不動産投資を始めたいけど、何をすればよいのか分からない…。
不動産投資の初心者が何から始めればいいのかについて、基礎知識から説き起こしています。
不動産投資のメリット・デメリット、投資初心者が陥りがちな失敗も含めて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
不動産投資を始めるためのステップ
投資初心者が不動産投資を始めるためには、次のようなステップを踏んでいくことになります。
- 不動産の勉強をする
- 投資金額や目標を決める
- 資金を貯める
- 土地や物件を探す
- 紹介を受けた物件を検討する
- ローン審査を受ける
- 物件を購入する
- 管理会社を選ぶ
- 運用する
以下、順を追って見ていきましょう。
不動産の勉強をする
不動産投資にのぞむにあたっては、まずは不動産投資についての知識を取得しなくてはいけません。不動産とは何か、投資とは何か、そして不動産投資とは何か。これらについて何もわからずに大金を動かすことは、リスクの大きい行為となります。
基礎知識をしっかりと身につけて不動産投資を始めていきましょう。
書籍で不動産投資の知識を得る
不動産投資の基礎知識を得るには、書籍を読んで学んでいくことが基本となります。
不動産投資に必要な知識は、不動産の知識、投資の知識、民法や宅地建物取引業法の知識、税金の知識、経済・社会の知識など多岐にわたります。
これらを順序立てて取得するには、書籍から学ぶことが必須になります。インターネットでも情報はあふれていますが、その内容は玉石混交と言ってよく、知識のつまみ食いに終わることになってしまいます。
難しく考え過ぎる必要はありませんが、まずは本屋に行って、不動産投資関連の書籍を数冊手に取るところから始めましょう。インターネット、SNSなどで評価の高い書籍から選ぶことをおすすめします。
セミナーで具体的な投資手法を学ぶ
不動産投資に関するセミナーが毎日のように開催されています。対面方式のセミナーは東京での開催が多いのですが、オンライン方式のものも数多く開催されていますので、日本全国どこに住んでいても参加可能です。
多くのセミナーが無料開催なので、手軽に参加できることもメリットです。
書籍での学習では、不明点やよくわからないところがあっても未解決のままになってしまいがちですが、セミナーに参加すれば講師や主催者側に質問することができるところが魅力です。
ただし、不動産投資セミナーの主催者の多くが不動産会社です。主催者側から物件購入をすすめられることが多いでしょうが、すぐに飛びつくのはやめましょう。実際に不動産投資を始めるのは、じっくり勉強してからの。
投資金額や目標を決める
次に投資目標を立てましょう。「老後資金のために定年までに2,000万円貯めたい」とか「年に1回海外旅行を楽しむために月々10万円の不労所得がほしい」などです。
その目標達成のために投資の手法を考え、投資金額を設定します。目標が大きすぎて投資金額が用意できない場合は、目標を再設定します。逆に準備できる金額に余裕がありそうなときは、投資目標を上方修正していきます。
また、不動産会社から物件情報を集める段階でプロの意見を参考にしながら、目標の調整をすることも重要です。
資金を貯める
さて、おおよその投資目標が決まり、準備すべき投資金額が定まったら、具体的に資金を貯めていきます。
資金が必要な理由
不動産投資において、一定の資金を用意しておくことには大きな意味があります。
金融機関の審査が通りやすくなる
保有金融資産が潤沢だと、融資をする金融機関から好印象を持たれますので、審査が通りやすくなります。有事の際の貸し倒れリスクが少なくなると判断されるからです。
現在の金融機関の融資姿勢から言うと、充分な手元資金を用意できない投資家が融資を活用した投資戦略を描くことは非常に困難だと言わざるをえません。
金融機関から好印象を持たれると、金利や融資期間などで有利な条件を得やすくなります。不動産投資は長期にわたる取り組みです。金利・融資期間の優遇は、投資期間が長くなればなるほど有利に働きます。
不動産会社から良質な物件情報を集めやすくなる
保有金融資産に余裕のある投資家は、不動産販売会社から見たら「優良顧客」ということになり、結果として良質な物件情報を得やすくなります。
不動産投資には「情報戦」という側面があります。良質な物件は数に限りがあり、有利な情報を集めた者が不動産投資に成功するというわけです。
土地や物件を探す
お金の準備が整ったら(または準備と並行して)、具体的に物件を探します。不動産投資と一口に言ってもとても幅が広いので、投資初心者は王道の住居系から始めてみましょう。
具体的には、ワンルームマンション(区分所有)投資、一棟物の賃貸アパート・マンション投資があります。また、それぞれ新築・中古があります。
ポータルサイトで物件の相場をつかむ
物件の購入前に、相場をつかんでおくことが大切です。市場にどんな物件がいくらで出されているのかを知るのです。そのために、不動産ポータルサイトを有効に活用しましょう。
投資家向けとして、収益物件に特化したポータルサイトがあります。物件価格や表面利回りを把握することができます。
一般消費者向けの3大ポータルサイトと呼ばれるSUUMO(スーモ)、LIFUL HOME’S(ライフルホームズ)、at home(アットホーム)は賃料相場を把握するのに役立ちます。
SUUMO(スーモ)
https://suumo.jp/
LIFUL HOME’S(ライフルホームズ)
https://www.homes.co.jp/
at home(アットホーム)
https://www.athome.co.jp/
不動産会社に問い合わせる
不動産ポータルサイトでおおよその相場をつかんだら、不動産会社に問い合わせます。
不動産会社への問い合わせは、具体的な物件に見当を付けて問い合わせる方法と、一般的な不動産投資の相談という問い合わせ方法があります。ただ現実問題として、初心者がポータルサイトから優良な物件を見つけることは非常に困難ですので、相談した不動産会社から物件を紹介されるケースが多いでしょう。
問い合わせても良い不動産会社の見分け方
それでは、どのような不動産会社に相談したらよいのでしょうか。
ひとくちに「不動産会社」といっても、その範囲はとても広いものです。得意分野も千差万別で、賃貸仲介がメインの会社、開発事業中心のデベロッパー、戸建て住宅の建売会社などがあり、投資用不動産に詳しい会社は意外と少ないものです。
まずもって、投資用不動産をメインに扱っている会社であることが前提となるでしょう。そのうえで、投資家の立場に立って物件を提案してくれる会社を探します。こちら側の要望をしっかりとヒアリングしてくれて、それに合わせた投資スタイルを提案してくれる不動産会社は信頼していいでしょう。
また、都合の良いことばかりではなく、リスクやデメリットもきちんと説明してくれることも重要です。
不動産会社を訪問するときの心構え
不動産会社を訪問するというのは、投資初心者にとってハードルが高いと感じられるもの。「強引に物件を売りつけられてしまうのではないか」という不安と、逆に「まったく相手にされないのではないか」という引け目の両方があることでしょう。
当たり前ではありますが、不動産会社にとって接客はビジネスです。それ以上でも以下でもありません。投資家も不動産会社にビジネスとして接するのが一番です。
購入を検討している物件があるならばそれをきちんと伝えること、そうでないならばそのことを伝え、今後物件の紹介を得ていきたいと思っていることを伝えましょう。
紹介を受けた物件を検討する
不動産会社には投資目標や用意できる自己資金、希望する物件種別などを相談します。その際に個人情報も伝えることになります。不動産投資において個人の属性というのはとても重要になりますので、この点は了解しましょう。
相談の結果、物件の紹介を受けたのならば、不動産会社の担当者とともに購入を詳細に検討します。担当者には投資シミュレーションを出してもらうようにします。シミュレーションに入れる項目としては、想定利回り、空室率、自己資金額、金利、融資期間などがあり、それにもとづいて複数のパターンを出していきます。
また、物件の建物状況調査報告書などがあれば、それをもとに権利関係、法令上の制限、周辺環境など考えられるリスクを詳細に検討します。
現地訪問で行うべきこと
現地訪問では、文面では伝わらない物件の印象を確認することが要点になります。現地訪問では、①立地条件・周辺環境、②土地の状況、③建物の状況の3つを見るようにします。
立地条件、周辺環境はWebサイトでもある程度把握することはできますが、実際に最寄り駅から歩いてみたり、建物周辺を歩いたりすることで治安や利便性を体感することができます。また、実際に最寄り駅から物件までの距離・時間を測りましょう。周辺の生活施設(コンビニ、スーパーなど)、公共施設(交番、学校、郵便局、銀行、公園など)、嫌悪施設(工場、墓地、火葬場、風俗店、反社会的勢力の事務所など)がないかも確認しておきます。
1棟物のアパート・マンションを購入する場合は、土地の状況もしっかり見ておく必要があります。法令上の制限はないか、後々トラブルになることはないか、地形は整形地か不整形地かなどを確認します。
建物の状況については、物件全体を見たときの第一印象、外壁の状態、共用部の汚れ具合、ゴミ置き場の様子、室内の状況、水回り確認などがあります。
ただし投資家はプロではないので、文面上での判断も現場での判断もプロである不動産会社から助言を受けるようにしましょう。
住む人の立場になって考える
不動産投資で購入する物件は、自身が住む実需物件ではありません。あくまで他人が住むためのものであることを理解する必要があります。
自身のこだわりのデザインや配色が、他人には珍妙に思えることがよくありますので、自己満足に陥ることは危険です。
入居者の満足度を満たすためには、マイホームを買う目線ではなく、住む人の目線に立って判断することが肝要です。
賃貸仲介会社の営業担当の立場になって考える
もう一つ大事な目線が、「賃貸仲介会社の立場になったらどうだろうか」というものです。自分が入居者に部屋を案内したときに、どんな部屋ならおすすめできるだろうか、どんな部屋なら決まりやすいだろうか、と考えるのです。
そうすると、どんな物件がふさわしいのかが見えてくるのではないでしょうか。
売却時のこと(出口戦略)を考える
不動産投資には出口というものがあります。つまり、その物件の売却という局面です。不動産投資では、購入時から出口戦略を立てておく必要があります。
出口戦略なしに想定利回りの数字が良いというだけで物件を取得すると、トータルで大赤字ということにもなりかねません。逆に利回りが低く、投資の旨味が感じられない物件でも、出口で大逆転というケースもあります。
「この物件は○年後に△△万円で売却できる」とピンポイントで言い当てることのできる人は存在しません。それでも、おおよそのトレンドはわかりますので、そのトレンドにもとづき投資戦略を組み立てていくことになります。
ローン審査を受ける
購入する物件が決まったら、現金で購入する人を除いて金融機関に融資の申し込みを行います。
融資利用の際は、物件の売買契約に「ローン特約」を付けることを忘れないようにします。これは、金融機関に融資を申し込んだものの、期限内に融資が受けられない場合は違約金なしで売買契約を解約できる特約です。
また融資の申し込み先は、基本的に不動産会社が紹介する金融機関に決めたほうがいいでしょう。投資家が自分で決める方法もありますが、初心者にはハードルが高く「門前払い」になるケースが多いと言えます。
物件を購入する
宅地建物取引士から重要事項説明を受け、物件の不動産売買契約を結びます。原則として、金融機関からの融資実行の日が物件引き渡し、所有権移転(保存)登記、残金決済の日となります。
管理会社を選ぶ
物件を入手したら、オーナーという立場になります。そして、オーナーになったその日から賃貸管理を行わなくてはいけなくなります。賃貸管理をオーナー自ら行う自主管理もありますが、入居者募集(リーシング)、入居者審査、家賃回収、クレーム対応、建物の維持・メンテナンスなど賃貸管理にはやるべきことが多く、現実問題として限界があります。
信頼のおける管理会社に賃貸管理を任せることが、賃貸経営を成功に導く鍵となります。物件を販売した不動産会社が一気通貫で管理会社を営んでいるケースもあり、信頼がおけるならそのまま依頼してもいいでしょう。
運用する
不動産投資は、物件を購入したら終わりではありません。物件の取得は不動産投資=賃貸経営の出発の日なのです。ここが、同じ投資でも株式・投資信託・債券などの金融資産運用と根本的に違うところです。
めでたく物件を手に入れた不動産投資家は、収益物件のオーナーとして賃貸経営を営むことになるのです。
不動産投資のメリット・デメリット
不動産投資にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
投資の世界には「No pain no gain」(痛みなくして得るものなし)という格言があります。投資の大原則は、リターンがあるところには必ずリスクがあるということです。
そんな中でも不動産投資は、「ミドルリターン・ミドルリスク」と言われます。具体的にメリット・デメリットを見ていきましょう。
不動産投資のメリット
不動産投資のメリットの1つ目として、安定的な収入が期待できることがあります。収益物件を賃貸して家賃収入を得る手法は、物件選びや融資戦略などの初期設定を間違えさえしなければ月々安定的に収入を得ることができます。
2つ目に、金融機関から借り入れができることがあげられます。これは言い方を変えると、「借金をして投資をする」ことになりますが、こうした投資手法を使えるのは他にはなかなかありません。
この借り入れは投資の世界で「レバレッジ効果」と呼ばれますが、詳しくは後ほど見ていきます。
3つ目に、インフレ対策になることがあります。不動産は実物資産なので、インフレに強いことが強みです。アフターコロナ時代、世界中がインフレ局面に突入しつつあります。長らくデフレが続いた日本では、インフレ対策がおろそかになっている傾向があります。不動産投資はインフレ対策の一つの解答になるでしょう。
4つ目に、生命保険代わりになる点です。団体信用生命保険が付帯している不動産投資ローンの場合、ローン契約者が死亡したり、高度障害者になったりした場合にローン残債を肩代りしてくれます。
5つ目に、節税効果があることです。不動産投資には所得税節税のメリットがあります。不動産所得は給与所得と損益通算ができるので、不動産所得を帳簿上の赤字にして給与所得を圧縮することができるのです。
不動産のように資産価値が大きく何年も使えるものは、購入時に一度に経費計上するのではなく、何年かに分けて経費計上します。それを減価償却と呼びますが、これが課税所得を低くすることに役立ちます。
また、相続が発生した際、相続財産がすべて現金のケースでは相続税評価額が100%になりますが、不動産の場合は評価額が時価よりも下がるので効果的な節税ができます。
不動産投資のデメリット
一方で不動産投資にはデメリットも存在します。
不動産投資で最大のデメリットは、空室が生じると家賃収入が得られないということです。これは「空室リスク」と呼ばれるもので、このリスクを避けるために賃貸オーナーは努力をし続ける必要があります。
第2に、物件保有期間中の設備故障や退去にともなう部屋のリフォームに突発的な費用が発生する「修繕リスク」です。
第3に家賃を滞納したり、迷惑行為を起こす入居者がいることです。「家賃滞納リスク」「入居者信用リスク」と呼ばれるものです。
第4に、不動産を売りたいときに売れない「流動化リスク」です。株式は市場に売りに出せばすぐに現金に換えられますが、不動産はすぐには現金化できないという特性があります。
第5に、火災や天災によって物件が損壊する「災害リスク」です。
第6に、金利が上昇して月々の返済額が高騰する可能性があることです。「金利上昇リスク」と呼ばれるものです。
不動産投資を始める前に知っておくべき基礎知識
ここからは、不動産投資を始める前に知っておくべき基礎知識として、投資用語をいくつかピックアップして解説します。また、不動産投資の種類についても見ていきます。
利回りとは?
利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことを指します。不動産投資の場合は、物件価格の総額に対する家賃収入額の割合になります。
利回りには、表面利回りと実質利回りがあります。表面利回り(グロス利回り)とは、年間の家賃収入を物件の購入価格で割った数字です。式で表すと以下になります。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
収益物件を大まかに比較検討するために用いられることが多いのですが、諸経費や税金などのコストを省略しているので、現実の資金の流れとは食い違っています。また、年間家賃収入は満室を想定してのものです。
これに対し、実質利回りは年間家賃収入から管理費用や保険料などの運営費を引いた額を物件購入価格(諸経費込み)で割った数字です。
実質利回り(%)=(年間満室想定家賃収入-空室・滞納損失-運営費)÷(物件価格)×100
表面利回りと比較すると、比較的実態に近い数字になります。
キャピタルゲインとは?
不動産投資におけるキャピタルゲインとは、所有している不動産を売却することによって得られる差益のことを指します。たとえば、1億円で購入した一棟物の賃貸マンションを1億5,000万円で売却したとしたら、5,000万円の利益を得たことになります。それが、キャピタルゲインです。
逆に、不動産の値下がりによる売却損失をキャピタルロスといいます。
インカムゲインとは?
インカムゲインとは、資産を所有することで継続的に得ることができる収入のことを指します。不動産投資の場合は、家賃収入がそれにあたります。
レバレッジ効果とは?
不動産投資のメリットのところで述べましたが、不動産投資の特長に金融機関からの融資が受けられることがあります。借入金による投資規模の拡大を「レバレッジ効果」といいます。
レバレッジとは「テコ」のことで、レバレッジ効果とはテコの原理のように小さな資金で大きな収益を得ることを指します。
不動産投資の種類とは?
次に不動産投資の種類について、代表的なものを紹介しましょう。
1つ目は、ワンルームマンション投資です。ワンルームマンション(区分所有)を購入し、その家賃収入を得る投資手法です。新築物件・中古物件があり、主に都市部を中心に取引されています。
2つ目が、一棟物の賃貸アパート・マンション投資です。アパートやマンションを一棟ごと購入して、各部屋を賃貸する投資手法です。ワンルームマンションと比べると投資金額も多額となりますが、利回りが大きく収益規模が大きい点や複数戸保有により空室・滞納リスクへの備えができる点が魅力です。
3つ目が、戸建て賃貸住宅投資です。戸建て住宅を購入し、賃貸して家賃収入を得る投資手法。ファミリー層が顧客になるので、比較的長期に入居してもらえ、安定的な収入を得られる傾向があります。
その他の不動産投資としては、オフィスビル投資、商業施設投資などのさらに大規模な投資があります。また、倉庫投資、トランクルーム投資、駐車場投資などの土地活用がよく知られています。
実物不動産への投資ではなく、金融投資にあたる不動産投資信託(リート)も手軽に始めることができる人気投資商品です。
初心者が気を付けるべきこと
以上挙げたリスク以外にも投資初心者が気を付けるべきことがあります。とくに注意すべき点をいくつかピックアップします。
不正融資の危険性
2018年に「カボチャの馬車」事件が明るみ出て以降、不動産投資に関連する不正融資が複数明らかになりました。
一部の不動産会社と金融機関による不正融資に安易に乗ってしまって、想定した家賃収入が得られなかったり、融資額の全額即時返済を求められたりして、自己破産に追い込まれる事例も多数発生しました。
不正融資の誘惑に乗らないためにも、その手口について知っておきましょう。
融資の際の自己資金や年収の水増し
金融機関の融資基準に届いていないにもかかわらず、預金通帳を偽造して預金額を多く見せかけたり、源泉徴収票を偽造して年収を多く見せかけたりして、不正に融資を引き出す事例がありました。
また、マイホームの住宅ローンであるフラット35を不動産投資に流用するケースも複数露見しました。
販売価格の水増し
カボチャの馬車事件では、販売会社が建築請負会社からキックバックを受けていて、本来の建築費の倍近い価格で投資家に販売していました。さらに、金融機関が結託していたために、緩い融資審査によってその価格で融資が通ることになってしまいました。
家賃収入の水増し
カボチャの馬車は女性向けのシェアハウスでしたが、運営会社は想定した入居者の数を集めることができず、サブリース契約で投資家に約束していた家賃収入額を支払うことができませんでした。結局運営会社は破産し、巨大な負債が投資家に残されることになり、多くの投資家が自己破産に追い込まれたのです。
物件の印象だけでなく数字で判断する
投資初心者が陥りがちな失敗の一つに、物件を第一印象で選んでしまうということがあります。
外壁の色やデザインなどの印象だけで決めるのではなく、駅からの距離や物件のある自治体の転入超過数、そのエリアの空室率などの数字を根拠にして選ぶ必要があります。
不動産営業に言われるがまま購入を決めない
多くの不動産会社の営業担当にはインセンティブがあり、○戸売れたら××万円報酬が上がるという仕組みがあります。
残念ながら投資家の利益より自分の利益を第一に考える営業担当もいるので、営業に言われるがまま購入を決めず、必ず自分の頭で考えて慎重に投資判断するようにしましょう。
減価償却費の活用は売却時に気を付ける
不動産投資には所得税節税のメリットがあります。不動産所得は給与所得と損益通算ができるので、不動産所得を帳簿上の赤字にして課税所得を圧縮することができます。
不動産投資の減価償却とは
「不動産投資のメリット」の部分で、減価償却を利用した節税メリットを述べましたが、減価償却による節税は正確には「税の繰り延べ」であることを理解しておく必要があります。
というのも、物件売却時の取得費は減価償却分が差し引かれるため、売却益が大きくなり譲渡所得税が多く課税されることになります。収益不動産を運用中の所得税の節税部分については、そのまま全部節税できるわけではないということです。
不動産は売却時に譲渡益を計算し、譲渡所得に応じて譲渡所得税が課税されます。譲渡所得の計算式が以下になります。
譲渡所得 = 譲渡収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)
この取得費は物件の購入費用と取得に要した費用を合計した金額から減価償却費を差し引いた金額になるため、減価償却を多用していると譲渡所得が大きくなり、結果として譲渡所得税が重くなります。
ただし、収益不動産を運用中の所得税の税率よりも譲渡所得税の税率のほうが低くなることがあるので、その場合は節税メリットがあるといえます。
不動産投資に向いている人
初心者向けに基礎知識や投資の注意点を述べてきましたが、不動産投資には個人の適性というものがあるのでしょうか。不動産投資に向いている人について、いくつか見ていきましょう。
安定した収入がある人
不動産投資は、金融機関から融資を受けて行うことができるところが大きなメリットであることを述べてきました。ところが、金融機関もビジネスで融資を行っているので、誰でも彼でも融資するわけではありません。
金融機関は、貸しても利子を付けて返してくれそうな人に貸します。具体的には、高年収の会社員や中小企業経営者、医師、弁護士などです。
また、安定した収入だけでなく、保有する金融資産も評価されます。保有する金融資産が多額であれば、年収が低くても融資を受けられることがあります。
行動力がある人
投資の大原則は、リターンとリスクは背中合わせということです。リスクを取れる人がリターンを得ることができます。
無鉄砲な行動は慎むべきですが、不動産投資で成功する人はリスクを取ることのできる行動力のある人であることは間違いありません。
冷静に物事を判断できる人
直前に述べたことと矛盾するようですが、不動産投資は一歩道を誤ると自己破産にまで至ることもありえます。感情をかき乱される状況の中で冷静さを失わず、物事を合理的に判断できる人が不動産投資に向いている人だと言えるでしょう。
不動産投資を始めるタイミング
不動産投資は、いつから始めるのがいいのでしょうか。
まずは一般論からですが、投資用語に「リスク許容度」という言葉があります。どれくらいまでならリスクを引き受けることができるかという度合いのことを指します。投資を長く続けられる人、つまり若い人のほうが仮に損失が出たとしても、損失をカバーする時間があるので、リスク許容度は大きいと判断されます。
不動産投資はレバレッジを効果的に組み入れた投資方法なので、金融機関の評価が重要となります。金融機関は安定して収入がある人を評価しますので、若くても収入が多いか資産を多く持っていないと評価してくれません。
さらに、日本では新入社員よりも一定年数勤務している会社員のほうが年収は高い傾向にあります。そうすると、若い会社員よりも中堅クラスの会社員のほうが良いとなります。
一つの目安としては、預貯金や金融資産が1,000万円に達したときと言えるでしょう。
初心者がよい物件を探すためにできること
投資初心者が条件の良い物件に出会うためには、どうすればよいのでしょうか。最後にこの点について考えてみましょう。
メンターを見つける
不動産投資に限らず、新しい世界に足を踏み入れるとき人は孤独を感じます。そんなとき、その道の先を行く人=メンターに助言を求めるのも一つの手ではないでしょうか。不動産投資家の交流会、SNS、スキルシェアサービスなどで探して見ましょう。
信頼性の高い不動産投資会社を利用する
そして、投資初心者が条件の良い物件を探すもっともオーソドックスな方法が、不動産投資会社を利用することです。専門事業者として収益物件を扱っており、個人では得ることが難しい情報が集中しているのです。
信頼性のおける不動産会社は、不動産投資家にとっては戦略的パートナーです。不動産会社との良好な関係が、不動産投資の成功をもたらすと言っていいでしょう。
大和財託の不動産投資コンサルティングサービス
大和財託では、これから不動産投資を始めようとお考えの方、現在すでに一棟アパートや区分マンションをご所有の方にも無料で投資相談を行っています。
当社は50を超える多数の金融機関と太い信頼関係を構築し、これまでたくさんのお客様に有利な条件での借り入れを実現してきました。
不動産投資について学ぶ時間がとれない方も安心してお任せいただけるよう全面的にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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不動産投資の指標についても詳しく解説していますので、さらに理解を深めたい方はぜひご利用ください。
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監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。