不動産投資における耐用年数とは? 耐用年数の理解が節税・融資に重要な理由

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耐用年数とは資産を使用できる期間のことです。不動産は、建設後経年劣化によって価値が下がっていくものとされています。不動産売買の際にはこのことを加味して、その物件がどのくらいの価値があるのかを判断する材料として「耐用年数」という基準を用いています。

不動産投資において、耐用年数は融資金額や税金などに影響を与える重要なものなのです。

今回はこの耐用年数について、詳しく解説していきます。

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耐用年数の基本

耐用年数は、建物の構造ごとに法的に定められています。不動産投資において残りの耐用年数が何年あるかで借入期間が決まったり、税金に影響したりしますので、耐用年数の基本を理解しておくことは重要です。

耐用年数とは

耐用年数とは、経年劣化するものについて、何年使用できるかを示すものです。土地は年数が経過しても劣化しないため耐用年数はないですが、建物は年月が経つにつれて劣化していくため耐用年数があります。

似たような言葉で耐久年数という言葉がありますが、耐用年数と耐久年数では違いがあります。耐用年数は法で定められた固定資産として使える期間のことで、耐久年数とはその商品を開発したメーカーが判断した問題なく使える期間のことです。

なぜ耐用年数が定められているのでしょうか? 理由は3つあります。

1つ目は、減価償却費を正しく計算するためです。法定耐用年数によって減価償却費が正しく計算できるため、決算書への計上が適切になります。

2つ目は、納税者の間に公平さを保つためです。もし、資産を使用できる期間を納税者が決定できるとしたらどうなるでしょう。同じ木造の事務所でも判断する人や地域によって使用できる期間にバラつきが生じます。耐用年数によって課税金額も変わりますので、基準を設けないと不公平になってしまいます。

最後に3つ目は納税者の負担を減らすためです。納税者に資産を使える期間の判断を委ねた場合、税金の計算などの事務負担が増えてしまいます。法定耐用年数を定めることでこれらの手間を減らすことができます。

減価償却資産とは

減価償却資産とは事業に使用する資産で、時間の経過や使用による消耗によってその価値が減っていく資産を指します。業務に使用して、使用期間が1年以上で取得金額が10万円以上の固定資産が対象です。

建物は減価償却資産になりますが、土地は減価償却資産にはなりません。土地は経年劣化による消耗で価値が減っていくことがないためです。

減価償却資産は取得した年に一括計上せずにその資産の耐用年数に応じて毎年費用計上していく会計処理をします。

例を挙げると、金額が5,000万円で残存耐用年数が10年の物件を購入したとします。その物件を購入した年に購入金額の5,000万円を計上してしまうと、5,000万円の赤字が出てしまいます。

しかし、この物件は何年もかけて使用し利益に貢献していくものなので、最初の年に全額計上してしまうと毎年の利益が正確に分からなくなってしまいます。毎年の利益を正確に把握するために、この物件の場合は、残存耐用年数が10年なので5,000万円を10年間に分割して計上します。耐用年数が短ければ毎年の減価償却費の金額が多くなり、長ければ少なくなるということです。

法定耐用年数

法定耐用年数とは、補修しながら使用すればこの年数は使えるはずと国税庁が定めた年数です。減価償却費の計算に大きな影響を与えるため、不動産投資をする上で無視できないものです。

法定耐用年数は、減価償却資産の種類ごとに定められています。建物は構造や用途によって決められており、住宅用としての主な法定耐用年数は以下の通りです。(出典:国税庁 耐用年数 建物/建物附属設備)

構造耐用年数
木造22年
木骨モルタル造20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年
れんが造・石造・ブロック造34年
鉄骨(3mm以下)19年
鉄骨(3mm超~4mm以下)27年
鉄骨(4mm超)34年

法定耐用年数はあくまでも税制上の数字であり、実際の建物の寿命を表すものではありません。法定耐用年数を超えた資産を使用することも可能です。

事業用の建物は減価償却の際に毎年の費用として建物の購入金額を毎年分割して計上するのですが、その分割できる年数を定めているものが法定耐用年数です。

同じ構造でも、住宅用なのか事業用なのかで法定耐用年数が異なるので注意が必要です。また、建物以外のものにも法定耐用年数は定められています。例えばアーケードや日よけなどの建物に付属している設備や事業で使う車両、事務所に置く机やパソコンなどの備品にも法定耐用年数が定められています。

建物以外のものの法定耐用年数は以下の通りです。(出典:国税庁 耐用年数 建物/建物附属設備、車両・運搬具)

構造・用途耐用年数
アーケード・日よけ設備(金属製製)15年
電気設備(蓄電池電源設備)6年
給排水・衛生設備・ガス設備15年
自動車(小型車 総排気量0.66リットル以下)4年
貨物自動車(ダンプ式のもの)4年
貨物自動車(その他)5年
報道通信用のもの5年
自転車2年
リヤカー4年

経済的残存耐用年数

経済的残存耐用年数とは、建物が経済的に価値を有する期間はあと何年かを示す年数です。前述した法定耐用年数は国税庁が定めたものであり、法定耐用年数を過ぎたとしても建物の価値がなくなるというわけではありません。銀行などの金融機関が借入期間を決める際には、法定耐用年数の他に経済的耐用年数を利用します。

この経済的耐用年数の求め方は金融機関によって異なります。経済的耐用年数の審査は主に建物自体の劣化具合や設備の状況といった物理的要因、設備の型式や建物の設計がどのくらい旧式なのかを見る機能的要因、地域との相性や周囲の競争力などといった経済的要因の3つから総合的に判断されるため変動しやすいです。

耐用年数が不動産投資に与える影響

不動産投資には、会計や税務関係などの知識が大事です。さまざま知識の中でも耐用年数についての知識は不動産投資には欠かせません。

耐用年数は不動産投資において重要な指標です。耐用年数によって金融機関の融資期間が変わります。また、減価償却費の額にも影響がでてきます。

金融機関の融資期間が変わる

金融機関の融資は不動産投資において大事な要素です。融資期間は建物の耐用年数によって変わります。耐用年数が長ければ、融資期間も長くなり月々の返済額は少なくなります。

不動産投資においては、毎月の返済による支出が原因で資金繰りに苦労するケースも見られます。月々の負担を減らし、キャッシュフローに余裕をもたせるためにも、融資期間は長い方がいいといえるでしょう。

金融機関は経済的残存耐用年数によって融資期間を決めていますが、経済的残存耐用年数も法定耐用年数によって計算されます。つまり、法定耐用年数が長い建物の方が融資期間を長く設定してもらえる可能性が高いということです。

金融機関から融資を受ける場合、一般的には「法定耐用年数-経過年数」で融資期間が決まるとされています。

減価償却費の額が変わる

減価償却費は税法上で経費として計上することが認められています。つまり法定耐用年数に応じて減価償却費として計上する金額が変わってくるのです。減価償却費として計上できる金額が大きいほど、帳簿上の利益を圧縮することができ、所得税を減らせることができます。

法定耐用年数が長いと減価償却期間も長くなり、長期間の経費計上が見込めますが、年単位で見た場合での節税効果は低くなります。一方で、法定耐用年数が短いと短い期間しか経費計上できませんが、1年あたりでの節税効果が高くなります。

このように減価償却期間が長いか短いかで節税メリットが変化します。どちらが有利かは一概には言えませんが、耐用年数の長さが減価償却費を変化させ、節税額を変動させることは押さえておきましょう。

耐用年数から考える不動産投資戦略

不動産投資戦略を考える際に耐用年数は重要です。耐用年数が長いほうが良いのか? または短い方が良いのか?どちらもそれぞれのメリット・デメリットがあるので一概にどちらが良いとは言い切れません。

ここでは耐用年数が長い、短い双方をそれぞれ解説していきます。

融資期間を長くしたいのなら耐用年数の長い物件を取得

融資をする金融機関は、融資期間を物件の耐用年数を見て決めます。融資期間を長くとり、月々のローン返済額を減らすことでキャッシュフローを良くしたいのならばなるべく耐用年数の長い物件を取得することです。

賃貸不動産では、新築のRC造(鉄筋コンクリート)の法定耐用年数が47年と長く、融資期間も長くなる傾向にあります。ただし、多くの金融機関で融資の最長期間は35年と定められていますので、法定耐用年数が47年だからといって35年超の融資期間を設定することはできません。

新築だと最新の設備が導入されていますので、新築プレミアム込みの高い家賃を設定でき、修繕リスクが少ないのも魅力です。建物自体に資産性があり、長期間の融資も下りやすいといえます。

節税をしたいのなら耐用年数の短い物件を取得

節税をメインに考えるのならば、なるべく減価償却費を大きくしたいので耐用年数が短い物件を取得するといいでしょう。

例を挙げると、木造で法定耐用年数が22年を超える物件の場合、4年で償却できます。このことから木造の中古住宅は節税効果が高いことが分かります。

節税の観点から見れば木造は魅力的と言えます。ただし、そのような物件は売却が難しくなる(流動性リスクが上がる)ので注意が必要です。

減価償却を用いた節税の基本は、できるだけ短期間で一気に減価償却することです。減価償却費を計上することで帳簿上不動産所得を赤字にすることができ、個人の給与所得や事業所得と損益通算することで、課税所得を押し下げることができます。

長い期間で金額の小さい減価償却を計上した場合、トータルの減価償却の額が同じでも節税効果は薄くなってしまいます。短期間で大きく減価償却費を計上すれば、一気に課税所得を下げることができ、減価償却費を使い切った後には売却するようにすれば節税額の総体は大きくなります。

不動産の減価償却費の計算方法

減価償却という言葉を耳にしたことがあっても、具体的な仕組みや計算方法まではよく分からないという方が多いと思います。減価償却を正しくより深く理解することで不動産投資を有利に進めることが可能です。

減価償却費の計算式

建物の減価償却費は法定耐用年数、築年数、建物の取得価額をもとにして決まります。減価償却費の計算方法は以下の通りです。

減価償却費=取得価額×耐用年数に応じた償却率

「取得価額」と「耐用年数に応じた償却率」はそれぞれ別々に算出する必要があります。「取得価額」は単純に購入した金額のことではなく、物件の取得価額から土地部分の価額を取り除き、建物だけの価額を求める必要があります。

また「耐用年数に応じた償却率」は定額法と定率法の2種類の計算方法があり、どちらを用いるかによって計算法が変わります。

自分で計算することも可能ですが、国税庁のホームページで減価償却資産の償却率の一覧がありますので、それを確認するようにしましょう。

取得価額

不動産の取得価額から土地部分を除き、建物の取得価額を求めます。また、原則としてその建物の購入金額とその建物を事業用に供ために直接要した費用も含まれます。

取得価額に含めるものとしては、購入の際に不動産会社に支払った仲介手数料や改装費、中古物件を購入した際の固定資産税清算金などがあります。一方で、不動産取得税や固定資産税、登記費用、火災保険料・地震保険料などは取得価額に含みません。

取得価額に含めるものと含めないものをしっかりと把握しておきましょう。

残存耐用年数

償却率は耐用年数で決まります。新築物件であれば法定耐用年数がそのまま使えますが、中古物件の場合はあと何年使えるか見積もりが困難であることが多いので、築年数から残存耐用年数を求める必要があります。残存耐用年数は簡便法と呼ばれている計算方法を用いて算出することが認められており、簡便法での計算方法は以下の通りです。

残存耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%

築年数が法定耐用年数を超えている中古物件の場合は以下の通りです。

残存耐用年数=法定耐用年数×20%

例を挙げるとRC造(鉄筋コンクリート)で築19年の中古物件の耐用年数は31年で計算式は以下の通りです。

(47年-19年)+19年×20%=31.8年

また、築20年4ヵ月などの1年未満の端数がある場合は月換算で計算します。RC造(鉄筋コンクリート)で築20年4ヵ月の場合、計算式は以下の通りで残存耐用年数は30年になります。

(564ヵ月-244ヵ月)+244ヵ月×20%=368.8ヵ月

定額法と定率法

減価償却のための償却率を求める方法として、定額法と定率法の2種類があります。定額法は毎年一定の金額を減価償却費として計上していく方法で、最初から最後まで減価償却の額が変わりません。計算が簡単で算出がしやすく定率法より償却額が小さくなるので初期の費用を抑えられるのが特徴です。

定率法は毎年一定の割合で減価償却費を計算する方法で最初の年ほど減価償却の額が大きく、年々額が減少していきます。最初に多額の費用が計上されるため早期の節税が可能になるのが特徴になります。

一般的に減価償却の方法は定額法か定率法のどちらかを選べるのですが、建物の減価償却については、1998年以降に取得した建物について定額法のみ適用されるようになりました。また設備も2016年4月以降に取得したものは定率法が廃止され定額法のみになります。

償却率の表

国税庁が公表している償却率の表は以下の通りです。(出典:国税庁 減価償却資産の償却率表)

      耐用年数平成19年4月1日以後取得      耐用年数平成19年3月31日以前取得
定額法償却率定率法旧定額法償却率旧定率法償却率
償却率改定償却率保証率
20.5001.000  20.5000.684
30.3440.8331.0000.0278930.3330.536
40.2500.6251.0000.0527440.2500.438
50.2000.5001.0000.0624950.2000.369
60.1670.4170.5000.0577660.1660.319
70.1430.3570.5000.0549670.1420.280
80.1250.3130.3340.0511180.1250.250
90.1120.2780.3340.0473190.1110.226
100.1000.2500.3340.04448100.1000.206
110.0910.2270.2500.04123110.9000.189
120.0840.2080.2500.03870120.0830.175
130.0770.1920.2000.03633130.0760.162
140.0720.1790.2000.03389140.0710.152
150.0670.1670.2000.03217150.0660.142
160.0630.1560.1670.03063160.0620.134
170.0590/1470.1670.02905170.0580.127
180.0560.1390.1430.02757180.0550.120
190.0530.1320.1430.02616190.0520.114
200.0500.1250.1430.02517200.5000.109
210.0480.1190.1250.02408210.0480.104
220.0460.1140.1250.02296220.0460.099
230.0440.1090.1120.02226230.0440.095
240.0420.1040.1120.02157240.0420.092
250.0400.1000.1120.02058250.0400.088
260.0390.0960.1000.01989260.0390.085
270.0380.0930.1000.01902270.0370.082
280.0360.0890.0910.01866280.0360.079
290.0350.0860.0910.01803290.0350.076
300.0340.0830.0840.01766300.0340.074
310.0330.0810.0840.01688310.0330.072
320.0320.0780.0840.01655320.0320.069
330.0310.0760.0770.01585330.0310.067
340.0300.0740.0770.01532340.0300.066
350.0290.0710.0750.01532350.0290.064
360.0280.0690.0720.01494360.0280.062
370.0280.0680.0720.01425370.0270.060
380.0270.0660.0670.01393380.0270.059
390.0260.0640.0670.01370390.0260.057
400.0250.0630.0670.01317400.0250.056
410.0250.0610.0630.01306410.0250.055
420.0240.0600.0630.01261420.0240.053
430.0240.0580.0590.01248430.0240.052
440.0230.0570.0590.01210440.0230.051
450.0230.0560.0590.01175450.0230.050
460.0220.0540.0560.01175460.0220.049
470.0220.0530.0560.01153470.0220.048
480.0210.0520.0530.01126480.0210.047
490.0210.0510.0530.01102490.0210.046
500.0200.0500.0530.01072500.0200.045

減価償却のシミュレーション

減価償却費をシミュレーションとして計算してみましょう。条件は以下の通りです。

建物の取得価額:4,000万円

建物の構造:木造

築年数:10年

残存耐用年数は以下の通りになります。

(22年-10年)+10年×20%=14年

償却率の表を見ると、償却率は0.072なので

減価償却費=4,000万円×0.072=288万円

となります。

次に法定耐用年数を超えた物件のシミュレーションをしてみます。条件は以下の通りです。

建物の構造:軽量鉄骨造

築年数:27年

物件金額:9,500万円

購入諸経費:500万円

総投資額:1億円(土地3,000万円、建物7,000万円)

軽量鉄骨造(鉄骨3mm以下)の法定耐用年数は27年ですので、計算式は以下の通りになり、残存耐用年数は5年になります。

残存耐用年数=27年×20%=5.4年

5年で償却をすれば、年間で1,400万円を減価償却費にできます。

このように不動産の減価償却費は大きいので、不動産所得の帳簿上の赤字を大きくすることができます。給与所得や事業所得が高額の人は、この帳簿上の赤字と損益通算をすることで、課税所得を大きく減らすことができ、所得税・住民税を大きく節税することが可能になります。

ただし、中古物件を購入する際は、物件金額のうち土地部分・建物部分を明確にする必要があるので注意が必要です。売買契約書に土地と建物の金額が明記されている場合は、建物部分の金額は減価償却の対象となりますが、記載されていない場合は一般的には固定資産税評価額に基づいて割り振る方法をとります。

減価償却による節税の注意点

不動産投資において、節税で重要なのは実際に出ていかないけど経費にできる金額をいかに増やせるかということです。具体的には減価償却費をいかに大きくとれるかが最も重要なポイントになります。そこで減価償却による節税の注意点を解説します。

長期譲渡所得と短期譲渡所得

資産の不要な売買を抑制するために資産を長期で持っていたらその資産の売却時に税率を優遇する制度があります。それが譲渡所得税です。譲渡所得税には長期譲渡所得税と短期譲渡所得税があり、保有期間の基準は5年です。

長期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。「物件購入してからお正月が6回来た時が長期譲渡の年」と覚えておくといいでしょう。短期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものです。それぞれの税率は以下の通りです。

長期譲渡所得の税率:所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%

短期譲渡所得の税率:所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%=39.63%

デッドクロス

デッドクロスとはローン元金返済額が減価償却費を上回る状態のことです。こうなると税引前キャッシュフローは変わらないのに、課税所得が大きくなって所得税・住民税が高額になり、納税後の税引後キャッシュフローが大きく減ってしまうことになります。最悪の場合には黒字倒産に陥るリスクもあるので、不動産投資を始める前にきちんと理解しておいたほうが良いです。

デッドクロスが起こる原因としては主に2つ挙げられます。まず1つが、多くの人が選択する元利均等返済の場合、ローンの返済が進むにつれて利息が減っていくことです。利息は経費に計上できるため帳簿上の利益を圧縮し節税効果になりますが、元金は経費計上できないため所得税が増えてキャッシュフローが悪化します。

もう1つの原因とされているのが、計上できる減価償却費が減っていくためです。例えば、建物付属設備の償却が終了したときや、建物の償却が終了したときなどがそうです。減価償却は実際の支出をともないませんが、帳簿上の利益を圧縮します。しかし、減価償却には期限があるため、期間を過ぎた後は経費として計上できず帳簿上の黒字が一気に増えることで所得税が増えます。これにより資金繰りが悪化してしまうのです。

対処法はいくつかありますが、節税目的で収益物件を運用するのであれば、減価償却が終了するタイミングで売却する方法がオーソドックスです。

経年劣化による家賃収入の減少

節税目的で築年数の古い物件を選んでしまうと、空室リスクや家賃下落リスクなどが高まります。節税目的の不動産投資において、新築物件よりも中古物件のほうが有利になると言われていますが、節税以上に収益減となってしまうと本末転倒ですので注意する必要があります。

家賃収入の減少を防ぐためには、空室を出さないことです。そのためにはまず1社でも多くの不動産仲介会社に物件を周知させることです。物件を探している方に紹介してもらわないと入居者を獲得できるチャンスがありません。物件がある周辺の不動産仲介会社には物件情報を登録するようにしておきましょう。

入居希望者は20分程度の内覧で物件の良し悪しを決めます。その際にいかに部屋を好印象にするかがポイントになります。清潔感を感じられるような内装にしておくと良いでしょう。

流動性リスクの増大

不動産における流動性リスクとは、物件をなかなか売却できないということです。

不動産は売れるまでに時間がかかり、換金できるまでの期間が長い資産です。株やFXなどは取引市場があるため、換金しやすいのですが、不動産は相対取引といって間に入る取引市場がないため買い手が見つからないと成立しません。

特に古い収益物件は、融資が付きづらいので売却が難しくなる傾向にあります。また、都市圏以外の地方は、売りたくてもなかなかすぐには売れないともいわれています。その場合は解体して更地にして売るという選択肢もあります。

まとめ

不動産投資戦略において、耐用年数は融資時・所有時・売却時のすべてに深く関わっています。不動産投資で失敗しないためには耐用年数をしっかりと理解することが大切です。不動産投資で覚えなければならないことは多々ありますが、耐用年数の基礎的な部分を知っておけば融資戦略や節税対策を有利に進めることができます。

不動産投資は広い分野の知識が求められますが、耐用年数もその一つです。少しずつ理論武装することで、成功をつかみ取る不動産投資家に成長していくことでしょう。

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監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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