不動産投資は株式投資などの他の投資に比べて比較的安定的に収益を上げられますが、当然にリスクがあります。
不動産投資、マンション・アパート経営で成功するためには、正しい知識を身につけることが必要で、特にどのようなリスクがあるかを把握しておくことが大切です。
この記事では、不動産投資にはどういったリスクがあるのかについて解説します。
目次
不動産投資のリスクとは
不動産投資は、安定的な収益が期待できる投資として注目されていますが、全くリスクがないわけではありません。詳細は後述しますが、不動産投資のリスクには「空室リスク」や「災害、事故等の発生リスク」など、さまざまなリスクがあります。
このようなリスクは、物件の購入を検討する際に開示されるべき情報が明らかにならず、購入後に大きな問題として顕在化することがあります。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン
開示されるべき情報を入手しないままに不動産投資を始めると、問題が発生するリスクは高くなりますが、情報を適切に聞き出し適切な投資判断を行うことでリスクを軽減できます。不動産投資がミドルリスク・ミドルリターンの投資とされているのには、このような理由があるのです。
「リスクを事前に知り、何らかの対策が打てる」というのは不動産投資の特長であり、株式投資やFXなど外部環境に左右されやすい投資にはないメリットです。
不動産投資の最大のリスクを下げて、正しい投資判断を行うために適切に聞き出すべきことの代表例を紹介します。
―収益物件特有の確認事項―
- レントロール
- 滞納の有無
- 大規模修繕履歴
- 運営費用
- 法定点検実施履歴
- 敷金返還債務
- ペット飼育可の履歴
- 外国人入居者の有無
―不動産取引全般の確認事項―
- 接道幅員
- 土壌汚染履歴
- 境界線、筆界確認書の有無
- 境界紛争の有無
- 旗竿地かどうかとその場合の規制
- 第三者の敷地利用の有無
- シロアリ被害の有無
- 事件事故の履歴
- 高圧電線の有無
- 建築確認、検査済証の有無
- 用途変更の有無
このように確認事項はたくさんありますが、ここではそれぞれの確認事項の中から抜粋して解説します。
収益物件特有の確認事項について
収益物件特有の確認事項の中に、レントロールがあります。
レントロールとはその物件の入居者の状況を一覧にしたもので、賃料・共益費等の賃貸借契約の条件のほかに入居時期や入居者属性を確認することができます。
レントロールのチェックポイントは多岐にわたりますが、一番大切なことは賃料・共益費です。
中古物件の場合は既存の入居者で長年住んでいる方も多く、その住戸の賃料が現在の家賃相場に比べて高くないかを確認する必要があります。
また、新築や築年数が浅い物件であっても、新築時に無理な賃料で入居していることも多いため、現在の家賃相場との乖離を調べる必要があります。
そのうえで、すべての住戸を現在の相場家賃で引き直して、最大に下落したときの年間想定賃料も計算する必要があります。
なお、現在空室になっている住戸についても賃料が記載されている場合がありますが、こちらは想定される賃料です。
あわせて、共益費についても確認が必要です。賃料が低めの物件でも、共益費が高めに設定されていることがあります。投資したい物件のレントロールを比較する際は、賃料と共益費を合わせた金額を確認するようにしましょう。
不動産取引全般の確認事項について
こちらは不動産取引においては一般的な事項で、重要事項説明書にも記載される項目です。
その中に、「接道幅員」がありますので、少し解説します。
用途地域内の建ぺい率・容積率の確認のみならず、前面道路幅員が12m未満の場合には容積率に一定の制限がかかるため、物件が遵法性を満たしているかどうかの判断が必要です。
利回りが高い物件と判断し飛びつくと、違法建築物件だったということもよくありますので注意が必要となります。
物件の立つエリアについての確認も重要ですが、物件自体が違法建築ではないかも必ず調べておきましょう。
その他の確認事項について
その他の確認事項については今回の記事では詳しい説明はしませんが、これらを適切に確認することで購入後に大きな問題が顕在化するリスクは下げることができます。
不動産投資の最大のリスクは情報開示がなされないことだと当社は考えていますが、そのほかにも様々なリスクがありますので、続いて解説します。
不動産投資における10個のリスクと対策
不動産投資・賃貸経営の代表的なリスクには、以下の10個が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 修繕リスク
- 家賃下落リスク
- 不動産価格下落リスク
- 火災リスク
- 地震リスク
- 金利上昇リスク
- 事故リスク(死亡事故)
- 損害賠償リスク
それぞれのリスクについて解説します。
1.空室リスク
現在の不動産投資の主流は、相場上昇を期待して安く買って高値で売り抜けるキャピタルゲインではなく、インカムゲイン狙いです。
部屋などの空間を貸し出すことで、その対価として家賃等を得るということです。
インカムゲインを得るには家賃を支払ってくれる入居者がいるという前提があります。
空室リスクは、入居申し込みが想定通りに入らず、空室期間が長期化することで家賃収入が少なくなるリスクです。
空室リスクの対策方法
主な空室リスクの対策方法は、次の通りです。
- 賃貸物件が乱立・供給過剰になっていないエリアを選ぶ
- 時代に合った需要のある設備を用意する
- 入居付けに強い管理会社を選ぶ
賃貸物件が乱立・供給過剰になっていないエリアを選ぶ
空室リスクを避けるためには、賃貸物件が乱立していないエリアを選ぶのが必須です。市全体では空室率が低い地域でも、一部分にスポットを当てれば供給過剰になっており、局所的に空室が多く発生していることも珍しくありません。賃貸物件の空室率を調べる際は、広域ではなく、ミクロの視点で調べるよう心掛けましょう。
時代に合った需要のある設備を用意する
供給過剰ではなく、需要の高い地域の物件であっても、時代に合った需要のある設備がない物件は空室率が高くなりがちです。最近では「宅配ボックスの有無」「24時間ゴミ出しができる施設の有無」等を重視する人も増えています。
入居付けに強い管理会社を選ぶ
同じ地域でも、満室の物件もあれば、空室が多い物件もあります。空室をなるべく少なくするには、入居付けが得意な管理会社を選ぶようにしましょう。
2.家賃滞納リスク
不動産投資、マンション・アパート経営のリスクの中で、空室とともに問題になりやすいのが「家賃滞納」です。
家賃滞納の理由は、ただ単に忘れているだけであれば、連絡を入れればすぐに払っていただけることがほとんどです。
ですが、払う気があっても入居者にお金がない場合や、そもそも払う気がない滞納者の場合には対応に頭を悩ませることになるでしょう。
厄介なことは、会計上では入居者と賃貸借契約を締結している時点で売上が立ち、家賃を回収できない場合は未収金に計上されることです。
未収金とは、商品やサービスを提供しそれに対する対価の支払いを受けていない債権のことです。
家賃を回収できていないにも関わらず売上は立っているため、帳簿上は「利益」となります。
その「利益」に対して税金が発生するため、家賃を得られていないのに税金を納める必要があるのです。
退去をしてほしくても、立ち退き訴訟を起こすためには3か月以上の滞納実績が必要で、その間の家賃を得られないばかりか、訴訟にも費用が発生し多額の損失となります。
家賃滞納は賃貸経営上、大きなリスクとなります。
家賃滞納リスクの対策方法
家賃滞納リスクの対策方法は次のとおりです。
- 借主の事前審査を徹底する
- 保証会社へ加入する
事前審査を徹底する
家賃滞納を防ぐためには借主の事前審査を徹底的に行うことが必要です。入居申込書を提出してもらったら、以下のような点を確認しましょう。
・家賃の支払い能力があるか
家賃に対して、年収が低すぎないかは確認が必要です。特に家賃が高めの物件の場合は、この点を必ずチェックしましょう。
・以前の住居には何年ほど住んでいたか
借主の引っ越しが頻繁な場合、その原因が家賃滞納であるケースも考えられます。
・連帯保証人について
万が一、家賃滞納が発生した場合、代わりに未払い分を支払うことになる連帯保証人の属性(職業等)についても調べておきましょう。
保証会社へ加入する
入居の際、「保証会社」への加入を求めるのも一つの対策です。保証会社に加入していると、滞納が発生した際にも保証会社が家賃を立て替えて支払ってくれるため、滞納リスクを低減することができます。それでも滞納が続く場合は、保証会社が入居者に対して立ち退き訴訟を起こし、その費用も保証会社負担で対応を進めてくれるため、物件保有者としては安心です。
3.修繕リスク
早期に修繕が必要となる可能性が低い新築物件に比べて、中古物件では室内修繕工事と外壁・屋上(屋根)防水工事という二つの修繕を考慮しておく必要性が高くなります。
長期入居者が退去して室内をフルリフォーム(一定の住宅設備の更新含む)する場合、単身者向けで30万円前後、ファミリー物件で50万円~150万円程度の費用を見なければなりません。
また、大規模修繕工事と呼ばれる外壁・屋上(屋根)防水工事は物件規模にもよりますが、アパートタイプで200万円~400万円、マンションタイプで1,000万円以上のコストが必要です。
修繕リスクの対策方法
修繕リスクの対策方法は次のとおりです。
- 修繕費用を積み立てておく
- 修繕ノウハウがある管理会社を選ぶ
- 購入検討時に修繕履歴を確認しておく
修繕費用を積み立てておく
修繕リスクに備えるために、事前に修繕費用を積み立てておくのは効果的です。積立額は賃料収入の3%程度を目安にするとよいでしょう。例えば、賃料収入が月100万円の場合、毎月3万円ほどの積立となります。
修繕ノウハウがある管理会社を選ぶ
物件は築年数が長くなると修繕が必要になってきます。修繕ノウハウがある管理会社を選ぶと、修繕についての助言を得ることができるでしょう。また、長い期間保有する場合も、長期修繕計画のアドバイスがもらえます。
修繕ノウハウの有無は、管理会社に「修繕部門」「工事部門」があるかどうかで分かります。管理会社選定の際はこの点を確認することをおすすめします。
購入検討時に修繕履歴を確認しておく
購入検討物件に修繕履歴があるかも確認しておきましょう。もし修繕履歴があるのならば、別の箇所も同様、もしくはその他の修繕の必要が出てくる可能性があるかもしれません。
例えば、次のような修繕が考えられます。
- 給湯器の不具合
- エアコンの不具合
- 配管交換
- 室内の不具合(壁紙・台所設備など)
不具合が発生した場合にすぐに修繕できるよう、事前に修繕費を積み立てておけば安心です。
4.家賃下落リスク
家賃下落リスクにも注意が必要です。
エリアによっては、人口減で将来賃貸物件の需要が少なくなる、周辺に似た物件が多くでき、需要に比べ供給が多くなる、といった状況になる場合があります。このような原因で家賃下落が発生する場合があります。
空室リスク同様、需給バランスの取れた立地を選ぶ
家賃下落リスクに備えるためには、需給バランスの取れた立地の物件を選ぶのがおすすめです。空室リスクの対策でご紹介したように、「賃貸物件が乱立していないエリア」を選びましょう。
また、購入物件を探す際は、市や区全体の需給バランスを見るのではなく、エリアごとの需給をチェックするようにしましょう。
人口が減少しない地域の物件
家賃下落リスク対策のためには、人口減少の可能性が低い地域の物件を選ぶ必要もあります。人口減少の可能性が低い地域の物件であれば、需要が変わるリスクが低いため、築年数が経った場合でも家賃が大きく下落する可能性は低いといえるでしょう。
人口が減少しない地域には以下の特徴がありますので、押さえておきましょう。
- 駅に近い
- 都市部
- 転出者よりも転入者が多い
5.不動産価格下落リスク
不動産価格が下落する要因には以下のようなものがあります。
建物の老朽化
建物の老朽化が目立ってくると入居希望者が減り、不動産価格の下落につながります。
景気の悪化
景気が悪くなると、物件の状態や地域に関わらず、全国的に不動産価格が下落する傾向にあります。
では、不動産価格下落リスクの対策を確認してみましょう。
建物の維持・メンテナンスを適切なタイミングで実施する
老朽化が目立つと入居者の減少につながります。適切なタイミングで建物のメンテナンスを行い、きれいな状態を維持するように努めましょう。
ただし、いくら建物の状態が良くても、物件の立地が悪いと入居者は増えません。やはり、いちばんは立地の良さを考えることをおすすめします。
6.火災リスク
不動産投資は建物の空間という商品を貸し出し、毎月の使用料(家賃)をもらうことで利益を得る投資(事業)です。
商品である建物自体が、火災で損害を受ける可能性があるというのは大きなリスクといえます。
特に、不動産投資ローンを利用して物件を購入していた場合、ローン完済前に火災が発生し建物が滅失すると、返済義務だけが残ることになるため注意が必要です。
※不動産投資ローン契約の際、火災保険加入が必須になるケースも多くあります。
では、火災リスク対策について確認してみましょう。
火災保険に加入する
火災保険は火災にあった際、損害分を補填してくれる保険です。しかし、火災だけでなく自然災害等に備えることもできます。主な補償内容を見てみましょう。
- 火災
- 爆発
- 水漏れ
- 風・雪での被害
- 水の被害
など
契約内容によって補償の範囲が異なりますので、契約時はよく確認する必要があります。なお、補償範囲が広くなると、それだけ保険料も増えます。保険料負担と補償のバランスも考えましょう。
また、不動産投資ローンを利用して物件を購入する場合、火災発生時にローン返済が不能になるのを防ぐため、火災保険加入を必須条件としている金融機関も多く存在します。
7.地震リスク
日本は地震大国と言われるくらい、地震の多い国です。地震リスクに備える必要もあります。特に、地震によって物件が破損・倒壊した場合、賃料が入らなくなるだけでなく、建物の補修・復旧工事が必要です。その分のコストがかかってしまいますので、備えは必須であるといえます。
地震リスクの対策方法
地震リスクの対策方法には以下のようなものがあります。
- 地震保険に加入する
- 新耐震基準の物件を選ぶ
- 地盤の強い地域を選ぶ
では、順を追って確認しましょう。
地震保険に加入する
火災保険には火災だけでなく、水害や風害などの補償もありますが、地震や火山の噴火、地震による火災や津波被害の補償はありません。地震や津波に備えるためには「地震保険」に加入しておく必要があります。
なお、地震保険の保険料は物件のある地域、耐震性能等で決定しますが、損害保険会社と政府が共同で運営しており、どの保険会社で入っても保険料・補償内容は同一です。
地震保険単独での加入はできず、必ず火災保険とセットで加入することとなっています。
また、地震保険の保険金額は一緒に契約する火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内です。上限金額も以下のように制限があります。
- 建物:5,000万円以内
- 家財:1,000万円以内
「全損」「大半損」など、建物の損害によって保険金の支払金額も異なります。契約時には補償範囲・保険金額等についても必ず確認しましょう。
新耐震基準の物件を選ぶ
物件選びの際は1981年に定められた「新耐震基準」に準拠した物件を選ぶことも重要です。旧耐震基準が震度5程度の揺れに耐えることを想定していたのに対し、新耐震基準では震度6強~7程度の揺れに耐えることを想定しているためです。
入居者の安全のためにも、どの耐震基準に準拠しているかは必ず確認しましょう。
地盤の強い地域を選ぶ
地震発生リスクのことを考えると、地盤の強い地域を選ぶことも重要といえます。地盤については次のサイトで確認できます。
防災科学技術研究所「地震ハザードステーション」
https://www.j-shis.bosai.go.jp/
朝日新聞「揺れやすい地盤」
https://www.asahi.com/sp/special/saigai_jiban/
全国の災害発生リスクについてはこちらのサイトも参考にしてください。
国道交通省「ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/
8.金利上昇リスク
融資を受けて投資ができることは不動産投資のメリットですが、借入金利が上昇することで返済金額が上昇するデメリットもあります。
借入金利が上昇し、返済額が増えると収支が悪化してしまいます。
金利上昇リスクの対策方法
金利上昇リスクの対策方法は次の通りです。
- 自己資本比率を上げる
- 固定金利を選択する
- 元金均等返済を選択する
自己資本比率を上げる
自己資本比率を上げ、借りるお金を少なくすれば、金利上昇リスクの影響は受けにくくなります。
自己資本を準備する場合は、30%程度を目安にしておけば安心です。金融機関側も自己資本比率が高い方への融資を優遇します。
固定金利を選択する
不動産投資ローンの利用を検討している方も多いでしょう。その際、変動金利ではなく固定金利を選択することをおすすめします。
金利水準の変動で金利の見直しがある変動金利とは異なり、固定金利は定められた期間中は金利が変わりません。市中金利が上昇しても金利が変わらないため、返済額が変わらないというメリットがあります。
ただし、固定金利期間中に物件を売却し、ローンの一括返済をする場合は注意が必要です。金融機関にもよりますが、一括返済手数料がかかるケースがあるためです。
元金均等返済を選択する
不動産投資ローンの返済方法には次の2つがあります。
・元利均等返済:
金利が同一であれば借入時から返済完了まで毎月の返済額が同じ
・元金均等返済:
返済当初の返済額が最も高く、徐々に返済額が減る
元利均等返済の方が元本の減りが遅く、総返済額は増え、金利が上昇すれば総返済額の差は大きくなってしまいます。そのため、金利上昇リスクを懸念する場合は、元金均等返済を選択しましょう。
9.事故リスク(死亡事故)
入居者の方が自殺・孤独死してしまう、もしくは部屋内で殺人事件などが起きることで同物件のほかの入居者が一斉に退去する場合がありますし、家賃が下がる可能性もあります。
また亡くなった方のお部屋の原状回復工事も必要です。
単身向けのお部屋でもフルリフォームすると、100万円、200万円単位の修繕費となるでしょう。
特に日本は高齢社会を迎えているため、孤独死については避けて通れない問題となっています。
さらに、次に賃貸に出す場合や売却の際は発生した事故が告知事項となるというデメリットもあります。賃料だけでなく、売却価格が下がる可能性があるというリスクも忘れてはいけません。
事故リスクの対策方法
事前の注意だけで事故リスクを全くなくすことはできません。その上でできる対策方法を考えてみましょう。
保険を使用した補償を受ける
事故リスクをなくすことはできませんが、保険に加入しておくことで、事故後の原状回復費用やリフォーム費用を補償してもらうことができます。また、空室の家賃補償保険に入っておけば、入居者が見つからない場合の収入補填も可能です。
原状回復の保険は個別で加入する方法と火災保険の特約として付加する方法があります。コスト面から考えると、火災保険の特約で付加した方がお得といえます。
10.損害賠償リスク
収益物件を所有することで、他人から訴えられたり賠償を求められたりするリスクがあります。
例えば建物の不具合が原因で第三者に危害を加えてしまったケースです。
収益物件のオーナーには営繕管理義務が生じます。
営繕管理義務は、民法の工作物責任に該当し、「物件の欠陥が原因で他人に損害が生じた場合、最終的には所有者がその損害を賠償する責任を負う必要がある(無過失責任を負う)」という主旨になります。
損害賠償リスクの対策方法
損害賠償リスクも事故リスク同様にゼロにはできないリスクです。万が一発生した時のために以下のような対策を考えておきましょう。
- 建物の定期点検やメンテナンスを実施する
- 施設賠償責任保険に加入する
建物の定期点検やメンテナンスを実施する
外壁の剥がれ落ちなど、建物の不具合で第三者にケガを負わせることも考えられます。そのようなケースを防ぐためにも、建物の定期点検やメンテナンスを必ず行いましょう。
施設賠償責任保険に加入する
建物の破損等で、第三者がケガを負った場合や自家用車等に傷をつけてしまった場合、物件のオーナーが無条件で賠償責任を負います。
万が一の事態に備えるためにも、施設賠償責任保険に加入しておきましょう。保険で賠償金額のほぼ全額を支払ってもらうことができることもあります。
不動産投資の最大のリスクとは
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資であることをご紹介しました。リスクはある程度予測できるため、保険加入や建物メンテナンスで備えることができる点が、株式など他の投資と大きく異なるといえます。
では、不動産投資の最大のリスクとは何かについても考えてみましょう。
曖昧な知識しか持ち合わせていないこと
不動産投資をするためには知識も必要です。具体的には、人気エリアや物件の調べ方、必要な保険の知識などが挙げられます。
最も怖いのが、知識が曖昧なまま投資を始めることです。「不動産投資は儲かるらしい」「業者に任せておけば安心」という気持ちで始めると、リスク発生の前に失敗する可能性は非常に高くなります。
よくある事例
不動産投資でよくあるリスク事例をご紹介しましょう。
マンション投資で物件を1棟購入する余裕がない場合、業者から部屋単位で購入する「区分マンション投資」を勧められることがあります。
1棟購入よりかかる金額が少ないため、この投資方法は注目されますが、その部屋が空室になると賃料収入はゼロになるリスクがあります。
また、空室を避けられたとしても、入居者から家賃を払ってもらえなくなる「滞納リスク」もあります。
前述しましたが、「金利上昇リスク」も頭に入れておく必要があります。市中の金利水準が上昇すると、不動産投資ローンの金利も上昇します。予想よりも返済額が増える可能性があるため、事前に自己資金の比率を上げる、固定金利を選択する等の対策を立てる必要があります。
空室リスクや滞納リスク、金利上昇リスクについて把握していれば、区分マンション投資には手を出さなかったかもしれません。自分で調べ、知識を持った上で投資することの重要性がよく分かる事例といえるでしょう。
不動産投資の失敗リスクを回避する方法
不動産投資の失敗リスクを全くなくすことはできません。しかし、対策をしておけばある程度回避することはできます。回避方法についても確認しておきましょう。
物件の周辺相場と空室を確認しておく
不動産投資において何よりも重要なのが、空室を出さないことです。以下のことは必ずチェックしましょう。
・投資を検討する場合は周辺の相場と比較して検討する物件の賃料は高すぎないか
・部屋の供給ばかりで空室が多い地域ではないか
無理なローンを組まない
都市部にあり、新しめの物件であれば入居者がすぐに決まる可能性は高いといえます。購入の際は不動産投資ローンを利用することになりますが、無理なローンを組まないように注意が必要です。
ローンを組む際は、以下の点についても考えた上で借入金額を決めましょう。
- 将来の空室リスク
- 経年劣化による修繕費用
- 災害・火災発生リスクと修繕費用
- 事件・事故発生リスクと原状回復費用
現実的なシミュレーションを行う
業者から投資物件をおすすめされる際は、提示される収益シミュレーションが現実的かどうかについて必ず確認するようにしましょう。
例えば、次のようなシミュレーションになっていた場合は要注意です。
- 修繕について考えられていない
- 空室率を非常に低く見積もっている
- 地震等の災害リスクについての言及がない
良いことばかり強調していないかは厳しくチェックする必要があります。また、不明点があれば質問し、納得のいく回答を得てから投資に進みましょう。
管理会社を慎重に選ぶ
管理会社の選択も重要です。ただ、家賃を管理してもらうだけでなく、以下の点も確認しておく必要があります。
- 入居付けに強いか
- 修繕ノウハウがあるか
物件を購入した後、管理会社とは長い付き合いになります。修繕ノウハウに長け、しっかりと入居付けしてくれる管理会社を選びましょう。
不動産投資のリスクは、事前の対処によってその度合いを下げることができる
不動産投資、マンション・アパート経営を始めよう!と思っても、これほどリスクがあると知ると、意欲を削いでしまうかもしれません。
しかし、初めに解説した不動産投資最大のリスクである情報開示と、それ以外の代表的な10個のリスクについては全て事前に対策を打つことができる部分です。
得るべき情報を得ず、リスクに対する対処をしない場合、不動産投資のリスクは高くなりますが、全てのリスクを低くすることができる、これは不動産投資のメリットの一つでもあります。
たとえば、空室リスクに対してはエリアの賃貸需給バランスを精査したり、入居付けに強い管理会社をパートナーにしたり、空室率を加味した収益シミュレーションを行うことで対処できます。
火災・地震リスクには、適した保険に加入することで対処することができます。
ほぼすべてのリスクへの対処策は、「初期設定を間違わない」ということです。
リスクを正しく把握し、事前に対応策を練れば、不動産投資は着実に資産運用ができる効率的な方法です。
また、曖昧な知識のまま不動産投資に踏み切ることは絶対に避けましょう。お得なことだけ聞き、リスクについて把握することないまま投資をすると、損をする可能性が非常に高くなります。
疑問点・不明点について丁寧に説明してくれる業者、リスクも隠さずに伝えてくれる会社を選びましょう。
まとめ
今回は、「不動産投資のリスク」について解説しました。
不動産投資、アパート・マンション経営のリスクには様々ありますが、不動産投資を行うご本人の初期設定、事前の対処によってリスクを下げることができ、大きく変わるということを説明しました。
不動産投資を行うには、業者に騙されず自分で正しい投資判断ができること、良きパートナーに出会うことが非常に重要です。
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監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
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