修繕費(経費になる)と資本的支出(経費にならない)の違いって何ですか?

《はじめに》


賃貸経営を行う上で、
所有する建物の修繕は欠かせないものになります。
入居者視点で考えると、
快適な住環境(暮らしやすさや利便性、快適さなど)を
望む人が大多数になります。
 
空室リスクを低減する為にも、
今の入居者に、「長く住んでもらえる」環境を整え
新しい入居者に、「選んでもらえる」環境にしなければいけません。
 
もし、小まめな修繕を怠ると
 
・空室時に選んで貰いにくくなり家賃の下落
・入居者の退去頻度があがり、都度の原状回復費用の負担増
・空室の長期化による家賃収入の減少
 
などの悪循環に陥るケースも珍しくないです。
 
また、場合によっては修繕を怠ることで、
入居者や近隣の住民や通行人に怪我をさせたりなど
損害賠償責任を負ってしまうこともあります。
 
 
《経費か、資産か》


修繕費は通常、経費に計上できますが
内容によっては、税務上で一度に経費計上ができない場合があります。
 
通常の維持管理や原状回復のために要したものは
「修繕費」として一括で経費計上が認められますが、
修理、改良等が固定資産の耐久性を延長させたり
又は価値を増加させるものである場合は、
修繕費とはならず、「資本的支出」となります。
 
資本的支出に該当した場合、資産に計上し
減価償却の対象になり、修繕した資産の耐用年数に応じて
数年かけて償却(経費に)します。
 
《具体例》
 
◆修繕費 ※主に壊れたものを元に戻す行為(原状回復)
 ・退去による壁紙の張替え
 ・壊れたキッチンの修理
 ・10年前後での定期的な外壁の塗装など
 ・畳の表替え
 
◆資本的支出 ※主に改良や強化にあたる行為
 ・用途変更を目的とした模様替え
 ・システムキッチンへのリフォーム
 ・機能を上げる外壁塗装など
 ・2DKの間取りを1LDKへの改装
 
 
《判断のポイント》


以下の順番で修繕費に該当するかの判断が可能です。
 
【少額もしくは、周期の短い費用の経費算入】
一つの修理や回収のための支出した金額が、次のいずれかに該当すれば
修繕費として経費計上することが出来ます。
 
 ・修理や改良などの金額が20万円未満の場合
 ・およそ3年以内の期間を周期として行われる修理や改良
 
【形式基準による修繕費の判定】
修繕費か資本的支出かが明らかでない場合、継続適用を条件に
次のいずれかに該当するものを修繕費として経費計上できます。
 
 ・出した金額が60万円未満の場合
 ・支出した金額がその固定資産の前事業年度終了の時における
  取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき
 
【修繕費と資本的支出の区分の特例】
修繕費か資本的支出かが明らかでない場合、継続適用を条件に
次のいずれかの少ない金額を修繕費として経費計上できます。
 
 ・支出した金額の30%相当額
 ・その固定資産の前事業年度終了の時における取得価額の10%相当額
 
 
《災害時の特例》


災害による被害に対して支出した金額については、
以下の内容にて修繕費とすることが出来ます。
(評価損を計上した資産を除く)
 
[1]被災資産につきその原状を回復するために支出した金額
 
[2]被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、
  排水又は土砂崩れの防止などのために支出した金額を
 法人が修繕費とする経理を行っている場合
 
[3]被災資産について支出した金額(上記①②の金額を除く)のうち、
  修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでないものがあるとき、
 法人がその金額の30%相当額を修繕費とし、
  残額を資本的支出とする経理を行っている場合
 
日本は自然災害の多い国でもあり、日常的に災害リスクは潜んでいます。
保険での対応もできる範囲はありますが、
上記の知識も予備知識として持っておくと
負担の軽減にも繋がります。
 
 
《最後に》


不動産の修繕は、日常的に発生するものと大規模修繕があり、
日頃からの修繕に対しての備えが重要です。
賃貸経営を行う上で、修繕費や減価償却費を把握・調整することで、
タックスマネジメントをすることが出来ます。
 
とはいえ、全てを経費に出来る場合でも経費にしすぎると、
利益が出ていないように見えてしまう場合もあります。
今後、長期的な融資を前提に、投資を進めていく場合においては
資本的支出にした方が良い場合もありますので、
ご自身の現状と方向性を照らし合わせて考えてみると良いでしょう。
 
特に金額的に大きな、大規模修繕工事を計画する際、
いつ、どのくらい経費を計上するかを考え、
税引後キャッシュフローの最大化を実現しましょう。