2019年、金融庁のワーキンググループが公表した資料が発端となり、一時期マスコミを騒がせた「老後2,000万円問題」。これは、無職の夫婦のみ世帯が老後30年間生活しようとすると、支出に対して収入が2,000万円不足するという想定をベースに、どのように老後資金を確保していくかという問題を指します。
この記事では、老後2,000万円問題がその後どうなったのかを紹介。あらためて問題の内容をひも解くとともに、ゆとりある老後へ対応するための不動産投資についても詳しく解説していきます。
目次
老後2,000万円問題とは何だったのか
2019年ごろ、マスコミを賑わせた「老後2,000万円問題」。センセーショナルな話題として多く取り上げられたため、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
まずは、そもそも老後2,000万円問題とはどのようなものだったのか見ていきましょう。
老後2,000万円問題の発端
老後2,000万円問題の発端となったのが、2019年6月に公表された、金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」という報告書でした。
本報告書において「無職の夫婦のみ世帯において、老後2,000万円の資金が必要となる」という主旨の表現があったため、これをマスコミが煽るように報道したのです。年金制度を基本とした国民の老後設計に大きく影響する内容であることから、盛んに報道されていたのを記憶している方も多いことでしょう。
「老後2,000万円の資金が必要」という部分だけピックアップされがちですが、その根拠を詳しく見ていきます。
報告書では、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯における月々の実収入を209,198円、実支出を263,718円と試算。つまり、月々で約5.5万円が不足する想定になります。老後30年人生が続くと考えた場合、月5.5万円×12ヶ月×30年で約2,000万円が不足するという計算です。
30年間で不足するとされる約2,000万円は、当然それまでの貯蓄などから取り崩していく必要があると考えられるため、老後に向けて約2,000万円の資産を形成しなければならないという形で大きく取り上げられました。
こうした一連の問題が「老後2,000万円問題」と呼ばれていたのです。
老後2,000万円問題は消滅?
一時期マスコミを賑わせた老後2,000万円問題ですが、それ以降は特に大きく取り上げられていません。老後2,000万円問題は消滅したと考えていいのでしょうか。
先ほど紹介した金融庁のワーキンググループによる報告書における試算は、2017年の総務省「家計調査年報(家計収支編)」を根拠としています。この時点では、夫65歳以上・妻60歳以上の無職世帯を夫婦高齢者無職世帯と定義していましたが、その後夫婦ともに65歳以上の無職世帯へと定義が変更されています。
2020年の「家計調査年報(家計収支編)」では、夫婦高齢者無職世帯における実収入が256,660円、可処分所得が225,501円、消費支出は224,390円となっており、実収入比で月約3.2万円の黒字、可処分所得比でも月約0.1万円の黒字となりました。
2020年統計をベースにした計算上は老後の月間収支が黒字になるため、老後の生活を送るために貯蓄を取り崩す必要はありません。つまり、老後2,000万円問題は消滅したと捉えられます。
ただし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大により、二人以上の世帯における消費支出が名目・実質ともに前年比5.3%のマイナスとなっています。加えて、特別定額給付金など新型コロナ関連の給付金による収入増も影響している可能性があり、感染収束後の状況は注視していく必要があるでしょう。
老後の資金不足問題は解消されたのか
前述のとおり、2020年の統計上は老後2,000万円問題が消滅したと考えられます。そうなると、老後の資金不足問題も解消されたと捉えていいのでしょうか。
結論から言うと、依然として老後の資金不足への対応は必要と考えられます。なぜなら、老後生活を送るうえでは、次に挙げるような各種リスクが存在するからです。
長生きするリスク
世界トップクラスの長寿国として知られる日本。厚生労働省「令和3年簡易生命表」によると、2021年時点の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳となっています。女性であれば、65歳で定年を迎えた後、平均で考えても20年以上老後生活を送ることになります。
また、2021年敬老の日にちなんで厚生労働省が公表したトピックスによると、2020年における95歳以上の人口は男女合わせて68万人、2021年には75万人へと増加。今後も増加基調が見込まれ、本格的な「人生100年時代」が訪れていると考えていいでしょう。
そもそも老後2,000万円問題は、男性60歳・女性65歳を迎えた後、30年間老後生活を送ることを前提としていました。人生100年時代となれば、さらに老後生活の期間が長くなり、より多くの資産が必要となります。
長生きするというのは本来素晴らしいことですが、資産形成上はリスクになってしまうと言えます。
「資産寿命」という考え方
老後生活を送るにあたって重要なのが「資産寿命」という考え方です。
資産寿命とは、老後を迎えるまでに形成してきた保有資産を使い切るまでの期間を指します。資産寿命が長ければ長いほど、それだけ安心して老後を過ごせるということになります。
一方、自身の本当の寿命が資産寿命を上回ってしまうと、老後生活を送るための資産が枯渇してしまい、通常の生活を送るのが困難になってしまいます。
老後生活を安心して送るためには、しっかりと資産形成をして資産寿命をいかに延ばすかが重要と言えます。
日本経済の将来への不安
かつての日本では、終身雇用・年功序列賃金という原則のもと、年齢を重ねるごとに賃金は右肩上がりで上昇していきました。オイルショック時など一時期を除いて経済は成長し続けていたので、将来も賃金アップが期待できました。
現役時代の蓄えと潤沢な退職金、そして年金を組み合わせれば、多くの人が特に大きな不安もなく老後生活を送ることができたのです。
しかし、成熟社会となった現代の日本は多くの問題を抱えています。特に少子高齢化が深刻であり、今後大きな経済成長は見込めないだろうという見方が大勢です。
加えて、日本企業においても終身雇用・年功序列賃金の原則が崩れ始めており、新卒時に就職した企業に勤め続ければ安泰という時代は終わりを告げつつあります。少子高齢化による年金制度の将来的な見直しも想定される中、今後はいかに老後の生活資金を自分で確保できるかが鍵になると言えるでしょう。
ゆとりある老後の生活のためには
「厚生労働省による2020年統計で平均可処分所得が平均消費支出を上回り、月々の収支が黒字になっているため、老後2,000万円問題は解消したと言える」と紹介しました。
しかし、充実した老後生活を過ごしたいのであれば、実際には、統計よりも多くの資金を用意しなければなりません。
公益財団法人生命保険文化センターが2022年度に実施した「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送るにあたって必要な最低日常生活費は、平均23.2万円という回答でした。対して、ゆとりある生活を送るために必要な生活費は平均37.9万円という結果になったのです。
こうしてみると、最低限必要な生活費とゆとりある生活を送るための生活費の間には月14〜15万円もの差があります。厚生労働省の2020年統計における平均可処分所得は225,501円であり、ゆとりある生活を送るためには、実に月約13.5万円もプラスしなければならないことになります。
同調査では、ゆとりある生活における上乗せ額の使い道についても尋ねており、回答が多かった順に「旅行やレジャー」「日常生活費の充実」「趣味や教養」「身内とのつきあい」となっています。
外出やちょっとした贅沢、日々の交際費や趣味に充てる費用を見込んでいるのが実態であり、健康的で充実した老後生活を送るためには、ある程度確保しておきたい費用と言えるのではないでしょうか。
上記より、生きていくために最低限必要な資金は月々の収入やこれまでの蓄えで賄える一方、ゆとりある老後生活を送るためには資金不足の人も多いのが実態と考えられます。
ゆとりある老後の生活のために必要となる考え方
ゆとりある老後生活を送るためには、将来資金不足になる可能性が高いというのが現状であることがわかりました。続いては、そうした老後の資金不足問題への対策として、必要となる考え方を3つ紹介していきます。
預貯金だけでは資産形成はできない
1つ目に必要となるのが、預貯金だけでは資産形成はできないという考え方です。給与をもらったらそのまま銀行に預けているだけという方は、この考え方をしっかりと認識する必要があります。
日銀によるゼロ金利政策・マイナス金利政策により、現在の日本は歴史的な低金利状態です。たとえば、2023年1月6日現在の三菱UFJ銀行における普通預金の金利は、わずか年0.001%。普通金利に比べて金利の高い定期預金でも年0.002%に過ぎません。
定期預金で1,000万円預けたとしても、1年間でわずか200円しか利息がつかないという計算になります。
ちなみに、三井住友銀行(旧三井銀行)の1985年時点の利息は年5.5%だったと言いますから、当時であれば、1,000万円を銀行に預けるだけで年55万円もの利息を受け取れたという計算になるのです。
日本銀行が毎月刊行する「金融経済統計月報」によると、普通預金の預貯金金利は2007年で0.198%を記録した後下がり続け、2016年以降は0.001〜0.002%の低水準で推移しています。
歴史的超金利を踏まえ、現在では政府も「貯金から投資へ」と国民に呼びかけており、積極的な資産運用を推奨しています。
適正なリスクを引き受ける
ゆとりある老後生活のために必要な2つ目の考え方が、適正なリスクを引き受けるということです。
国際的に著名な社会調査の一つである「世界価値観調査(2010〜2014年)」によると、日本は「冒険し、リスクを冒すこと、刺激のある生活」に対して肯定的に捉えた人の割合が、調査対象60ヶ国中最下位でした。
こうしたことから、日本人は若者を中心にリスクを取りたがらない国民性であるという見方があります。実際、投資運用の場面でも、日本では「ノーリスク」や「元本保証」といったリスク回避に重きを置いた商品が好まれる傾向にあります。
しかし、基本的にリスクとリターンはトレードオフの関係にあります。簡単に言えば、リスクが低いものはリターンも低く(ローリスク・ローリターン)、リスクが高いものはリターンも高い(ハイリスク・ハイリターン)ということです。
リスクを取り過ぎて、大切な資産を失う結果になるのは避けなければなりませんが、ゆとりある老後生活に向けて一定の資産形成をするためには、ある程度のリスクは引き受けなければなりません。
これからの時代は、リスクとリターンのバランスを見つつ、適正なリスクを受容したうえで資産運用を行う必要があるのです。
ストックではなくフローで考えてみる
ゆとりある老後生活に必要な考え方の3つ目は、資産形成をストックではなくフローで考えてみるということ。
一般的にストックは「資産」、フローは「出入りするお金」というふうに捉えられます。家計で考えると、毎月入ってくる給与や生活による支出がフローであり、蓄えられる貯金や資産がストックにあたります。
老後の生活資金を賄う場合、現役時代に蓄えた資産(ストック)を取り崩していくという考えになりがちです。
前章で、ゆとりある老後生活を送るには月13.5万円の上乗せが必要という例を紹介しました。プラス分をストックだけで賄おうとすると、長生きするほど余計に資産が減っていくばかりになるため、安定的にゆとりある生活を続けるのは難しいでしょう。
そこでフローに着目すると、老後も月13.5万円の上乗せ分を賄えるだけのフローがあればいいことになります。言い換えれば、月13.5万円分の資産収入・インカムゲインを得る仕組みを作ればいいのです。
老後も月々のインカムゲインを得るにはさまざまな方法がありますが、特に不動産投資によって、月々の家賃収入を得るという方法が有効です。
不動産投資がゆとりある老後の生活のために有効な理由
ゆとりある老後生活を実現するためには、ストックではなくフローで考えることが大切であり、それには不動産投資が有効だと紹介しました。ここからは、なぜ不動産投資が有効と言えるのか、理由を解説していきます。
安定した収益を得ることができる
ゆとりある老後生活の実現に不動産投資が有効な理由の1つ目が、不動産投資は正しく行えば、長期的に安定した収益を得ることができるからです。
たとえば、資産運用の方法としてメジャーな株式投資と比較してみましょう。株式売買によって収益を得るためには、安値で株式を購入し、高値で売却するのが原則です。長期保有により配当金収入を得るというやり方もありますが、基本的には株価を常に見ながら、タイミングを見極めて売買を実施しなければなりません。
業種や企業によって差はあれども、株価は大きく変動するものなので、常に株価動向に目を光らせておく必要があります。何より、安定的に収益を得られる性質のものではありません。
これに対して、不動産投資は最初に不動産を購入し、一定レベルの管理運営体制さえ整えられれば、毎月安定的に家賃収入を得られるのが特徴です。エリアの人気度や周辺環境の変化、タイミングなどによって家賃水準も多少変動しますが、それでも株価の変動に比べれば緩やかと言えます。
老後のために資産形成をしたいと思っても、本業が忙しいとなかなか時間が取れないものです。比較的価格変動の小さい不動産投資であれば、あまり時間をかけずに安定的な収入を得られるうえ、実際に老後生活が始まってからも継続的に収入を得られます。
このように、長期的かつ安定したインカムゲインを得られる不動産投資は、老後生活への資産形成にも向いていると考えられるのです。
金融機関からの融資を利用できる
不動産投資における最大のメリットと言われるのが、不動産購入時に金融機関からの融資を利用できる点。このメリットは、ゆとりある老後生活に向けた資産形成にも大きく寄与します。
先ほど紹介した株式投資をはじめとした大半の投資運用は、自己資金を元手に投資を行わなければなりません。そもそも、最初からまとまった手持ち資金がないと、大きなリターンは期待できない仕組みなのです。
株式投資であれば配当金や分配金を再投資に充てて、定期的な収入額を増やしていく方法はあるものの、当初の投資金額が小さいと、なかなかまとまった収入は得られません。
不動産投資は物件購入に数千万円、あるいは数億円という大きなイニシャルコストがかかりますが、ほとんどの方が金融機関から融資を受けて購入します。
融資を受けることで、少ない手持ち資金でも大きな投資リターンを得られるのが不動産投資の特徴なのです。この効果のことを「レバレッジ効果」と呼びます。
例として、1,000万円の手持ち資金で不動産投資を行う場合を見てみましょう。
手持ち資金のみで物件価格1,000万円・利回り5%の物件を購入すると、年間の家賃収入は50万円となります。これに対し、手持ち資金に加えて2,000万円の融資を受け、物件価格3,000万円・利回り5%の物件を購入すると年間家賃収入は150万円です。
融資を受けることで、同じ1,000万円の手持ち資金で投資をしながら、3倍ものリターンが得られます。借入金の返済を考慮してもなお、融資を受けたほうが有利となるので、レバレッジとなるのです。
不動産投資は少ない手持ち資金で始められるうえ、効率的に収益を得られることから、老後生活に向けた資産形成のスピードを早める効果が期待できます。
インフレに強い実物資産
リスクを嫌う傾向にある日本では、「ノーリスク」「元本保証」とされる預貯金が一般的に好まれます。ただ、預貯金(現金)はインフレに弱い資産です。
仮に物価上昇率10%のインフレになると、10,000円で買えた商品が1年後には11,000円へと値上げされる事態が発生します。これは、インフレによって現金の価値が下がったということができます。
リスクヘッジのために預貯金や現金で資産を所有しているはずが、インフレの影響によって、むしろ資産価値が目減りしてしまう結果になり得るのです。
一方、不動産はインフレに強い資産とされています。不動産は実物資産であることから、インフレになれば、通常不動産価格も上昇します。また、物価水準と合わせて賃料水準も上がっていけば、賃料収入のアップも期待できるでしょう。
インフレ下では、預貯金や現金のまま所有していると資産が目減りするのに対し、不動産に投資すれば物件価格と賃料水準の上昇により、インカムゲイン・キャピタルゲイン(物件の売却益)ともにアップできる可能性があるのです。
実際にアメリカやヨーロッパでは、昨今の世界的なインフレにより、不動産価格や賃料高騰が現実のものとなりました。
行き過ぎたインフレや賃料上昇を伴わない「悪いインフレ」においては、不動産投資にも少なからずリスクが伴いますが、長期的にみた場合、インフレ対策として不動産投資は有効と考えられます。
所得税対策になる
本業による事業所得や給与所得が高額な人にとっては、不動産投資が所得税の節税につながるというのも大きなポイントです。
不動産所得は「総合課税」といって、事業所得や給与所得と合わせて課税される仕組みになっています。本業による所得と不動産所得は損益通算できる(同じ年度内の利益と損失を相殺できる)ということです。
ここで重要なのが、課税対象となるのは「所得」であって「収入」ではないという点。不動産所得とは家賃収入そのものではなく、家賃収入から不動産運営に伴って発生した必要経費を除いたものを指します。
不動産投資においては、建物や付帯設備について減価償却費を計上することができます。減価償却とは、固定資産や設備の取得費用を耐用年数に応じて、一定期間に分割して計上する会計処理のこと。
減価償却費は一定期間にわたって毎年必要経費として計上できるので、その期間中は課税対象となる不動産所得を圧縮できます。さらに、本業による所得と損益通算できるため、減価償却費により不動産所得をマイナスにできれば、大きな節税効果が期待できるというわけです。
日本の所得税は累進課税制度を採っており、所得の高い人ほど税率が高く設定されています。課税所得が高く所得税も高い人ほど、不動産投資による所得税の節税効果も大きくなります。
相続対策になる
相続対策になるという点においても、不動産投資は老後生活に向けた資産形成の方法として有効です。
仮に、ゆとりある老後生活のために多額の預貯金や現金を蓄えたとしても、当人が亡くなって相続する場合、相続人に相続税が重くのしかかります。なぜなら、現金や株式といった資産は、資産額が100%相続税評価額となってしまうからです。
一方、不動産は実際に売買される市場価格と相続税評価額が大きく異なるのが一般的で、市場価格に対して相続税が低く抑えられるという特徴があります。
不動産のうち、土地の相続税評価額を求めるには「路線価方式」と「倍率方式」という2つの評価方式が設けられています。
「路線価方式」とは、国税庁が毎年7月に公表する1平方メートルあたりの土地の価格(路線価)から相続税評価額を求める方法のこと。路線価が設定されていないエリアの土地の評価額を求める際には、固定資産税評価額にあらかじめ定められた倍率をかけて相続税評価額を求める「倍率方式」が用いられます。
基準となる路線価は、一般的に実勢価格の8割程度と言われており、資産を不動産に変えることで相続対策になるとされているのです。
また、貸家の敷地として使われている土地(貸家建付地)については、借地権割合・借家権割合・賃貸割合が減じられます。賃貸用物件では建物の相続税評価額も、固定資産税評価額から借家権割合・賃貸割合が減じられるため、不動産投資によって、さらに大きな節税効果が期待できます。
不動産投資のリスクと対策
不動産投資には当然リスクも存在します。ただ、それぞれのリスクを正しく理解しておけば、リスクコントロールも十分に可能です。
空室リスク
家賃収入を収益の柱とする不動産投資にとって、最大のリスクと言えるのが空室リスクです。空室リスクとは入居者がなかなか見つからず、その間の家賃収入が得られないというリスクのこと。
空室リスクを回避するためには、次に挙げる3点を意識するといいでしょう。
①需要と供給のバランスが取れた物件を選ぶ
物件選びの際、賃貸物件の需要が見込めるエリアに立地していることはもちろんですが、ターゲットに適した間取りや作りの物件であることも大切です。また、需要がいくらあっても供給が過剰なエリアでは空室リスクが高まるため、事前のマーケット調査は欠かせません。
②管理・メンテナンスをきちんとする
物件の管理やメンテナンスが行き届いていないと空室リスクは高まります。入居希望者が内見した際に「住みたい」と思ってもらえるよう、管理やメンテナンスはきちんとするよう心がけましょう。
③時代の流れに合った設備・仕様を用意する
設備が時代遅れになっている場合には、最近のライフスタイルに合った設備や仕様を用意することで、空室リスクを下げられる可能性があります。たとえば、宅配ボックスやテレビインターホンを設置するといった対策が挙げられます。
家賃滞納リスク・入居者信用リスク
満室稼働であっても、家賃を滞納する入居者がいると家賃収入が減ってしまいます。これが家賃滞納リスクです。
家賃滞納リスクも不動産投資において大きなリスクとなります。回収できていない家賃は「未収金」として売上計上されるため、実際には売上として手元に入っていないにもかかわらず、経費を差し引いた上で課税対象となってしまうのです。
家賃滞納リスクと合わせて、入居者信用リスクも見込んでおかなければなりません。入居者信用リスクとは、騒音を出したりゴミ出しルールを守らなかったりといった、迷惑行為を起こす入居者が現れるリスクのことです。迷惑入居者を放置すると、物件価値が下がってしまう危険性があります。
家賃滞納リスクや入居者信用リスクを低減するためには、次の2点を意識するようにしましょう。
①入居者審査をきちんと行う
一度入居者と賃貸借契約を結んでしまうと、退去させるには時間と手間がかかります。大切なのは、入居前の時点で審査をしっかりと行い、リスクがありそうな人を入居させないということです。
②ノウハウを持つ管理会社に任せる
管理がきちんとしている物件では、入居者も長く住み続けられるように「家賃を期日どおり支払おう」「他入居者に迷惑をかけないようにしよう」と意識するもの。ノウハウが豊富な管理会社に委託することで、入居者にこうした意識づけをするのも有効です。
修繕リスク
不動産投資においては修繕リスクも忘れてはなりません。修繕リスクとは、建物や設備の経年劣化などにより物件の資産価値が低下した際、価値を回復させるために修繕コストが発生するリスクのことです。
築年数が長くなるほどリスクが高まるのはもちろん、突発的な設備トラブルなどによって緊急修繕が必要になるケースもあるでしょう。こうしたケースでは、すぐに修繕しないと入居者の生活に影響が出る可能性も考えられますから、費用不足で修繕できないなどという事態は避けなければなりません。
定期的な修繕だけでなくトラブルにも対応できるよう、計画的に修繕積立金を積み立てておくというのが対策として有効です。想定外の事態が起きて、将来必要な修繕費用の不足が見込まれるような場合には、積み立てのプランを柔軟に見直すことも必要かもしれません。
また、賃貸経営を向上するためのリノベーションを計画するのも大切です。不動産経営は長期にわたるため、数年後、数十年後も見据えた修繕計画を検討しておきましょう。
まとめ 豊かな将来のために不動産投資を始めよう
一時期マスコミを賑わせた「老後2,000万円問題」ですが、2020年統計においては解消したと捉えることができます。老後2,000万円問題自体はあくまでも統計のマジックに過ぎないとも言えるため、過剰に心配する必要はありません。
しかし、少子高齢化により今後大きな経済成長が見込めない日本において、豊かな老後を送るためには一定のお金が必要であるのも事実です。かつてのように預貯金だけで資産を増やすことは難しく、何かしらの資産運用が求められるでしょう。
ゆとりある老後生活に向けた資産形成の方法として、特におすすめなのが不動産投資です。不動産投資によって効率的に資産形成を行えば、リタイア後もフローの収益を継続的に得ることができます。
豊かな将来を築いていくための一歩として、不動産投資をスタートしてみてはいかがでしょうか。
大和財託の不動産投資コンサルティングサービス
大和財託では、これから不動産投資を始めようとお考えの方、現在すでに一棟アパートや区分マンションをご所有の方にも無料で投資相談を行っています。
当社は50を超える多数の金融機関と太い信頼関係を構築し、これまでたくさんのお客様に有利な条件での借り入れを実現してきました。
不動産投資について学ぶ時間がとれない方も安心してお任せいただけるよう全面的にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
「プライベート相談」にお申込みいただいた方には、お客様に最適な資産運用の方法をご提案いたします。
「プライベート相談」は、東京、大阪会場に加えてオンラインでも面談を行っておりますので、全国から参加いただけます。
大和財託の不動産投資セミナー
大和財託では、不動産投資で失敗しない為の原理原則やノウハウ、過去の事例を一人でも多くの方にお伝えしたいと思い、オンラインにて無料で不動産投資セミナーを開催しております。
不動産投資の指標についても詳しく解説していますので、さらに理解を深めたい方はぜひご利用ください。
セミナー後の強引な営業は一切ございません。
プライベート相談はまだちょっと早いかも…という方、これから不動産投資を始める方、これから不動産投資のゴールを考えたい方も当社のコンサルタントがサポートいたしますので、ぜひお気軽にお申込みください。
監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。