不動産投資は初期設定が重要な為、「物件選定」はとても大切です。
物件を選定するには、様々な観点があります。
- 収益力
- 物件の構造
- エリア
- 周辺の施設
- 最寄り駅
等です。
※あくまでも一例です。
その中でもよく耳にするのが、「最寄り駅の乗降者数」が重要、というものです。
確かに不動産投資の物件選定、と検索すると「乗降者数を調査する」ことが物件選定のポイントとして項目に入っている場合が多く、書籍にも記載のあるものが多く見られます。
「乗降者数が多い=人が多く賃貸需要がある」とイメージすることはできますので、乗降者数をポイントとしておかれる理由もわかりますが、当社で物件選定をする場合、乗降者数は選定する項目にはしておりません。
今回は物件購入を検討する際の「最寄り駅の乗降者数」に着目してお伝えいたします。
目次
周辺物件との需給バランス
当社は管理戸数約2500戸、入居率約98%の管理会社ですが、前述したようにこれまで物件の最寄り駅の乗降者数で判断したことはありません。
例えば、以下のような物件を一例として挙げます。
- エリア:大阪市某区
- 乗降者数:約6万人
- 間取り:20㎡ 3点ユニット
- 賃料:2万円前後
- 広告料:10万円(5ヶ月分)
上記のエリアは、乗降者数はまずまず多いのですが、単身者向けの部屋の入居付けが関西の中でもとても厳しいエリアとなります。加えて、賃料と広告料をみても並みの利回りでは、賃貸経営が成り立ちません。
一方、以下のような物件も比較対象として挙げます。
- エリア:兵庫県西部の某市
- 乗降者数:1000人以下
- 間取り:23㎡ 3点ユニット
- 賃料:3.5万円前後
- 広告料:7万円(2ヶ月分)
上記エリアは、乗降者数は少ないですが、空室が2ヶ月以内空いたことがありません。
駅の乗降者数だけで比較すると50倍以上の差がありますが、入居率も賃料相場の観点で見ると圧倒的に兵庫県西部の物件が良い条件と言えますので、簡単な比較ではありますが、最寄り駅の乗降者数は不動産投資における物件選定に関係ない指標と判断が出来ます。
では当社は、何をみて判断しているのか。
それは、
「最寄り駅周辺エリアの需給バランス」と
「検討物件が周辺エリアの競合物件と比較してどうか」
という点です。
「最寄り駅周辺エリアの需給バランス」とは、検討している物件周辺エリアの競合となる物件の数・現在の空室在庫数と入居需要とのバランスのことを言います。
また当社では、需給バランスの確認の際、物件の最寄り駅周辺だけでなく、ターミナル駅やその沿線での需給バランスも確認するようにしています。
なぜそこまで確認するのか。
それは最終的に以下の項目を確認したいためです。
- 検討物件がどのくらいの賃料で決めることができるのか
- その賃料時の広告料や初期費用負担はどのくらいか
- 将来の見込み賃料はいくらくらいか
以上を加味して、賃料相場を押さえることができれば、後々空室で困ることはほとんどないと思います。
さいごに
最寄り駅の乗降者数が多い場合でも空室で困っている物件は数多くあります。
逆に、最寄り駅の乗降者数が少なくても入居付けに困らない地域も多くあります。
乗降者数は物件選定を行う際にとても分かりやすく見ることできる数字にはなりますが、実際運用を始めた際に意味のある数字にはつながりません。
それよりも今後の入居付けや賃料変動を事前調査を元にシミュレーションをして物件を選定することのほうが確実にリスクの少ない不動産投資につながります。
正しい物件選定のポイントを押さえ、空室リスクの低い物件を見定めていきましょう。
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監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。