕周期にしているのが大きいですが、建築基準法の内容も関係しています。建築基準法12条では、竣工や改修から10年経過したタイル張りなどの建築物は、外壁の全面打診調査をしなければならないと定められました(平成20年4月改正)。

全面打診調査とは、外壁の劣化具合などを調べる調査で建物全面に及ぶ大がかりな検査です。全面打診調査は、竣工や全面改修から10年を経過した場合、3年以内の実施が義務付けられています。そのため多くのマンションが、全面打診調査と時期が重なる12年辺りで大規模修繕を実施しているのです。大規模修繕の実施に当たっては効率的な修繕業務ができるように、専門業者が事前に綿密な準備を行います。

参考:国土交通省告示第282号 建築基準法12条 建築基準法施行規則5条

その他の修繕周期の時期

大規模修繕のほかに、部分的な補修やメンテナンスも随時行います。鉄部のメンテナンスは、5年~7年おきに実施されるのが一般的です。すでに説明した通り、鉄はさびで腐食してしまいます。

さびは見た目だけの問題ではなく、雨戸や玄関扉の金具がさびて閉まらなくなるなど、日常生活に悪影響を及ぼします。むき出しのさびははがれやすく、怪我の原因にもなるため、こまめなメンテナンスが重要です。

長期修繕計画は見直しが必要!

長期修繕計画は、一度作成したら終わりというわけではありません。計画とはあくまで将来の展望であり、計画通りに進まないケースも多々あります。突発的な災害や予想外の出費など、計画時に想定していない事情を踏まえて、適宜見直す必要があるでしょう。

見直す際の注意点とは

長期修繕計画の具体的な見直し時期は、5年周期を目安とするのが一般的です。国土交通省が公開している長期修繕計画作成のガイドラインでも、5年ごとに見直すことを前提としています。ただしあくまで目安です。マンションの置かれている地理的環境などにより、5年周期が当てはまらない場合もあるためご注意ください。

また大規模修繕工事が終わった時期も、長期修繕計画を見直すタイミングです。大規模修繕工事は、マンションにとって修繕積立金を最も消費する補修工事になります。計画通りの支出で収まったのかなど、今後の積み立てを見直すいい機会になるでしょう。

参考:国土交通省 第2編 長期修繕計画作成ガイドライン

長期修繕計画通りに進まない場合

長期修繕計画において計画と現実にずれが生じやすいのは、資金面です。修繕費はあくまで計画時の基準で計算されており、その後の人件費の高騰などは考慮されておりません。人件費以外にも、物価や材料費の値上がりなどを計画時に完全に予測することは困難です。

また技術革新や社会情勢の安定などで、計画時より修繕費を抑えられる場合もあります。長期修繕計画を立てる際も、想定外の事態をある程度考慮して、余裕のある見通しを立てる必要があるでしょう。

同時に修繕積立金の見直しを行う

長期修繕計画の収支に最も影響を与えるのが、修繕積立金の金額です。金額が1,000円上がっただけでもマンションの総戸数が多ければ、修繕積立金の総額は大きく増加します。修繕工事の時期や業者の選定など、修繕積立金以外でコストカットをしても収支のバランスが改善されない場合は、修繕積立金の見直しに着手しなければなりません。

修繕費用の検証を行う

修繕費用は、相場や市場価格と比較して適切な金額でなければなりません。修繕費用が適正でなければ、本来であれば不要な支出も生じてしまいます。そのためには、修繕費用の検証が重要です。修繕積立金を値上げしなくても、修繕業者や修繕周期を変更することで、現状の修繕積立金で十分足りる場合もあります。修繕積立金を値上げする前に、修繕費用を検証する必要があるでしょう。

不足があれば修繕積立金の値上げをしよう

あらゆるコストカットをしても修繕費用の必要額が確保できない場合は、修繕積立金の値上げを検討すべきです。修繕積立金の値上げは、管理組合の決議で可決されなければならないため、値上げの根拠などを決議の場で示す必要があります。

値上げに反対するマンション住民も想定されるため、反対者が納得できるまで話し合いを重ねることが望まれるでしょう。マンションの経年劣化が進むごとに、修繕費用の上昇は避けられません。マンションの資産価値を守るために、修繕積立金の値上げについて理解してもらう必要があります。

実際に見直すのは誰?

長期修繕計画の見直しが必要だとして、実際誰が見直すべきでしょうか。見直すべき主体について解説します。

管理組合で見直す

マンションには管理組合という組織があり、マンション全体の管理や運営が主な業務です。マンションの管理組合はマンションの全住民に加入義務があるため、マンションの管理組合の決議は、マンション全体の総意として扱われることになります。

そのため、マンションの意志決定が可能な管理組合で見直すのが、最も合理的な手段といえるでしょう。修繕積立金を出すのはマンションの住民であり、管理組合はそのマンションの住民で構成されています。つまり管理組合が、マンションの住民に不利な見直しをする可能性は低いです。

ただし管理組合の構成員に、修繕計画の改善に詳しい人間がいるとは限りません。そのため管理組合で見直すと、専門的な知見に欠けてしまう可能性があります。

管理会社に委託する

マンションの運営は管理組合で行うものですが、日中仕事をしながら管理業務を並行するのは現実的ではありません。そのため多くのマンションでは、管理業務を代行してもらうために管理会社に業務委託しているのです。

管理会社では、マンションの管理・運営を代行しています。よって長期修繕計画の見直しを管理会社に委託すれば、管理会社の持つノウハウを取り入れた的確な修正が期待できます。

ただし管理会社は、多くのマンションの管理を同時に手掛けているのが一般的です。そのため一つ一つのマンションにあまり時間をかけられず、丁寧な見直しがなされない場合もあるためご注意ください。

外部の専門家に委託する

管理組合や管理会社ではなく、完全な外部の専門機関に見直しを委託する方法もあります。住宅診断や不動産コンサルティングを専門とする業者に頼めば、管理会社以上に長期修繕計画の内容を精査してもらえるでしょう。

ただし委託料として、相当な費用がかかってしまうのが難点です。コストパフォーマンスの点から委託するのが妥当なのか、管理組合内での議論も必要になります。

コンサルティング会社などに長期修繕計画の見直しを委託した場合は、約10万円が相場です。ただしこれは基本料金であり、オプションとして建物診断などを行ってもらえば、約60~100万円の追加費用がかかります。

外部委託の費用が高くなるほど、大規模修繕工事などに使う修繕積立金が減ってしまいます。外部委託業者の実績を慎重に見極めて、外部委託のメリットがデメリットを上回るのかよく検討する必要があるでしょう。

そもそも長期修繕計画がなかったら・・・

長期修繕計画は、マンションの資産価値を維持するために任意で作成されるため、長期修繕計画がないマンションも存在します。では長期修繕計画がないマンションは、どうすべきでしょうか。その対応について解説します。

新たに作成する

長期修繕計画がない場合は、どうしても場当たり的な修繕作業になりがちです。長期的な見通しがないとその都度資金繰りに苦労する可能性も高く、マンションの安全性にも影響を及ぼします。将来にわたってマンションの資産価値を維持するためにも、長期修繕計画はやはり重要です。まずは管理組合内で話し合い、長期修繕計画の作成をぜひご検討ください。

専門家に作成を依頼する

長期修繕計画の見直しだとベースとなるデータはすでに揃っていますが、最初から作るとなるとデータ収集のため、新たに外壁調査や設備面などの総合的なチェックが必要になります。

そのため新たに長期修繕計画を作成する場合は、マンション管理士といった専門家に依頼する方法も一つの方法です。マンション管理士とは、マンション管理のコンサルティングを業務とする専門家になります。

マンションの資産価値の維持のために、最適な提案や指導、トラブル解決などがマンション管理士の主な業務です。管理組合や管理会社による長期修繕計画の作成が難しい場合は、マンション管理士に依頼してみてはいかがでしょうか。

当社マンション管理士の一言

長期修繕計画の作成には、マンションの将来を考える必要があります。

50年で建て替える計画と100年住み続ける計画では当然修繕計画も変わってきます。新築マンションを購入する時にそこまで考えることは無いと思いますが、いずれ検討しなければならない大きな問題です。

現在、築40年を超えるマンションが大幅に増える中、積立金不足は管理不全マンションにつながる大きな問題です。そうならないためにも、長期的な計画を立てていくことがマンションを適切に管理していくうえで必要なことだと言えるでしょう。

まとめ

マンションに限らず長期的に使っていくためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。そのためにはその場しのぎではなく、計画的に検査や点検を設定しておくことが重要です。長期修繕計画はマンションの価値を守っていくための指針として、大きな役割を果たしてくれます。

長期修繕計画の作成・見直しでは、建築や設備に関する項目、または資金面での項目など多くの情報を整合的に勘案する必要があります。また計画内容に賛成してくれないマンション住民との交渉など、多くのストレスがかかる作業なのは間違いないでしょう。

一方で、住民の将来的な生活を左右する重大な業務でもあるため、間違いやミスは許されません。長期修繕計画に関与する負担や責任の重さを考慮すると、やはり専門家に委託するのがベストな解決策ではないでしょうか。

大和財託では、マンション修繕工事、管理組合アドバイス、マンション管理業務などマンション運営に関する総合的なサービスを展開しています。またマンション管理のプロフェッショナルであるマンション管理士も多数在籍しており、お悩み解決に向けた専門的なご提案が可能です。長期修繕計画についてお困りの場合は、大和財託にぜひご相談ください。

監修者

黒木 淳/大和財託株式会社 マンション管理士・マンション管理シニアコンサルタント

【保有資格】
管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

【プロフィール】
損害保険調査業、鉄道系大手分譲マンション管理会社を経て、大和財託株式会社に入社。
所有者にとって最適な物件管理を提案することを重視し、「大切な資産」であるマンションを守るため、各オーナー様の物件管理をサポート。

【メッセージ】
分譲マンションの問題が多様化する昨今、当社は大規模修繕工事は当然、税務や管理運営まですべての分野に対応できることが強みです。
長年、マンション管理に携わってきた経験を活かし、管理組合様、理事長様のニーズに寄り添ったサービスを提供し、皆様の快適な暮らしをサポートいたします。
お気軽にご相談ください。

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