元利均等返済と元金均等返済の選び方をメリット・デメリットと一緒に徹底解説!

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不動産投資で金融機関から融資を受ける際、金利以外にもチェックしておきたい部分があります。それは「返済方式」についてです。不動産投資ローンの返済方式には「元利均等返済」「元金均等返済」の2通りがありますが、どちらを選ぶのがよいのでしょうか。

この記事では、これから不動産投資を検討している方のために、元利均等返済と元金均等返済の特徴、そして選び方やメリット・デメリットを紹介します。

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不動産投資は融資が決め手

不動産投資を行うには、数千万から数億円の金額が必要になります。自己資金だけで必要な金額を調達するのは難しいケースがほとんどで、その場合は不動産投資ローンを利用することになります。

融資を受ける際は、金利、返済期間、返済方式などを検討する必要があり、不動産投資成功の決め手は、融資にあるといっても過言ではないのです。

融資条件において確認するべきポイント

不動産投資で資金の融資を受ける際、確認するべきポイントは以下の通りです。

  • 金利
  • 融資期間
  • 返済方式
  • 融資金額

金利

金利1%以下であることも珍しくない住宅ローンと比較すると、不動産投資のための融資「不動産投資ローン」は金利2~3%台と、高めに設定されています。できるだけ多くの利益を出したいなら、金利が低い不動産投資ローンを選択する必要があります。

ただし、金利にこだわりすぎると、投資先として選べる物件の選択肢が狭くなってしまうこともあります。選ぶ物件によって、金利の基準を選択するのも一つの方法です。

また、「固定金利」「変動金利」どちらを選択するかも重要です。それぞれの特徴を改めて確認しておきましょう。

固定金利•   5年、10年、20年、全期間など、契約時に定めた一定期間は金利が変わらない
•   一定期間終了後は変動金利に自動的に移行するが、改めて固定金利を選択することもできる
変動金利•   主に短期プライムレートに連動して金利が変更される
•   一般的に固定金利より金利が低いことが多い

融資期間

不動産投資ローンの最長借入年数を35年としている金融機関が多いです。ですが、投資する建物の構造や築年数によっては35年よりも短い期間での契約となる場合もあります。

返済方式

不動産投資ローンを受ける際は、返済方式も確認する必要があります。返済方式は以下の2通りです。

  • 元利均等返済
  • 元金均等返済

融資金額

不動産投資ローンを受ける際には、事前に融資の希望金額を決定し融資申し込みを行います。自身の資産性や物件・収益性に対する評価を踏まえて、金融機関から融資可能金額の回答がありますが、自己資金の拠出が必要な場合は、どの程度の金額までを拠出可能と判断するかなど検討が必要です。

返済方式について 

不動産投資ローンの2つの返済方式、「元利均等返済」と「元金均等返済」の特徴、そしてメリット・デメリットを解説していきます。

元利均等返済とは

 元利均等返済の特徴とメリット・デメリットを確認しましょう。

元利均等返済の特徴

元利均等返済とはローンの返済期間中、毎月の返済額が均等になる返済方式です。つまり、月々の返済額は借入開始時から完済まで、ほぼ一定になります。

※返済金額が若干異なる月も発生します。

返済初期は返済金額に対し利息の占める割合が多くなるので、元金の返済は遅くなります。そのため利息の負担が増え、総返済額は元金均等返済より多くなるという特徴があります。

ただし、毎月の返済額が一定なので返済計画が立てやすく、保有期間中の初期のキャッシュフローを作りやすいという点も特徴として挙げられます。

元利均等返済のイメージ

元利均等返済のメリット

元利均等返済のメリットは次の通りです。

  • 返済計画が立てやすい
  • 返済初期のキャッシュフローが元金均等返済より多くなる
返済計画が立てやすい

返済開始時期から完済までの返済額が一定のため、返済計画が立てやすいというメリットがあります。毎月出ていくお金がはっきり決まっていることで、キャッシュフローシミュレーションも立てやすいでしょう。

返済初期のキャッシュフローが元金均等返済より多くなる

返済開始時期に返済額が多くなる元金均等返済と比較すると、元利均等返済は返済初期の返済額の負担が少なくなります。

元利均等返済のデメリット

元利均等返済のデメリットは次の通りです。

  • 総返済額は元金均等返済よりも多くなる
  • 元金の減りが遅い
総返済額は元金均等返済よりも多くなる

元利均等返済の利息は、ローン元金残高により計算されます。そのため、総返済額は元金均等返済よりも多くなります。

元金の減りが遅い

返済当初は利息部分の割合が多くなるため、元金の減りが遅くなる点もデメリットといえるでしょう。

元金均等返済とは

 次に元金均等返済の特徴とメリット・デメリットを確認しましょう。

元金均等返済の特徴

元金均等返済とは、返済期間中に返済する元金を毎月一定にする返済方法です。返済当初の毎月の返済額は元利均等返済より多くなりますが、元金の返済は元利均等返済より早く進みます。そのため、元利均等返済と比べると、総返済額が少なくなるのも特徴です。

元金均等返済のイメージ

元金均等返済のメリット

元金均等返済のメリットは次の通りです。

  • 総返済額が抑えられる
  • 元金の減りが早い
  • 毎月の返済額が徐々に減る
総返済額が抑えられる

元利均等返済と同じ金利・返済期間だった場合、元金均等返済の方が総返済額を抑えることできます。

元金の減りが早い

元金均等返済では、元金が毎回均等に返済されていきます。そのため元利均等返済と比べると元金の減りが早いというメリットがあります。

毎月の返済額が徐々に減る

不動産投資ローンの利息は残っている元金により計算されます。元金均等返済では、均等に元金が減っていくため、返済を重ねるたびに利息も減っていき、毎月の返済額も徐々に減っていきます。

元金均等返済のデメリット

元金均等返済のデメリットは次の通りです。

  • 返済初期の毎月の返済額が多くなる
  • 高額の返済額を負担できるか審査される
返済初期の毎月の返済額が多くなる

不動産投資ローンを借り入れたばかりの時期は元金部分が大きいため、利息もそれだけかかります。よって返済開始からしばらくの間は、毎月の返済額負担が元利均等返済よりもかなり大きくなります。

高額の返済額を負担できるか審査される

元金均等返済では、返済初期の返済額が高くなります。不動産投資ローンの審査では、返済初期の高額な返済額を返せるかを確認されるので、元利均等返済と比較すると審査が厳しめになる可能性があります。

元利均等返済と元金均等返済との違い

元利均等返済と元金均等返済の特徴、そしてメリット・デメリットをまとめると、下記の表の通りです。

 元利均等返済元金均等返済
毎月の返済額返済開始から完済まで一定返済開始時は高額だが、徐々に減っていく
元金の減り方遅い早い
総返済額元金均等返済より多くなる元利均等返済より少なくなる

その他の返済方法

不動産投資ローンを契約する際は、元利均等返済、元金均等返済どちらかの返済方式を選択します。その後、返済を続けていきますが、途中でローンを早く終わらせたいと考える時が来るかもしれません。その時に備えて、さまざまな返済方法を確認しておきましょう。

繰り上げ返済と一括返済

返済中の不動産投資ローンの残高を減らしたい、もしくは早く終わらせることも検討している場合は、「繰り上げ返済」と「一括返済」について押さえておいてください。

繰り上げ返済とは

繰り上げ返済とは、まとまった資金を準備し、不動産投資ローンの元金を繰り上げて返済することです。繰り上げ返済すると元金が減るため、元金にかかる利息を少なくする効果があります。結果として総返済額を減らすことができるのです。

繰り上げ返済後の毎月の返済には以下の方式があります。金融機関によってどちらか選択可能、もしくは一方のみの扱いとなりますので、不動産投資ローン契約時に確認しておくとよいでしょう。

  1. 毎月の返済額を変えずに返済期間が短くなる「返済期間短縮型」
  2. 毎月の返済額が減り、返済期間は変わらない「返済額軽減型」

また、繰り上げ返済には手数料がかかる場合もあります。金融機関窓口かインターネット経由か等の繰り上げ返済の方法、繰り上げ返済金額や残りの元金によって手数料額が異なることもありますので、金融機関を比較検討する際に確認しておきましょう。

一括返済とは

「全額繰り上げ返済」とも呼ばれるものです。不動産投資ローンの残高全てを返済します。資金に余裕ができた場合、もしくは投資物件の売却時に行います。

一括返済の場合も手数料がかかる場合がありますので、どの程度かかるのかを契約時点で確認しておくことをおすすめします。

また、物件を保有したまま、一括返済を行う際はかなりまとまった金額が必要になるため、今後他の物件を購入し、不動産投資を広げる可能性がないかもよく考えてから返済を行いましょう。

一括返済の場合は、不動産投資ローンを契約していた金融機関と返済手続きの打ち合わせが必要になることがあります。繰り上げ返済よりも日数がかかることもありますので、時間に余裕を持って手続きしましょう。

返済額シミュレーション

「融資金額」「金利」ごとに、元利均等返済・元金均等返済では毎月の返済額、総返済額がどの程度異なってくるかをシミュレーションしてみます。

また、同じ融資金額、金利でも返済期間が異なれば、毎月の返済額や総返済額がどの程度変わってくるかも計算しました。

返済方式を選択する際の参考にしてください。

①融資金額7,000万円、金利3.0%の場合

以下の条件で融資を受けた場合の毎月の返済額、総返済額を計算してみましょう。

● 返済期間:30年
● 金利タイプ:全期間固定

【元利均等返済】

毎月の返済額29万5,122円
総返済額1億624万3,920円
うち利息分3,624万3,920円

【元金均等返済】

初月の返済額36万9,443円
(参考)20年0ヵ月目の返済額25万3,263円
(参考)30年0ヵ月目の返済額19万5,090円
総返済額1億158万7,089円
うち利息分3,158万7,089円

総返済額の差は465万6,831円で、元利均等返済の方が総返済額は高くなっています。ただ、初月の返済額は元金均等返済の方が、7万4321円も多く支払うことになります。

②融資金額7,000万円、金利3.5%の場合

 同じ融資金額でも、金利が変わればどの程度返済額が変わるかを確認しましょう。

● 返済期間:30年
● 金利タイプ:全期間固定

【元利均等返済】

毎月の返済額31万4,311円
総返済額1億1,315万9,160円
うち利息分4,315万9,160円

【元金均等返済】

初月の返済額39万8,610円
(参考)20年0ヵ月目の返済額26万3,066円
(参考)30年0ヵ月目の返済額19万5,171円
総返済額1億685万1,660円
うち利息分3,685万1,660円

総返済額の差は630万7,500円です。金利が0.5%高い分、総返済額の差は大きくなり、また初月の返済額の差も大きくなっています。

③融資金額1億円、金利2.5%の場合

 今度は融資金額1億円、金利2.5%の場合でのシミュレーションしてみましょう。

● 返済期間:30年
● 金利タイプ:全期間固定

【元利均等返済】

毎月の返済額39万5,120円
総返済額1億4,224万3,200円
うち利息分4,224万3,200円

【元金均等返済】

初月の返済額48万6,109円
(参考)20年0ヵ月目の返済額34万7,799円
(参考)30年0ヵ月目の返済額27万8,635円
総返済額1億3,760万3,601円
うち利息分3,760万3,601円

総返済額の差は463万9,599円です。金利が低くなると、元利均等返済と元金均等返済の総返済額の差も小さくなることが分かります。

④融資金額1億円、金利2.5%、返済期間20年の場合

上記と同じ融資金額・金利で、返済期間が10年短くなった場合、毎月の返済額、総返済額はどのようになるかも確認してみましょう。

● 返済期間:20年
● 金利タイプ:全期間固定

【元利均等返済】

毎月の返済額52万9,902円
総返済額1億2,717万6,480円
うち利息分2,717万6,480円

同じ元利均等返済の場合、返済期間を10年短くした方が毎月の返済額は13万4,782円高くなりますが、逆に総返済額は1,506万6,720円下がります。

【元金均等返済】

初月の返済額62万4,999円
(参考)10年0ヵ月目の返済額51万1,700円
(参考)20年0ヵ月目の返済額41万7,694円
総返済額1億2,510万3,847円
うち利息分2,510万3,847円

元利均等返済と元金均等返済の総返済額の差は207万2,633円です。

また、元金均等返済の返済期間20年、30年で比較すると、初回返済額は返済期間20年の方が13万8,890円高くなっています。しかし、総返済額は返済期間30年の方が1,249万9,754円高いことが分かりました。

総返済額を減らしたいのであれば、月々の返済負担は重くなってしまいますが、なるべく短い返済期間を設定することをおすすめします。

元利均等返済と元金均等返済、おすすめはどっち?

元利均等返済と元金均等返済の詳細を解説してきましたが、「自分にはどちらが向いているのか分からない」という方もいるでしょう。

そこで、元利均等返済、元金均等返済、それぞれどのような方が向いているかをご紹介します。

元利均等返済をおすすめする方

返済期間中、ずっと返済額が変わらない「元利均等返済」がおすすめなのは以下のような方です。

  • 保有期間中のキャッシュフローを重視する方
  • 不動産投資を拡大していきたい方

物件の運用に掛かる突発的な費用も対応できるように、保有期間中のキャッシュフローが出やすい状況をつくることが重要です。

物件からのキャッシュフローを貯めて投資を拡大していくことを考えた場合は、元利均等返済をおすすめします。

また、不動産投資を拡大するなど、近い将来必要なお金があるという場合は、不動産投資ローンでは元利均等返済を選択し、大きな金額が出ていかないようにすることを検討してください。

元金均等返済をおすすめする方

返済が進むごとに徐々に返済額が減っていく「元金均等返済」がおすすめなのは以下のような方です。

  • 売却時のキャッシュフローを重視する方
  • 収入や資産に余裕がある方

元金均等返済は元金の返済比率が元利均等返済に比べ早く、総返済額も少なくなくて済むメリットがあります。しかし、保有期間中の初期の返済額が元利均等返済に比べ多くなってしまうので、キャッシュフロー自体は少なくなってしまいます。

返済以外にも掛かる費用がありますので、現時点で資産に余裕がある方や、しばらくまとまった金額の支出がないという方は検討しても良いでしょう。

当社のおすすめは『元利均等返済』

不動産投資を進めていかれる方に向けて、当社としては『元利均等返済』をおすすめしています。

お金の価値を考えたときに、今の10万円と20年後の10万円とでは、価値が異なります。今のお金は、これからの運用次第で価値をさらに高められる可能性を秘めているため、20年後の10万円よりも価値が高いと考えることができます。この考え方に基づくと、返済初期の負担が小さい「元利均等返済」のほうが、より早期に手元のキャッシュ拡大に寄与するため、「元金均等返済」よりも有益と考えます。

メリットでも挙げたように、事業規模拡大や投資先の入れ替え、また有事の際のリスクへの備えなど、経営の自由度・安定化を考えた際にも、早期に手元にキャッシュがある状態を作り出せることは、非常に魅力的です。

まとめ

同じ金利、返済期間の不動産投資ローンであっても、元利均等返済と元金均等返済では毎月の返済額、そして総返済額に大きな差が生じます。

返済方式は途中で変更することができません。特徴やメリット・デメリットを理解し、納得の上で選択しましょう。

また、金融機関によっては返済方法の選択ができる会社、どちらか一方しか取り扱っていない会社があります。金融機関の比較検討を行う際は、金利面にだけ目を向けるのではなく、どの返済方式を扱っているかまでしっかりチェックしましょう。

なお、当社では、キャッシュフローの面、そして今後の不動産投資拡大の可能性から考えて、基本的に「元利均等返済」をおすすめしています。

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監修者

藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO

昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。

マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。

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