資産3,000万円を1億円へと増やす道 レバレッジを活用した不動産投資戦略を解説

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保有資産3,000万円というのは、一般的にはまとまった金額だとされています。さらに上を目指し、資産1億円の大台へと乗せるためにはどうすればいいのでしょうか。資産3,000万円を1億円にするための基本的な考え方や、検討すべき投資先などを詳しく解説します。加えて不動産投資で3,000万円から1億円へと増やすシミュレーションも紹介しますので、ぜひ投資の参考にしてください。 

資産3,000万円保有している人はどれくらいいるか

日本国内で資産を3,000万円保有している人はどれくらいいるのでしょうか。日本銀行が支援する金融広報中央委員会の調査と民間シンクタンク・野村総合研究所の調査を紹介します。 

金融広報中央委員会の調査

金融広報中央委員会では2022年6月24日から7月6日にかけて、家計の金融行動に関する世論調査をインターネットモニター調査で実施しています。「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」によると、単身世帯と2人以上世帯で3,000万円以上の金融資産を持っている人の割合は以下のとおりです。 

全国2,500世帯を対象とした単身世帯では、20歳代が0.5%、30歳代が2.8%、40歳代が5.9%、50歳代が9.6%と、年代が上がるごとに3,000万円以上の資産を保有する人の割合が増えています。60歳代になると16.9%で全体の10%を超え、70歳代でもほぼ同じ割合の16.1%います。 

2人以上の世帯では、全国5,000世帯を対象に調査を行っています。2人以上の世帯では20歳代が1.2%で単身世帯よりは多くなっていますが、30歳代になると2.2%、40歳代では4.9%となり、それぞれ同じ世代の単身世帯よりも割合が下がっている結果です。 

50歳代に入ると10.8%となり、単身世帯に比べて少し3,000万円以上の金融資産を保有している人の割合が増えます。70歳代でも18.3%と、同じ年代の単身世帯よりは多くの資産を残していることが分かります。60歳代では20.3%となっており、子育てが一段落した2人以上世帯は家計に余裕が生まれていることがわかります。 

出典:金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査 

資産3,000万円を1億円にするには

現在資産3,000万円を保有している人にとって、資産1億円は一つの目標といえるでしょう。ただ、3,000万円の資産を3倍以上の1億円に増やすのは、そもそも可能なのでしょうか。できるとしても、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。 

次に資産3,000万円を1億円にするために必要なポイントを4つ挙げます。 

資産運用は元手が重要

資産を増やすためには、当然ながら資産運用の元手となる種銭が重要です。単純に考えても、同じ利回りで資産3万円と資産3,000万円では、リターンが1,000倍異なります。 

例えば利回りが10%だとすると、資産3万円では1年後のリターンが3,000円にしかなりません。一方、資産が3,000万円であれば1年後に得られるリターンは300万円です。もし、投資効果の目標を300万円と設定した場合、元手が3,000万円ならば1年で達成できますが、3万円では1,000年必要な計算になります。 

何もないところから3,000万円の資産を築くのは、なかなか大変なことです。しかし、3,000万円の資産を築いた後にそれを元手にして増やすのは、3,000万円までの道のりよりは容易になるでしょう。雪だるまの芯が大きければ、それだけ雪だるまは簡単に大きくなるということです。その意味で、3,000万円の資産を1億円にすることは十分可能だといえます。実際に投資を始める際は、リスクを十分に計算したうえで資産運用の効果が大きくなる方法を選ぶのが定石です。

資産3,000万円を実現する定性評価

もし3,000万円の資産を達成する能力があるのであれば、一般的には1億円の資産を実現する可能性もあると考えられます。厳密に言うと、資産3,000万円を築いた原資が何であったかにより評価は異なり、相続や贈与で資産を得たケースと労働収入・事業収入によって資産を築いたケースでは事情が異なります。 

収入から支出を差し引いて残った額の蓄積が資産となります。この単純な事実をコツコツと積み上げ、3,000万円の資産まで到達できた習慣と心構えがあれば、さらに資産を蓄積していくことは可能でしょう。 

たとえ高所得であっても、贅沢な生活を追い求めて支出がかさむようでは、資産の形成は難しいでしょう。ステータスを得ることに意識が向き、地位財の購入ばかりが続くようでは資産を積み上げることはできません。 

普段の生活では倹約を心がけ、しっかりした資産運用計画を地道に実行していく人のほうが資産を増やしていけます。資産運用に関する基礎知識や税金の知識を身につけ、怪しい投資話などから資産を防衛していく必要もあります。資産運用の「攻めるポイント」と「守るポイント」をしっかり押さえるということです。 

利回り別シミュレーション

具体的に3,000万円がどれくらい増殖するのでしょうか。実際に野村證券が提供している「マネーシミュレーター みらい電卓」を使って、利回り別にシミュレーションしてみます。 

まず、3,000万円を利回り年間4%で複利運用すると、1年後には3,120万円、5年後には3,650万円です。10年後には4,440.7万円、20年後には6,573.4万円となり、利回り4%では20年経っても1億円には達しません。 

利回り6%で運用すると1年後には3,180万円で大きな差はありませんが、4年後にはプラス1,000万円を超えて4,014.7万円、10年後にはプラス2,000万円以上の5,372.5万円になります。20年後は1億円には届かないものの、9,621.4万円で時間をかければ1億円近くまで増やせることがわかります。 

利回りが8%では1年後に3,240万円、5年後に4,408万円、10年後が6,476.8万円、20年後が1億3,982.9万円です。運用期間10年では1億円まで達していませんが、利回り8%では20年経たずして1億円を超えられます。利回り10%の投資先になると、1年後に3,300万円、5年後に4,831.5万円です。10年後には7,781.2万円まで増え、20年経過すると1億円どころか2億円を超えて2億182.5万円にまで増える結果です。

※出典「マネーシミュレーター みらい電卓」により計算 

10年で1億円に到達するためには

元手3,000万円で目標の1億円に10年で到達するためには、どのくらいの利回りが必要なのでしょうか。先ほどの「マネーシミュレーター みらい電卓」を使った上記の利回りシミュレーションでは、10%の利回りでも運用期間10年では7,781.2万円までしか増えません。マネーシミュレーター みらい電卓を使って目標までに何年かかるのか計算してみると、1億円達成には約12.8%の利回りが必要だという結果でした。 

シミュレーションの結果から、単純に10年で3,000万円の資産を1億円に増やしたいのならば、12.8%以上の利回りで投資しなければいけません。しかし、詳細は次章で説明しますが、金融投資では利回り4%程度が妥当な線です。それ以上を望むとハイリスク・ハイリターンになります。 

金融投資だけでは3,000万円を元手に10年で1億円に到達するのは難しいため、資産拡大のスピードアップにはレバレッジをかけられる投資手法、例えば不動産投資などに取り組む必要があります。

※出典「マネーシミュレーター みらい電卓」により計算 

資産運用で考慮される4%ルール

資産運用では、よく「4%ルール」が語られます。先述したように利回りが高ければそれだけ短期間で資産を増やせますが、リスクも負うことになります。資産運用で考慮される4%ルールをどのように考えるべきか見ていきましょう。 

4%ルールとは

4%ルールは、アメリカのトリニティ大学が1998年に発表した「トリニティスタディ」の中で論じられた考え方です。トリニティ大学では1926年から1995年の株式チャートおよび債券価格チャートから、アメリカの株式市場の年間平均成長率と物価上昇率を算出しています。4%の根拠は、アメリカの年間平均株価成長率7%から、物価上昇率3%を引いた数字ということです。 

2010年代になると、アメリカでは日本語で「経済的自立と早期退職」を意味する「FIRE(Financial Independence, Retire Early)の考え方が生まれました。背景には仕事に追われ、常にお金の心配をしなければならない人生ではなく、自分のやりたいことをやりながら人生を好きなように生きるという目的意識があります。FIREを実現するためには経済的自立ができる仕組みを整えておくことが必須であり、そのために考慮すべきなのが4%ルールです。 

トリニティ大学の研究結果から考えると、目減りすることなく引き出せる限度額が資産総額の4%だということになります。生活費などで切り崩す額が4%未満ならば、資産が尽きることがなく、生活を維持できるということです。国や時代の違い、社会情勢などで状況が変わってくるため、必ず4%ルールが当てはまるとは限りませんが、資産運用では押さえておきたいポイントの一つです。 

出典:Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable 

日米株式市場の違い

4%ルールはアメリカの大学が研究した結果であり、あくまでもNYダウやS&P500などアメリカの株式市場や債券市場に投資したときの試算です。そのため、日本で同じような効果が得られるとは限りません。実際に日経平均株価と日本の物価上昇率では、実現が難しいという試算もあります。 

4%ルールに関するアメリカと日本の比較検証を行った山口大学の「4%ルールは可能かー日米比較ー」によると、アメリカと同等かそれ以上の株式リターンを提供する国は少ないとされています。日本の1900年から2000年の実質年次複利リターンは4.5%で、アメリカの6.7%には及びません。 

日本の日経平均株価とアメリカのNYダウ平均株価の推移を比べてみると、1991年からの30年でNYダウ平均株価は日経平均株価より約13倍成長しています。一方で、日本では長らくデフレに陥っていたこともあり、株価の成長率も物価上昇率もアメリカのそれを下回っています。

出典:4%ルールは可能か-日米比較- 

出典:日本株と米国株~過去30年の株価の推移は~ 

4%は金融投資の目安

トリニティ大学の研究で得られた4%という数字は、膨大な過去のデータをもとに出された結果です。将来も同じ年間平均株価成長率が維持できるのか、物価上昇率に大きな変化がないのかなど、試算の根拠となっている条件が続くかは保証できませんが、1929年の大暴落、第2次世界大戦、2度のオイルショック、ブラックマンデー、リーマンショックなど数々の危機をも折り込んだ数字ですので、エビデンスのある数字ということができます。 

その意味で4%は、FIREの際の生活費切り崩し額という意味だけではなくて、金融投資・ペーパーアセットにおいて実現する指標ということできるでしょう。金融投資ではおおよそ4%を目安とし、それ以下ではローリターンの案件、それ以上ではハイリスクの案件という認識を持つことができるのです。

検討すべきは不動産投資

資産3,000万円をさらに増やし、1億円を目指すために検討すべきは不動産投資です。なぜ資産形成に不動産投資を取り入れるべきなのでしょうか。 

不動産投資が有効とされるポイントを6つ挙げて解説します。 

ミドルリスク・ミドルリターン

資産運用にはリスクが少ない分、リターンもそれほど望めない銀行預金のようなローリスク・ローリターンの投資方法があります。逆に株式の個別銘柄投資やFX(外国為替証拠金取引)はリターンが大きい分、リスクも大きく、ハイリスク・ハイリターンの投資方法です。一方で、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンだといわれています。 

不動産投資でも物件選びを失敗したり、賃料の滞納が発生したりなど、リスクがないわけではありません。火災や災害が原因で物件自体が破損することや、滅失することもあり得ます。しかし、不動産は実物資産なので、ペーパーアセットのように投資資金が一瞬でなくなってしまうことはありません。投資を始める際の物件選びや入居者の審査をしっかり行うなど、リスクのコントロールも可能です。 

不動産投資では毎月安定したインカムゲイン(家賃収入)が期待できるため、長期的にリターンを得られるメリットがあります。条件さえ整えば、キャピタルゲイン(売却益)を得られる可能性もあります。 

物件の管理を適切に実施する必要がありますが、管理業務は専門の管理会社に委託できるため、物件の所有者には負担もあまりかかりません。不動産投資は正しく投資を行えば、リスクをコントロールしつつ、リターンを安定して得られます。

レバレッジ効果がある

不動産投資が金融投資に比べて大きなアドバンテージがあるといわれるのが、金融機関からの融資を活用できるところです。株式投資のような金融商品に投資する場合、投資のための資金は基本的に自分で用意しなければなりません。現金や株式を担保とすることで、自己資金の約3.3倍までの取引ができる信用取引もありますが、大きく値下がりすると追加で保証金を差し出す「追証」が発生するおそれがあり、大変リスクの大きな取引となります。 

一方で、物件の購入に数千万円や億単位の資金が必要になる不動産投資の場合は、金融機関から借り入れを行うのが一般的です。 

もちろん物件価格の1~3割程度の自己資金を用意する必要はありますが、融資を得られれば少ない自己資金で大きな投資も可能になります。融資のレバレッジ効果で大きな投資効果を得て、資産形成のスピードアップができるのがメリットです。 

さらに、資産3,000万円を保有している人であれば金融機関による属性の評価も高くなり、幅広い融資戦略を組むことが可能になります。 

不動産投資では、融資で運用した場合の指標として「自己資本利回り(CCR)」というものがあります。年間キャッシュフローを自己資本で割った数字なのですが、この指標と現金投資の利回りを比べてみます。 

物件価格を1,000万円とし、利回り(この場合は総収益率・FCR)5%の物件を全額自己資金で購入した場合は、自己資本利回りはそのまま5%です。 

一方、自己資本1,000万円に4,000万円の融資を受けて、同じFCR5%の5,000万円の物件を購入すると、純営業収益は年間250万円です。仮に借入金の返済額が年間125万円だとすると年間キャッシュフローは125万円となります。 

この場合自己資本利回りは12.5%となり、現金投資の2.5倍のパフォーマンスを示すことになります。

節税につながる

不動産投資には、節税効果を期待できるメリットもあります。不動産所得は給与所得や事業所得などとの損益通算ができるからです。マンションやアパートなど何年、何十年も使えるような不動産は、購入時に全額費用計上しません。耐用年数に応じ、数年に分けて減価償却という方法で費用の計上を行います。 

減価償却を行っている期間は実際にお金が出ていくわけではありませんが、帳簿上は経費として扱われるため、投資を開始した初期のころの不動産所得は帳簿赤字になることが一般的です。仮に本業の所得が2,000万円あったとしても、不動産所得で500万円の赤字が出れば、損益通算で課税所得は1,500万円に圧縮でき、結果として所得税や住民税の節税につながります。 

また、相続税の算出は時価ではなく、相続税評価額で決定されます。現金や預貯金、株式の場合は額面がそのまま評価額です。一方、収益用の不動産は相続税評価額が時価の約50%にまで圧縮されるため、同じ資産額を保有していても相続対策につながるメリットもあります。 

インフレに強い実物資産

日本では長らくデフレが続いていましたが、最近ではインフレ傾向が強くなってきています。インフレ時は物の値段が上がり続け、逆にお金の価値は下がる状態です。物価上昇率が10%になれば、現金の価値は10%下落します。 

実物資産である不動産は現金や預貯金とは違い、インフレと連動して資産価値が上昇する傾向にあります。また、インフレが起きると物の価値やサービスに対する対価が上がり、やがて家賃も上昇していくことになります。

ワンルームマンション投資は避けるべき

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンでレバレッジ効果があり、節税対策やインフレ対策としても有効なメリットがあります。ただし、不動産投資ならば、何でもいいわけではありません。例えばワンルームマンション投資は利回りが低く、客観的にみると「投資不適格」だと判断されます。 

ワンルームマンション投資は、区分マンションの1室を購入しそれを賃貸することによって家賃収入を得る投資方法です。フルローンを組めることもあり、少額から手軽に始められる投資方法として、一部で拡大を続けています。 

販売会社は「節税になる」「私的年金になる」などを謳い文句に勧誘をしていますが、節税効果は薄く、利回りが低いために毎月持ち出しになるケースも多々発生しています。20歳代の若い会社員が勧誘の対象になることも多く、国民生活センターや自治体に相談件数が増えている状況です。 

国土交通省や国民生活センターではマンション投資への悪質な勧誘に注意喚起を行っています。相談事例では強引な勧誘や説明不足のまま契約してしまった、クーリング・オフさせないようにされたなどがあります。収入に合わない高額なローンを組んだがために、返済が困難になり、自己破産してしまった事例も見られます。 

問題の多いワンルームマンション投資は避け、他の不動産投資を考えるようにしましょう。 

出典:国民生活センター 20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意! 

おすすめは一棟投資

ワンルームマンション投資が投資不適格だといわれるのに対し、おすすめできるのは賃貸アパート・マンションを一棟丸ごと購入して運用する一棟投資です。一棟アパートも一棟マンションも、どちらも新築と中古があり、構造も数種類あります。 

アパートとマンションの区別に関しては明確な定義がないものの、一般的には建物の規模や構造の違いなどで区別されています。アパートは木造や軽量鉄骨造などの構造で建てられることが多く、一棟が数戸から十数戸程度の建物が中心です。一方、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの建物で、主に3階以上の高さがある物件がマンションと呼ばれています。 

一棟丸ごとアパート・マンションを購入するため、投資の規模は大きくなります。ワンルームマンション投資に比べると初期費用やランニングコストはかかりますが、得られる家賃収入は大きくなるのがメリットです。多くの戸数を抱えていれば空室リスクの分散も可能になり、収入がゼロになるリスクも少ないでしょう。一棟丸ごと保有していることで、運用の自由度も高くなります。リフォームやリノベーションが必要になったときも、オーナーの一存で資産価値の維持・向上に必要な修繕や改装を実施できます。 

資産3,000万円を1億円にする不動産投資のシミュレーション 

ここからは具体的に不動産投資を活用し、資産3,000万円を1億円にするシミュレーションを2例紹介します。1つは築27年のRC造の物件1棟、自己資金3,000万円を使って投資した場合のシミュレーションです。もう1つは木造の新築物件を3棟、自己資金1,000万円ずつ投資した場合のシミュレーションを紹介します。 

ただし、現実には単年度での節税、不動産所得の黒字転換後の所得税納税、売却したときの譲渡所得税納税など、税金関係の計算まで広げると数字が変わってきます。また、不動産投資にはさまざまな細かい経費が発生したり、設備の故障や災害の発生などの突発的な出費があったりするので、シミュレーションは大まかなイメージをつかむためのものとして参考にしてください。 

シミュレーション1 

想定

シミュレーション1で想定する物件の概要と返済条件は以下のとおりです。 

●築27年・一棟RC造 

●自己資金 3,000万円 

●物件価格 2億4,000万円(土地7,200万円、建物1億6,800万円) 

●諸費用 900万円(按分に応じて物件価格に諸費用を足すと土地7,470万円、建物1億7,430万円) 

●年間満室想定賃料 1,950万円(表面利回り8.13%) 

●純営業収益(NOI) 1,460万円 

●総収益率(FCR) 5.86% 

●借入金額 2億1,900万円(元利均等返済) 

●ローン金利 0.8% 

●返済期間 27年 

投資にまわせる自己資金が3,000万円あれば、このシミュレーション1のように投資総額が2億円を超える規模の大きい物件にも手が届きます。ここではRC構造の物件を1棟、自己資金3,000万円を使い、諸費用も含めて2億4,900万円で購入したとしてシミュレーションを行います。ローン金利は0.8%、返済期間は27年です。(法人での購入とし、適用税率は33%とします。) 

単年の試算

最初に1年ごとの試算を行います。純営業収益(NOI)は年間満室想定賃料から必要経費を差し引いた額ですが、ここでは1,460万円となっています。 

自己資金3,000万円を差し引いた借入金2億1,900万円のローン返済額は、「ke!san ローン返済(毎月払い)」を利用して計算すると、1ヶ月の返済額が元金分・利息分あわせて75万1,776万円です。年間ローン返済額は75万1,776万円×12で902万1,312円となりますが、1,000円未満の端数を切り上げ、ここでは902.2万円とします。 

1年間の税引前キャッシュフローは純営業収益(NOI)の1,460万円から、年間ローン返済額902.2万円を引いて557.8万円です。自己資本利回りを計算すると、1年間のキャッシュフロー557.8万円÷自己資金3,000万円×100で約18.6%になります。 

出典:ke!san ローン返済(毎月払い) 

次に納税金額を計算します。純営業収益1,460万円からローン支払利息172.5万円と減価償却費697.2万円を差し引くと課税所得となります。 

1,460万円-172.5万円-697.2万円=590.3万円 

課税所得590.3万円の納税金額(法人税等)は約194.8万円  となります。したがって、税引後キャッシュフローは以下のようになります。  

税引前キャッシュフロー557.8万円-税額194.8万円=363万円 

単年の税引後キャッシュフローは363万円となりました。 

10年後の試算

シミュレーション1のケースでは単年の税引後キャッシュフローが363万円ですから、10年間のインカムゲインは総額3,630万円となります。実際には毎年支払金利が変わるので、税引後キャッシュフローは少し変動しますが、ここでは363万円の10倍とします。10年後に、購入時の価格5%減の2億2,800万円で物件を売却したと仮定しましょう。売却時の諸費用(仲介手数料など)は700万円とします。 

27年のローンを組んで物件を購入しているため、この時点でローンはまだ残っています。物件を売却して手数料を差し引いた2億2,100万円から、ローンの残債を一括返済することになります。「ke!san ローン返済(毎月払い)」で算出するとローンの残債は1億5,353万円になります。10年間の総収支を計算すると以下のようになります。 

3,630万円+2億2,100万円-1億5,353万円=1億377万円 

シミュレーション1の物件を10年間運用した最終的な手残りは1億377万円となり、大きく資産を増やすことができました。 

出典:ke!san ローン返済(毎月払い) 

シミュレーション2

想定

シミュレーション2で想定する物件の概要と返済条件は以下のとおりです。 

●新築・一棟木造 

●自己資金 1,000万円 

→同じパフォーマンスの物件を3棟購入する形で、自己資金3,000万円を投下します。 

●物件価格 1億2,000万円(土地4,800万円、建物7,200万円) 

●諸費用 500万円(按分に応じて物件価格に諸費用を足すと土地5,000万円、建物7,500万円) 

●年間満室想定賃料 920万円 

●純営業収益(NOI) 700万円 

●総収益率(FCR) 5.6% 

●借入金額 1億1,500万円(元利均等返済) 

●ローン金利 0.875% 

●返済期間 35年 

シミュレーション1とは違い、新築の木造物件です。1棟あたりの投資総額は諸費用を含めて1億2,500万円ですが、ここでは同じパフォーマンスの物件をまとめて3棟取得するケースをシミュレーションしてみます。3,000万円の自己資金があれば、シミュレーション2のように複数物件の一棟買いも可能です。利回りは総収益率(FCR)で5.6%を想定しています。ローン金利は0.875%、返済期間が35年です。(法人での購入とし、適用税率は33%とします。) 

単年の試算

1棟あたりの純営業収益は700万円です。シミュレーション2では同じパフォーマンスの物件を3棟取得しているため、全体での純営業収益は、700万円×3=2,100万円になります。 

シミュレーション2では物件3棟の投資総額(物件価格+諸費用)が3億7,500万円、自己資金が3,000万円です。自己資金を差し引いた3億4,500万円を金利0.875%、返済期間35年で借り入れると、1ヶ月の返済金額は元金分・利息分あわせて約95.4万円になります。年間のローン返済金額は、95.4万円×12で約1,144.8万円です。 

純営業収益2,100万円から年間ローン返済額1,144.8万円を引くと、税引前キャッシュフローは年間955.2万円となります。自己資本利回りは年間キャッシュフロー955.2万円÷自己資金3,000万円×100で、約31.8%です。 

出典:ke!san ローン返済(毎月払い) 

納税金額を割り出すために、課税所得を計算します。3棟分の純営業収益2,100万円からローン支払利息298.5万円と減価償却費1,035万円を差し引きます。 

2,100万円-298.5万円-1,035万円=766.5万円 

課税所得766.5万円の納税金額(法人税等)は約252.9万円となります。したがって、税引後キャッシュフローは以下のようになります。  

税引前キャッシュフロー955.2万円-税額252.9万円=702.3万円 

単年の税引後キャッシュフロー(3棟合計分)は702.3万円となりました。 

10年後の試算

シミュレーション2では、税引後年間キャッシュフローが702.3万円であるため、10年間のインカムゲイン総額は7,023万円になります。10年後に売却する時点で物件価格が10%の1棟1億800万円になっていると仮定すると、物件3棟の売却価格は3億2,400万円です。売却にかかる諸費用が1,000万円かかった場合、残りは3億1,400万円になります。 

こちらも売却して得た分からローン残債を一括返済します。自己資金3,000万円を差し引いた借入金額3億4,500万円の10年経過時点での残債は、「ke!san ローン返済(毎月払い)」で算出すると約2億5,695万円です。物件売却価格から残債を一括返済すると、残りは3億1,400万円-2億5,695万円で5,705万円になります。 

10年間の税引後キャッシュフロー7,023万円と合わせると、 

7,023万円+5,705万円、最終手残りは1億2,728万円となり、 

こちらもシミュレーション1と同様に1億円を超え、大きく資産を拡大できました。 

出典:ke!san ローン返済(毎月払い) 

まとめ

資産が3,000万円を築けたら、それ自体すでに大きな財産でしょう。しかし、現代では資産を3,000万円保有していたとしてもフルリタイアは難しいとされるため、できれば1億円まで資産を伸ばして「億り人」になりたいところです。投資の方法にはさまざまなものがあり、株式や債券、投資信託などの金融投資でも、手堅く長期にわたって取り組めば1億円まで伸ばすのも十分可能ですが、多少時間はかかります。 

資産拡大のスピードアップを目指すのなら、レバレッジ効果のある不動産投資がおすすめです。実際に一棟アパートや一棟マンションを取得すれば、入居者募集や建物のメンテナンス、入居者対応など、さまざまな管理業務を開始しなければなりません。通常、管理業務は専門の管理会社に委託します。投資を成功させるためにも信頼できるパートナーを選び、不動産投資家への道を歩みましょう。 

監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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