COLUMN
2021年3月12日(金)
不動産投資は賃貸事業でもあり、個人名義の場合は年度末には確定申告が必要になりますので、税金についても正しい知識が必要になります。
今回は家賃収入の消費税について解説します。
不動産投資で得られる家賃収入には、消費税が「かかるもの」と「かからないもの」があります。
・アパートやマンションなどの「住宅用賃貸」であれば「非課税取引」
・事務所や店舗、倉庫などの「事業用賃貸」であれば「課税取引」
となります。
これは借主が個人か法人かではなく、利用目的により判断をされます。
では消費税がかからない「住宅用賃貸」と判断されるには何が必要なのでしょうか。具体的に解説していきます。
目次
収益不動産の家賃収入が非課税になる住宅用賃貸とみなされるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
1.契約書に「住宅用」であることが明示されていること、もしくは実態として居住用であることが明らかであること
2.賃貸期間が1ヶ月以上であること
契約上は貸付け用途が明らかにされていなくても、実態として居住用であることが明らかな場合には非課税取引として認められることとなっています(令和2年4月1日以後)。
また、賃貸期間が1カ月未満の場合も非課税とならないため、注意が必要です。
収益不動産の賃貸経営を行うと、家賃以外にも課税対象になるものがあります。
収益物件の賃貸経営において、家賃のほかに管理費や共益費をとる場合、消費税の取扱いは家賃と同様になります。
つまり、家賃が非課税であれば管理費や共益費も非課税ですし、家賃に消費税がかかる場合は管理費や共益費にもかかります。
ただし、保有する収益物件が居住用の利用目的であっても、水道料やガス代、電気代の負担として徴収する場合は課税対象になります。
管理費の中に水道料やガス代、電気代を含める場合は、課税対象になりますので注意が必要です。
駐車場は土地の賃貸ではなく、設備の賃貸とみなされるので、原則として駐車場は課税対象になります。
しかし、1戸あたり1台以上の駐車スペースが確保されていて、かつ、自動車の保有の有無に関わらず駐車場が割り当てられる場合で、家賃とは別に駐車場使用料等を受け取っていないときには、その駐車場の貸付けは住宅貸付けの一部として非課税となります。
事業用建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料などで返還しないものについては、権利の設定の対価となるので、資産の譲渡などの対価としての課税対象になります。
契約の終了により返還される保証金や敷金などは、資産の譲渡などの対価に該当しないので、課税対象にはなりません。
それぞれのさらに詳しい情報については税理士などにご相談ください。
事業用賃貸の家賃収入は課税対象となります。
また、住宅用賃貸の条件を満たしていないものも課税対象になります。
「課税事業者」となる判断基準は、一般的に課税売上高が1000万円を超えることです。
住宅用と事業用の両方の賃貸物件を保有している場合、課税対象となる事業用の家賃収入だけで計算します。
事業用の家賃収入が1000万円以下の場合は、納税義務は免除されます。
【例】
住宅用家賃収入:900万円+事業用家賃収入:1,100万円=合計家賃収入:2,000万円
→課税事業者
住宅用家賃収入:1,100万円+事業用家賃収入:900万円=合計家賃収入:2,000万円
→免税事業者
住宅用家賃収入:2000万円
→免税事業者
住宅用賃貸でも1カ月未満の利用は、事業用家賃収入に参入します。
前々年の課税売上高の判定により、課税事業者になった場合、本年度の売上に対して消費税が計算され、納付することになります。
【例】
2019年の課税売上高が1000万円を超えた場合、
2021年から課税事業者のため、2021年の売上に対して消費税を納付する。(2022年の確定申告後3/31までに)※個人の場合
消費税の計算については、2通りの方法があります。
・原則課税:預かった消費税額から支払った消費税額を差し引いて計算
・簡易課税:みなし仕入れ率を利用し、支払った消費税額を計算
→課税売上高が5000万円以下であり、簡易課税制度選択届出書を税務署に提出することが条件になります。
※簡易課税制度選択届出書を提出後、次の課税期間からの適用になり2年間は簡易課税方式から変更はできません。
【計算方法】※こちらは概算の計算式となります。
納付税額=(課税売上高×消費税率)−(課税売上高×みなし仕入率×消費税率)
不動産賃貸業は第6種事業になるので、「みなし仕入れ率」は40%になります。
収益物件の家賃収入が課税対象になるかどうかは不動産の利用目的によって決まり、住宅用であれば非課税取引、事業用であれば課税取引になります。
家賃収入以外にも課税対象になるものもありますので、不動産投資を始める前に課税・非課税の対象になるかを正しく見極めることは重要です。
物件の購入前に、検討物件の入居者の契約状況も確認するようにしておきましょう。
今回の記事でルールの全てを記載しているわけではなく、解釈の違いが生じる場合もあります。
詳細の情報は税務署や顧問税理士に確認するようにしてください。
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