不動産投資には、収益が発生するタイミングが2つあります。
保有中のキャッシュフローと、売却時のキャッシュフローです。
いくら保有中の収入が大きくても、売却価格が低いと全体の投資成果は下がってしまいますので、不動産投資は売却して初めて投資成果が確定する投資といえます。※一部例外はあります。
そのため、不動産投資は不動産購入時に売却のことも考えなければならず、出口戦略を考えていない不動産投資はリスクが高いといえるでしょう。
売却活動開始時に提示する「売出価格」は、あくまでも売主の希望や近隣相場から決定するものであり、実際は買主がその価格に対し指値を行い、条件面で合意に至れば無事契約・決済となります。
よって、売主からすると、売出価格から可能な限り指値が入らないようにしなくてはならないということです。
逆をいえば、買主は指値をするための根拠があれば、売主に交渉がしやすくなるということになります。
今回は保有中の管理がいかに不動産投資の出口である売却時に大切になってくるのかを、実例をもとにご説明いたします。
目次
事例
当社にて仲介に入らせて頂いた取引事例をご紹介致します。
【当初の情報】
- 自主管理
- 検査済証ありの適法
- 設計図書あり
- 保有中の問題なし
当初は以上の情報を頂いていました。
しかし、話を進めていくうちに当初頂いていた情報とは実態が異なってきました。
以下が新たに判明した情報です。
- 検査済証ありだが、用途が変更している(車庫→店舗)
- 設計図書はコピー
- 水漏れが起こっている
- 鍵の管理が全くなっていない
- 賃貸借契約書が一切更新されていない
- 入居者との連絡窓口がない
以上のように、当初の情報との相違が大きく、その後も話を進める上で更に多くの相違点がでてきました。
そのため、当初の売出価格に買主が指値をいれて価格交渉を行い、その結果、双方合意のもと無事契約となりました。
もし、この売主の管理が適当な自主管理ではなく、管理会社に依頼し書類等をそろえていれば、価格交渉も少なく済み、希望価格に近い契約ができた可能性は十分にあります。
さいごに
以上のように管理のやり方1つで売却価格に大きな影響を及ぼす事例は少なくありません。
不動産投資は、保有中のキャッシュフローと売却時のキャッシュフローの合計で成果が確定します。
中でも売却時のキャッシュフローは大きく利益をとれる可能性が高い一方、マイナスに作用する場合も十分あります。
保有中の管理をいかにうまく行うか。
また、各種書類をしっかりとそろえておくことができるかにより、
最終的な売却価格に大きな影響を及ぼします。
保有中の管理については、オーナー様が自主管理もできますが、適切でしっかりとした管理をしていくことはとても大変ですので、信頼できる管理会社に頼むことをオススメ致します。
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監修者
藤原 正明/大和財託株式会社 代表取締役CEO
昭和55年生、岩手県出身、岩手大学工学部卒。
三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。
中小企業経営者、土地オーナー、開業医・勤務医、高年収会社員などに対して多様な資産運用サービスを提供している。
自社設計施工により高品質ローコストを実現している新築1棟アパート・マンション、中古物件のリスクを排除した中古1棟リノベーション物件、デジタルテクノロジーを活用した不動産小口化・証券化商品、利益最大化を実現する賃貸管理サービスなどを、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提案できることが強みである。
資産運用領域で日本No.1の会社を目指し日々経営にあたっている。
マッスル社長としてYouTubeでも活躍中。
書籍「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」や「収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則」を発売中。