生命保険による法人税の節税について徹底解説!

生命保険による法人税の節税について徹底解説!

法人税の節税について、所得を圧縮するスキームには、不動産投資だけでなく生命保険、太陽光発電、オペレーティングリース、役員報酬の増額などさまざまな種類があります。

この不動産投資コラムを読んでおられる方にも、税理士や保険営業担当者、あるいは金融機関の営業担当者などから、上記のスキームに関するさまざまな話が舞い込んできているのではないでしょうか。

「自社株評価を下げるために所得を抑えたい」とか、「所得を抑えて納税を先送り(繰り延べ)し、少しでも多くのキャッシュを確保しておきたい」というのは、経営者にとって共通の悩みです。

しかしながら解決できるというスキームの数があまりにも多いと、「どれがいちばん無理なく利用できて、効果も高いのか?」と選ぶのに迷ってしまうのではないでしょうか。

今回のコラムでは、「生命保険を法人税の繰り延べに利用する」スキームのメリット、デメリットについて徹底解説いたします。

最後までお読みいただければ生命保険による節税効果について理解が深まりますので、ぜひご一読ください。

不動産投資による節税についての記事もございますので、合わせてご紹介いたします。

 

■「生命保険を法人税の繰り延べに利用する」スキームとは

 

「生命保険を法人税の繰り延べに利用する」というスキームの歴史は長く、古くは1975 年に発売された「がん保険」にさかのぼります。

その後、1980年の「定期保険」、2001年の「医療保険」など、利用できる保険の種類は移り変わりましたが、税繰り延べの基本的な仕組みについては、ほとんど変わっていません。

法人を保険の契約者、法人の代表者(オーナー経営者)を被保険者とし、毎月保険料を支払うことでその保険料の全額もしくはかなりの部分が損金として処理できる仕組みです。 

 

■全額損金タイプの生命保険を活用しても手元に残るお金が減ってしまう

 

たとえば、年間利益100万円の企業が、全額損金タイプで年間保険料100万円の保険に入ったとすれば、それだけで所得をゼロにすることができます。

ただし、全額損金処理できるとは言ってもその分の保険料を支払いますので、手元のキャッシュはどんどん出ていってしまいます。

年間100 万円の保険料なら、10 年間で1,000 万円ものお金を払う必要があります。

どんなに納税負担が軽減されても、その分、手元に残るお金が減ってしまうのでは何の意味もありません。

 

■生命保険は解約した場合に一部は戻ってきても元本は減ってしまう

そのため、過去に登場した全額損金タイプの法人向け保険の中には、加入から5 〜6 年目あたりに返戻率(払った保険料に対して受け取れる保険金額の割合)のピークを設け、そのタイミングで中途解約すると、払い込んだ保険料のかなりの割合が戻ってくるという仕組みを採り入れたものもありました。

たとえば、年間利益100 万円の中小企業が、保険料年間100 万円、ピーク時(加入から5 年後)の返戻率が85 %の全額損金タイプの保険に加入したとします。

この場合、ピーク時までに払い込む保険料の総額は500 万円となります。

そして、このタイミングで保険を中途解約すると、返戻率85 %なので500万円のうち425 万円が保険金として戻ってきます。

それでも、一見すると75万円の損ですが、このタイプの保険を販売する営業担当者の多くは、「5 年間の節税効果を考えると、返戻率は100 %を軽く超えますよ」というメリットを強調してきました。

仮にこの保険に入らなかった場合、毎年33万円(保険料100万円×税率33 %)の法人税を納めなければならなかったわけですが、その分を納めなくてもよくなったので、実質165 万円(33 万円× 5 年分)のキャッシュを得られているという論理です。

 

■生命保険の払戻金にも税金がかかるという落とし穴

 

中途解約によって戻ってきた425 万円に、納税を免れた165 万円を足すと590 万円になります。つまり、投入した500 万円は一切失うことなく、90 万円の“節税”効果が得られるというのです。

ただしこれは実態を表していません。保険払戻金は425 万円は所得になるのです。425 万円× 33 %=140 万円の納税がかかることは留意すべき点と言えます。

年間100万円の保険料を5年間支払った後に中途解約する場合のシミュレーションは以下の通り。

-500万円+165万円+425万円-140万円=-50万円

最終的には50万円損するのです。

このタイプの保険を販売した営業担当者たちは、「実際の返戻金+損金処理によって得られた“節税”額」を「実質返戻率」という数字で表現し、そのメリットをアピールしました。

保険による正味の返戻率だけでは収支がマイナスになってしまうので、「“節税効果”を加味した実質返戻率はプラスになる」ということを強調したわけです。

 

■何度も現れては消える全額損金対応の保険

 

このような全額損金タイプの保険は、過去に何度も現れては消えました。

新たな保険商品が登場し、人気が高まるたびに、当局が「行き過ぎだ」と規制を講じて潰してきたからです。

そもそも保険は、被保険者が亡くなったり、重い病気やけがになったりしたときの金銭的な保障を目的とする商品であって、節税のための道具ではありません。

しかし、何らかの手段で節税をしたいという法人のニーズは強く、なるべく多くの契約を勝ち取りたい保険会社がそのニーズを汲み取る形で、本来の目的を逸脱していることは知りつつも、時代ごとに形を変えながら全額損金タイプの保険を投入してきたのです。

 

■「生命保険を法人税の繰り延べに利用する」スキームが急成長

 

最近では、国内最大手の生命保険会社が2017年に売り出した実質返戻率80 % 以上・全額損金タイプの新商品が人気を集め、それを受けて、他の保険会社も同様の保険を次々と発売しました。

保険会社はここ数年、マイナス金利政策の影響などによって収益力が大きく落ち込んでいます。収益を少しでも上げるには、何としてでも保険を売らなければなりません。

そこで、何度も売り出しては潰されてきた全額損金タイプの保険をもう一度復活させたわけです。

新しい全額損金タイプの保険は、保険会社の積極的な営業攻勢によってたちまち大ブームとなり、1 兆円近い市場に急成長しました。

 

2019年で「生命保険を活用した節税」スキームの有効性は低下

 

保険本来の目的を大きく逸脱し、あまりにも“節税効果”を強調した営業活動が行われていることを見かねた当局は、2019 年4 月に全額損金タイプの保険商品を規制する新ルールを打ち出しました。

当局が打ち出した新たなルールは、全額損金タイプの保険は中途解約によるピーク時返戻率を50 % 以下にするというものです。

以前は80 % 前後のピーク時返戻率が認められていたので実質的な“節税効果”が得られていたわけですが、返戻率を大幅に下げることでそのメリットを封じ込めました。

当局の規制によって、“節税効果”を得るために保険を活用するスキームの有効性は、ほとんど失われてしまったと言っても過言ではありません。

 

■生命保険の乗り換え制限により「税を繰り延べる」メリットも低下

 

ここまであえて括弧書きで“節税効果”と記してきたように、保険料の損金によって法人税の納税額を抑えるのは、実際には節税ではなく、あくまでも税の繰り延べにすぎません。

解約時に受け取った返戻金は益金とみなされ、最終的にはそれに対する税金を納めなければならないからです。

全額損金タイプの保険を販売してきた営業担当者の多くは、これを回避する策として、保険を中途解約した時点で、より返戻金の大きな次の保険に加入することを勧めてきました。

『前の保険で得た返戻金で次の保険を買えば、利益を帳消しにできます。』

これを延々と繰り返せば何年でも、何十年でも利益を先送りして納税を繰り延べられるという考え方です。

当局はこの保険を中途解約し、次の保険に乗り換えるという行為についても制限を設けました。

これで生命保険を税の繰り延べに利用する価値はほとんど消滅してしまったと言えます。

 

■「生命保険を法人税の繰り延べに利用する」スキームは手元に残るキャッシュが減ってしまう

 

保険営業担当者の中には、「返戻金を受け取るタイミングで同額以上の役員退職金を支払えば、その損金によって返戻金の利益が相殺される」と提案する人もいるようです。

一見、理にかなった提案のようにも聞こえますが、オーナー経営者が役員退職金を受け取ると、会社の納税負担は軽減されてもオーナー経営者個人の納税負担が増してしまいます。

さらに、保険に加入し毎月・毎年保険料を支払うということは、手元のキャッシュが減るということです。

どんなに税の繰り延べ効果が得られるとは言っても、それによって使えるキャッシュが乏しくなり資金繰りに苦しむような事態に陥るのは避けたいところです。

税の繰り延べ効果を得るスキームを選ぶ際には、なるべく余分なキャッシュアウトが伴わないものを選別することが重要です。

 

■手元にキャッシュを残せる収益不動産による節税スキーム 

 

収益不動産を活用した節税であれば、手元にキャッシュを残しながら節税を実現することができます 

収益不動産はキャッシュアウトを伴わずに減価償却効果が得られるだけでなく、万が一のときにはいつでも売却できるというメリットもあります。

具体的なシミュレーションを元に紹介している記事がありますので、合わせてご覧ください。

節税対策を法人で行うとは?収益不動産活用の具体的シミュレーション

  

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